原作知ってるよって言う方は読まなくても良いかもしれません。
春が少し過ぎ、桜が散り始めている、今日この日。
ここは都内のある地域にある平凡な中学校。
そこでは今、帰りの学活を行なっている。
教室の後ろの方には、席に座っており、ビクビクと肩を震わせている少年がいた。
166センチほどの身長。
童顔であり、少し頬にそばかすのある顔立ち。
天然パーマなんであろう膨れ上がった緑色の髪の毛。
彼の名前は緑谷出久(みどりやいずく)。
通称「デク」。
主にある少年に呼ばれているあだ名だ。
どこにでもいる普通の中学生である。
いや、彼が無個性という、人類の残り2割側にいるということを考慮した場合は普通とは言えないのかもしれない。
「えー、じゃぁ進路希望調査についてだけれど.....。
みんなヒーロー科志望だからいいよね!!!」
そう言った教壇の前に立っている男の教師は、進路希望調査表を掲げながらそう言った。
「イイェェエエエエイ!!」
一人を除きほとんどの生徒がそれに答えるように声を上げた。
「それに今年は雄英高校志望者の爆豪くんもいるし!!!」
先生がハイテンションで、そう言った。
「あったりめーだろ!!!俺がそこらにいるような没個性な一般人と一緒の高校に行くわけねーだろ!!この俺が!この学校初の、雄英合格者になるんだからなぁ!そうして、将来は高額納税者リストに名を乗せるんだよ!!」
緑谷少年の斜め前に座るいかにも不良といった出で立ちの少年がそう答えた。
彼の名前は爆豪勝己(ばくごうかつき)。
身長にして172そこそこであり、少し暗めの金髪が癖っ毛なのかあちこちに爆発した髪型をしており、目元は獣のように鋭く、獲物を狙うが如く、獰猛に笑っていた。
彼はこんな不良のような見た目をしているが、この学校ではトップの成績であることから頭が凄くいいことがうかがえる。
それに、この学校随一の強力な個性の持ち主だ。
「爆豪うるせーぞ!」
爆豪のその台詞に、周りの生徒が色々と反論していた。
「いや、爆豪だけじゃなく、もう一人雄英志望の人はいるよ。緑谷だ。緑谷は頭がいいからな!」
先生は自分のクラスに二人も雄英高校志望の生徒がいるのが嬉しいのか、少し嬉しそうに答えた。
そのセリフに、不満を爆発させた生徒がいた。
爆豪である。
彼は知っているのだ、緑谷が無個性であることを。
彼は、自分の現状を理解してなく、愚かにも夢を見て、付け上がってる奴が大嫌いなのである。
個性もないやつが、ヒーロー科がある学校の中でトップと言われている雄英高校を目指すのが我慢ならないのだ。
夢見る少年が嫌いなのだ。
それだけではない。
彼は気の強い性格ゆえか、自分が常にトップでないと我慢ならないにである。
この学校始まって以来の雄英高校合格者は自分であると疑ってはいなかった。
その根性だけで、嫌いな勉強を雄英安全圏内、いや余裕の域まで押し上げるほどに頑張っていた。
そこで、無個性であり、かつ学力だけなら雄英に合格するかもしれない緑谷が雄英に志望しているのが許せなかった。
「あぁああ?!?緑谷ダァぁあ?!お前何勘違いしてんだよ!雄英は個性がねーと無意味じゃねーーか!!!記念受験かぁ?」
それに他の生徒も同意するかのように爆笑していた。
「む、無個性でもいいじゃないか!こ、個性がなきゃ受けちゃいけないなんて決まりはないし....。そ、それに小さい頃からの夢なんだ...。」
彼もわかっているからだろう。強く反論ができない。
彼はわかっているのだ。
どれだけ自分がヒーローに憧れようとも、
どれだけヒーローについて研究しようとも、
ヒーローという物は無個性というだけで、可能性からはじき出される職業なのだと。
それからまた爆轟たちにばかにされて帰りの学活は終わった。
意気消沈しながらも緑谷が帰っている。
彼が桜並木を歩き、トンネルに差し掛かった時、それが現れた。
ヴィランである。
緑色のドブのような液体で体を形作っており、体の所々から札束が溢れている。
そして焦っている様子から、強盗を終えた後なのだろうと、震えて動かない体とは対照的にそう推測した。
「ひぃっ!」
緑谷ヴィランを見て少し後ずさる。
緑谷は突然のヴィランの出現に震えることしかできない。
緑谷が震えていると、ヴィランは緑谷を人質にしようとしたのか体を器用に動かし少年の体を瞬時に拘束した。
拘束する際に液状の触手のようなもので口を拘束されたため、息ができなく、緑谷はもがくことしかできない。
彼が今思っていることといえば、死の恐怖であろう。
いやそれ以上に、彼の心を覆っているのは
無能、
何もできない、
自分自身への落胆であった。
ーーやっぱ、無個性じゃ、自分の身すら守れないのか....!!
緑谷の意識が遠のいて行くその時に彼は現れた。
「私が来た!!!!!!」
そうヒーローである。
ただのヒーローではない。
このセリフは平和の象徴オールマイトの登場時のセリフだ。
ヒーロー名「オールマイト」
身長220センチほどもあり、ボディビルダー以上に筋肉が隆起しており、人々を安心させるような太陽のような笑顔、オールマイトの特徴的な、雷を思わせるように逆立っている金髪の髪。
そこからは早かった。オールマイトか瞬時に近づく。
右手を振りかぶり、渾身の一撃を叩き込んだ。
オールマイトの一発のパンチで敵は吹き飛んだ。
それからヴィランはオールマイトの手によってペットボトルに詰められて拘束された。
「大丈夫か、少年!これでもう安心だ!それでは私はこれで!」
オールマイトは焦っているのか即座に踵を返し、立ち去ろうとした。
オールマイトが足に力を込めて思いっきりジャンプした時、
緑谷は何を思ったのか、彼の足にしがみつき一緒に飛んでしまった。
「ぼ、僕はまだ!あ、貴方に!貴方に聞きたいことがあるんです!!!!!!」
オールマイトも空中で落とすわけには行かず、近くのビルの屋上に着地した。
オールマイトは時間がないのであろう、緑谷を降ろすと直ぐに立ち去ろうとする。
しかし緑谷は止めた。
「ま、待ってください!!!!!!ぼ、僕にはまだ!!」
彼は思い出す。
過去の言葉を。
諦めたあの感情を。
ーーー残念ながら無個性ですね、この時代には珍しいなんも持ってない。
医者にそう言われた。
ーーーごめんね!出久!ごめんね!
泣き崩れるように出久を抱きながら母はひたすら謝った。
ーーーテメェになにがやれるんだぁ?!無個性のくせによぉ!!
金髪の少年は彼にそう言い放った。
たしかにそうかもしれない。
それでも、僕は....。
彼は一世一代の決心をし、彼が憧れる平和の象徴オールマイトへ言葉を放った。
「個性がなくてもヒーローは出来ますか!」
「個性のない人間でも貴方みたいになれますか!!」
彼はオールマイトになんて言って欲しいのだろうか。
なれると言って欲しいのか、オールマイトに諭されて諦めたいのか。
それでも、この一言が、
彼が勇気を出してはなったあの言葉が、
彼を変えた。
緑谷出久という少年の、
無個性でありながらもヒーローに憧れ続けた、
平凡で終わるはずだった彼の運命が、
交わるはずのない物語が、
こうして始まろうとしている。
後少しだけ続きます。原作知ってるんだ、はよ話進めろばーろー!
って方はご勘弁ください。