天翔ける竜   作:アルアール

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繋ぎ

翔は帰りのホームルームが終わると、一佳が用事があるため先に帰る、との事で教室でぼーっとしていた。

 

放課後の教室にもかかわらず、数名は残っており、友人たちと会話を楽しんでいた。

 

翔も暇であったため、近くにいたお茶子と話していた。

「お茶子さん、君はなんで残ってるの?」

翔は疑問に思っていたことを口にした。

 

「え、えっとね、デク君が怪我したでしょ?いつも一緒に駅まで帰っていたからここで戻ってくるのを待ってたの!」

お茶子は先ほどの事を思い出し顔を赤らめながらもそういった。

翔はそんなお茶子が可愛くて頭を撫でたくなったがそこまで親しくはなっていないので自制した。

 

すると前の扉が開き、ヒーロー基礎学中に大怪我をし、保健室に搬送された緑谷出久が入ってきた。

 

みんな彼が大怪我押して保健室に送られたため心配そうな表情で声をかけていく。

 

「おい!緑谷大丈夫か?!まだ怪我治ってねーじゃねーか!」

教室に残っていた切島が心配そうにそう声をかけた。

 

「そうだよデク君!まさか直してもらわなかったの?!」

お茶子もそれに続くように緑谷を心配し、まさか治療していないのではないか?と声をかけた。

 

「緑谷大丈夫?今日は一人で帰れるの?」

翔もクラスメイトの包帯姿に心が苦しくなりそう声をかけた。

 

「だ、大丈夫だよ!直してもらったけど、昨日も直してもらったから、体力が足りないんだって!直しきれなかったんだ。」

流石に2日連続で保健室行きは恥ずかしかったのか、みんなにそう説明した。

 

「そうなんだぁ。良かったよ!」

お茶子たちはそれを聞き安心して息を漏らす。

 

 

 

 

 

そうした緑谷は、お茶子から鞄を受け取り二人で帰っていった。

 

翔も話し相手がいないためまた一人で待っていたが、また扉が開いたかと思うと、そこには彼の友人である波動ねじれが立っていた。

 

「遅れちゃったね!さぁ帰ろうか!かける君!」

満面の笑みでそう話しかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今かけるたちは二人仲良く帰っている。

ねじれはいつも嬉しそうながらも今日は彼と帰れて嬉しいのであろう、彼の腕を胸に抱きかかえて腕を組んで歩いていた。

 

翔はなんとなくではあるが彼女の気持ちを察していたため、空いた片方の腕で、頭を撫でながら話しかけた。

 

「ねじれちゃん、嬉しそうだね。」

翔は自分と帰れて嬉しいのかと暗にその意味を込めてニヤニヤとしながら聞いた。

「うん!かける君と帰れて嬉しいよ?大好きだから!」

ねじれは翔のニヤニヤに気にする事なく純粋にそう返した。

 

翔はその言葉、笑顔に一瞬理性を失いかけた。

内心ここが外で良かったと思っていた。

もし彼の部屋、室内であったならは何が起こったかは簡単に想像できた。

 

「そっか、僕も大好きだよ。」

翔はそう微笑み返すと、二人は仲良く帰って言った。

 

 

 

 

 

次の日、翔は一佳と仲良く学校へ向かっている。

「ふんふーん♩」

一佳は何が嬉しいのか鼻歌を歌いながら歩いている。

 

「一佳楽しそうだね。」

そんな一佳に疑問を投げながらも、彼女の機嫌が良くて嬉しいのか、翔も笑っている。

 

「ちょっとね、昨日いい夢見たんだ!」

一佳はスキップをしてかけるの前に出て、両腕を後ろで組みながらそう言った。

 

 

翔たちが雄英高校の校門前にさしかかろうとした時そこには人が溢れていた。

なんだと疑問を抱きながらも、彼らがいるのか校門であるため、翔たちは学校に入るためその集団へ近づいた。

 

 

「ちょっといいですか?!そこのカップルの方々!雄英高校の教師となったオールマイトの授業を受けました?!オールマイトの授業はどうでしたか?!」

翔たちが、彼らを横切り学校の中へと入ろうとした時、集団の中から声がかかった。

 

どうやらオールマイトが雄英高校の教師となった事を取材するために集まっていた記者たちらしい。

 

 

「すみません、彼女が怖がっているので。僕たちはこれで。」

翔たちはそのことに気がつくと、面倒ごとを避けるため、一佳の腰に手を回し爽やかな笑顔でこう言った。

 

翔は、彼女と言われて赤くなっている一佳を連れて学校の中に入っていった。

 

翔たちが教室へ入ると同じく記者陣の質問を受けていたのか、疲れた様子のクラスメイトが何人かいた。

 

「おはよう。切島たちも記者?まだ授業も始まってないのに疲れた感じだけど。」

翔は自分のカバンを机に置いて、疲れた様子で机にうなだれていた切島に近づき、

翔が切島の前の机の椅子を引きそこに座って、切島の方を向いてそう言った。

 

 

「あぁ、天野か。ハァ、ほんとあいつらしつこかった!!」

切島はバッと顔を上げて翔にそう言った。

「お疲れ、飴ちゃんをやろう。」

翔は切島の様子に苦笑しながらも、ポケットへ入れていた飴を取り出し切島に渡した。

「あぁ、サンキュー。......って!飴で元気になるような子供じゃねーよ!!」

切島はそう悪態つきながらも飴を受け取り口へ放った。

 

それからは飴で若干元気を取り戻した切島とチャイムが鳴るまで話し続けた。

 

 

 

 

 

 

「昨日の戦闘訓練おつかれ〜。昨日のVTRと成績見させてもらったんだが....。爆豪、お前もうガキみたいな真似するな、能力あるんだから。

次は緑谷、また腕をぶっ壊して一件落着か。個性の制御、できないから仕方ないなんて思うなよ。」

ホームルームのはじめに、そう言ったのは担任の相澤消太だった。

彼はそのまま、ホームルームのついでにと、口を開いた。

 

 

「今日は、学級委員長を決めてもらう。」

 

 

(((ふ、普通のイベントが来たああ!!!)))

 

 

今彼らの心の声は一致していた。

 

「委員長俺やりたいです!!」

 

「いえ、私がやりますわ。」

 

「はいはい私!」

 

相澤のセリフを聞くとほとんどの生徒が自分がと主張しながら手を挙げた。

 

ヒーローを目指しているだけあって、人をまとめる事、トップになること、そう言ったことに積極的なのであろう。

 

 

「ウルセェ!お前ら!!!こいつは俺の仕事だ!!黙って座ってろ!!!」

あの面倒事が嫌いそうな爆豪でさえ、周りに自分がやるからと威圧しながら手を挙げていた。

 

そんな場が混沌とした状況になり、翔は自分はやろうかどうか、手を挙げかねていると飯田の声が聞こえた。

 

「待ちたまえ!!!学級委員とはみんなの信頼があってこそだ!ここは投票で決めるべきだ!この短い期間で信頼を得られたものこそが真の学級委員長として相応しいに違いない!!」

飯田は投票にすべきだと主張しながらも誰よりも手を高く挙げていた。

 

「俺は時間内に決まれば何でもいいよ」

相澤は面倒そうに言葉を漏らすと、自分の仕事は終わったかのように持っていた寝袋に包まって横になった。

 

そんなやる気のない担任を尻目に、投票は始まった。

 

投票には紙を使って行うため言い出しっぺの飯田が紙を配っている。

 

 

「じゃぁ投票結果を黒板に書いてくぞー。」

相澤は集められた投票を集計し、その結果を黒板に書いていく。

 

結果はこうだ。

 

緑谷 3票

八百万 2票

天野 2票

切島1票・・・・・

 

 

という結果になった。

 

「あれ2票入ってる。」

 

翔は自分がやりたくなかったのか、違う人に票を入れたため0票となると思っていたが、案外信頼を勝ち得ていたらしい、2人から票を入れられていた。

 

 

「はぁーああああ!!何でデクに入ってんだよ!!!誰だ入れやがったやつ!!!」

爆豪は緑谷2票が入ったのが納得いかないのか椅子から立ち上がり、周りを睨みつけていた。

 

「ぼ、僕に1票入っているだと?!?」

飯田は自分以外に入れたらしい。

自分であれだけやりたそうにしていたにもかかわらず自分以外へ入れるとは、余程真面目であったみたいだ。

 

 

しかし、今回決めるのは委員長と、副委員長であるため、2票で被った八百万と翔でどう決めようかと悩んでいると、翔は自分より八百万の方が相応しいだろうと辞退したため、結果は八百万が副委員長となり、3票獲得していた緑谷が委員長ということになった。

 

 

これで終わったということで、相澤がホームルームの終わりを告げて教室を出て言った。

 

 

そのまま、時間が教えていたため廊下に待機していた数学の教師が入ってきて、授業は始まった。

 

 

 

そしてお昼。

彼、翔は一佳、飯田、お茶子、緑谷とともに学食で昼食をとっていた。

 

「しかし、いったい誰が僕に入れてくれたんだ?」

飯田は疑問に思っていたことを口にした。

一佳たちも誰だろうねと同意しながら昼食を食べる。

 

「あ、僕だよ。」

そこでかけるは自分が入れたことを告げた。

 

そう、飯田へ入れたのは翔であった。

翔は放課後の一佳との帰宅を密かに楽しみにしていたため、放課後が潰れそうな委員長は辞退したかったのだ。

それでと、自分以外に誰に入れようかとなったときに、如何にも委員長とした、飯田に入れていたのだ。

 

「そうか!!!天野くんだったのか!僕に入れてくれてありがとう!」

飯田は自分に入れられていたことがよほど嬉しかったのだろう、席から立ち上がり、天野の手を取るとブンブンと振りながら感謝の気持ちを伝えた。

 

翔はなんとなくで入れたが、そこまで感謝されるとは思わなかったのか、なんとなくで入れたと言える雰囲気ではなくなってしまっていた。

 

「いや、いいよ。僕は君を信頼しているんだ。」

翔には初めから君を信頼していたというほかなかった。

 

 

またもや飯田に感激されて翔が苦笑いをしていると、いきなり構内にベルの音が響いた。

 

 

 

「な、なんだこれ!」

 

周りも異常事態に気がついたのであろう、ガヤガヤしていた。

 

 

『セキュリティ三が突破されました。生徒の皆さんは直ちになんしてください』

機械的な音声でそう放送が入った。

 

これを聞いた生徒たちは状況を理解したのであろう、我先にと避難しようと、食堂から出ていく。

しかし、お昼時は生徒のほとんどがここに集まるため人が多い。

混乱があちこちで発生して、所々から悲鳴が上がっていく。

 

「わ、私たちも避難しないと!」

一佳が自分たちも、と避難しようと翔達にそう言った。

 

「一佳ちょっとまって、今動いたら危ない、ちょっとまってて。」

慌てる一佳に翔がそう話しかけると、

上着を脱いで部分竜化を行い翼を生やした。

そのまま羽ばたくと、外の様子を確認しようと窓へ飛んでいく。

 

外には、学校の校門を超え、不法侵入したのか、大量の報道陣が校舎へ侵入していた。

翔は非常ベルがなった理由がこれだろうと推測し、一佳たちの元へ戻った。

翔が一佳達にそう告げると、みんなも理解したのか、少し落ち着いていた。

しかし、周りは外の状況を確認していないため、落ち着くことができない、翔達が声を上げて落ち着くようにいうが周りはそれ以上にガヤガヤとしているため声が届かなかった。

 

「天野くん!僕を抱えて飛んでくれ!」

飯田がそれではダメだと思ったのか、かけるにそう言った。

天野もそれで飯田がやろうとしたことを理解したのか、飯田を抱きかかえると1番目立つであろう、みんなが目指している入り口上空までくると、飯田は息を大きく吸うと、先ほど異常の声を上げ生徒達に注意した。

 

「皆さん!だいじょーーぶ!!ただの報道陣です!安心してください!我ら雄英高の生徒にふさわしい行動をとりましょう!!!」

 

 

その声が聞こえたのか、窓の近くの生徒がそれを確認して、混乱していた場が落ち着いていく。

 

 

後にホームルームで緑谷は彼の行いをみんなに伝え自分より相応しい、と飯田へ委員長の座を譲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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