ありふれた転生で世界救済   作:妄創

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 皆様、大変ありがとうございます!!

 どうぞ、引き続きお楽しみ下さい!

 


英雄と魔王、ドンナーとフルミネ

 

 

 

「ところで、なんでレンジがここに居るんだ?」

 

 大変不味そうに、魔物の肉を頬張るハジメ。何やら手元で錬成しながら食事するという、お行儀の悪さ。余程、お腹が空いているのだろう。

 

 十日間断食状態だったので、当然と言えば当然かも知れないが。

 

 レンジも腹が減っている。と思いきや、そうでもない。神の、繁栄を司る力が妙なところでも作用しているのか、不思議と空腹感は感じなかった。

 

 しかし、何れは腹も減るだろう。そうなれば、食べ物はハジメが食べているような魔物の無くしかない。

 

 魔物の肉は猛毒。の筈なのだが、どうやら回復力の高い何かと同時に摂取することで、身体の崩壊と回復が行われ、筋肉の超回復に近い状態が生まれるらしい。まぁ、身体の崩壊に追いつくような即時性ある回復物なんて神水くらいしかないのだが。

 

 さらに、魔物の扱う固有魔法も技能として習得できるらしい。一体、どういう仕組みなのか?

 

 食べると肉体強化に繋がる魔物肉。レンジは出来れば遠慮したい。前世の偉業のお陰で、魂魄のほとんどが神なのに、今世では肉体の魔物化とか、ちょっと人外すぎる。

 

 もう、人間である場所を探すのが困難になってしまいそうだ。まぁ腹が減れば食べるしかないのだが。

 

「助けてやろうと思ってな。まぁ結局、助けてやれなかったけどさ」

 

 チラリと、今はないハジメの左腕に目をやるレンジ。それに気が付いたハジメはあっけらかんとしていた。

 

「ん? 確かに、今の状況で五体満足じゃないのは手厳しい。だが、それを補う何かを作ればいいだけだろ? だがら、左腕のことはどうでもいい。先ずは、生きる残る事が第一。嘆くのはその後でいい」

「言い切るなぁ」

「生きていれば、何とかなる。生やせる魔法があるかも知れないし、最悪錬成の力で義手でも作るさ」

 

 望むのならば、『蘇生神(アライフラ)の心臓』を使って新しい腕を生やしてやるのだが、ハジメ本人はどうやら義手を作る気満々らしい。

 

 それに肉体は前世の肉体のそれにほぼ上書きされるカタチで復活したレンジだが、それは神通力や神格を扱う際の反動が無くなったという訳ではない。

 

 やはり、出力を一パーセント以上に上げると、身体の崩壊がまた始まる。他者の部位欠損を治すのは、蘇生神の力一パーセント未満では不可能な為、出来ればやりたくなかったのだが、ハジメは左腕の事に感じてドライだった。

 

「じゃあ、今作ってるのは義手か?」

「いや、コイツは──銃だ」

 

 丁度出来上がったリボルバー式弾拳銃を見せるハジメ。ドンナー、と命名される魔王の相棒だ。

 

「ドンナー?……確かに、ドイツ語で『雷』だったか?」

「あぁ、そうだ」

 

 ──ドパッ!

 

 ハジメの唐突な試し撃ちに耳がキーンとして、顔を顰めるレンジ。しかし、それは本人も同じだったようだ。

 

 ドンナーから放たれた大口径の弾丸は、洞窟の壁を大きく抉りとる。いくら、大口径のリボルバーでもあり得ない威力にレンジが驚く。

 

「す、すげぇー!」

「“纏雷”で電磁加速させてる小型レールガンなのさ」

「なるほど、考えたな。少し見せてくれ」

 

 上機嫌なのかどや顔のハジメさんに、ドンナーを貸してぇ、と頼むと案の定嬉々として貸したくれた。

 

 やはり、自分の作った物を誰かに褒められるたり、感心されたりするのは嬉しい事なんだろう。

 

 レンジはドンナーを受け取ると、かぽっ、と回転シリンダーを取り外して、中の弾丸を観察する。

 

 正直言って、ドンナー本体の構造にレンジは興味はない。レンジは銃の構造だけならば、大体のものなら知っている。むしろ、地球の科学兵器については多くの知識がある。

 

 前世にないモノだったので、片っ端から調べ尽くしたからだ。一応、平和な世界である地球に転生したのだが、前世の癖か、元々そういう趣味があったのか、地球の戦争の事や科学兵器、武術体系等を調べつくしたのだ。インターネット、て素晴らしいー。

 

 だがら、比較的構造が簡単なドンナー本体には興味がなく、レンジに興味を湧かせたのは、弾丸の方である。

 

 黒色火薬もないのにどうやって? はっ!? 燃焼石!!

 

 地脈神(グランドル)の力を宿すレンジには、大地に関するモノならば、異世界のものだろうが、その概要が理解する事ができる。つまりは、ハジメの鉱物鑑定がレンジにもできる。

 

 更に言えば、地理を書き換えるようなレベルで出来るし、錬成師では出来ない虚無からの鉱物生成が出来るのだ。十二神の力は万能である。

 

「……なるほど、燃焼石か。考えたな」

「ああ。だが、数が少ない。それに、製作にはかなり精密さが求められる」

「そうかっ、暴発の可能性があるのか」

 

 一応、今の火薬力ならば問題ないが……、と付け加えるハジメ。

 

 しかし、これからハジメのメインアームズの一つになるので、ドンナーの弾丸の大量生産が困難なのは問題がある。

 

 レンジも“必殺と死守”の誓約を立てているが、“死んでも守る”誓いであって、“絶対守る”誓いでない。

 

 最低限、というか自分の身は自分で守るのが基本だ。本人達ではどうしようもない時だけ、レンジが助け守るのだ。仮に、自分が死んでしまおうとも。

 

 しかし、それは死にかけるまでレンジが助けないっということを意味している訳ではない。

 

「ハジメ」

「ん?なんだ」

 

 レンジはドンナーを元に戻すしてハジメに返すと、今までになく真剣な顔付きになる。

 

「……正直、このドンナーがあればお前は自分自身と──多分、幾人ばかりかの人を守れるだろう」

「ああ、そのために作った訳だしな。そうならないと、困る。他の奴は知らんけどな」

「──俺はきっと不要だったんだな。いや、存在する必要が無かったんだなぁ」

「? どういう意味だ?」

 

 地球、そしてトータス。この二つの世界に、蓮ヶ谷レンジという転生者は不要だったし、“同名の誰か”も存在しなかったのだろう。

 

 きっと、ハジメなら芸術神(ハルモニア)の力を使わずとも、生きる決意をし、このドンナーを作り上げて、奈落から這い上がっていただろう。

 

「俺は、お前を、助けない」

「あ?」

「──方がいいんだろうか?」

「いや、居るんだから助けろボケ」

「ア、ハイ」

 

 訳分からん事言ってやがるみたいな顔をするハジメに、コクコクと素直に頷くしかないレンジ。

 

 まあ、もう結構関わってしまったし、今さら干渉するのを止めるのは、何という嫌だ。それに、この地獄のような奈落を脱出するなら、大人の一人、引率してやらなければ。

 

「……なら、もう自重しないでやるか」

「え? お前、自重なんて初めからしてないだろ? 何だよ、初期ステータスオール150って」

「………」

 

 知らない間に根に持たれていたようだ。

 

「……まぁ、それは置いとけ。俺は、今から、自重しません」

「お、おう」

「多分、聞きたい事が出てくるだろうが、今は脱出が最優先。詳しい事は後で落ち着いた時に話すから、今は気にせず脱出の事を考えてくれ」

「……わかった」

 

 魔王から了承を取る英雄。ふっと、「魔王よ、世界の半分で仲間にしてやる」という台詞が脳裏に浮かんできたが、不要なのですぐに振り払う。

 

 ともかく、もう自重しないでハジメを助ける。いや、ハジメと供にここを出る。

 

 もう迷うのは、やめう。彼は決心した。もう、子供じゃない。

 ならば、同じ大人として肩を並べて歩こうじゃないか。

 

「──神通門、解放(リンク・スタート)

 

 パッとやって、テェイィ!

 

 レンジは地脈神の神格を使って、ドンナーの弾丸を大量生産! 地面からズズズズズゥと盛り上がるように弾丸が湧いてくる。

 

「うわぁ!? 気持ち悪っ」

 

 なんというか、地面からボコボコと弾丸が出てくる様は、マンホールから大量のヤツ()が出てくるようだった。

 

「……というか、複製したのか?」

「そうだ。──あぁ、何も聞くな。今は脱出の事を考えるんだ。長話にもなるから、時間のある時にな」

「……そうだな。“レンジなら”仕方ないか」

 

 少し刺のある言い方だったが、レンジは気にしないでおく。あとで、ゼッテー仕返ししてやるっ。

 

「しっかし、アレだな」

「何か問題か?」

「どうやって、持ち運ぶ?」

 

 もはや、小山のようにせり上がった弾丸にハジメは苦笑するのだが、レンジは真顔で……

 

「ポケットに入れろよ」

「は? 入り切る訳──」

「お前のズボンにはポケットは“二つ”あんだろ?」

「いや、確かにポケットは二つのあるがどう──」

「いいから、はよ詰めんかいっ!」

「ヤーさんかよ……」

 

 ハジメはポケットがパンパンになるまで弾丸を詰めたが、やはりというか当然というか、弾丸の山はちっとも小さくならない。

 

「残った弾で射撃練習な」

「……この量を、か?」

「そりゃそうだろ。いくら強力な銃でも、当たんなきゃ意味ないだろ?」

 

 ニッコリ笑うレンジ。

 

 このあと、滅茶苦茶射撃練習した。

 

 

 

 レンジの創った弾丸を射ち切るのに、ハジメは三日という時間を要した。

 

 左腕がなくリロードに時間が掛かるのに、数千発の弾を三日で射ち切るのはどうかと思うが、ハジメはやりきった。

 

 レンジの方はその三日、魔物狩りに奮闘し、ハジメと共に魔物肉を食いながら過ごした。その時、魔物肉を摂取した事で、体に激痛が走ったのだが……神の心臓を屈服させるには、その程度の毒では足らないらしい。

 

 レンジもハジメのようにステータスに変化があるか確かめたかったのだが、ご生憎様な事にステータスプレートがない。

 

 無くした訳ではなく、奈落へ飛び込む前に、安否が分かるように雫に無理矢理持たせた。プレートが更新され続ける限り、生きているという証なるからだ。

 

 しかし、ステータスプレートが無くても技能くらいから試せる。ハジメが食べた魔物と同じ魔物を食べて、ハジメが使えるようになった技能をレンジも使えるか試したのだ。

 

 結果として、問題なく使う事ができた。そこでハジメはレンジにも銃を作る事にした。

 

 レンジ一人でも、地脈神(グランドル)の力があれば出来るのでは? と思うかも知れないが、大規模な地殻変動や金属鉱物の生成が専門なので、細かい物を造るのは苦手なのだ。その割、既存のモノを複製するのは用意に出来るっという矛盾があるのだが。

 

 それはさておき、レンジの為に作られたのはドンナーのようなリボルバー式拳銃ではなく、一般的な自動拳銃だ。

 

 その構造といい見た目といい、イタリアの拳銃である“ベレッタ”シリーズの『ベレッタ90-Two』に大変良く似ている。実際に機能は多くが異なっている。小型レールガンと化している時点で完全に別物と言えるが。

 

 自動拳銃にした理由だが、一つはレンジが構造を知っていたから。さらには、ハジメとは違い両腕が健在なので弾倉の抜き差しが可能だから。

 

 左腕がないハジメでは、中折れ式(トップブレイク)のリボルバーがリロードがしやすいのだ。

 

 左腕が生えるなり、自在に稼働する義手を装着するなりすれば自動拳銃に乗り換えるかも知れないが、その可能性は低い。

 

 何せ、ドンナーでのリロード回数は、既に数千回に及んでいる。完全に慣れてしまった。

 

 あと、自動拳銃を作った理由と言えば、男の子二人の遊び心だろうか?

 

「……で、これの名前はどうするんだ?」

「随分急だね、ハジメさんよ。製作者が付けたいものじゃないのか?」

「いや、それを使うのは基本的にレンジだけだしな。俺はもう“ドンナー”ていう相棒が居るからな」

 

 腰から太腿に固定されるように着付けられたホルスターの中に眠る相棒をポンポンと叩くハジメ。

 

「そっか。……じゃあ、『フルミネ』かな?」

「フルミネ? 日本語か?」

 

 日本の名刀正宗的な考えてかと思うハジメだが、残念違うぞ。

 

「いや、日本語じゃないよ。モデルがイタリアの拳銃だからね、イタリア語だ」

「へぇー、なんて意味なんだ?」

「……『電気が走る』なんて意味らしいが、要はドンナーと同じ、『雷』さ」

「なるほど、な」

「ドンナーとは、“姉妹”銃だしな。いや、“兄弟”銃って言った方が良いのかな?」

「まぁ、男同士だしな。そっちの方がしっくりする」

 

 ハハハっ! と二人して笑うハジメとレンジ。

 

 ちなみに、レンジは射撃練習の必要はなかった。恐らく、技能にある弓術のお陰だろう。

 

「さて、ハジメの射撃精度もかなり上がったし、出口でも探そうか」

「あんだけ射たされれば嫌でもな」

 

 ハジメのジト目をサッと回避するレンジ。悪いとは微塵にも思っていないらしい。

 

「けど、悪いレンジ。その前にやる事がある」

 

 そう言ってチラリと自分の無き左腕を見詰める。

 

「……あいよ。一人でヤるんだろ? 待ってるから言ってこい」

「すまねぇ。──待ってろ、熊公!」

 

 一人、過去の自分との決別に行くハジメ。

 

 

 しばらくして、洞窟にハジメの絶叫が響く。どうやら、熊の肉を食べて、また体に変化があったようだ。

 

 さて、新生南雲ハジメにご機嫌でも伺いにまいりますか、とレンジはハジメの元に足を運ぶのだった。

 

 

 




 
 また、誤字脱字が多いかも知れません。申し訳ない。

 言い訳するなら、揺れる車内でスマホ使って書いてる
、からなんですが読者様方には関係ないですよね……。

 善処できるよう頑張ります。

 
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