ありふれた転生で世界救済   作:妄創

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 すいません。かなりテキトーです。

 なんか書いてたのが、消えてしまって。書き直したんですが、もう絶望感にやられてしまって……。

 すごいテキトーです。ほんっとに、申し訳ない。


ありふれた神話

 

 

 

「……レンジは偉い!」

「随分と唐突だね、ユエ」

 

 自分の膝の上に座る少女に、唐突に誉められてたレンジは苦笑いを浮かべる。

 

 いや、恐らくハジメのためにわざわざ奈落へ落ちたことや、ここまでハジメを引っ張ってきたことへの称賛なのだろう。

 

「……ハジメを、いっぱいいっぱい助けてる……お陰で私も助かった……!」

「う~ん、どうだろうね。俺は基本的に手助けばかりだがらね。……俺が居なくても、多分ハジメならここまで辿り着けたと思うよ?」

「やけに自己評価が低いじゃねぇか、ええ?」

 

 何故かキレ気味のハジメ。

 

「いやいや、本当にそう思ってるよ? 実際、このフルミネや、弾だって作ったのは、他の誰でもないハジメだ」

 

 レンジは神の力という強力なカードを持っている。それを差し引いてても、多くの技能と高いステータスに前世から受け継ぐ魔術がある。

 

 しかし、どの力もこの奈落では力不足だった。

 

 いや、神の力は強大無比であったが、身体にリスク無しに発揮できる力は一パーセント。それに、長時間や連続使用、併用も身体に負担が掛かるため出来ない。

 

 ステータスもいくら高かったとはいえ、奈落の魔物と真正面から太刀打ち出来るものではなかっただろうし、技能や魔術も体力や魔力を消費するので、何れは使えなくなる。神を殺すための武術も、体力が無くなれば満足に扱うことは出来ない。

 

 わりと、レンジとてピンチだった訳だ。勿論、前世と全く同じ身体だったり、何一つ下手なミスをしなければ、奈落の攻略はレンジにとって難しい事ではないだろう。

 

 しかし、勿論前世の身体ではないし(似せられて再構築されてはいるが)、何一つとしてミスしない事は不可能だ。神の力で窮地を抜け出そうとも、いつか必ずツケが回ってくる。

 

 だがら、逆に助けたのがハジメで良かった。彼の発想が無ければ、ここまで来れなかった可能性は大いにあり得る。

 

 引き金一つで生き物を殺すのには十分すぎる程の威力を誇る現代兵器擬き、ドンナーとフルミネ。

 

 フルミネが無ければ、レンジもここまで余裕はなかっただろう。そういう意味では……

 

「……ハジメには、すごく助けられたよ。俺は彼を助ける事ができなかったけどね」

 

 何処にもない彼の左腕を見詰めるレンジ。もしかしたら、本人以上に悔やんでいるのかも知れない。

 

「これは気にしていないっと言っただろ?」

「ああ、そうだったね」

 

 本人が気にしていない事で、ぐちぐち言うのはお門違いだ。

 

「そんな事より、俺が気にしてるのは、お前のワケわからん力だ。何なんだ、アレは?」

「……ん。……レンジも、ハジメと同じ“ガクセー”だった。……なのに、一人だけ物凄く強い。どうして?」

 

 どうやら、話すと約束していた事を守る時が来たようだ。想定外の人物が加わったが、なに気にする必要はないだろう。

 

 さて、何処から話そうか……。いや、先ずは結論を言ってしまおう。その方が、ハジメなんかは理解しやすそうだ。

 

 どうせなら、しっかりと二人の顔を見て話して起きたかったので、作業を終えているハジメにユエを渡す。今度はハジメの膝の上に座るユエは、とてもご機嫌そうだ。

 

「ハジメなら分かると思うが、結論から言うと……」

「「結論から言うと……?」」

 

「俺は、“転生者”なんだ。何処にでもいるような、ありふれたね」

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

 とある世界の創世記では、原初と継承を司る神が居た。その神の名は、起源神エアルスト。

 

 彼の神は、虚無の中にまずは光を創造した。しかし、虚無では光を置く場所が無かったので、空という空間を創造した。

 

 そして、空に光を置いた。なんか違う……、と思ったので起源の神は光を燃え上がる炎のように創り変えた。そうすると、光は太陽になった。

 

 出来上がった太陽を空に飾ってみたところ、眷属神が生まれた。非常に鬱陶しいっと起源神(エアルスト)は思ったが、何かの役には立つだろうと、鳳凰神フレアデスと名付けた。

 

 次に、彼の神は自身が降り立つ為に、大地を作った。それはただ何もない平坦な大地だった。そこへ、足つぼのマッサージがしたいと、谷や丘を創る。さらに、横になった時に枕が欲しいと、巨大な山脈を創る。しかし、中々納得いくものが出来ずに、次々と創り足していく。

 

 何とか出来た。試しに寝てみると、大地は冷たかった。かの神は激怒した。こんな所で寝られるかっ、と。大地の底を火炎で満たし、地表を下から暖める事した。

 

 すると、また眷属神が誕生した。また名前付けか、と面倒がりながらも、地脈神グランドルと名を与えた。

 

 そして、しばらくすると、太陽と地熱の熱さにぶちギレた。何なのこの熱さ! 怒りに任せて冷風を起こし、掻いた汗を流すため、大量の水を天から降らした。

 

 起源の神の汗を流した水は、山々を伝い下へ下へと流れていく。途中にある起伏や窪みで川や池、湖が出来た。まだまだ余りある水はいずれ平坦な大地に溜まり、海となった。

 

 すると、また眷属神が生まれた。直接関わっていない海から出来た神に、起源神(エアルスト)は大変驚き、さらには可愛がった。この時に冷風を渡し、海流神アクエリアと名付けた。

 

 冷風を貰い喜んだ海流神アクエリアは、その力で寒波を起こして、空中にあった太陽を吹き飛ばしてしまった。

 

 これに気分を概した鳳凰神フレアデスが、海の水を捕まえて雲に変えてしまう。しかし、あまりの量に取り零して、それが雨となり大地降り注ぎ、山から流れて川となり大地の起伏や窪み流れ込み、やがて巨大な運河や湖なんかが出来た。この事に、地脈神グランドルがカチンッとした。

 

 対して、海流神アクエリアは奪われた水を回収すべく、冷気を雲に当てて凍らせる。その冷たさには鳳凰神フレアデスも堪らず、雲を落としてしまう。それがまた大地に……。

 

 地脈神グランドルがキレた。すると、山々が爆発してモクモクと黒煙が空に上がり、舞い落ちる灰が海を汚染した。

 

 そこでついに、起源神エアルストが怒った。

 三柱に善悪について説き、それぞれの力を奪い、均一になるよう再分配した。その時、新たな眷属神が生まれた。大事な時に邪魔くさっ、と思ったが裁定神カルデナスと名付けて、仲裁役として置いておく。

 

 さて、空海大地が三柱の喧嘩により死んでしまった。すると、その中心に一人の神が立っていた。なんか禍々しいオーラを纏っている。死病神ベイングラと呼ばれ、皆から恐れられた。

 

 そして、太陽が何処かへいってしまった真っ暗な空に、起源神エアルストは再び太陽を創ったのだが、丁度良く鳳凰神フレアデスが太陽を見付けてきた時だった。

 

 不要になった太陽を月に創り直して、太陽の反対側に飾る。こうして、昼と夜の概念ができた。

 

 月しかない夜は寂しかったので、星を飾り付けてみると、また神が生まれた。月光神ルナトリアと名付けておく。

 

 さて、三柱の神々はようやく自分達の担当するモノを甦らせ、再び元の状態に戻すと、死病神ベイングラに手を引かれ知らない神がやって来た。

 

 起源の神が、え? 彼女? と聞くと慌てたように、違う! と叫ぶ死病神ベイングラ。連れてこられた神はその反応に不満そうにしている。吹き飛べリア充が! と思いながら、蘇生神アライフラと名付けた。

 

 その時、二柱の愛と彼の神の憎しみから、また神が生まれた。癪だが、恋愛神ラヴァリアと呼ぶことにした。

 

 さて、良く見るともう一柱知らん顔の神がいた。どうせ、喧嘩した時にでも生まれたのだろうっと武闘神バルトロスと名付けた。

 

 それぞれの神が、起源神エアルストの創造の真似をしていろいろなモノを創っている最中、魔力と魔法が生まれた。偶然の産物だった。

 

 そして、新しい神も生まれた。名前は、魔術神アンブロトにしておいた。

 

 初めて、自分達で神を創った神々は、祝いだ祝いだ! と大はしゃぎ。遊び尽くしの宴が一年間もの間続いたのだが、いつの間にか知らない神二柱も混じってた。芸術神ハルモニアと狂宴神ケイリオスと呼ばれ、宴会には外せない神になった。

 

 しかし、また神達が仕事を疎かにしたため、大変な事に。

 

 そろそろいい加減にしろと、起源の神は怒り神々に運命と循環を与えた。その時、新しく神が現れたので因果神フェイロトと名付けて管理者として置いておいた。

 

 それからしばらくは何事もなく時間が流れ、もう大丈夫かと思い、この地を去った。いい休暇だったと、自分が本来管理する世界へと戻ってしまった。

 

 起源神エアルストが居なくなると、神々は親の真似をするように自分達の眷属を作ろうとした。因果神フェイロトは参加せずにいた。お前ら仕事しろぉぉぉ。

 

 しかし、皆で創った初めての眷属は、失敗作だった。

 

 形こそ似ているものの、神のような力は一切持っていない貧弱な存在。

 

 初めての眷属が失敗に終わった事に、神々はそれぞれ激怒し、責任転嫁の末に決別して、各々で眷属を創り出しはじめた。

 

 最初の眷属──ヒトは何も与えられずに、捨てられた。ただ創られて存在のみがある彼女は一人涙を流した。

 

 それを因果神フェイロトが見かねて、名前を名付けた。その名は、オラトリア。神人オラトリア。

 

 オラトリアと名前を貰った彼女は、行く宛もなく延々と世界を渡り歩いた。

 

 生死の概念がなく、ただ存在している彼女は、数百年数千年と世界を放浪とした。

 

 そして、様々な生き物にであった。自分とは違う、神から何かを与えられ生きている眷属種達だ。

 

 彼等について思うことはないか? と聞かれればあると答えるしかないオラトリアだったが、彼女は彼等と友好的に何世紀も混じりあった。

 

 時に神と同じように崇められたり、時に悪魔だ魔女だと恐れられたり、ある時は迫害に合い滅多刺しされたり。

 

 だが、彼女は生きてはおらず存在しているだけなので、死ぬ事はなかった。耐え難い激痛には襲われるが、死にはしなかった。

 

 それでも、オラトリアは誰か傷付けようとはし無かったし、逃げ出そうともし無かった。ただ、同じ眷属、仲間として彼等と仲良くしたかった。

 

 彼等と、生きたかった。ただ同じ命として終わりたかった。

 生きて死ぬこと。それは彼女には贅沢な願い。叶うことのない願い。

 

 だがら、せめて誰かの心の中で生きたかった。自分が直接見て感じた事や思った事を伝え、その人の心に自分の意志を残す。

 

 そして、その意志に強い共感を抱いてくれた誰かが、また誰かにその意志を伝える。誰かの中で生き繋ぐ。

 

 自分の意志を継いだ人が死ねば、その意志も死ぬ。つまり、自分も死ぬ事ができる。死に続ける事ができるのだ。

 

 それが、彼女にとっての命であり、生き方。きっと誰かに聞かれれば笑われてしまうような事だろう。

 

 それでも、彼等と生きたいと思ったし、共に死にたいと思っている。

 

 叶えられない夢に、届かないとしりながらも、ひたすらに手を伸ばす。

 

 それでいいじゃないか。それも、生き方の一つ、死に方の一つ。自分の在り方なのだ。

 

 

 ──そして、伸ばした手を、掴んでくれる少年とオラトリアは出会う。

 

 まさしく、偶然の出会いだった。

 ちょっと、高級食材の黄金トリュフを取りに山へ出掛けた時だ。

 

 山の奥地に一人の少年、いや男児が居た。まともな服は着ておらず、毛皮を巻き付けただけの四歳くらいの男の子。

 

 なにやら、真っ赤なリンゴを口に加えて、初めて見た! と言わんばかりにオラトリアを凝視する男児。

 

 その反応から孤児か何かだろうと思ったオラトリア。街の孤児院に届けた方が良いだろうと近寄った瞬間、息を呑んだ。

 

 山の獣達がいきなり現れたかと思うと、男児を守るように囲い、オラトリアに立ち向かうように威嚇してきたのだ。

 

「?」

 

 しばらく、獣達はオラトリアを威嚇して、敵意が無いこと、何より困ったように男児が首を傾げるの見ると、まるで怒られた子供のように四散していった。その時、何故か野ウサギに蹴りを入れられたオラトリア……。あれは、完全に蹴りだった。強いていうなら、舌打ち付きだった。

 

『……君、お名前は?』

 

 オラトリアには、通常の発声はできない。芸術神ハルモニアから汚ない声だ、と喋る事を禁じられたからだ。

 

 だが、オラトリアはこれでも始まりの眷属。神に及ばないとはいえ、その力は他の眷属からすれば絶大なモノである。

 

 それゆえ、魔術で音を出して会話する事くらいは造作もない。

 

「………?」

 

 普段は動物の声くらいしか聞かないであろう男児は、その独特な音の言葉に首を傾げる。幸いにも、驚いて逃げ出したりしないので良かった。

 

 しかし、首を傾げるばかりで、話をする気配はない。

 

 それもその筈、この男児は今のいままで、どこの言語も聞いた事はないのだから。

 

『……話せないのかしら?』

「? ……?」

 

 この後、オラトリアは男児を自宅へと連れ帰り、少年の育ての親となって、共に暮らすようになる。

 

 それは十年と少しくらいの時間だったが、彼女の人生で最高の思い出となっただろう。

 

 これは、とある世界の神話の創世記にして、生物誕生の歴史の中で、切り捨てられた少女への救済の物語。

 

 そして、ありふれた神話の終わり。

 

 捨てられた眷属が拾った男の子は成長し、神をも殺す。

 のちの歴史で、彼は“神殺しの英雄”と呼ばれる。

 

 

 




 
 正直、いらねぇーよそんな話! て思ってる読者様も多いですよ。

 でも、書きたくなってしまったので。

 次回も引き続き、レンジ君の前世の話です。

 いらねぇーよ、と思っている読者様には申し訳ない気持ちでいっぱいです。ほんとすいません。
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