彼、天野翔は緊張した顔でリビングのソファーに座り、コーヒーを飲んでいた。
彼の膝には習慣となっている、彼の妹、風香が座っている。
「おにいちゃん!ついに今日だね!」
風香は背中をかけるの胸に預け、真上を向き、彼に顔を向けながらそういった。彼女に緊張の色は見えない。翔への信頼故か。
「....そうだね、き、今日だね。」
風香とは対照的に、緊張の色をにじませた顔をしていた。
そう、彼が入学試験を受けてから1週間が経ち、今日が合格発表日となっていた。
彼は合格を確信している。筆記の自己採点では、マークミスがなければほぼ満点に近く、実技に至っては、彼より活躍したものはいない為、最低でも平均以上であろうと思っている。
しかし、緊張はするのだ。
これで自分の人生が決まるのだから。
彼が緊張した顔でコーヒーを飲んでいると、玄関の方から声が聞こえた。
「か、か、翔ーーーーー!」
「と、届いだーーーー!」
リビングと廊下をつなぐ扉がバンと開かれた。
そこには、彼の父、翼が慌てた様子で、封筒を掲げながら翔に言った。
翔はついにきたかと、緊張した顔でそれを受け取った。
翔は一度深呼吸をして、それを開けた。
すると中から出てきたのは、丸い円盤状の直径5センチほどの機械であった。
翔は一瞬驚きながらも、機械の脇につけられた、スイッチを押した。
すると丸い機体の中心から光が伸びて、四角状に映像が投影された。
「私が投影されたぁ!!」
そこには黄色のスーツを着込んだオールマイトが映っていた。
「今回は、私が合否を発表することになっている。なぜ私が映されているかって?それはね、今年から私は雄英に務めることになっているからだ!!天野翔くん。君のお父さんとは随分仲良くさせてもらってね、まさか彼の息子が雄英に来るなんてね、これも運命なのか!はっはっ.....え?もっと巻けって?......んんっ!!君は文句なしの合格だ!!筆記、実技共に堂々のトップだったぞ!!!!私雄英で君がくるのを楽しみに待っているよ!ではっ!!」
そこで映像が終わった。
「よ、よかったな!翔!」
翼が泣きそうな表情で翼を褒めた。
「お兄ちゃんおめでとう!!!!」
風香は満面の笑みで兄の雄英合格を祝った。
「ありがとう。」
翔は前半の内容には驚きながらも、緊張から解放され安堵していた。
「まさか、オールマイトが教師とはなぁ。まぁ彼なら大丈夫か。翔、オールマイトはとても人格者だ。安心するといい。」
翼はオールマイトが教師になることを聞き、驚きながらもかけるにそう告げた。
「うん、そうだね。僕もオールマイトには会ったことがないからすごく楽しみだよ。」
本当に楽しみなのであろう、満面の笑みでそう答えた。
なんて言ってもオールマイトはヒーローの中でトップである。
自分の父よりもすごい人など見たことがなかった為、翔は好奇心が溢れ出していた。
それから翔は翼と風香との会話をそこそこにして、上着を着て家から出た。
彼が向かっているのは、例の公園である。
公園に着き、なかの方に入っていくとベンチに二人の少女がいた。
カールがかかっている薄青の髪を持つ波動ねじれと、オレンジ色のロングの髪を一つに縛ってる拳藤一佳である。
今日は公園で、ねじれと一佳と翔で結果を報告する為会うことになっていた。
「お待たせ!ねじれちゃん、一佳!」
翔は彼女達を見かけたので声をかけた。
その声で、彼が着たことに気がつき二人はベンチから立ち上がり彼に近づいていった。
「かけるくーん!おめでとーーーー!」
ねじれは翔の合格がとても嬉しかったのか勢いよく翔の胸に飛び込んだ。
翔は優しく抱きかかえながら、その態度に嬉しくなったのか、感謝の言葉を述べながら頭を撫でた。
「翔!おめでとう!!これで一緒の学校に行けるね!」
一佳はねじれの態度に不機嫌になりつつも、翔とともに学校に行けることが嬉しいらしく、笑顔で翔に話しかけた。
そう、一佳も雄英に合格していたのだ。
「ありがとう、一佳。一佳もおめでとう!これでまた三年間一緒だね。」
翔も一佳と共に入れることが嬉しいのであろう、純粋に彼女の合格を喜んでいた。
その後に各自用事があるらしく解散となった。
翔は、家に向かうことなくそのまま学校へ向かった。
今日の報告を、担任の先生である、影山日陰先生に報告する為である。
翔が学校へ向かい、校門まで来ると彼女は立っていた。
身長は160前後であり、肩で切りそろえられた黒色の艶のある髪、つり目で鋭い印象があるが、顔が整っている為とても美人だ。
「あ、影山先生。待っててくれたんですか。」
翔は彼女が校門で待っているとは思わず、驚きながらも彼女に声をかけた。
「あ、あぁ。それよりどうだ?雄英の結果は。」
彼女も結果が気になるのであろう、緊張した顔で聞いてきた。
翔はその質問に答えるように、満面の笑みでうなずいた。
「そうかそうか!受かったか!それは良かったな!」
彼女も翔が受かったのが嬉しいのか今までにないくらい笑顔であった。
翔はそんな顔に驚きました見惚れていた。
「ん?どうした?そんな固まって。」
かけるのそんな表情に日陰は疑問を呈した。
「いや、影山先生って笑うと本当に可愛いですねって思いました。一瞬見惚れてました。」
翔は思ったことをニヤニヤとしながらそのまま口にした。日陰の面白そうな反応を期待して。
「っ!な、何をいっている!教師をバカにするんじゃない!」
日陰も嬉しいのであろう、耳まで真っ赤にしながら頬が緩みそうになるのを耐えながらそう言った。
「本当ですよ、教師でなかったらアタックかけちゃうくらいです。」
翔は日陰のそんな表情に満足しながらも最後の追い討ちをかけた。
「わ、わかった!今回はおめでとう!また卒業式でな!」
日陰はついに耐えられなくなったのか顔を真っ赤にしながら走り去って言った。
日陰が職員室に戻り、戻り机に座ると、まだ顔の熱が冷めないらしくてをプラプラとして顔に風を送っている。
隣の同僚の女性はそれを見て茶化し始めた。
「日陰ちゃん、完全に女の顔になってるよ..。」
若干呆れながらもニヤニヤと言ってきた。
「う、うるさい!そんなことはない!後日陰ちゃんと言うんじゃない!」
日陰は指摘されたことに恥ずかしくなり余計に真っ赤になっていた。
「....。もう卒業したら教師と生徒じゃないしいいよな....。」
自分に言い聞かせていたのか、そのセリフを隣で聞いた女性は日陰の本気具合に驚きながらも、翔は誰にでもいい顔をするのを知っているので、日陰を少し憐れみながらもその恋が実ることを密かに応援した。
それから数日後、彼、翔は駅前の時計台の前で立っていた。
「おーい!翔!お待たせ!」
翔を見つけて話しかけてきたのは一佳であった。
そう、翔は一佳と待ち合わせをしていたのだ。
彼らは受験生であった為特に出かけることができなく、合格したために息抜きに行こうと一佳と出かけることになったのだ。
翔が声の方を向くと彼女は立っていた。
いつも一つに結んでいた髪を下ろし、綺麗に巻き毛にされていてセットされている。前髪を止める銀色のピンは女の子らしさを前面に出している。
顔には若干薄化粧がされており、口は鮮やかな薄紅色のリップをつけている。
服は膝くらいまでの鮮やかなワンピースだ。そのワンピースを腰の辺りでベルトで止めているので、腰の高さが良くわかり、胸の大きさを若干強調している。
その上からまだ若干肌寒いのであろうジャケットを肩からかけていた。
本当に美人であった。
同じく時計台で待ち合わせていた男や女の人たちが一度は目を向けるくらいこの中で一番輝いていた。
翔は今までに見たことのない姿に見惚れていた。
一佳の今日のお出かけの本気具合がわかり、翔は嬉しくなった。
自分と出かけるために、付き合ってもいないのにここまで本気を出され、その健気さに抱きしめたくなったが理性で抑えた。
「一佳、今日いつも以上に一段と可愛いね。一瞬誰かと思ったよ。髪型もよく似合ってるし、ワンピースを着たのを見たことなかったから思わず見惚れちゃったよ。」
翔は思ったことを口にして褒めていく。
一佳はそれが本当に嬉しいのか顔を綻ばせながら、もう一歩勇気を踏み出した。
彼女は翔の横まで来ると彼の腕を抱き寄せ胸にあてた。
一佳の平均以上の胸が彼の腕を押し当てたことにより歪む。
「....。今日ははぐれるといけないから腕を掴んでてあげる。」
自分でも似合わないとわかっているのか、若干声を小さくしてそう言った。
その様子に翔は微笑みながら感謝の言葉を述べた。
その様子を見た男は唇を噛み締めながら悔しさを表し、
女はイケメンな男の対応が完璧すぎたのか、自分の隣にいる男と彼を交互に見ながらため息をついていた。
周りはカップルと思うだろうが、彼らは付き合ってはいない。
あれだけラブラブにしながらも。
これが1番の驚きであろう。
それから翔と一佳はカップルのようにデートを楽しんだ。
午前中に恋愛ものの映画を楽しみ、お昼は駅中でパスタを食べた。
午後は駅前のデパートに入りショッピングを楽しんだ。
夕方の5時頃に彼らは再び待ち合わせのところに来ていた。
「今日は楽しかったね、一佳。」
翔が一佳の顔を見つめてそう言った。
「うん。そうだね!また一緒に来ようね!」
一佳も余程楽しかったのか、満面の笑みでそう答えた。
それから彼らは解散した。
再び会うのは桜が満開に咲き誇っている、雄英高校の正門。4月7日。
雄英高校入学式である。
次から入学式。