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それでは、第1話どうぞ(誤字脱字あったらごめんね)
第1話 中途半端なヴィラン
殺風景だが、散らかった部屋。
至る所に缶コーヒーの空き缶が放置してあり、コーヒー臭が漂う。
やけに静かだ。普段なら、すぐ近くに線路があるため、電車の走る騒音が聞こえてくるのだが───あっ
音を反射している事を忘れていた。
一方通行の能力は非常に便利である。何をするにも俺は能力に頼りきり。
能力に頼りきりで、気付けば歳の割には細身になっており、何故だか知らないが髪と目は生まれた時から白髪の赤眼だった。
まあ、この世界では俺が
少し悪目立ちするのがカンに触る。
テレビのリモコンを手に取り、テレビの電源を入れる。
適当に暇なので、チャンネルを回していると、こないだ俺が暴れた銀行のニュースがやっていた。
『結局、ヴィラン達を倒したのは誰なのでしょうね』
『あの今噂になっている
「くっだらねェ……俺は悪党だ。善でも悪でも無い? ダークヒーロー? 笑わせンな───それをヒーローって言うンだよ馬鹿」
テレビに出ているアナウンサーと芸能人がふざけたことを言っているので、少々頭にきたが、そのまま俺はチャンネルを変えずにボーっと、テレビを眺めている。
過去の経歴を全て抹消───無かった事にされている俺の存在を知っているのは、一部の警察、ヒーロー、そして俺の能力を本来の
俺が大荒れし、投降した後。俺は保護施設に入れられた。
まあ、保護施設と言う名の研究所だが。
そこは学園都市の研究所と比べれば、遥かに普通。非道な実験をしたりなどは当然の事ながらない。ヒーローや警察が管理しているのだから、当然な事だが。
そこで俺は能力───"個性"を調べられたが、研究員達は有り得ない事実をそこで目の当たりにした。
俺の能力は"個性"ではない。つまり超人社会ではイレギュラーな存在。と、いう事になったらしい。
超常能力ではなく、超能力なのだから当たり前の事だし、神から与えられた特典をそう簡単にわかられてたまるものか。そもそも"個性"のことすらまともにわからない、学園都市に程遠い科学力で理解する事など不可能なのだ。
そんな現実(勘違い)を突きつけられた研究員は俺を恐れた。学園都市の非道な研究者も恐れるのだから、この辺りは予想していた。
そんな時、俺の前に一人の男があらわれた。
『僕と来れば力を上手く使えるようになれるよ、更なる高みを目指して見ないか?"最強"のその先へ───』と言われ、研究所を抜け出した。
つまり逃亡だ。
そこから、俺の消息は完全に途絶え、闇へと葬り去られた。
『しかし、オールマイトに次ぐ七不思議の一つですよ? 噂では"個性"では無いとか……』
テレビの会話を聞いてて思う。
個性ではない。たしかにそうだ。しかし、その違いと言えば演算をして能力を発動するか、演算無しで能力を発動するかの違いだと、俺は思っている。
科学者達は未だに"個性"が何たるかを理解していない。だが、俺からすれば現象───つまり、その能力にも因果が存在するという事。
例えば、火に必要なモノは酸素。酸素が無ければ火はつかない。
それと一緒で、見ただけで"個性"を封じるヒーローも自分で自覚していないだけで、その能力の本質は敵のAIM拡散力場を操っている───いや、AIM拡散力場つまり、相手の
だから、基本的には俺の能力と"個性"は近しい存在。
"個性"を使える奴らは原石みたいなものだと、俺は思っている。原石と言っても、削板軍覇などとは比べ物にならない欠陥共なのだが。
『そうですね。目撃者によれば、高校生くらいの青年だったと……そんな子がいれば、ヒーローになっていてもおかしくない筈なのですが』
『まあ、平和の象徴に対をなす抑止力となっているのもまた事実。
隠れファン? 頭がおかしいんじゃないだろうか。俺のファンになる奴らなど、絶対にいない。
もし、そんな奴らがいたら、俺を見た瞬間に怯え、その幻想を打ち砕かれるだろう。
どんな奴らも噂とか都市伝説とか物好きな奴らだ。
『でも、人殺しですよね? "個性"を資格なしに使ってヴィランと言えど殺している。ヒーロー達の目の敵にされている人物ですよ?』
『そうですねー。ヴィラン達も目の敵にしているでしょう。目撃情報者から聞いた、その能力は全ての攻撃を反射していたとか。まさに"最強"の二つ名が相応しい人物だとか』
"最強"
そう言われていようが、所詮は目の敵にされる。やはり、"無敵"になるほうがよっぽどいい。
俺は胸糞が悪くなってきたので、テレビを切った。
手を伸ばし、缶コーヒーを取ろうと段ボール箱をあさるが───無い。アレだけ買い溜めしておいた缶コーヒーが無い。
「チッ……買いに行くしかねェか」
そう一人呟き、俺はソファから起き上がる。
そのまま、玄関の方へと歩いていった。
◇
◇
◇
ここ最近で、色々と模索したが、やはり解析していない───未知の能力者を解析するのが良いだろうか。
今まで、ある
大抵の"個性"持ちは、学園都市で言うならば
少し強めの"個性"なら、
たしか、エンデヴァーとか言った万年第2位のヒーローが
そんなモノじゃ俺の
正直言って、この世界で俺は敵無しなんじゃ無いかと思う時がある。
俺に届く奴なんて、今まで可能性があるのは、ただ
まあ、そいつを踏み台に現在の俺がいるし、もう関わろうとは思わない。クソッタレな俺と同じ悪党で、胸糞悪い奴だし。
プルルルル
そんな事を思っている時、俺の携帯から着信音。
別に携帯など必要ない。むしろ、誰かの連絡先が入っている訳じゃないのだが何故電話がなる?……イタズラ電話か?
俺は、そっと携帯に目をやると、そこには非通知、とかかれている。
「……」
《よォ……元気にしてたかなアクセラレータ?》
「とォむらくゥンよォ……何で俺の番号知ってンだァ? まさか、男にストーカーでもする性癖でも持ってンですかァ? ヒャハハ!」
電話の相手はヴィラン───
そのクソッタレな悪党が目をかけてたクソ野郎だ。
《あー、本当相変わらずムカツククソガキだよ、お前。俺がガキを嫌いな理由絶対お前だわ》
「───そンで、何のようだ?」
俺は率直な意見が聞きたかった。
コイツが連絡を俺にわざわざ入れてくるなど、普段なら絶対にないからだ。
《随分とヴィランをプチプチ潰してるみてーだな。経験値は稼げたか? ヒーローさんよ?》
「オマエ、殺されてェのか?」
《おっと、ヒーローもプチプチ潰してるのか、そんじゃ悪党だわな》
何が言いたい。
素直にそう思った。目的も無く連絡を入れてくるなど、絶対にない。わざわざ俺に喧嘩売るほど、コイツも安い奴じゃないだろう。
《まあ聞けよ……実は近々、平和の象徴を殺す》
「ヒーローランキング序列第1位。オールマイトか?」
《お前も手伝え───まさか、
「なンだそりゃァ。脅してンのかァ?───断るに決まってンだろ。三下」
電話口の向こうで、コイツマジ殺してーと聞こえてくるが、今はあまり気にしないでおこう。
《俺だって本当は嫌だね。お前となんか組みたいと思わないし───でも、先生が連れて行けってよ》
「オイオイ、いつから俺はオマエ等の犬になったンですかァ?───まァイイ、わかった場所教えろ」
《やっとか。やっぱりお前もこっち側だな》
そう言って、襲撃の日時、場所を教えもらい。
「なァ……飼い犬に噛まれたら主人てのはよォ……どンな顔すンだろォな?」
《はぁ? お前ッ!》
「オマエ等、全員…ぶち、殺す」
そこで俺は電話を切った。
◇
◇
◇
〜ヴィラン連合 アジト〜
ツー、ツー、ツー…
酒場のような部屋に電話が切れた音だけが鳴り響いていた。
「あのクソ野郎ッ! 絶対に殺してやるッ!」
髪の毛は長く、顔に腕の無い手を付け。表情が見えない男。
この男こそ、ヴィラン連合のリーダーである死柄木弔である。
「いえ、一方通行を相手どるとなると。こちらの戦力では……」
殺気溢れる弔に対し、冷静な見解を述べる、黒い影が服を着た様な男───黒霧。
「うるせぇ! あの野郎……」
「
弔は頭をガシガシと掻きむしり、今にも発狂しそうな程苛立っていた。
そんな様子を見た黒霧は、そんなに嫌なら、無理に電話しなくても、と心の中で呟くのであった。
◇
◇
◇
「ビビって直ぐには攻め込めねェのかよ。流石ビビリの弔クゥン。───ともあれ、奇襲の日まで、どォするか」
俺はコーヒーを買いに行くために、街を一人歩いている。
白髪に赤目。悪目立ちするので、チラチラと歩行者の視線が突き刺さる。が、俺はそんな目よりももっと酷い見方をされた事など、数え切れない程ある。なので、そこまで気にはならない。
すると、後ろから聞こえてくる女性の声。
「お兄さん、お兄さん」
「……、」
ふと振り返ると、そこには片目に眼帯をし、高校の制服を着ている特に特徴といったものはない女性が一人。
俺はそのまま無視して歩く。
「ねえねえ! 兄さん」
「何だ…」
歩きながら俺はかけられた声に応えた。
すると女性はニイッと笑みを浮かべる。
「実はですね───」
「オイ、一つ忠告しといてやる──くだらねェ事だったら殺す」
俺は女性の声を遮り、言い放つ。
気が付かないと思ったのであろうか? コイツは絶対に俺と同類。いや、グレードで言えば、まだまだションベン臭ェが悪党には違いない。
「やだなー、怖いですよ? じゃあ話聞いてくださいね?」
その時、首元で何かを反射した。
目を向ければ、一本の針。
「オーケー。くだらねェ事だったな?」
◇
◇
◇
悪党気取りの少女は焦っていた。
目の前の悪党を暴れさせれば、面白そうだ。などで、相手にしなければよかった。
ヴィラン───いや、悪党としてのLevelが違う。そう思うしかない。
鋭い殺気。本気で殺意を飛ばされただけで、死をイメージさせられた。先程までとは、まるで別人。
「待ってください。い、今のは試しただけで……」
「悪ィ……今、音を『反射』してッから、何言ってるかわからねェ」
彼女はその一声に振り返り、逃走をはかろうとする。が、先ほどまで目の前にいた男が後ろに立っていた。
どうやったのか、想像するだけ無駄である。彼の能力は学園都市の頂点に立つ、Level5の中でも第1位として君臨していた能力───その力の理不尽さ故に"最強"と称されているのだから。
「誰に喧嘩売ったのか分かってンのかァ? オマエ」
真白い髪に鋭く光る赤い目……嘘だ。そんな筈がない。まさか、あの都市伝説の……
彼女の中で色々な思いが混雑する。だが、彼はそんな彼女に軽く───本当に優しく、頬に触れただけだ。だが、
───反転
身体は気が付けば、上空に浮かんでおり、触れた頬は強烈な拳で殴られた様な痛み。
そのまま地面にグシャリと落ちる。
「ハァ……殺しとくか」
コツコツコツ。
死神の様な足音が、
コツコツコツ
徐々に徐々に近づいて来る。
そして、彼女が目を開けた時、奴は、『化け物』は目の前にいた。彼女を嘲笑うかのようにただただ、笑っていた。
そこで彼女の意識は暗転した。
◇
◇
◇
「チッ、ションベン漏らして気絶すンならヴィランなンてやってンじゃねェよ三下」
自分がヴィランだ。とか、思ってる奴に限って最後はこれだ。
命乞いをする。もしくは気絶する。
ヒーローの死に際の方がよっぽど、ヴィランらしい。
最後に殺ったヒーローが死に際に言ったセリフは『クタバレ、死ね』だ。物凄くヴィランらしいだろう?
世の中こんなものだ。
「たくっ、コーヒー買うの忘れたじゃねェかよ」
最後まで読んでくれてありがとう。
これからもよろしく。