モニタールームでは。
「あいつ早いなおい!!!しかも尻尾の威力ありすぎだろ!!!」
誰かがそう口に漏らす。
「あぁ、しかも、あれを見てみろ。轟の腕。天野尻尾の威力だけじゃない。鱗で腕がズタズタだ。」
そんな天野の高評価が気に入らないのか、爆豪はイライラしながら口を開いた。
「黙れモブども!奴は俺がぶっ飛ばす!」
「いやいやいや、さすがのお前でもあれはきついだろ?」
切島は何時もの様子の爆豪に呆れながらもそう口に出した。
爆豪は自分が緑谷に負けたことがよほどショックだったのか、ずっと黙っていたが初めてのセリフがそれであった。
轟は基本的に個性ゆえか近接戦を得意とはしていない。
いや、人並み以上はできるがそれまでだ。
彼の本領発揮は距離を開けての個性を使って作った氷での攻撃だ。
しかしさっきの攻撃でわかったのだろう、あの鱗は驚くほど丈夫であったため、轟が作った氷はただの打撃目的になってしまっていた。
しかし、これほど至近距離でこれ以上強力な技を放つと、爆豪のようにオールマイトから中断の声が入ると思ったのか放てないでいる。
そんなことを考えていると、オールマイトの声が響いた。
『ヒーローチーム、障子くん確保ーーー!!!残り時間は3分だ!』
それを聞いた轟は思った以上に時が経っていることに驚き、すでに時間がないことに気がつき、焦り始めた。
この声を聞いた翔はすでに勝ちを確信していた。
先ほど戦って見て、轟には自分の個性が十分通用すると思い、それにこれから葉隠と一佳が援護に向かって来るためである。
そう、慢心していた。
轟は左腕をダメにしてしまったせいか思考を、戦闘優先から勝利優先へと切り替えていた。
この試合に勝つにはどうすればいいか。
彼は、左を使わない。
炎を使わない。
彼の個性は、正確には氷だけではない。
「半冷半燃」
左から炎を出し、右から氷を出す個性だ。
しかし彼は自分の右側、炎の個性をを嫌っていた。
いや嫌悪していた。
それはなぜか、それは、彼の左側の個性は自分の父エンデヴァーと同じであるからだ。
彼はエンデヴァーに私利私欲のため生み出された存在だ。
個性婚を利用し、彼の母、氷の個性を持つ彼女と無理やり交わり彼を生んだ。
エンデヴァーはヒーローナンバー2である。
そんな彼がナンバー1になれないとわかると自分の子供でナンバー1になろうとしたのだ。
彼、轟焦凍はそれを知っている。
しかし彼は、それを知っただけではそこまで嫌悪することはなかっただろう。
彼は聞いてしまったのだ。
自分が愛する母から漏れた言葉を。
ーーー本当に嫌!日に日に焦凍の左側があの人に似て来るの?憎らしくて仕方ない!!!!
彼が聞いたのは5歳の頃であった。
そんな幼い頃にそのことを聞いた轟は自分の父であるエンデヴァーを憎むようになっていった。
この試合に勝つにはどうすべきか。
彼は行動に移した。
翔は突然黙り込んだ轟を不審に思いながらも警戒していた。
もしかしてまだ何かあるんではないかと。
すると突然、轟が右腕で氷を作りながらそれを打ち出し、翔へ駆けていった。
翔はその攻撃を見てとっさに避けてしまった。
翔は自分が避けたのを見て、轟は追い討ちをかけるようにこっちへ向かって来ると思っていた。
そうであるため、右に大きく着地すると、相手を正面に見捨て構えなおした。
「.....え?」
翔は驚いた。
轟が翔が大きく右へジャンプして躱したことを確認すると、そのまま止まることなく核の方へ駆け出しながらこちらを見て笑っていた。
「悪いな!」
「しまった!!!!!」
翔は轟が何をしようとしていたのか気がついたのか、足に全力で力を込めて飛んだ。
かけるの速度は轟を大きく上回るものの、いかんせん、初動が遅すぎたのだ。
あと一歩で間に合わない。
轟があと1歩分で核に届くのに対して、翔はまだ2歩必要であった。
「まにあぁえええええええ!!!!!!!!!!」
翔は焦った表情で叫ぶも虚しく、彼の腕は届かない。
轟が、核へタッチしようとして、勝利を確認したその瞬間自分の左腕へ感じた衝撃で、痛みにより顔をしかめた。
それでもタッチした。
『ヴィランチームwinnerrrrrrrr!!!!!』
勝者は翔達であった。
「....え?」
これには翔も、轟も呆然としてしまった。
「な、なんでだ?!俺がいまタッチしたはずだ!!!」
轟は確かにタッチしたのを確認したために、オールマイトへ向かって声を荒げた。
『轟くん、自分の左腕を確認したまえ!』
オールマイトのその言葉に、先ほどの感じた衝撃で感づいてしまった。
まさかと思った。
そのまま自身の左腕へ視線を向けると、腕には逮捕テープが巻き付いていた。
『そう逮捕テープだ、君が核へタッチする寸前にそれが君の腕へ巻きついた。よって君たちの負けだ』
その言葉に続くように、声が聞こえた。
「いやぁー、翔くん危ないとこだったね!油断しちゃダメでしょ!」
そう言ってカツカツとこちらへ靴だけの状態で歩いてるのを確認して、翔と轟は理解した。
翔は、自分の油断していたことへ恥じていた。
轟の言動から、核へのタッチの前に自分との戦闘を望んでいるのだと勘違いしたのだ。
轟は、あと一歩及ばずの状況に悔しがっていた。
「本当に、何やってるんだろうね僕。ありがと、葉隠さん。」
翔は自身の竜人形態を解きながら苦笑しながら、謝っていた。
その後一佳も合流してみんなでモニタールームへと向かった。
「じゃぁ、講評に入ろうか!まぁ、みんなも予想していると思うが今回のベストは葉隠くんだね!」
オールマイトはそう言うと、そのまま講評を続けた。
「拳藤くんは自身の能力をしっかり理解して、障子くんとの戦闘はバッチリだった。障子君も、2対1ながらもしっかりを時間を稼げたと思うよ。轟君は、始めの、ビル全体を氷漬けにする作戦は見事であった!
しかし、核のある部屋についたら、核より天野君との戦闘を優先したのはいけなかったな。
天野君は轟君の先制攻撃を予想理解それに対処するのも素晴らしかった!
しかし、やはり油断してしまったね。轟君が、戦闘を優先したため、核へのタッチがないと思ったのだろうけど、最後まで気を抜いちゃダメだよ!葉隠君は自身の個性を十分に発揮し、障子君に確保テープを巻き、核のある部屋についてからも、自身の身を隠して相手の様子を伺い、確保テープを巻いた!
今回は、葉隠君がベストであったがみんなよかったんじゃないかな!!」
オールマイトが嬉しそうにそう講評して言った。
葉隠はオールマイトに褒められて嬉しかったのだろう、腕にはめられた手袋が上下に動き喜びを表していた。
「いやぁ、葉隠さんありがと。危うく核にタッチされるとこだったよ。」
翔は自身の油断のせいで招いたせいもあってか恥ずかしそうにしながら葉隠に感謝していた。
それから他の生徒からも感想などを述べられて彼らの試合は終わった。
彼らの試合が終わると、次々と試合を消化していく。
全ての試合が終わると確実着替えるために更衣室へ向かっていた。
「おーいかける!!!お前凄かったな!あの尻尾の鱗!」
そう言って着替えていると、切島が肩を組んできた。
「あぁほんとすごいよな!あれ一発で轟左腕ズッタズタだったしよ!!」
上鳴がそう言ったことを聞いて、翔は思い出したのか慌てて轟へ声をかける。
「そ、そうだった!轟大丈夫?ごめんね、試合とはいえ、保健室に連れて行こうか?」
翔は少しの罪悪感とともに、着替えていた轟へと声をかけた。
「いや、大丈夫だ。一応保健室にはいくが、そこまで深くはない。すぐに治るさ。」
本当にそうなのであろうか、我慢しているのかなんでもない風にそう答えた。
「そっか、そかったぁ。」
翔はそれを聞いて安堵していた。
女子の方は、運動でかいた汗を流したいのかそれぞれがシャワーを浴びていた。
「いやぁ轟君に翔君!カッコよかったねぇ!!!」
シャワーを浴びていた女子が格子越しにそう言った。
それを聞いていた女子は、やはり恋バナが好きなのであろう、それぞれがどっち派か意見を述べあっていた。
「か、翔はやめたほうがいいよ!うん!」
それを聞いていた一佳はこれ以上ライバルが増えてたまるものかと、根拠も言わずそう言った。
それを聞いていた女子たちは、流石に彼らが幼馴染と知っているのであろう、自分の好きな人が取られないようにとの牽制にすぐに気がついた。
「へぇ、ふーん!一佳翔君が好きなんだぁー!」
誰かがそう言った。
「ち、ちちがうし!」
一佳再び慌てた様子でそう言った。
「ねぇねぇ、お茶子は誰がいい?」
その女子は自身の隣でシャワーを浴びているお茶子に声をかけた。
「え、えぇ?!そんそんな人いないよ!!」
お茶子は突然の恋話に焦りながらも、そう答えた。
無意識に脳裏に翔の裸のことを思い浮かべながら。
「あら、私は選ぶのでしたら、翔さんですわね。」
このような恋話など興味がないであろうと思っていたこのクラス1のスタイルを誇る八百万が自身のスタイルに自身があるのか、大きく膨らんで入るが、全く垂れておらず、ツンと上を向いている胸を張りながら、そう答えた。
「ええええーーー!」
それにお茶子はとっさに声を上げてしまったが、ほかに一佳や梅雨などの女子が声を上げていたため、自身の声がバレることはなかった。
それからは恋話に盛り上がるが、チャイムを聞いて女子たちは急いで教室に戻って行った。
教室に着くと、1番前の席のためか翔が扉の前にいるため女子たちは、先ほどの話題に上がっていた翔をじっと見つめていた。
翔は自身がなぜそこまで見られているのかがわからずに困惑していた。
翔は、少し顔を赤らめながら見ているお茶子に気がつき笑顔で声をかけた。
「どうしたの、お茶子さん?」
お茶子は自身が翔をじっと見ていたことに気がついたのか、慌てた様子でなんでもないと言ってた自身の席へ戻って行った。
翔はお茶子の反応を見てまさかと思っていた。
彼が中学校で何百とされてきた告白の前の女子の反応にそっくりであったからだ。
翔はそう、思考の海へ潜っていると、帰りのホームルームが始まったため、考えるのをやめた。