ラーメン大好きヴァーリさん   作:nasigorenn

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このとんでもない主人公、やらかしやがった………。


その6 勉強が大切ですよヴァーリさん

 ラーメン屋とは『修行者』であれ。

常々探求する彼等は同時に己を鍛え続けなければならない。それは当たり前のことであるが、その度合いは場合によっては度を超えている場合がある。

ラーメン屋は主に2種類に分類される。細かいことを言えば更に明細に分岐するのだが、大まかに分けるのならば二つになるのだ。

一つ、自分のラーメンの系統を極め続ける猛者。これは己がラーメンの系統に魂から心底惚れた者が成る者であり、その系統に誇りを持って修行し己を高め続ける者達である。だが、彼等は基本的には己が系統こそ最高だと思っているが、決して他の系統を貶めたり蔑んだりはしない。するのは二流、三流のラーメン屋以下の者達である。またそうした瞬間その者もまた二流三流にその身を堕とすことだろう。

二つ、系統に拘りを持たず好きなラーメンを好きなだけ極める極み者。これは系統などの分類に拘らずラーメンの無限の可能性に全てをかける探求者達のことである。ラーメンのためならば命も惜しくない馬鹿達であり、ラーメン発展のためならば料理界御法度の和洋折衷何のその、使える技法材料は何でも使って新たなラーメンを作り出す開拓者でもある。言わずとながらヴァーリは後者であり、彼はラーメンの愛に溢れていた。

そんな彼は今回何をしているのかというと…………。

 

 

 

 その厨房内は異様なまでの沈黙に包まれていた。

そこにいる者達は皆ある一人の男に注目しており、その視線には真剣勝負を見守る門下生のような雰囲気がある。そしてその視線の先にいる男はこの場には明らかに浮いてしまっていた。その髪は美しい銀髪、それを捻り鉢巻きでまとめ上げた美青年がそこにいる。彼の美しさはこの場には明らかに不釣り合いだが、そんなことなど意識すらしない程に彼は真剣な顔をしていた。

そんな彼に鋭い目を向けるのは一人の初老の男。見た限りでは60代に入ったばかりといった感じだがその身から滲み出る玄人の気配から未だに現役であることが伝わってくる。

そんな両者の間にあるもの、それは……………。

 

身の丈すら優に超える長い青竹。

 

そんな青竹の上に彼は跨ぎ足をかけて丁寧に丹念、そしてリズム良く青竹を動かしていく。そしてそれが終わると彼は青竹で伸ばしていた塊を麺切包丁で細長く切り、沸き立つ湯の中に投入。そして茹で上がりを見極めさっと回収し手早く確実に湯切りを行うとあらかじめ用意していたスープの入ったどんぶりに投入し形を整えた。

 

「お願いします」

 

彼は静かに、しかしはっきりとした意思を込めて老人の前にそれを差し出す。老人は目の前に出されたそれをじっと見て、そして箸を入れて麺を持ち上げる。その麺を見つめ、そして香りを確認し……一気に啜った。

麺を啜る音だけがこの室内に響く。その様子を彼は真剣な眼差しを向けたまま固唾を吞んだ。

麺がなくなり沈黙だけが支配するこの空間、そして老人は口を開いた。

 

「……………合格だ」

 

その言葉を聞いた途端にさっきまでの真剣な顔が一瞬にして破顔し嬉しさ一杯の笑みを浮かべた彼…………ヴァーリは全身全霊をこめた感謝を表すようにお辞儀をした。

 

「ありがとうございます!!!!」

 

その言葉と共に場の雰囲気が一気に賑やかなものへと変わっていく。皆がヴァーリを見て祝いの言葉を贈り、ヴァーリはそれを丁寧に受け入れ感謝して返す。その様子は普段の彼を知る者なら疑うくらい謙虚であった。

皆からの祝福の中、老人がヴァーリの肩を優しく叩く。そこにあるのはヴァーリの成長を確かに喜んでいる心だ。

 

「よく頑張ったな。まさかこの短期間でここまでものにするとは思わなかったぞ」

 

その言葉にヴァーリは老人に感謝しながら答える。

 

「竹中さんのお陰です。本来なら教える義理もない俺にこうして教えてくれたんですから。その恩義には絶対に応えないと」

「まったく、お前がウチの店の奴じゃないのが悔やまれるよ。今からでもウチにこないか?」

「お気持ちだけ受け取っておきます。俺もまた店を持つラーメン屋ですから」

「分かってるよ、言っただけだ。まぁ、頑張ってくれ」

「はい!」

 

その言葉に老人は教え子の成長を喜びながら褒め称え、ヴァーリは教え子らしくそれを受け止める。そしてヴァーリはその店を去る際、餞別として身の丈よりも長い青竹をもらった。

 さて、何故こんなことになっているのかと言えば、これもまたラーメン屋だからである。最初に語ったことだがラーメン屋は修行者である。そしてヴァーリは2種類の内の後者であり彼は系統に拘らない。結果彼はこのように度々他の店に行ってその技術を教えてくれないかと教えを請いに行くことがあるのだ。当然最初は嫌がられ難色を示されるが、そこはラーメン屋としての矜持にかけて必死に懇願するのだ。そしてついに根負けした店の店主達は仕方なくヴァーリに技術を教えていく。まぁそれも始まったばかりのことであり、次第にヴァーリの意欲を見て進んで教えてくれるようになる。彼等もまたラーメン屋でありその情熱を理解してくれるからこそだ。皆ラーメン発展の為にこういった柔軟な思考が大切なのである。

そんなわけで今回ヴァーリは佐野ラーメンの老舗にて本場の青竹打ちを学んだ。それまで定休日と若干閉店を早めての急ぎ足で店に通い必死に学んできたのである。そのお陰で青竹打ちをマスターしたヴァーリは実に嬉しそうに帰路につく。心は既に店に向かっており授けられた青竹で早く麺を打ちたい気持ちで一杯だ。

そんなヴァーリの上機嫌に水を差すかのように鳴り響くスマホ。それを見たヴァーリは露骨なまでに嫌な顔をした。

 

「もしもし、なんだアザゼル」

 

絶対にロクな目に合わないとわかり切っているからの表情を浮かべるヴァーリ。そして予想通りやはり碌でもないことであった。

 

『すまねぇヴァーリ。悪いが急いで駒王学園に来てくれ! コカビエルの野郎が暴走した』

 

前々から穏健派のアザゼルとぶつかっていたコカビエルがついに叛旗を翻し暴れたらしい。それは分かったが、当然ヴァーリはそれを面倒臭そうに返す。

 

「いや、別に俺がいかなくても悪魔達が何とかするだろ。自分の領地だと言い張っているしな」

 

早く帰って青竹打ちをしたいヴァーリはそう返した。正直堕天使がどう暴れようが彼にとっては知ったことではないのである。三大勢力よりもラーメンであった。

だが、そんなヴァーリでも聞き捨てならない台詞が次に出てきた。

 

『そう言うなよ。あの野郎、駒王町を滅ぼす気だ。駒王学園に時間になったら町丸ごと崩壊する術式を仕掛けて来やがった。最悪な事に時間までそう永くねぇ。流石にそこまでされたらもうこの三大勢力の冷戦状態はもたねぇ』

 

さて、ここでヴァーリが気にすることとは何か?

三大勢力の戦争再開? 別にそんなことな気にもしない。ラーメンの探求を邪魔しようものなら彼は三大勢力だろうが神々だろうが彼の無限だろうが夢幻だろうが関係なく叩き潰すだろう。勝てる勝てない関係なくにだ。

では何か? それは………………駒王町が壊滅するということだ。

別に悪魔が管理する地が吹き飛ぼうが関係ない。だが………駒王町は自分の城(店)があるのだ。吹き飛ばされたらたまったものではない。それにあそこは日本でも有数のラーメン激戦区。ライバル達が常々切磋琢磨する聖域なのである。そんな大切な場所が破壊されるなど黙ってはいられない。ラーメン屋は繋がりと人情を大切にするのものなのだ。それを害しようとする輩など許せるはずがない。

だからヴァーリはアザゼルにこう返した。

 

「コカビエルの馬鹿は駒王学園にいるんだな」

『行ってくれるか!』

「俺の店を吹き飛ばそうとしてくれたんだ。ラーメンの恨みは恐ろしいということを教えてやる」

 

それを聞いたアザゼルは身震いし、同時に安心した。

あぁ、可哀想にコカビエル。奴の企みももう終わりだと。この堕天使総督は知っている。世の中で一番理不尽なのはラーメン屋なのだと。

そして通話が切れるなりヴァーリは移動に便利としか思っていない神滅具を展開する。

美しき閃光を放つ翼を出現させて空へと飛び上がるヴァーリ。彼の相棒はやっとまともな戦闘になりそうだと声に若干喜びが含まれていた。

 

『やっと白龍皇らしい戦いができそうじゃないか! そう、やっと出番が………』

「そんなことなど知るか。コカビエルにはラーメンの素晴らしさを叩き込んでやる」

『OH、何てこったい………駄目だ、俺ももうおしまいだぁ』

 

ラーメン屋によるカオスな雰囲気間違いない戦場になることと自分の出番などないということが分かってしまったアルビオンは嘆いた。

そして嘆きの声など聞く耳持たずにヴァーリは駒王学園へと飛んでいく。

 

さぁ、ラーメン屋の怒りの始まりだ。

 

真っ白い流星が駒王学園の方角に向かって飛んでいった。

 

 

 

 所変わってここは駒王学園。

校舎の半分が吹き飛び校庭のあちらこちらにクレーターが出来上がっている中、この町の管理者であるグレモリー一行は地面に膝をついていた。皆明らかに傷だらけであり負傷していることが窺える。そんな彼等と対峙るすのは三人の人物。

真っ白の神をした頭のイカレた神父服の青年、そして禿頭をした興奮を隠せない老人。最後にこの場を支配するかのように宙に浮いて漆黒の翼を広げる堕天使の男。

この三人によって今、この町は危機に瀕しているのであった。

 

「やれやれ、この程度か………」

 

せっかくの戦争の狼煙となる戦いがあっさりとしていて落胆する堕天使の男、コカビエル。彼は戦いこそが一番の戦争狂であり、古の戦争を再開すべくこうして事を起こした。

 

「旦那~、もうこの悪魔共の首をぎっちょんしちまおうぜ~。俺ちゃんもう飽きて来ちまったよ」

 

白髪の頭のイカレた青年……フリードは先程まで手にしていた聖剣『エクスカリバー』でグレモリー眷属達を斬り付けていたが、その力量差に余裕がありすぎてしまい飽きてしまっていた。

そんなフリードと違い禿頭の老人……バルパー・ガリレイが興奮気味にはしゃぐ。

 

「やはりエクスカリバーは最高だ! そしてやがては最後の一本も手に入れ最強の本来の姿に!」

 

もう絶対絶命の状態にこの場にいる悪魔達は絶望にとらわれいた。既に終わりだと誰しもが思った。

そんな空気は…………頭上の結界をぶちこわした『ソレ』によって粉砕される。

 

「何者だ、貴様」

 

先程まで気配を察知できなかったのに突然現れた『ソレ』にコカビエルは警戒心を露わにしながら話しかける。

巻き起こる砂埃が落ち着くと共に現れたものは既にお馴染み場違いな格好の男。

銀髪に捻り鉢巻き、そして己が魂を体現する純白にしてはあちこち汚れた調理服。その真っ直ぐな瞳は己がラーメン道を突き進むまさにラーメンに全てを捧げし男。

 

ラーメン屋、ヴァーリ・ルシファーがいた。

 

ヴァーリは如何にも怒っていますという顔でコカビエルを睨み付ける。

 

「コカビエル………別にお前が戦争を望もうが何をしようが俺はどうでもいい。だが………この町で騒ぎを起こすとはな………俺等(ラーメン屋)は寛大ではあるが己が城(店)に手を出されようというのを黙ってみているほど甘くはない。お前は今すぐぶちのめしてウチで皿洗いをさせてやる」

 

その言葉と共に見たことがある姿からコカビエルに頬に冷や汗が流れる。

 

「貴様は………ヴァーリ・ルシファー。白き龍の皇帝にして『神の子を見張る者(グリゴリ)』を半ば弾き出された異端か。まさか貴様が相手だとはな」

 

コカビエルは知っている。目の前の男が自分と同じ危険な男だということを。自分が戦争狂だというのなら、ヴァーリ・ルシファーはラーメン狂だ。ラーメンの事が絡めばそれこそ『神の子を見張る者(グリゴリ)』の全戦力を終結しても勝てるか分からない程に強い。過去に軽くラーメンの事を馬鹿にした堕天使がその瞬間に地面に頭から突き刺さって犬神家をしたのは皆の心に刻みつけられた。何せその動作を一切見ることが出来る者などいなかったから。それぐらいラーメン愛に溢れる変人にして狂人であることを彼等は知っているのだ。

そしてヴァーリの言葉でコカビエルは理解した。どうやら自分は白龍の尾を踏んだらしいと。

だがここで恐れを露わにしては戦争など夢のまた夢。故にヴァーリに強がって見せなければならない。

 

「フリード、丁度良かったな。その男はそこいらの悪魔なんかより余程強いぞ。相手をしてやれ」

「いえっさー、ボス。さぁ、こんな所に来たからには俺ちゃんにぶっ殺されなさい!」

 

フリードはそう言われエクスカリバーを構えて一気にヴァーリへと迫った。その速さは悪魔の騎士以上であり、彼等の目でも追いつけない。

 

「あ、あぶなッ!」

 

それを見ていたリアス・グレモリーはそう声を上げてしまう。

当たり前の話であった。この場に現れたとはいえその戦力はどのくらいなのかわからないのだから。

故に見誤った。ヴァーリ・ルシファーの愛を。

確かにフリードはエクスカリバーで斬りかかった。常人ではまず斬られたことすら気付かない速度でだ。

だがヴァーリはというと…………。

 

「厨房以外で刃物を振り回すんじゃない!」

 

手にしていたソレを一振り。

それだけでフリードは吹き飛ばされた。それもその一撃の威力が高すぎるためかフリードのエクスカリバーは粉砕され彼自身も体中の骨を粉砕され血塗れになり、地面を転がる頃には満身創痍で戦闘不能になっている。

その光景に驚愕し言葉を失う一同。特にエクスカリバー大好きなバルパーは目の前の最高傑作が粉砕されたことに開いた口が塞がらなくなりそうになった。

 

「なっ!? 最高の聖剣であるエクスカリバー、それもオリジナルに近い代物だぞ。それを一撃で粉砕するなど、一体どんな聖剣を…………は?」

 

そしてヴァーリが持つ物を見て今度こそ真っ白になるバルパー。

何せそれは………。

 

「た、竹?」

 

辛うじてしゃべれる口からそう漏らしたのは聖剣に恨みを持つ木場 悠斗。彼も目の前で起こった現象に驚きを隠せない。竹の形をした何かの神滅具なのだろうかと真剣に考えた位である。だが真実は残酷だ。ヴァーリは驚く者達など気にせずに口にする。

 

「青竹打ちに用いられるのは瑞々しい青竹だ。そのしなりを用いた麺打ちは麺により細かい気泡をもたらしそれが麺の良きコシへと繋がる。そんな切れない刃物如きでは麺切すらできるわけなかろうが」

 

まったく分からない。

目の前で起こった現象に説明がつかない。結果だけ言えばこうなるだろう。

 

聖剣エクスカリバー<<<<<<<<<<<<<<<<麺切包丁<<<<<<<<<<<<<<<<青竹打ち用の青竹

 

もう分からなくなる。それはバルパーの頭では理解し得ない領域に突入し思考を焼き切った。その衝撃のあまりバルパーは廃人一歩手前になってしまい本来の神が死んだ云々の話はない。

その光景に唖然とするのは悪魔も一緒。

だがヴァーリを見たことがある者が二人だけいた。

 

「ラーメン屋さん………」

「あの時の………」

 

アーシア・アルジェントと兵藤 一誠がヴァーリを見てそう呟く。二人とも世話になったことがあるので知っているのだ。

そんな二人にヴァーリは気付いたのか軽く手を振って応える。ぱっと見微笑ましい光景なだけによりシュールな感じだ。

そしてヴァーリは今度こそコカビエルと向き合う。

 

「後はお前だけだ。俺は直ぐにでもこの青竹を使って竹中さんのところで学んだ青竹打ちをしたいというのに、貴様のせいで余計な時間が掛かっている。今すぐ降伏するというのなら店の皿洗いとラーメンの素晴らしさを三日三晩叩き込むだけで済ませてやる」

 

それはどうなんだと周りが思うだろうがヴァーリのラーメン狂いは『神の子を見張る者(グリゴリ)』上層部では有名な話だ。その程度で済めば確かに楽だろう。本気で行けばその時はアザゼルが禿げ散ってもおかしくない。故に本気で内心考えてしまうコカビエルだが、それでは己のプライドが負けたことになる。故に彼は恐怖に打ち勝つことにした。

 

「巫山戯るなよ、ラーメン狂。俺は戦争をしたいのだ。貴様等ラーメン屋如きで止まる俺ではない!」

 

その言葉にヴァーリは怒りを目に宿しながら言う。

 

「言ったな………ラーメン屋如きと言ったな。よし、ならばもう貴様の運命は決まった。貴様はぶちのめした後に『ラーメン大好きコカビエル』にしてやろう。さぁ、魅惑のスープと美味い麺が待っているぞ」

 

目を怪しく輝かせるヴァーリ。コカビエルは折れそうになる心を奮い立たせながら全力を持って光りの槍を生成。巨大な大きさになった槍、それは本来の歴史ならヴァーリの白龍皇の半減能力によって消滅させられるのだが……………。

 

「その程度で美味いラーメンが作れるか!」

 

青竹一閃。槍は粉砕され木っ端微塵となった。

そして一瞬にして距離を詰められたコカビエルはもうおしまいだ。

 

「ようこそ、無限の可能性をもつラーメンの世界へ。さぁ、貴様も今日からラーメン屋だ」

 

返す青竹。コカビエルは顔面からそれを叩きこまれ地面に激突し巨大なクレーターの中心に沈み込み、駒王町崩壊の術式もろとも破壊される。

すたりと着地したヴァーリはそのまますたすたと歩きコカビエルの首根っこを掴むとゴミ袋よろしくに手にぶら下げた感じでクレーターから出てきた。

そしてスマホで連絡を入れる。

 

「アザゼル、終わったぞ。この馬鹿は俺が『立派なラーメン屋』に更生する。異論は認めない」

『そうか、それは……………ご愁傷様だな(コキュートスで永久冷凍刑にした方がまだ

マシかもしれんな、それは………)」

「そういうわけで残り二人ほど回収してくれ。俺はこのまま店に帰る」

『分かった、そうしてくれ』

 

そして通話を切るとリアス・グレモリーに謝罪を入れ後日堕天使が謝りに来ることを伝えると今度こそ帰ろうとした。

しかし、そんなヴァーリに……正確には彼の中のアルビオンに声をかけてきた。

 

『無視か、白いの』

 

それは一誠に宿る赤き龍の帝王ドライグの声であった。

その問いかけにアルビオンはそれはもう深い溜息を吐く。

 

『別に無視していたわけではないぞ、赤いの』

『随分と貴様の宿主は変わっているな。まぁ、俺の方も言えたものではないが』

『言うな。まだそちらは使ってもらえるだけマシだろう。俺なんて………ただの便利な移動用だぞ。おぉぉん、おぉおん、天を冠する龍だというのにこの扱い。ラーメンの方が俺よりも上だと言う宿主に宿った時点でもう………すまない、赤いの。今回は絶対に戦えそうにない』

 

自分の惨めさに泣き出すアルビオン。そんなアルビオンにドライグは何とも言えない気分になった。

しかし、我らがラーメン屋は止まらない。

 

「アルビオン、泣いている暇などない。早く帰ってラーメンだ」

 

この宿主に白き龍の皇帝は絶望しかなかった。

 

 

 

らーめん、大好き、ヴァ~リさん♪

 

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