ハートだよ!覚り三姉妹!   作:かくてる

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今回はかなりシリアス&グロ要素&鬱要素。

まじで無理な方はブラウザバックを、割とマジで。


絶望の日、叫び声

「ごめんね、しんりちゃん……ごめんね……」

 

 激しく燃える業火の中、黒髪の少女はすすり泣いていた。白い服を身にまとった少女は「半分が赤くなっていた」。そして、右手には服と同じく、銀色の刃に赤色が着色されていた。

 

「これで………これでぇ……!」

 

 少女は歓喜した。悲しみと同時にこみ上げてくる笑み。涙を流しながら笑う少女の目の前には赤く染まり、「生き物だったもの」があった。

 形として残っているのは、銀色の髪、黒いセーラー服。そして、「雅」と書かれた看護師用のネームプレートだった。

 

「待っててね……しんりちゃん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーこれは酷い……

 薬の訪問販売から帰ってきた彼女は自分の住まうべき所、永遠亭が火炎に包まれていることに驚きを隠せなかった。そして彼女は入口の壁に寄りかかっている白衣を纏ったの銀髪の女性がいることに気づく。

 

「し、師匠!」

「う、……うどんげ……なの?」

「はい、これは一体どうしたのですか!?」

「確か……ステナミア連合軍…………って……」

 

 かくんっと、師匠の体重が彼女にのしかかる。

 彼女は驚きながらも、師匠の心音を確認する。

 ………どうやら気絶したみたいだった。彼女は安堵のため息を漏らし、師匠をそのまま壁に寝かせる。

 師匠がやられたんだ。相当な実力の持ち主がここにいるのだろう。正直、師匠以上の強さを持つものは幻想郷にはいないと言われるほど。「最強」の一角だった師匠がここまでボロボロにやられるとなると、幻想郷を滅ぼせるくらい……

 彼女はそこで悪寒が走った。能力を発動し、いつでも戦闘オーケーな体制で永遠亭内部に入っていく。

 

「……誰かいるんでしょう?出てきなさい!」

 

 …………答えは何も返ってこない。息を潜めているのか、それとももうここにはいないのか。とりあえず銃で物を破壊し、隠れ場所を探していく。

 

「いるのは分かっているのよ!!」

「あれ?まだ残ってたんだ?」

 

 彼女の背後から聞こえた声は幼く、可愛げのある声だった。驚きつつも振り返ると、そこには返り血らしきものに染まった服を身にまとった黒髪の少女がそこにいた。

 

「……誰よ?」

「誰でもいいでしょ?」

「……何人殺したの?」

「んー?まだ一人だよ?」

「誰?」

 

 だんだんと、彼女の顔色は青くなっていく。怖くて、足が震え、銃の標準もバラバラだった。

 少女は悪戯に笑い。ニヤリと笑う。その笑顔は可愛くて、幼くて………怖かった。

 

「誰だっけかなぁ?」

「教えなさいよ!!!」

 

 燃え盛る木造の建築が次々に倒壊していく。彼女は絶叫し、銃を一発撃つのだが、もちろん当たらず、後ろの柱を貫通した。

 それでも少女は動じず、淡々と答えていく。

 

「んー、仕方ないなぁ」

「……」

「なんか可愛いセーラー服?みたいなの着てて、兎さんの耳が生えてた!」

「ッ!」

 

 彼女の世界は止まったような気がした。彼女はもう誰なのかおおよそ予想はついているが、何故か引き金を引けずにいた。それは、まだあの子が死んだと信じたくないから、他の子が死んだ可能性をまだ信じていたいから。

 しかし、そんな希望は一瞬にして、塵となった。

 

「「雅」って書いてたなぁ……?」

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 引き金を何度も引く、何度も何度も何度も。しかし、そんなものは無意味とわかっていた。一発も当たらず、ただ消費しただけ。

 

「嘘よ……嘘だよね……瑞乃……」

「あららー、お友達だった?ごめんね!この奥に「瑞乃ちゃんだったもの」はいるから、んじゃねー!」

「……ちなさい」

「んぅー?」

 

 彼女はもう一度、銃を向ける。その手は震えており、彼女の目からは大粒の涙が頬を伝っていた。

 

「あなたは誰なの?」

「…」

「答えろ!!」

「私の名前?君を生かしておくなら教えられないなぁ……」

 

 この際なら、私も死んでしまおうか。瑞乃のいない世界など考えられない。生きていきたくない。

 

「……じゃあいいわよ。殺してよ。あなたの名前を永遠に恨み続けるから」

「へぇー、たいそうあの子に執着してたんだね!じゃあお望み通り」

 

 少女は右手からナイフを取り出し、私の額に先端を付ける。そして額から少量の血が流れる。

 

「瑞乃………」

「じゃあ、ばいばい」

 

 最期、少女の冷めた声が彼女の脳裏に焼き付いた。その後、小さく、少女は呟いた。

 

「長門……だよ」

 

 瞬間、意識が途切れた。「長門」その名を胸に刻み、永遠に恨み続けながら、彼女の意識は暗闇へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁん!もう!敵多いよ!」

「ちょっとうるさいわよ。しんり、黙ってて」

「うぐっ」

 

 私達は今、地底から地上へ続く道でさとりとフランを探す。途中、お空、お燐、咲夜、美鈴は地底に潜む敵たちと交戦していたため、遠回りをして二人を探していた。

 

「しんりねぇ、レミリアお姉ちゃん。地上に出ない?」

「……そう………だね。それが良いかも」

「そうね」

 

 私達は歩く方向を変えて、地上へと向かっていく。ここから案外近いので、すぐに出ることが出来る。薄気味悪い洞窟なので早く出たい一心だった。

 

 

 数分後、ようやく地上に出た私達は言葉を失った。断末魔の叫びが遠吠えのようによく響く。目の先には赤色に燃える人里とその奥に見える迷いの竹林。目を覆いたくなった。

 

「嘘………瑞乃達は……?」

 

 重い足取りで坂を下っていく。私の目は虚ろになり、生気を感じられなかった。そんな私をレミリアが引き止めた。

 

「落ち着いてしんり。まだ死んだとは決まってない」

「そう……だよね」

「でも、急ごう。何があるか分からないよ」

 

 私達は地面を蹴り、空へと飛び立った。そして全速力で迷いの竹林へと入る。人里の火は未だ人里警備隊によって消化されていた。

 これがステナミア連合軍の目的なのか?本当に幻想郷の支配なのか……?

 ちらりと見えたセリカナちゃんの屋敷、もちろん火炎の渦に飲み込まれていた。

 竹林に入ると、下には妹紅さんが永遠亭に向かって走っているのが見えた。

 

「妹紅さん!」

「あ?あぁ、アンタ達か」

「今から永遠亭に行くんですか?」

「あぁ、しかし、すまん!あたしは再生の途中なんだ。先に行っててくれ。うまいこと飛べない」

「は、はい」

 

 妹紅さんの体の傷は意外とひどかった。腕の皮膚が剥がれ、血が滝のように流れていた。

 あれを見ると、永遠亭も物凄く心配だった。

 

「ねぇ、あれ……」

「………え、永琳さん!?」

 

 入口に座り込んでいたのは八意永琳。永遠亭の医者だった。ボロボロの体が誰かと戦闘したことを物語っていた。幸いにも気を失っているだけのようだ。

 

「………奥に入ろう。みんなの安否を確認しなきゃ……」

「え、ええ…」

 

 私の心臓の鼓動は早くなるばかり、何でだ?この胸騒ぎは一体何なんだろうか?しばらく進むと、辺りには血が飛び散り、戦場のようだった。

 その真ん中には、紫色の髪の少女がうつ伏せで倒れていた。

 

「鈴仙さん!」

 

 体を持ち上げると、頭から出血していた。私は慌てて心音を聞く。

 とくん………と一度だけだが小さく鳴ったのが聞こえた。

 

「よ、良かった………」

 

 鈴仙さんも無事なようだが、このまま放置すると確実に死んでしまう。今は医者もいない。

 

「レミリア!」

「な、何?」

「鈴仙さんを見といて!私は瑞乃達を探す!」

「え、ええ!」

 

 レミリアに鈴仙さんを任せ、私はこいしのあとを追う。永遠亭の敷地は意外にも広いので、瑞乃達を見つけるのは至難の技かもしれない。 こんな大きな襲撃も初めてなので、皆驚きを隠せないはずなのだが、幸いにも死者は一人もいなかった………はずなのに…

 

 

 

 

 

「し、しんりねぇ………」

「ど、どうしたの?」

 

 口を両手で塞ぎ、目からは涙、震える右手の人差し指がどこかを指していた。私はその先を見る。それはあまりにも無情で、残酷で、凄惨なもの。

 

 

 

 

「え………瑞乃……?」

 

 

 

 大量の血を流し、もうこれを「生き物」と呼んでいいのか分からないくらい凄惨な状態の瑞乃がそこにいた。

 信じたくなかった。しかし、うさ耳や銀髪、更には「雅」のネームプレートまであったら信じるしかなかった。

 私は倒れる瑞乃の前まで走り、改めて瑞乃を見る。

 

 私はこの時、人生最大の絶望を味わったような気がした。

 

 膝をついて、顔を手で塞ぐ。

 嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!

 こんなの、こんなの……!

 この瞬間、私は瑞乃と出会ってからの記憶が脳裏をよぎった。もう瑞乃はこの世にはいない、目を覚まさない。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 私の叫び声が竹林に反響した。

 その声は炎と混じった熱い風と共にどこかへと運ばれていった。




鬱すぎて………あぁ……
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