ありふれた転生で世界救済   作:妄創

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 今回は短いです。あまり思いつかなかったので……。

 あと、御本家様のシアちゃんが大好きな皆様、大変申し訳ありません! こんな失礼な娘になってしまって……

 けど、ご安心を。この失礼さはオリ主のみにしか致しませんので。それに後々、オリ主とも普通に接するようになります。


英雄の憂いとウサミミ

 

 

 

 

 未来を見るウサミミ少女から伝えられた、英雄の不在。それは、現在もっとも起こりうる可能性の高い未来。

 

 その事実に、ハジメとユエは狼狽し、一抹の不安を覚える。

 

 だが当の本人であるレンジはまったく気にする様子もなかった。というのも、不在の原因を推測していたからだ。幾つか浮かぶ推測の中で、特に可能性が高いのは、三つ。

 

 一つ、そもそもレンジの運命力が強すぎて予知されない。これは、転生前に神から言われて転生後も周囲とあまり深く接してこなかった理由でもある。運命や循環を司る神ですら、予測不可能な運命力・因果率なのだ。一匹のウサミミの持つ魔力で、その未来を見ることは到底叶わないだろう。

 

 二つ目は、一つ目と似たり寄ったりな理由になってしまうが、レンジ自身が転生者という特殊な存在だったり、その魂魄に十三柱の神の力を宿す超越存在だったりするからだろう。神の行動パターンの一手一手先を読める魔法があれば、前世の世界で神殺しはかなりの余裕が生まれていただろう。無論、そんなもの無かったから大苦戦したのだが。

 

 最後の一つは実にテキトーではあるが、単純にその時その場にレンジが居なかったから。この先、常にレンジがハジメとユエの側に居る訳ではない。まあ基本的には一緒に行動するだろうが、別行動の方が都合が良い時もある。シアが見たのがたまたまその時だっただけかも知れない。

 

 レンジ自身が思い付くのは、このくらいだ。自分の実力的に、余程強力な不意討ちでも受けない限り死なないだろうから、途中でリタイアするなんて事はないだろう。

 

 ハジメとユエと意見の相違から離別する事もないだろう。他の者には分からないが、三人が奈落で築き上げた絆は相当なものだ。それこそ、竜脈峰剣(ティエラ・クラテル)でも無ければ、切り崩すことは敵わない。

 

 勿論、可能性が0なんてことはない。しかし、例としてあげるのも馬鹿馬鹿しいものだし、遥かに確率の高いものがあるのだ。心配する必要はないだろう。

 

 だから、レンジが気になる事があるとすれば、それはその時その場に居た他の仲間達の事だ。

 

「……シアちゃん、その未来に居た他の仲間達の事、何かわかる?」

「は、はひ! 確か、銀色の翼を持った天使みたいな女の子と、あとここら辺では見ない服をきた色っぽいお姉さんでした、です!」

 

 返事を噛んだ理由は分かる。だがなぜ、語尾を言い直した。そんな丁寧語を使わなかったくらいで、怒るようなレンジではないのに。

 

 いや、余程ビビっていらっしゃるのだろう。

 

「そんなに怖がらなくていいよ。別に怒ったりしてないから」

「ほほ、本当ですか……?」

 

 チラリとハジメとユエにも、この人本当に怒ってない? と目で問い掛けるシア。

 

 それに、ハジメは応答する気がないのか知らん顔。ユエは、兄貴が怒ってねぇーて言ってんだから、怒ってねぇーだろっ! と怒りの形相。

 

 そんな二人にいろいろな感情が湧き上がるレンジは苦笑いを浮かべる。

 

「わ、分かりました! ここは、ハジメさんとユエさんと信じて、怒っていないっというその言葉、信じてあげましょうっ!」

 

 私偉いっと言わんばかりドヤ顔で胸を張り出すシア。なぜ、そんな死に急ぐような事をしたのだろうか、この超失礼ウザウサギは……。

 

 彼女を修羅が二体……鬼のような表情でジッと見詰めている。そして、再び……

 

「おぉい、ハジメだから首ィ! あと、ユエちゃんも蹴ったらダメっ、デリケートなところだから特に!!」

 

 

 

 

 

「お~、すごいすごい、凄いですぅ~! これ、もの凄く速いじゃないですか!! これならすぐに仲間のところへ行けますよっ」

「はいはい、危ないから落ち着いてね。……今度こそ引きずり回されるよ?」

 

 サイドカーから身を乗り出すようにして、流れていく風景に大興奮のシア。現在、シアはレンジと同じサイドカーに乗っている。

 

 結局、ハジメ一行はシアを助けることにした。レンジのまさかの助けてやりたいっという願いと、ユエが言った実に納得できる理由からである。

 

 同行が許可され喜びのあまり飛び跳ねまくるシア。その勢いのままハジメとユエとシートに座ろうとして、ハジメに叩き落とされた。曰く、「なんでわざわざこっち乗るんだよ、サイドカー行けウザウサギ」っとの事。

 

 何としてもハジメと友好関係を築きたくて相乗り胸当てというハニートラップなんかを決行しようと思っていたようだが、目論見だけで終わってしまった。ショボくれてレンジと一緒にサイドカーに乗る。……レンジの顔を見て、はぁ~……っと溜め息を吐く姿は、実に失礼極まりなかった。

 

 しかし、怒る様子のないレンジ。この男の懐の広さは、いや深さはマリアナ海溝よりも深いのではないだろうか?

 

 流石に、レンジの優しすぎる対応に疑問を覚えたハジメは、何か良からぬ異常が? と思いチラチラとレンジを観察するのだが……特に変わった様子はない。

 

 ──いや、待て。コイツっ、まさか!?

 

 ハジメさんは気が付いた。レンジの目線がずっとシアのウサミミに釘付けだったことに!

 

 英雄は、ウサミミフェチ、あるいらバニーガールフェチなのだろうか!?

 

 なんとも言えぬ疑惑を勝手に付けられるレンジ。そんな事より、付けた張本人のハジメは戦慄していた。まさか自分の相棒にそんな性癖があろうとは、思いもしなかった。

 

 しかし、まだ決め付けるには早い。ここは意を決して本人から直接聞こうと思った。なに、レンジも怒ったり恥ずかしがったりしないだろう。別に、ウサミミフェチもバニーガールフェチも変態チック、あるいはアブノーマルな性癖という訳でもないのだし。

 

 バイク初体験のシアがいい感じに興奮し、自分の世界に入って周りの言葉が耳に入ってこなくなった時を見計らい、ハジメはレンジに問う。

 

「……なぁ、相棒……」

「どうしたんだ、ハジメ?」

「……ウサミミ、フェチなのか?」

「はい?」

 

 急に何の話? っとレンジの頭の上に疑問符が浮かぶ。しかし、ハジメはその反応を照れ隠しだと思い……

 

「あ、すまない。やっぱり、秘密にしておきたい事もあるよな……」

「おい止めろ、その分かってますみたいな顔すんな。止めろ今すぐにっ。……ユエちゃんもだよ?」

 

 ハジメとユエは、いやいやちゃんと分かってるよ? みたいなとても優しい目をしていた。

 

 一方、レンジは何故いきなりウサミミフェチ呼ばわりされたのか考える。そもそも、こちらの世界トータスに来てからウサミミと関わったのは二回。

 

 一回目は奈落の第一階層。あそこの魔物に脚撃ウサギが居た。なかなかいい蹴りを放つ可愛いヤツだった、という記憶が甦る。

 

 二回目は目の前のシア。神様もビックリするレベルの超失礼な残念ウザウサギだ。

 

 はて、この二つとの関わりで、何かウサミミフェチと呼ばれる由縁になるような事したかなぁ? とレンジは考えるのだが……特には思い当たらない。

 

 脚撃ウサギはほぼ容赦なくぶった切ったし、シアだって……シアだって……あ。そういう事、とレンジはその可能性に至った。

 

「……もしかして、俺が少しシアに優しいからか?」

「ああ、優しいどころか──」

「──ん。むしろ、優し過ぎる」

 

 少しムッとした顔でレンジを批難するように、言葉を繋ぐユエ。どうやら、妹君は少し嫉妬しているようだ。

 

 それにクスッとレンジは笑い、優しくユエを撫でる。ユエはその手にすがるように首を伸ばし、気持ち良さげに目を細める。まるで猫のように。

 

「……別に、ウサミミフェチって訳じゃないんだよ。ただ、前世由来で思うことがあってね」

「前世で、か?」

 

 前世のレンジ、つまりはアルリムの英雄譚はハジメもユエも勿論知っている。それがかなりコンパクトに纏められているものだということも。

 

 恐らく、話さなかった部分に由来する理由なのだろう。一体どんな話なのか、ハジメとユエは興味を持った。

 

「……まぁ大した話でもないんだけどさぁ……『ウサミミ狩りのアルリム』って呼ばれる原因にもなったんだけど」

「「何したのさ!?」」

「いや、地脈神(グランドル)を誘き出す為に、眷属種の兎人族のウサミミを二千ほど、刈り取った」

「「ウサミミ狩りぃ……」」

「まぁ、眷族種ていうのは勘違いで地脈神(グランドル)は結局出てこなかったんだけど」

「「えぇ……」」

「一応、迷惑掛けたからウサミミは返して、ちゃんと縫い付けて傷も治したけど、奴らのうち何部族かは戦争じゃー! って向かってきたから普通にぶち殺して、被害がこれ以上広がらないように、見せしめとしてウサミミは天日干しにしておいた」

「「……」」

「っていうかつての失敗があるから、その、なんだろうか……罪滅ぼし的な? 過去の憂いから優しくしてあげようかと……」

「……そうか。そうしてくれ」

「……ん。ふぁいと」

 

 その時、流れ行き消えていく景色を楽しんでいたシアが体をビクッ! と震わせてペタンと急に座った。微妙にレンジから距離を置いており……

 

「なんか、今ものすごい寒気がしました! 皆さんは感じませんでしたか?」

「「「……いや」」」

「そうですかぁ、気のせいでしょうか? ──はっ! まさか家族の虫の知らせ!?」

 

 何やら焦り出すシアだったが、ハジメとユエはそんな彼女に同情と、そして優しい気持ちが宿った視線を送る事しか出来なかった。

 

 まさか、別世界の同胞を何部族か潰した男と同行しているとは、夢にも思わなかっただろう。

 

 

 




 今回も楽しんで頂けたでしょうか? そうだと嬉しいです。

 そして、お気に入り数500突破! 本当にありがとうございます。本当は数日前に500は既に突破していたのですが、私体調を崩してしまい俺をお礼を言いそびれていました。

 今まで登録して頂いていた方、つい最近登録して頂いた方、どちらの方々にも多大なる感謝を感じております。誠にありがとうございます。

これからも頑張りますので、どうかよろしくお願いします。
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