ありふれた転生で世界救済   作:妄創

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 どうも初めまして。妄創と申します。
 
 二次創作を書くのは初めてなので、不馴れなところもあると思いますが、どうぞよろしくお願いします。

 不定期更新ですが、頑張ります。


 ぁあ、ご意見ご要望お待ちしておりますので、コメントやらでお願いしますね?


“運命の環の中で”
ありふれた月曜日


 

 

 

 月曜日というのはどうしてこんなにも憂鬱なのだろうか?前日が日曜日で休日のせいだ。つまり、世界を七日間で創った神様が悪い。

 

 

 そんな理論もクソもない、どうしようもない理由で勝手に神様を恨む蓮ヶ谷(はすがや)レンジ。

 

 この地球の世界では善悪に関係なく超越存在(神様)が不在なので、祈ろうが文句を言ようが奇跡も天罰も起きない。もしも、何か起きたにしても全ては運の悪い自然現象でしかないのだ。

 

 つまり、金曜日の夜から徹夜して土曜日の昼間から惰眠を謳歌し、そのお陰で生活習慣が乱れて日曜日に夜更かしする羽目になり挙げ句の果て、月曜日の朝寝坊したのは全てレンジ一個人の責任なので神様のせいにするのは、責任転嫁と現実逃避でしかない。

 

 なので、別段レンジは神という存在を毛嫌いしている訳ではない。かと言って現存する何れかの宗教に信者でもないのだが、彼は実物(・・)を知っている為に信仰は出来なかった。

 

 

 前世で、かつて彼が生まれた世界を司った十三柱の神の内一柱を残して、神殺しという禁忌の大偉業を為し遂げたレンジは神───超越存在の醜い部分を熟知していた。

 

 そして、今生でこの地球のそれも争い事とはほぼ無縁の日本にいるのは、その偉業に対する報酬だからだ。生死を境を幾度と無く彷徨きながら為した偉業の報酬として彼が望んだものは、ただ安らかで平和に暮らせる人生だった。

 

 まぁ、この地球での暮らしは彼が望んだものとは少し違ったのだが。

 

 

 転生して蓮ヶ谷家の長男として再誕した英雄はレンジと名付けられてすくすく成長していき、今や高校生だった。

 

 つまり、学生のとっての朝寝坊とは遅刻であり、遅刻とは成績表にダイレクトで数値化される悪評である。通学路を全力で走りながらレンジは溜め息を漏らすのだった。

 

 

 前を走っていた一人の生徒が滑り込むように正門を潜りる姿をレンジは拝見して自身もそれに習って滑り込みセーフで登校を終える。遅刻した生徒を指導する為に待ち構えていた教頭が一瞬悔しそうな顔をしたので、お返しに一瞬だけドヤ顔をレンジは見せてやった。その時、教頭の額に青筋が浮かんだのは言うまでもない。

 

 

 寝坊した事に対する憤慨を教頭への侮辱で清算したレンジは気分がフラットな状態で教室に入った。むしろ、若干ながら機嫌がいい。やはり、単純にからかうなら若い子(クラスメイト)よりも年上の大人(同世代)くらいが丁度良い。

 

 しかし、気分の良いまま教室に入ると、いつもの事ながら不愉快な光景がそこにはあった。

 

「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

 

 実に、くだらない光景だ。たった一人の生徒を寄ってたかってイジめる四人の生徒と、それを見て見ぬふりどころか同調して眺めるクラスメイト達。

 その主犯格の四人組は檜山大介(ひやまだいすけ)という生徒を筆頭にして日課のように特定の生徒一人に絡んでいく。それに必ずっといって着いていくのが斎藤良樹(さいとうよしき)近藤礼一(こんどうれいいち)中野信治(なかのしんじ)の三人だ。

 

 レンジはなんだが、この四人衆を言動を見ていると前世であった小悪党な冒険者達を思い出してしまう。いや、それは最終的には勇敢に殉職した彼らに失礼か。彼らには絶対強者に堂々と歯向かう意志などないのだから。俺はお前らを忘れないぞレオナード、チャーリー、ブラッド、そしてジョージ。

 

 そう思えば、檜山達の言動は彼らとは全く似ていない。むしろ、共通点など無いに等しいのだが……?

 

 

 まあ、過去の思い出にひたるのはまた今度だ。今はイジめられている彼、南雲ハジメを助けるべきだろう。

 

「それがどうかしたのか? っていうか、俺も徹夜でゲームしてたんだけど? それ、俺にも言ってる訳?」

「え? ……やべっ、レンジ!」

「なんだよ、人を化け物みたいに……」

 

 檜山の背後からレンジが話しかけると、彼は大いに慌てだした。だが、それも仕方ない。以前もイジられたハジメの事をレンジが助けた事があったのだが、その際に檜山は腹いせに標的をレンジに変えたのだ。

 

 しかし、相手が悪かった。姑息かつ古典的なイジメはレンジに何故か一切通用せず、人目のない場所に呼び出してもレンジの、レンジによる、レンジのための『平和的』解決によって見事に返り討ちにされる始末。

 

 まぁ、レンジは十二回にも及ぶ神殺しの偉業達成者。日本の学生四人程度が考え付くような手段で貶める事など不可能である。まあ、そんな事は知らないからこそチャレンジして、圧倒的な力でねじ伏せられたのだが。

 

 

 完全に動揺して返す言葉も無さそうな彼らに、視線だけで解散をレンジは命じる。すると、檜山達は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。このような力関係なので仕返しや意趣返しをする事は至って簡単だが、レンジはそれを望まない。いや、やってはいけない。

 

 あくまでも、ハジメの為に大人としてやってやれるのは目の前で起きている事を解決してやる事だけなのだ。仮に、仕返しや意趣返しをするならそれはハジメ本人がやるべき事だし、また根本的解決も本人でなければ出来ない事だ。

 

 

 神殺しは誰でも出来るのに、イジメを無くすのは本人にしか出来ないなんて、この世界は世知辛いものだなぁっとレンジは思うのだが、神殺しは誰にでも出来るの事ではない勿論。挑戦ならできるかも知れないが。

 

「ごめん、レンジ君。ありがとう助かったよ」

 

 小者四人衆が去った後、ハジメはしっかりとレンジにお礼をする。

 

「別にいいよ。ただ俺の席の周りでは勘弁だけどね」

 

 レンジの席はハジメの右斜め後ろである為、ハジメの席の周りで集まられると非常に邪魔くさいのだ。あくまでも、ついでだよっという体でハジメの感謝の言葉を躱す。

 

 本当の所はただの建て前なのだがあまりにも頼りにされてもハジメの為にならないので、素っ気なくしておく必要があるのだ。別に、レンジはハジメが嫌いな訳ではない。

 

 むしろ、その逆だったりする。何せ、ハジメの両親は前世には無かったオタク文化の最前線に立つ御仁だ。文化の最前線、それはつまり人類の文明の最前線という事である。そう、そこは人類の叡知の最先端。人類の進化を左右する運命の担い手が立つ場所なのだ!

 

 人類っというか、全生物の未来を担い神々と激戦を繰り広げたっという過去を持つレンジは、同じく担い手としてハジメの御両親を深く共感し、尊敬している。きっと、今この時でさえ神の試練(締め切り)挑んで(追われて)いるのだろう。

 

 そして、そんな尊敬すべき二人の子息がハジメだ。しかも、その二人の才能を確りと受け継いで産まれてきたのか、即戦力として共闘(バイト)しているらしい。

 

 そんな英雄の素質を持つハジメだからこそ、その辛く厳しい運命の先駆者として気に掛けているのだ。だが、数多くの子供達が同じ空間で過ごす学校で、いくら素質があるとはいえ子供一人を贔屓する訳にもいかないので、このくらいの距離感がベストなのだろうっと、レンジは一人で納得している。

 

 現に、集団生活に於いて特別扱いを受ける者は孤立するのだ。それは、皮肉な事にもハジメ自身が生き証人になっている。

 

「南雲くん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

 ニコニコと微笑みながら一人の女子生徒がハジメの下に歩み寄り、ハジメだけ(・・)に朝の挨拶をする。どうやら、彼女はレンジの事など最初から眼中に無いらしい。そんな彼女はこのクラス、いや学校でもハジメにフレンドリーに接してくれる数少ない例外である。そして、その事がハジメへのイジメ、この事態の原因だったりするのだが、彼女は何も気が付いていない。

 

 ハジメの悩み根源とも言える彼女は、白崎香織(しらさきかおり)。学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女である。つまりはビックネームであり、その支持者が多い。

 

 別に、支持者が多いのは大変結構だが、その支持者達は彼女自身の行動に大きく影響するをされるのだ。故に、潜在的な恋心をハジメに抱いて彼を気に掛けるのは個人の自由だが、そのせいでハジメがクラスから孤立しているのは頂けない。

 

 上に立つ者は周囲に与える影響力を考慮して言動を行わなければならないのだ。これは、秀でた者の務めであり責任である。それは秀でた事の代償なのだ。それが無意識であろうと、支持者達には関係ない。支持者はそれが上位者にとって正しい事だと思ってやる確信犯なのだから。

 

 レンジが前世で神殺しの末に、仲間達によって討たれたように、上位者とは諸刃の存在なのだ。まぁ、この日本では余程悪徳な事をしなければ命の危険はないとは思うが。

 

 それに、いつも微笑の絶えない彼女は非常に面倒見がよく、それに見合う責任感も持ち合わせているので大丈夫だろう。ただ、ハジメの事に関しては少し盲目的で、ハジメの周囲で起きている事にピントが合っていない様子だ。いや、事実その通りだからハジメがクラスメイトから目の敵にされてしまっている。

 

 どんな世界でも恋は盲目なのかねぇ~っと前世の記憶と香織の事を照らし合わせてみるレンジだが、何故か神の中でも最悪の一柱であった愛と美の女神である恋愛神ラヴァリアの事を思い出したので、そっと記憶を閉じる。

 

「あ、ああ、おはよう白崎さん」

 

 殺気にも近い眼光がハジメに殺到する中、彼は引き吊りながらも挨拶を返した。近くにいたレンジが一瞬厳戒体制になる死線の中で。彼ハジメも中々に肝が据わっているっと思う。やはり、御両親の血を濃く受け継いでいるのか。

 

 だが、趣味の為に色々なモノを捨てているハジメでは中々会話が……ハジメは助けを求めてレンジに視線を配るが彼は気が付かないふりでスルー。

 

 勿論、ハジメの手助けをしてやる事は可能だが、それは必ずハジメ自身のしっぺ返しされてしまう。彼女はあくまでハジメと話したい訳であり、レンジが如何に話題を振ろうと必ずハジメを交ぜてくる。そうなれば、三人仲良く会話していたっとクラスメイト達は認識して、ハジメは体育館裏なんかに強制連行されてしまうだろう。

 

 それでは、本末転倒なのでここは何もしてやらないのが彼と、ついでに彼女にとっては良いのだろう。

 鈍感ではないが謙虚故に好意に気が付かない少年と、純粋な想い故に恋心だと自分でも気が付かない少女。

 

 そんな二人の恋路を、いい歳の大人が邪魔する訳のは不粋だろう。

 

 それに、そんな事とは別に状況を動かしてくれる人達がやってきてくれるだろう。そう例えば、

 

「南雲君、蓮ヶ谷君。おはよう。南雲君は毎日大変ね」

「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」

「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」

 

 三人の中で唯一ハジメとレンジに朝の挨拶をした女子生徒は八重樫雫(やえがししずく)。彼女は香織の親友と呼べる存在だ。艶やかな黒髪で作られたポニーテールがトレードマークで、可愛らしい顔立ちの中に凛とした表情があり、女性的なカッコイイ良さっというモノを感じられる美人タイプの女性である。

 

 さらに、八重樫流という剣術を受け継ぐ血脈ゆえの剣術の腕で、小学生の頃から公式戦や大会では負けなしの猛者っという一面も持つ。

 

 秀でた容姿と優れた剣術から、スポーツ雑誌や新聞に取り上げられた事が多々ある。ある意味、全国的ビックネームなのだ。そんな彼女はいい性格をしているこゆぅ~い後輩達から熱い視線で「お姉様」とよく呼ばれている。

 

 そして次に、完全に臭いセリフで香織のみに声を掛けたのが天之河光輝(あまのがわこうき)っという男子生徒。如何にも勇者っぽいキラキラネームの彼は、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人だ。

 

 日本人にしては珍しい綺麗な茶髪と柔らかさと力強さが調和した優しげな瞳、百八十センチメートル近い高身長に引き締まった筋肉。誰にだって優しく接しようとし、少し問題があるくらい正義感も強い。

 

 小学生の頃から雫の実家が経営する八重樫道場の門下生で、雫と同じく全国で活躍できる腕前だ。学校内にはダース単位で惚れている女子生徒がいるそうだが、いつも一緒にいる雫や香織に気後れして告白に至っていない子というか、出来ない子は多いようだ。

 しかし、それでも隙を狙って月二回以上は学校に関係なく告白を受けるというのだから筋金入りのモテ男なのだろう。

 

 そんな光輝をレンジは見ていると、前世で殺し合った勇者を思い出す。その勇者は均一と善悪の神、裁定神カルデナスによってレンジを殺す為に勇者に仕立て上げられた悲運な少年であった。その思い込みにも近い正義感が光輝と勇者の最大の共通点であり、最悪の共通点だろう。

 

 

 それはさておき、最後に投げやり気味な言動の男子生徒は坂上龍太郎(さかがみりゅうたろう)といい、光輝の大の親友である。短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような明るい瞳、百九十センチメートルの身長に熊の如き体格の良さ。そして、案の定というか見た目に反さずに細かい事は気にしない脳筋である。

 

 龍太郎は努力とか熱血とか根性とか男らしさ(?)みたいなのが大好物な人物らしく、ハジメのように学校に来ても寝てばかりのやる気がなさそうな人間は嫌いなタイプだ。現に今も、ハジメを一瞥した後フンッと鼻で笑い興味ないとばかりに無視している。

 

 まぁ、レンジも同じ事をされているのだが、子供から無視されるなんて我が儘な子の子守りをして、ちょっと反感を食らったような気分だ。つまり、肩を竦める程度の気しか起きない。

 

「おはよう、八重樫さん、天之河くん、坂上くん。はは、まぁ、自業自得とも言えるから仕方ないよ」

「おはよ、雫。それから、光輝と龍太郎もおはよ」

 

 雫達に挨拶を返して、ハジメが一人苦笑いする。相変わらず、クラスメイトの槍の如き視線に串刺しにされているようだ。いや、「てめぇ、何勝手に八重樫さんと話してんだ? アァ!?」という旨の矢文だろうか?

 

 ある意味、言葉よりも明瞭な視線がグサグサとハジメに突き刺さる。針の筵と化したハジメをレンジは幻視してしまった。

 

「それが分かっているなら直すべきじゃないか? 何時までも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」

 

 光輝がハジメに忠告する。光輝の目にもやはり、ハジメは香織の厚意を無碍にする不真面目な生徒として映っているようだ。ハジメの家庭環境を知らなければ、誰の目にもそう写ってしまうので仕方ないっと言えば、仕方ないとしか言えないのだが。

 

 事情を知らなかった最初はレンジでさえ、不良息子だと思っていた。しかし、実際は自分の夢の為に他を切り捨てる覚悟を持った強い子供だった訳だ。

 

 その夢が現実的でない事ならまだしも、その夢まで道のりを彼は確りとした足取りで歩んでいる。それにその道を共に歩んでいる両親も居るのだ。何も心配は要らないだろう。

 

 それが文化開拓だろうと大丈夫な筈だ。何せ、人という生き物は死ぬ気でやれば神だって殺せるのだから。

 

 まぁ、分野が違い過ぎるというか何というか……。

 

「君も君もだよ、蓮ヶ谷。君は席が近いんだからちゃんと彼の事を見てやらないと──」

 

 香織が彼を構うのは駄目で俺は良いのかっと思うが、口には出さないでおく。大人が子供をイジめるものではないし、同じ八重樫流の情けだ。

 

 そう、レンジも幼い頃から八重樫家の道場に通っている。日本で生まれた独特な剣術に興味があったからだ。つまり、雫と光輝とは幼馴染みとまではいかなくともかなりの古馴染みだ。

 

 ちなみに、日本武術という特異な技に興味があっただけなので、公式戦には一切出ていない。神殺しの大英雄がスポーツを本気でやる子供達に混ざるのは、何か違う感じがしたのだ。

 

 

 旧知の仲だから、レンジならばハジメを変えられるっと思ったのか、燻る嫉妬心があったのかは分からないが、光輝はレンジにも注意を促した。

 

 だがしかし、ここで爆弾を落とす者が現れた。それは、渦中の人物である白崎香織だ。

 

「? 光輝くん、なに言ってるの? 私は、私が南雲くんと話したいから話してるだけだよ?」

 

 流石、香織さんやってくれる。これぞ、爆弾。これぞ、香織クオリティー。

 

 教室内が騒然としたのは言うまでもない。

 

 

 




 


 最初なので、長文になってしまいました。すみません。6,000文字を少し超えたくらいだったと思います。

 基本的には原作沿いで、南雲ハジメの心理描写がカットされてオリ主の心理描写が代入される感じです。

 なれてくれば、オリジナル展開も入れたいですねぇ~(笑

 あと、ハーメルンの機能にかなり疎いです。チラシの裏って何ぞや?


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