自販機に入れる人が場所間違えやがった。
ひさしぶりなのでダラダラ書いています。
霊夢とこいしが弾幕ごっこをしてから、約一週間後。地霊殿のメンバーは落ち着き、今ではこいしもいつも通りピンピンしていた。私は今も変わらず本を読んで、お空と弾幕ごっこをして、退屈な日々を過ごしていた。そんなある日、地霊殿に一通の手紙が来た。
「しんり様〜。博麗の巫女から手紙です」
「あ、宴会の件かな……」
私はお燐から受け取った封筒を開け、中身を見る。すると案の定、宴会の招待状だった。中には五人分の招待状が入ってて、手紙は入っていなかった。
「何それ?姉さん」
「ああ、異変解決の宴会をやるって霊夢から聞いてたでしょ?それの招待状」
「今日?」
「うん」
「じゃあこいし達を呼びに行かなきゃね。今人里にいるんでしょ?」
それだけ言って、さとりは外に出た。彼女が自分から外に出るなんて珍しいな。と考えていると、後ろからお燐がヒョイっと顔を出した。
「宴会ですか?」
「うん、お燐も行くでしょ?」
「もちろん」
「じゃあ、私は部屋で寝てるよ。六時に起こしてー」
「承知しました」
私はお燐の進行方向とは逆に歩を進め、自室のベッドへとたどり着く。死ぬように倒れ、うつ伏せになりながら顔を枕に押し付ける。
「ねっむ……」
何故だろう。別に睡眠時間が短かったわけでもないのに、意識が朦朧としてきている。そしてそのまま、私は小さな寝息と共に深い眠りに着いていた。
「しんり様、六時ですよ」
「ふあ?もうそんな時間?」
目を擦りながら、近くの時計を見ると、時針は真下を指していた。私はムクっと起き上がり、お燐を見据える。
「おはよ………」
「おはようございます。夜ですけどね」
右足から降りて、顔を洗う。そして、赤色の襟と周りは白色、袖周りは黒色のいつもの服に、黒色の……………ミニスカート。
以前はフリルスカートだったのだが、こいしが「しんりねぇはもっとオシャレしないと!」とふざけたことを言ったら、いつの間にか阿求さんまでその情報が届き、作ってくれた。阿求さんの親切心を無下に出来なかったので、愛用しているが、これがなかなか短いのだ。別にこれくらいどうでもいいが、パンツが見えた時は他には変え難い恥ずかしさがある。
「私はもう準備出来てるわ。こいしもね」
さとりがドア付近でもたれかかっていた。
「あれ、みんな早いね……」
「招待状に六時半からって書いてあるわよ」
「ほんとに?急がなきゃ……」
慌てて服を着替え、サードアイの位置を整え、「よし!」と鏡の前で大きく息を吸い、みんなの元へと行く。
「お待たせ。行こうか」
そう言って、私達五人は地底を出て、以前霊夢とこいしが弾幕ごっこをした「守矢神社」に向かった。道の途中には見たこともない妖怪達がゾロゾロと集まっていた。
「あら、来たのね。しんり」
「霊夢!一週間ぶりだね」
「地霊殿の面々も来てるのね」
「……ええ……」
少し警戒しているさとりやお燐。それを見た霊夢は大きくため息をついて、手を広げた。
「別に取って食べようなんて考えてないし、反省してるなら私も今更攻撃しないわよ」
「ならいいのだけど……」
「それよりも今日は宴会よ。気が済むまで楽しみなさい」
霊夢はくるっと踵を返し、私たちに背を向ける。霊夢は先代の巫女の理不尽な性格とは裏腹に、どんな妖怪にも手を差し伸べられる優しい巫女だということを私は今日改めて実感した。
守矢神社本殿に入ると、多くの妖怪が私たちを一斉に見た。そして数人の妖怪は私たちに寄ってきた。
「あなたが覚り妖怪?私はレミリア・スカーレット。地底からじゃ分からないだろうけど、「紅魔館」という館の当主よ。で、こっちがメイドの咲夜と妹のフランドールよ」
「よろしくお願いします」
「よろしくねー!」
私とさとりはその場でたじろぐがピッと姿勢を正し、レミリアさんに一礼する。
「よ、よろしくお願いします。レミリアさん」
「レミリアでいいわ」
「う、うん。よろしく」
「さて、私はあなたに色々聞きたいことがあるのよ。時間もらっていいかしら?」
「うん、いいよ」
「フラン、咲夜。あなたはそっちの覚り妖怪の相手をしてて」
そう言われて、私はレミリアに手を引かれた。そして少し人気のなくなった所で立ち止まる。
「どうしたの?レミリア」
「いいえ、普通にあなたとお話がしたかったの。同じ長女だしね」
私はその一言を聞いた瞬間、体が固まる。月明かりに照らされたレミリアの赤色の双眸は見るものを魅了させる美しさがあった。
「どうして私が長女だって……」
「運命を見たのよ。って言っても理解できないわよね」
「………そういう能力?」
「……驚いたわね。察しの良さはいいようね」
「こういう能力なんだよ。気を操ってね」
「便利ね」
近くのベンチに腰を下ろし、真上の月を見る。
「何故でしょうね。あなたと出会って数分なのに、親しくなれそうな気がして仕方ないの」
私もそんな気がしていたのだ。レミリアとは本当にまだ数分しか話していないのに、どうしてここまで話しやすいのだろう。
「私もそう思ってた」
「あなたの所の妹はどんな感じ?」
「…私を姉だと思ってない。容赦なく虐めてくる」
そう言うと、レミリアは一瞬驚いたような顔をして、クスッと笑う。
「私の所とは正反対ね。フランはね。いつも私のことを気にかけてくれてて、以前にあの子の本性が暴れだした時があって、長い年月地下室に閉じ込めていたの」
その話は何かゾッとさせるものがあった。唾を飲んで私はレミリアの話を静かに聞く。
「それでもいつまでも私を敬愛してくれて、あの時は涙が出そうになったわね……」
「……いい…………妹だね…」
「そうでしょう?」
少し自慢げにいうレミリア。話し方や振る舞いからカリスマが溢れているように見えるが、時に見える笑顔はまだまだ幼い。可愛さが残っている。同じ身長くらいなのに、年下に見えた。
「しんりの所も苦労しているのね」
「だいぶね……」
彼女になら、こいしの事も話していた方がいいのだろうか。これから親しくなるのなら、疑問を抱かせないのが、得策だろう。
「一度ね。私達もとんでもない事が起こったの……」
「……」
「私達は心が読める…それは知ってる?」
「ええ、しんりだけは特殊で、妹の……」
「うん、さとりとこいし。もう片方は心が読めないのだけど……」
「さとりは心が読めて、こいしが読めない?」
「そう」
どこからか聞いたのだろうか、こいしとさとりの名を知っていた。
「前に人里に出た時に、心が読める覚り妖怪は忌み嫌われててね」
「……以前は……」
「うん、以前はこいしも心が読めたんだ。人里の住民達に、私達は周りから「気持ち悪い」とか「死ねばいいのに」みたいな事をたくさん言われてね」
「……酷いわね……能力だけで……」
「その声たちにこいしの心が壊れてしまって……サードアイを潰したの」
自分のサードアイを撫でながらそう言う。自分の事でもないのに、言うのが少し嫌になってくる。
「潰した……?」
「ナイフでね……」
「ッ!?」
レミリアの顔が一気に険しくなる。
「それから、こいしはすぐに更生したんだけどね……」
私の不甲斐なさに悔やんでいるのは未だに私だけだと思う。こいしもさとりも数年前のそんな出来事は忘れていると思う。でも、自分の戒めとして、私はずっとその出来事を鮮明に覚えているのだ。
「お互い、辛い過去を持っているようね。なら、そんな過去を吹き飛ばすくらいの出来事をこれから作り上げればいいだけよ。単純明快ね」
「…そう……だね…」
そう言って、レミリアは右手を差し出す。その細い手をしばし見つめた後、私も右手を重ね、握手をする。
「ふふっ、綺麗な手をしているわね。しんり」
「レミリアこそ」
見つめあって、お互いが同時に微笑む。すると背後から咲夜さんが声をかけてきた。
「お嬢様ー!しんりさーん!宴会が始まりますよ!」
「今行くわ。行きましょ……しんり!」
「……うん」
私はレミリアに手を引かれ、みんなの元へと進んだ。私は宴会に心を踊らせていた。