「あぁ?!?なんだこのバカでけぇトカゲは!!」
翔が声がした方向を向くと爆豪と轟がこちらへ向かってきた。
「こっちが終わったから来てみれば...。もう終わったか。」
轟は冷静にそう分析した。
「おい、お前天野だろ?」
「グルゥ....。」
翔はこの姿では声帯が人間と大きく違うため鳴き声で返事をした。
彼らがそう話しているとオールマイトがこちらへ駆けて来た。
(あぁ....。疲れた.....。)
翔が完全体になっていた時間は3分。しかしそれまで脳無の攻撃を何発も体に受けていたため、すでに翔の体力は底をついていたのだ。
翔はオールマイトが駆け寄ってくるのを確認すると流石に個性を使いすぎたのか、完全体が解けて倒れてしまった。
「天野くん!大丈夫か!よくやってくれた、天野くん。君のおかげで相澤君を死なさずに済んだ。」
オールマイトは急いで翔の元へ駆け寄ると抱き上げそう言った。
オールマイトは生徒である翔にここまで戦わせたことを悔やんでいるのであろう、少し表情が暗かった。
「せ、先生。とりあえず何か服くれませんか?」
翔は完全体になったため服が弾け飛んでいた。
翔は恥ずかしそうに股間を隠しながらオールマイトに服がないか尋ねた。
「あ、あぁ、すまない!ではこの服を着てくれ!」
オールマイトは翔の裸に気がつき自分が着ていたスーツのジャケットを彼に渡した。
翔は疲れた体でフラフラしながら立ち上がると、彼のジャケットを自身の腰に巻きつけた。
翔がオールマイト、爆豪、轟らとともにドームの入り口へ着くと、そこにはヒーローに助けられたのか、プロヒーローとともに生徒たちが集まっていた。
「翔!大丈夫か!」
一佳が心配そうに駆け寄ると、翔は心配させないように少し笑いながら一佳の頭を撫でた。
「大丈夫だよ、一佳。少し疲れただけだから。」
翔はもともと鱗が頑丈であったため怪我という怪我は、少しの打撲くらいであった。
「おいおい大丈夫か、天野!!!もしかしてさっき聞こえた咆哮はお前か?!すげー声だったな!」
「えぇ、私たちの方まで聞こえていましたわ。」
「オイラ達は間近で見たよ!めっちゃデケェドラゴンになってた!!!!」
切島や八百万が疲れた様子の翔の元へ寄って来てそう声をかけた。
そこで、近くで見ていた峰田はどれだけドラゴンがデカかったのかと、両腕を思いっきり広げて表現していた。
「あぁ、すごい疲れたよ。あはは。」
翔は疲れた様子でそう苦笑いをして返した。
「天野さん、私がよければ洋服をお作りいたしますわ。少し待っててください。」
八百万は腰にジャケットだけを巻きつけた翔を見て自分の個性、創造で翔の服を作ると言ってきた。
「そう?ありがとう。八百万さん。」
八百万は自身の露出してある腹のあたりから、シンプルな黒のジャージと、同じく黒のパーカーを生み出した。
それを翔に手渡すと、翔は腰のジャケットを外してそれに着替え出した。
「あ、ああああ天野さん!私の目の前ではしたないですわ!」
八百万は翔が突然着替え出したため、思わず直視してしまい、顔を真っ赤にさせながらそう注意した。
「あ、あぁごめんね。少し疲れてて。」
翔は疲労のせいかそこまで注意が回らなかった。
「お、お前大胆だな。」
「お、オイラでもそんなことできねえよ。」
切島と峰田も流石に女子の前で全裸になった翔に呆れていた。
「あはは。」
「何があははだ。私もいるんだぞ!」
一佳も側にいたためそれを見てしまったのか耳まで赤くさせながら翔の脇腹を肘で突きながらそう言った。
それから暫くすると警察がやって来たため、事情聴取をされた。
事情聴取から解放されるとみんなは疲れた様子でこちらへ来ていたバスへと乗り込み、雄英高校の校舎へ向かった。
彼らが、先生達から聞いた情報によると、怪我人は擦り傷などの軽症を負った生徒数名と、腕や脚、顔など全身に重傷を負った相澤先生であった。
みんなはバスの中で自分たちが何をしていたのか話していた。
「みんなの方はどうだった?こちらはほぼチンピラ同然であった。」
「あぁこっちもそんな感じだったぜ!」
「てか途中の天野の声すごかったよなぁ。」
常闇の質問に、切島と上鳴が答えてゆき、再び天野の話題が上がった。
「天野、やっぱ天野はヒーローウェルシェ・ドラゴンが父親なのか?」
やはり気にはなっていたのであろう、常闇がそう聞いて来た。
所々でこちらに耳を傾けているものがいる。
「うん、そうだよ。うちの父さんだよ。」
翔は隠すつもりもないため普通にそう答えた。
「やはりそうであったか、あのドラゴン。非常に素晴らしかった。」
カラスの顔を持つ常闇はドラゴンに憧れを持つのかそう感想を述べた。
「天野ちゃん、すっごく大きかったわ。」
梅雨は自分が見た天野について話した。
「ええ声も体も色々と大きかったですわね。」
八百万も何を思ったのか遠くの景色を眺めながらそう答えた。
オールマイトは彼らを助けに行くため活動限界ギリギリであったが、無理やり変身したため疲れを癒すため保健室のベットで横になっていた。
そこで扉が開くと帽子をかぶり、茶色のコートを着た男性が入ってきた。
「失礼します。オールマイト、久しぶり。」
「塚内くん!君もこっちにきていたのか。」
オールマイトは彼の登場にベットから起き上がり、彼を出迎えた。
彼は塚内直正(つかうちなおまさ)。
オールマイトにとって、彼の事情を知った最も親しい警察官であった。
「今日の襲撃について報告に来たんだが、もしイレイザーヘッドが彼らのため戦わなければひどい被害が出ていただろう。」
「ひとつ違うぜ、塚内くん。生徒達もまた戦い身を呈した。こんなにも早く実戦を経験し、生き残り、大人の世界を知り、恐怖を知った一年生など今までに居なかっただろう。ヴィランも馬鹿なことをした。このクラスは強い。強いヒーローになるぞ。」
オールマイトは窓から見える夕焼けを眺めながらそう訂正した。
そう、このクラスは強くなるであろう。
敵を知った。
恐怖を知った。
己の無力を知った。
彼らはきっと成長するであろう。
自分のために、誰かを守るために、もう負けないために。
いいや、彼らは成長するしかない。
この襲撃は後から起こる事件の始まりにすぎないのだから。
翔は今一佳とねじれと帰って居た。
「ねぇねぇ、ほんとにだいじょうぶ?かけるくん。」
ねじれは今日の襲撃を知ったため、翔が心配になり帰り道について来たのだ。
「大丈夫だよ、ねじれちゃん。心配してくれてありがとう。」
翔は心配してくれたねじれの頭を撫でながらそう言った。
「翔は本当に強かったな....。私ついていけなかった....。」
一佳は自分が翔の隣に立てなかったことに悔やんで居た。
「じゃぁ、強くなろうか。一緒に。」
翔は一佳に顔を向けると目を見つめてそう言った。
「うん....。そうだな。」
一佳今度は自分も彼の隣に立てるようにと決心してそう答えた。
「よーし!私も強くなっちゃうぞぉーー!!」
ねじれは場を明るくするように笑顔で腕を上げながらそう答えた。