朝食を終え翔は汗をシャワーで流し、朝に着た服とは別に運動用の服を着た。
昨日に、一佳に言った運動についてである。
彼はメールである人物に今から向かうことを伝えて、家を出た。
「じゃぁ、出かけてくるねー!行ってきまーす!」
彼が家を出て、木々の紅葉を見て秋を感じ、しばらく歩いていると交差点についた。
彼が交差点で待ってると、信号の向こうから一佳が走ってきた。
昨日のうちに今日の待合場所と時間を決めていたのだ。
「おはよう!翔!」
元気に挨拶をする一佳に対し、翔は普通に返した。
「おはよう、一佳。今日も髪型が似合ってるね、可愛いよ。」
紳士である彼が褒め忘れるなんてことはない。
一佳は毎度のことながらも照れてはいるが、二人して歩き出した。
彼らが向かっていたのは大きめの公園である。
ーーーートン。
「あっ、ごめんなさい!ぼ、僕急いでいるので!」
翔とすれ違いざまにぶつかってしまった緑の天然パーマの少年は、急いでいるのか謝まると直ぐに走って行ってしまった。
「あの子、おっきなゴミ袋抱えてたね。ゴミ掃除でもしてるのかな?」
一佳が不思議そうにそう言うと、翔も同じく同意した。
それから二人は、そのことを気にすることはなくまた公園へ向けて歩き出す。
これが彼らの初めての出逢いである。
まだ彼らの物語は交差しない。
彼らの物語が始まるのはまだ当分先である。
翔たちが公園に着き、中の方へ入って行くとそこには、
カールがかっている、薄青色のロング髪の女の子がベンチに座って待っていた。
彼女の名前は波動ねじれ(はどうねじれ)。
身長は164前後。一佳と同じくらいのスタイルであり、彼女のジャージを押し上げる立派な双丘。
日に焼けたことがないのかと疑うほどのきめ細やかな白い肌。
鍛えられたくびれに健康的に足。
そして、すっと線の通った鼻筋ではあるが、中学生と言っても良いくらい、幼い顔立ちをしている。
そして特徴的なのが彼女の口調である。
「あ、かけるくーん!いつかちゃーん!ここだよ〜。」
とても幼いのである。
体は十分に育ってはいるが、顔と心は幼いのである。
彼女は、翔が中学二年生の時に出会った雄英に通う先輩だ。今現在雄英高校の2年生であり、当時は1年生であった。
出会ったのはこの公園。
彼がジョギングをしている最中に休憩のために立ち寄ったのがこの公園だった。
そこで、同じく走ってきたのであろう、ジャージ姿のねじれと翔は出会った。
その時に、ねじれがかっこいい男の子が走ってると思って翔に話しかけたのが始まりではあったが、
ねじれは彼の女性の扱いがとても紳士的なその姿勢に興味をより一層持ち、翔はねじれが雄英高校の生徒だということを知り、下心ゆえに仲良くなった。
ねじれは週一の土曜日に、走っていることを知ってそれからは土曜日は彼女と話すことが多くなった。
「ねじれ先輩、お待たせしました。」
翔と、一佳がそう挨拶した。
「うぅー、逢いたかったよ〜。かけるくーん!いつかちゃーん!。ねぇ、ねぇー、それより、私のことはねじれちゃんって呼んでって言ってるでしょー!」
ねじれが翔にに抱きつき、それを見て一佳が少し不機嫌にはなったものの、そのまま見続けた。
「僕も逢いたかったですよ。ねじれちゃん。」
そう翔は微笑み返す。
彼は気遣いができる男である。このようなリップサービスなど朝飯前である。
昨日に一佳に言った通りに、ねじれに一佳の組手の相手をしてもらうのである。
彼らは広い芝生へと移動して、一佳とねじれは向かい合った。
そして、互いに気を沈め、精神を集中させる。
ねじれはあんな様子ではあるが、バリバリの武闘派である。
彼女は雄英でビック3の一人と言われるほどの腕前である。
はじめに動いたのは一佳であった。
軽く左腕で、ジャブをして、それを交わした隙に、一佳は右腕を個性により大きくして追い討ちをかける。
ねじれはそれを予知したかのごとく綺麗にしゃがんでかわし、足払いをかけた。
一佳はかわされたことに動じず、バックステップすることによりそれを回避する。
「いつかちゃん、動きがはやくなったね〜。うんうん!」
彼女としては、度々訓練に付き合ってきた者として嬉しいのであろう。さっきまでの真剣そうな表情とは一変し、彼女特有の幼い口調とともにニコニコと笑っている。
彼女はビック3と言われるほどの腕前だ。それゆえに、彼女は個性を使わずに組手に挑んでいる。
ビック3とは、雄英の中で誰が一番強いかという話題が上がった時に、いつ上がるメンバーが三人いるためそう呼ばれるようになった。
そもそも彼女の個性はとても強力である。
彼女の個性は、自身の活力をエネルギーに還元しそれを衝撃として打ち込む。その威力は大型ヴィランを一撃でのす程である。そのため、彼女自身は威力は高いが、調整が難しく、それを課題とはしているのだが、人に使うには、中学生相手には危険すぎる。
一佳は手が大きくなる。という個性ではいるものの、正直ヒーローとしてやっていけるのかと疑問にはなるくらいの個性である。
しかし、彼女のヒーローへの憧れゆえか、翔とそばにいたいがゆえか、翔の父に頼み込み、度々訓練に参加しては、格闘技の技術を伸ばしている。
正直、翔は竜の力により身体能力、反射神経によるゴリ押しが多いため、技量が高いわけではない。
それに比べ、一佳は格闘技しか後がないためか、メキメキと力をつけていった。
技量だけなら高校卒業する頃には技量では翼に並ぶのではないかと言われている。
翔としても幼馴染が頑張ってる姿が嬉しく、強なっていく姿に興奮していた。
それからは、一佳が攻撃し、ねじれが交わして反撃を繰り返していく。
それが30分ほどして組手は終了した。
「はぁ、はぁ、っ。」
一佳が息を切らしながら芝生に横たわっており、翔がそんな彼女にタオルケットとペットボトルの水を渡した。
一方でねじれの方は、多少息を乱してはいるものの、まだまだ余裕がありそうである。
さすが雄英高校のヒーローの卵である。
「かーけーるーくーん。えへへぇ。どうだった?私の動きー。」
何がそこまで嬉しいのか、満面の笑みで、翔の腕を胸に押し当てながら話しかけてきた。
「前より速くなってますね。目で追うのがやっとですよ。」
翔は鈍感ではない。ゆえにこんな露骨なアピールで気がつかないわけがない。しかし、かけるにとってねじれは嫌いな相手ではないため役得と思い受け入れていた。
人間時、それも、力を引き出さない状態だとさっきの攻防は目で追うのがやっとである。
それを聞いたねじれはより一層楽しそうに微笑んでいた。
ねじれにとって翔とはなんであろうか。
そう聞かれたら彼女は、きっとこう答えるであろう。
気になる男の子。
彼女は見て分かる通り、精神が少し幼い。それにより、自分がかけるに抱いている感情を正確に理解していない。
なんとなく、好き、好きかも?くらいである。
彼女がこのような感情を抱いたことがないため戸惑いも多いが、女の本能ゆえか、自分の武器となる箇所を正確に理解し使っている。
彼女は本能で生きるタイプなのであろう。自分のやっていることを正確に理解はしてないが感情的には正しいのかもしれない。
そこから一佳が息を整えると、世間話もそこそこに会話を切り上げ、雄英高校の入試について話を始めた。
「ねぇねぇ、えっとねー、筆記の方は前に行ったからいいかもだけど、実技の方はねー、んーん、言っていいのかぁー?まぁいいや。
ヴィランに見立てたロボットを相手にした形式で評価するんだよー。」
ねじれの話によると、各ブロック、半径500メートルほどのブロックへ数百人ごとに分けて試験をする。
そのブロックでは、1ポイントから3ポイントまでの3種類のヴィラン型ロボットがおり、それを倒した者がポイントを獲得し、それの合計で競うものだ。
しかし、例外がある。それは数十メートル級の巨大なヴィランロボットがおり、それは0ポイントとポイントがない。
ねじれの予想ではあるが、自分の敵わないヴィランに対してどのように対処するのかを、ヒーローの資質を見ていると推測した。
あと、他にもポイントの取得方法があるらしいのだが、流石にそれ以上はずるいと判断したねじれが口を閉じた。
ロボットのことまでは各年の受験者が何千人もいるためある程度はネットに載っているから分かる情報であるからだ。
翔は、推測している。
実技は、ヒーローとしての戦闘力だけを見ているのだろうか?
さっきねじれが言ったように、0ポイントのヴィランと対峙した時の対処を評価すると推測したように、戦闘力だけではなくヒーローとしての総合力を見ているのではないかと考えた。
ヒーローの主な仕事はヴィラン逮捕のための戦闘、災害時にその力での救済活動が主な仕事となる。
なら1から3ポイントのヴィランとの戦闘でポイントを得るように、救済活動、もしくは援護行為でポイントが入るのではないか?と考えた。
しかしこれは、ねじれが言ったように本当に隠しポイントがある場合ではあるが。
ここまで考えていると、ねじれがこのあと用事があるとのことで解散となった。
「じゃぁ、かけるくんに、いつかちゃん!またねー!」
そう言ってねじれは大きく手を振り、走っていった。
翔は一佳と帰りながら空を見上げる。
雲ひとつない晴天であり、なんとなくだが、
こんな日がずっと続くと良いのにと少ししんみりと願った。
それからは毎日を同じように過ごしていく。
学校へ行き、訓練をし、を繰り返して過ごしていく。
そして時は過ぎてゆく。秋の紅葉も散って行き、ポツポツと空から雪が降ってくる。
そして夜中に響く、除夜の鐘。
こうして日々は過ぎてゆく。
んーどうでしょうか?
面白いですか?
やはり進みが遅いですかね?