出征の秘密を知ったさとりちゃんとこころちゃんは強くなることを決意する。何故なら、彼女達の知識には母親の正体がなんであるかを知っているからでもある。
(赤い石にトワコ、そして負の感情。そして白面の狐のお面。ここまで来たらもう彼女の正体はわかります。つまり、私達そのものが槍ですか……まあ、いいでしょう。それに妖怪なら負の感情を集めて食料にするのは当然ですし)
部屋の中で何時もの服装になったさとりちゃんは施設を操作して、内部の情報を調べていく。監視カメラの映像を確認すると内部は壊されていて、外から植物の木などが入ってきているが、それ以外は問題なさそうである。
「広域探査開始」
さとりちゃんは自分を中心に水面に波紋が広がるイメージをして心の声を聞いていく。
「反応はありませんね。植物と虫以外の生物が入っている可能性はありませんか。ならこころに変わりましょう」
さとりちゃんがそういうと、姿ぶれて無表情な仮面少女こころちゃんに変化する。こころちゃんは頭のお面を取って目の前にやって無表情でじーと見詰める。
「お母さん?」
仮面に声をかけてみるが返事はない。しばらく声をかけていると、諦めたのか頭に戻して少ししゅんとした感じになる。しかし、表情は一切動いていない。
「いかないと……」
こころちゃんはランドセルを背負って部屋から出ていく。外に出ながら友好になるようにイメージして力を使うと思いながら進んでいく。
そんなこころちゃんが廊下の角を曲がると、そこには……頭部が植物でできた人が歩いているのがわかった。アレはやばいと感じたこころちゃんは即座にしゃがんで瓦礫の部分に隠れながら頭を押さえる。
ガタガタと恐怖で震えるこころちゃんだが、彼女は不思議に思う。感情を操る程度の能力でも、心を読む程度の能力でも、どちらもアレには反応しないのだ。
(錬金生物だから、心も感情もないってこと? 詰んでいる……でも、なんでここに入れたのだろ?)
そんなことを思いながら、ふと影ができる。震えて涙目になりながら上を向くと植物の頭をした人間が大きな口を開けていた。
「ひぃっ!?」
慌てて逃げ出すと、背後でガチンっという音がする。恐る恐る振り返ってみるとそこに瓦礫はなかった。植物人間の頭部から無数の茎が伸びてきて鞭のように迫ってくる。
「ひぎゃっ!?」
それはこころちゃんの視覚を越えて鞭のように振るわれ、彼女の幼い小さな身体を軽々と吹き飛ばして壁に激突させて埋め込む。
「うがぁっ……」
人間と妖怪のハーフであるこころちゃんの身体は頑丈だ。どうにか意識を保ちながら、手を向けて弾幕を放つが植物の鞭であっさりと弾き飛ばされて身体を滅多打ちにされて意識を失ってしまう。
こころちゃんが意識を失うと、植物人間はこころちゃんを持ち上げて確認したあと、その辺に投げ捨てる。投げ捨てられたこころちゃんは壁を粉砕して隣の部屋へと突入してバウンドし、そのまま動かなくなる。
植物人間はそのまま元の場所へと戻っていく。残されたこころちゃんは瀕死の重傷でありながら、ビクッビクッと身体を痙攣させていることから生きていることがわかる。
幾日か日が経つと、折れたりしていた身体は綺麗に修復されてこころちゃんが目覚める。ぼーとしながら周りをみて、改めて股間をみると彼女は恥ずかしそうにあそこを隠す。どうやら洩らしていたようである。しかし、相変わらず無表情で表情は一切動いていない。
「っ!?」
そんなこころちゃんだが、この施設は容赦しない。何故なら動体反応を感知して奴等はやってくるのだ。それを知らないこころちゃんは急いでさっきの元いた部屋に逃げ込む。ここだけは襲われない安全地帯のようで、その部屋の周辺には植物人間はやってこなかった。
(外怖い。でも、頑張らないと……ここで朽ちるのは嫌。それに赤い石、集めないと……よし、頑張ろう。えいえい、おー!)
こころちゃんは必死に震える身体で涙を流しつつ腕を振り上げて決意する。
(ここはハンターハンターの世界だから、念能力がある。それに多分だけど妖力はオーラ、生命エネルギーと同じ。日記に書いてあった進化はおそらく、人間が妖力を得たから。だったら、総量を増やせばいい。確か、修行方法は……瞑想だったはず。私、こころにはそれができる。たぶん……できたらいいな……)
こころちゃんはベッドの上に座りながら座禅を組んで、身体の中の力を意識していく。彼女はほとんど感情が表にでないので、寝ているようにもみえる。
しかし、すぐにこころちゃんの周りに妖力のような靄が浮き出してくる。それは禍々し感じがする黒い物だ。彼女が危険な妖怪とのハーフである証明でもある。
(たしか、拡散しないように妖力を体の周囲にとどめる。身体を頑丈にするにはこれがよかったはず……できたら、もっといっぱいだす……あうっ)
こころちゃんの身体から溢れるようにでてくる妖力により、身体がふらふらしてくる。慌てて自分の身体の周りに固めるようにしてくる。それによって多少はましになったようだ。このまま放置していれば妖力の枯渇で死ぬところではあった。かもしれない。しばらくは妖力を纏う訓練を繰り返したこころちゃんは、次に運動を開始する。
「格闘術、訓練」
ありとあらゆる戦闘には必ず体術が必要である。それは後衛でもかわらない。身体が動かなければ食べられて終わりである。そして、こころちゃんの中にあるのはハンターハンター好きには有名な修行の方法である。
「感謝の正拳突き……」
ハンター教会の会長であるネテロがやった修行方法である。これは時間がかかるが有効だと思われる。ハンター教会最強といわれるネテロでも、暗黒大陸では弱者の部類に入る。そのため、こころちゃんは足も鍛えることにする。むしろ、生き残るために足を鍛えることにしている。
ニトロ米を食べながら鍛え続けて約6年。こころちゃんとさとりちゃんは泣いていた。何故ならば一切、一ミクロも身長が成長していないのだ。筋力量もかわらずに小学五年生程度しかなく、非力な拳となる。
つまり、正拳突きと蹴りとか、一切の無駄だったのである。その間に妖力が拡散しないように、体の周囲にとどめる纏と精孔を広げて、通常以上の妖力を出す練を繰り返しているので妖力はかなり増えているのでプラスはある。
「負けない……こころは、私達は負けない……」
立ち上がったこころちゃんは自らの心を制御して奮い立つ。そもそもアプローチが間違っているのだ。彼女達は半分は人間だったが、すでにそのほとんどが妖怪になっている。
そのため、成長することなどない。だから身体の扱い方や妖力の扱い方、妖力を増やす方向にするべきだったのである。そもそもデザインされたのが東方のゲームキャラであるが故に弾幕を作ったりスペルカードを作ったりする方が向いているのだ。
それに気付いたこころちゃんは弾幕やスペルカードの作成を行っていく。
しかし、弾幕はともかくスペルカードはどちらも作れなかった。まず、こころちゃんの方は圧倒的にお面がたりない。狐のお面はいまだに反応しないからだ。さとりちゃんの方は相手のトラウマを再現することはできるが、その相手がいないのでスペルカードを作れない。相手を催眠するにしてもその相手は自分しかいないのだ。そうなると自爆していることになるので無理というわけである。
(弾幕の再現、頑張る)
こころちゃんはガス状の青白い炎を弾幕に加工して放ったり、数を増やす訓練をしたりしていく。
完成してから外に出たこころちゃんは試しに植物人間に向かって撃ってみるが、一切効かなかった。そして、当然のように反撃されてボコボコにされ、帰されたのであった。
六年での成果。
妖力が100から144に増えた。
筋力量はかわらず、少しだけ身体が柔らかくなって動かし方を覚えた。
10発くらい撃てる弾幕・弱を覚えた。