天翔ける竜   作:アルアール

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USJ②

「先生はあの数を一人で相手するつもりですか?!イレイザーヘッドの戦闘方法は個性を消しての捕縛。あれを一人で相手するのは...。」

 

相澤が戦闘態勢に入ったのを見ると、緑谷は自分が戦力にならないと思っているのか、悔しそうに相澤にそう語りかけた。

 

 

「一芸だけじゃ、プロヒーローは務まらん。

任せた13号!」

相澤は緑谷の心配そうな声にそう返すと、13号に生徒たちの保護を頼み、こちらへ向かってくるヴィラン達と戦うため地をおもいっきり蹴った。

 

数百メートルあった距離が、相澤が走るたびに、どんどんと距離が縮まっていく。

 

ヴィランも相澤が向かって来るのが見えたため、一度足を止めて攻撃態勢に入った。

 

まずは射撃隊の遠距離攻撃が可能なヴィランが前へ出てそれぞれの個性を発動していく。

銃であったり、氷であったりと数十の攻撃が相澤へ向けて発射された。

相澤は流石プロヒーローといった所か、足を止めることなく、向かって来る攻撃を最小限の動きだけでかわし、かわしきれないものは特殊なマフラーを器用に扱い、弾いていく。

 

それから相澤がヴィランとの距離が詰まると、奴らの中心部へおもいっきりジャンプした。

相澤は次に自分の個性で相手の個性を消し、相手が戸惑っている隙に近接格闘技で殴り倒し、マフラーで拘束して地面へと叩きつけた。

 

 

それを遠くから見ていた翔達は、流石プロヒーローだと思った以上に、相澤の戦闘力に驚いていた。

 

 

それを見ていた13号は大丈夫と判断したのか、生徒達に指示を出してこのドームの出口に向かうように指示を出す。

 

それを聞いた翔達は先生の指示に従い、出口へと走って行くが、奴が現れた。

 

彼らがここへ来るために使用した、ワープ個性持ちの、黒い靄で体が拘束されたヴィランが出現したのだ。

 

「初めまして、私達はヴィラン連合。この度はヒーローの卵達の巣窟、雄英高校に侵入させて頂きました。私達は平和の象徴オールマイトに息絶えていただきたく存じます。残念ながら予定とは違い、オールマイトはいらっしゃらないご様子ですが..。

まぁそれとは別にあなた達には死んでいただきます。」

ワープヴィランの目的を聞いた翔達はオールマイトの殺害と聞き、動揺を表していたが、そこで、気が短かったのであろう爆豪と切島が個性を発動してワープヴィランに襲い掛かった。

 

「馬鹿!単独で突っ走るな!!!」

翔は普段見せない表情で、敵に襲い掛かった爆豪達を止めようと、手を伸ばすが遅かった。

 

爆豪の個性により爆風が生じ、前が見えなくなったので、翔は状況を確認するために急いで翼を広げ、煙を吹き飛ばした。

 

そこには爆豪達の攻撃が全く効くことなく揺らめいているヴィランがいた。

 

ワープヴィランは個性を発動し、翔達をワープで吹き飛ばそうとする。

13号がブラックホールを使ってその靄を吸い込もうとしたが、前に爆豪達がいた為、個性を使うことができなかった。

 

 

ヴィランの黒い靄が翔達を囲むように広がっていき、襲いかかろうとしたときに、翔はとっさに近くにいた一佳を抱えて一気に上空めがけて羽ばたいた。

 

一方で、このクラスの委員長である飯田もとっさの判断で、お茶子と砂藤を抱えて脱出した。

 

それ以外のメンバーは抵抗虚しく、靄に包まれその場から消えた。

 

「くそ!!」

翔は一佳しか抱えられなかったことに後悔しながらも地面に降り立つ。

 

「みんなーーーーー!!!」

一佳もみんなが消えたことに不安を覚えたのか悲鳴をあげる。

 

 

この場に残ったのは、13号、一佳、翔、飯田、お茶子、障子、砂藤、瀬呂、芦戸の9名のみであった。

 

流石の13号もやばいと思ったのか学級委員長であり、足の速さに自信がある飯田に応援を呼びに向かうように呼びかけた。

 

「しかし!自分は学級委員長です!みんなを残してはいけません!」

正義感が強い彼が自分だけが逃げることが許せなかったのだろう。

 

『天野くんは、本当に危なくなった時の脱出作のため残って欲しいのです。彼以外に早く学校につけるのはあなたしかいません。』

13号はワープヴィランを睨みつけながらも、飯田しかいないと説得した。

 

「....!わかりました!」

飯田もそれしかないと思い至ったのか了解の言葉を返した。

 

「私の前で作戦会議ですか。行かせるわけがないでしょう。」

ヴィランも目の前で作戦が聴こえて行かせるわけがないと言った。

 

翔達はどうにか飯田をヴィランの向こう側にある扉から脱出させるために、動き出そうとしていた。

 

翔はこの中で1番頑丈だと理解しているのか自分が初めに動こうと、足に力を入れる。

 

「飯田行ってくれ!僕達が時間を稼ぐ!」

翔は飯田に大声でそう告げると足にためた力を解き、一気にヴィランへ接近した。

その衝撃で地面が割れ、飯田は一瞬体勢を崩しながらも、自分の仕事を全うするため、個性を発動し全力で走り出した。

 

「行かせるわけないでしょう!!!」

ヴィランは飯田を行かせないために彼の前へ移動しようとしたが、一瞬目の前から視線を外した隙に翔がヴィランの目の前へと移動していた。

 

「やらせるわけないでしょう!!!」

翔は走り出した勢いを殺すことなく、右手を大きく振りかぶって弱点に当たらないかと、探るように、爪を立てて切り裂く動作をした。

 

「は、早い.....!!!くそ!!!」

先ほどまでの丁寧な口調が崩れ、爆豪の攻撃が効かなかったにもかかわらず、焦った様子で後ろへ後ずさった。

 

翔はヴィランが下がったため表面の靄にしか、かすらなかったが、途中で何か金属を切り裂くような感触がした。

 

ヴィランが後ずさったため隙ができたのでそのうちに飯田が全力で出口へ向かう。

 

「先生!今何か金属を切り裂きました!ヴィランも何か焦ってます!きっと弱点です!」

翔は弱点と思わしき情報を仲間へと告げる。

 

「ちっ!!!」

ヴィランはこんなにも早く弱点がばれるとは思っていなかったのか焦った様子で翔から目が離せないでいた。

飯田が出口へと向かっているものの、先程の翔のスピードを見ていたため安易に彼から視線が外せないでいた。

 

流石にここで飯田を行かせるのまずいと思ったのか、飯田を止めようと動き出す。

それを見ていた、翔は行かせまいと先程、特定した弱点の場所をより正確に把握するために、大ぶりで引き裂いた。

 

 

「外したか!!!」

しかし今度は当たらなかったのか靄の部分だけを切り裂く。

 

ヴィランはそのまま飯田のところへ向かおうとするが突然左側から影が落ちる。

 

「行かせるわけないでしょう!!!」

ヴィランの靄を含む部分より大きくした、一佳の左手が、風圧を生みながらヴィランへ襲いかかる。

流石のヴィランも避けきれず、弾かれてしまった。

 

「翔!中心よ!顔の部分より少し下に金属のようなものがあった!」

一佳は今吹き飛ばしたときに掌に感じた感触を頼りに弱点を探り出した。

 

「ありがとう!一佳!!」

翔は一佳が弱点を教えてくれたことに感謝を述べた。

 

ギギギと扉の開くような音が聞こえると飯田も全力を出したのかターボのような音を出しながらここから離れていく。

 

「あぁ....。逃してしまいましたか。これでゲームオーバーだ。」

ヴィランは落胆したような口調でそう述べた。

 

ヴィランは目的の失敗を確認したため、翔達と戦うことなくワープゲートでリーダーの元へ移動した。

 

翔はリーダーのとこに移動したヴィランを確認しようと相澤が戦っていたところへ視線を向けると翔の顔は驚愕に染まった。

 

「なっ.....!」

 

 

あれほど敵に立ち回っていた相澤だが、ほとんどのヴィランを地に伏せることはできたが2メートルはあるような、全身黒色のヴィランに殴り倒され、拘束されていた。

 

「やばい!!!」

2メートルヴィランがそのまま、拘束している左手とは逆の右手でとどめを刺そうと相澤へ振りかぶったのを見て、やばいと思い、全力で地を蹴り飛んで行った。

 

「か、翔!!!だめ!!!!!」

「翔君!!!!」

 

他のメンバーも相澤が負けたのを見て驚愕していたが、翔が飛び出すのを見て、一佳とお茶子がとっさに腕を伸ばした。

 

 

翔は今までにないほど全力で翼を動かした。

一回羽ばたくごとに速度が上がり、周りにすごい風を巻き起こす。

 

2メートルヴィランは相澤へ向けて腕を振りかぶっていたが、何かが接近していることに気がつき、腕を止めて顔を上げると、すぐそばまで怒りの表情で顔を歪ませた翔が迫っていた。

 

翔は顔を上げたヴィランを気にすることなく、空中で体をねじり、1番威力が出て、鱗が鋭い尻尾を思いっきり、ヴィランめがけて薙ぎ払う。

 

ヴィランは顔を上げる動作と同時であったけれども、驚くべき速さで相澤を拘束していた腕を解き、腕をクロスさせ、防御態勢に入った。

 

振り抜かれた尻尾の威力は速度を増して、上に打ち上げるように振り抜いたため、ヴィランの腕を骨まで切り裂きながら吹き飛ばし、数十メートル先の壁を陥没させてながら叩きつけた。

 

「先生!!!大丈夫ですか?!今避難させます!!!」

翔は意識が朦朧としている相澤を抱きかかえると、少し先に立っていた、手袋をあちこちに付けたリーダーと、ワープヴィランを一度睨みつけて13号の元に羽ばたいた。

 

ヴィラン連合のリーダーは2メートルのヴィランの無事を確信しているのか、一瞬翔の強さに驚きながらも、余裕の態度だった。

 

「....。やはり早いですね...。」

ワープヴィランは自分も先ほど対峙したため、翔のスピードを知っているからかそう言葉を漏らす。

 

 

 

「13号先生!!!相澤先生を連れて来ました!!!」

翔の焦った表情を見た後に、相澤の症状を見た彼女たちは息を飲んだ。

 

左腕が、崩されたかのように、肘のあたりから壊死し出しており、顔面からは止まることなく血を流していた。

 

 

13号は、災害救助で慣れているのか、一瞬相澤の症状に息を呑みながらも、周りにいた生徒達に応急処置の指示を出していく。

 

「か、翔!危ないよ!」

 

翔は相澤をみんなへ預けると再び飛び立とうとしたため慌てて一佳が止めに入る。

 

「今、相澤先生を叩きのめした、ヴィランを相手する奴がいない。

それに、リーダーとワープヴィランを放っておくとどうなるかわからない。僕が相手してくる。」

翔は真剣な表情で、翔に受けた傷を再生しながら立ち上がるヴィランを指差しそう答えた。

 

「な、なら私も行く!!!」

一佳も止められないと悟ったのか自分も同行すると翔に呼びかけたが、静かに微笑みながら首を横に振って飛び立った。

 

それを見た、一佳は自分の頼りなさに、翔の隣に立てない弱さに涙を流し、唇を噛み締めていた。

 

「い、一佳ちゃん。私たちは私たちのできることをしようよ!」

それを見ていたお茶子は慰めにならない、そんなことしか言えなかった。

 

 

 

 

 

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