ハートだよ!覚り三姉妹!   作:かくてる

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えー、本当にこういうの好き。

主人公が覚醒するの好き


零羽との死闘、死んだ古明地しんり

 これは弾幕ゲームではない。本当に相手を殺しに行かなければ、私が死ぬ。

 

「零羽ぁ!」

 

 私の弾幕は案外零羽を苦戦させていた。展開する勇儀さんにしごかれた弾幕は霊夢も驚愕するほどのものだ。自信はある。

 

「はぁ……はぁ」

 

 私の方も体力が限界まできたので、一度零羽と距離を取る。

 そして、時間稼ぎのために、私は零羽に質問を投げかけた。あくまで時間稼ぎのためのはずだった。

 

「零羽、あんたは……人を殺したことがあるの?」

 

 零羽の顔は一度驚いたような顔を見せた後、ニヤリと不敵で気味の悪い笑みを浮かべた。女性でも見とれるような美貌なのに、今回ばかりは不気味に見えた。

 

「あるよ。何人、何百人とね……」

「…人里には手を出さないで」

「……」

「あそこには、人間の子供や、将来を決めた若者が多くいる。そんな人たちを殺さないで」

「それはお願いなの?わざわざ敵のお願いを聞くとでも?」

「命令だよ」

 

 私はそう断言した。強く睨みつけ、零羽に圧力をかける。しかし、零羽は手を広げ、こう放った。

 

「それは無理なお願いだねぇ!」

「なっ……」

 

 一度舌を出し、上唇をぺろりと舐める。先ほどよりもオーラを出し始めた零羽は周りの木々を枯らせていた。

 

「もう、人里の人間を15人。殺したよ……」

 

 狂ったような笑みに私はぶちん、と何かが切れる音が体内でなった。

 

「お前………じゃあ次」

「これで最後だよぉ?」

「さとりとフランちゃんは?」

「…………」

「心を読めばわかる。あんたはさとりとフランちゃんと居場所を知ってる」

 

 人里の人間を殺したとわかった今、さとりとフランちゃんの安否が気になる。

 襲撃を受けてから、一度も2人と会っていない。それに、零羽の心の片隅に2人の顔が浮かんだ。

 

「……今頃、独房で泣いてるんじゃない?」

 

 今度こそ、私は切れてしまった。

 白いサードアイは漆黒に染まり、周りには黒い雷光を纏っていた。

 

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 ただ怒りに身を任せ、私は素手で殴り掛かるしかし、余裕の無くなった私の拳なんか、そこら辺の下級妖怪と同じようなものだ。零羽はニヤリと不敵に笑い、それを躱した後、背中を蹴った。

 

「かはっ……」

「ほらほらぁ……私を倒さないと、フランちゃんとさとりちゃんは助けられないよぉ?」

「……岩符「ブロックレイン」!」

 

 物理的な攻撃のブロックレインは幽霊である零羽には透けて通ってしまう。

 先程まで、私の方が優勢だったのに、零羽の一言で一気に立場が逆転してしまった。

 

「…さとりとフランちゃんを……返せよ……」

「…………あの2人は元々、あなたをそうやって激昂させるため。いつ殺してもいいんだよ?」

「やめろ……」

 

 俯いて、拳を強く握る。唇をかみ、血が出る。

 

「…人にものを頼む態度が違うんじゃないの?」

「……」

「…何か答えなさいよ……!」

 

 零羽のかかと落としが炸裂し、私はうつ伏せに倒れ、零羽が私の顔を踏みつける。

 

「『2人を助けてください……』でしょ?」

「………くっ……」

「あはっ、そんなのプライドが許さない?そんなので、大切な妹と友達を殺すの?」

 

 嫌だ。こんなやつに平伏するのが、私は屈辱だ。

 でも、二人が命の危険に晒されてるのなら、そんなの捨てるしか無かった。

 

「2人を…………助けて……ください……」

「……よく言えましたっ」

 

 零羽は右手を広げ、剣を生成した。

 そして、それを高く掲げ、振り下ろした。

 

 

 ザシュッ……

 

 

「あっ、……ああああああああああああ!!!!」

 

 私の叫びが森一帯に響き渡った。

 辛うじて目を開けてみると、私の左肩から腕までが存在していなかった。

 激痛が遅れて走り、蹲る。

 

「あはははははははははは!!どお!?自分の腕が無くなる気持ち!玉兎はこんな痛みを味わいながら死んだんだよっ!?」

「……くっそぉ………」

 

 すぐに再生する。私はそう思っていた。しかし、いつまで経っても出血が止まらない。

 恐怖に私は支配されたのだと、この時に初めて実感した。

 

「再生なんかしないよ?」

「……はぁ……はぁ……」

「どうしてって?再生能力なんて、霊力で抑制することくらい簡単だよ?」

 

 やられた。私は零羽が怨霊で、霊力や魔力を自在に操ることが出来るのを、完全に忘れていた。

 

「さとり……こいし………助けて……」

「絶対に来ないよ?この空間には、あなたの味方は来れない。そう、「あなたの味方」はね」

「……っ!?」

 

 周りを見てみると、赤色の結界が辺り一帯を覆っていた。

 そして、その結界の外から、一人の少女が降りてきた。見覚えのある長い黒髪に血のついた白いワンピースを来ていた。

 

「紗姫」

「あら、長門ちゃん、お疲れ様」

「セリカナ……ちゃん?」

「あ、しんりちゃん。ひっさしぶりぃー!」

「………そんな……」

 

 霊を流し込まれたセリカナちゃんはもう別人だった。前までの明るくて私の好きなセリカナちゃんはもういなかった。

 

「……紗姫、しんりちゃんどうするの?」

「え、あぁ、どうせなら、殺しちゃう?」

「……そうだね。なら、ついでにスカーレットとこいしちゃんのグループも」

「っ!?……やめろっ……」

 

 体が反射的に動く。立ち上がろうとしても、左腕がないので、うまく立ち上がれなかったが、ふらつきながら、時間をかけて立ち上がった。

 

「もう、これ以上、人を……私の大切な人を殺さないで」

「………嫌」

 

 突如、腹を貫かれたような痛み、いや、貫かれたようなではなく、「貫かれた」。

 零羽が投げた細剣が見事に貫通し、私の背後の木に突き刺さった。

 

「がっはっ……」

 

 叫ぶ気力もない私はその場で大量に吐血し、片膝をつく。残った右手でスペルカードを取り出し、抵抗を見せる。

 

「真相「混合のバレットハート」……」

 

 四方からの弾幕を出現させ、セリカナちゃんと零羽を中心へ追い込む。

 

「……くっ、まだこんな余力がっ……」

 

 少し焦っていた零羽。

 私は右手を掲げ、もう一つのスペルカードを唱えた。もう声も掠れて、思うように詠唱も出来なかったが、辛うじて全てを読み上げた。

 

「火焔「燃え続ける心臓」……」

 

 炎を纏った弾幕が上下を塞ぐ。

 

「長門」

「はぁーい」

 

 セリカナちゃんが可愛らしく返事をすると、辺りに魔法陣が現れ、セリカナちゃんは小さく詠唱を始めた。

 

「スプリームホライズン」

 

 大爆発が起こる。それは周りの森を全て吹っ飛ばすほどの威力。もちろん、私もそれに巻き込まれた。

 焼けるほどの熱風、私は数十メートル吹っ飛ばされた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 セリカナちゃんの魔法で辺りは森から焼け野原へと変貌した。

 左腕の切れ目からさらに出血する。もう意識が朦朧とし、今から死ぬんだと、そう思った。

 

「あーらら、博麗の巫女よりも強い古明地の長女って、巷じゃ有名なのに、期待はずれ」

「じゃーねしんりちゃん」

 

 うっすらと目を開けると、私の前に立っている零羽とセリカナちゃん。

 零羽が大きな大剣を生成し、剣先をこちらに向けた。

 

「はい、おーしまいっ」

 

 最後に、そう言った。

 刹那、私の背中に一瞬の激痛。そこから、意識は暗黒へと閉ざされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はぁ、これで死んだんだ。呆気ない人生だったなぁ。こいしとさとりと過ごす日々は何事にと変え難い。

 

 もっと、2人と過ごしたかったなぁ……。

 幻想郷で、霊夢や魔理沙さん、レミリア達とももっと仲良くなって、覚り妖怪として天寿を全うしたかったなぁ。

 

 なら、こんな所で死んでなんかいられない。

 みんなを助けたい、幻想郷を助けたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 死にたくなイ………いやダ、殺さナイデ………。

 

 殺されタクナイなら、コロセバイイ………。

 

 アハハハハハ、シンリ、オモテノワタシハ、ヨワスギル。

 

 ワタシガ、チカラヲカスヨ。

 

 

 

 

 

 

 

 サトリヨウカイデ、アナタダケノ……クルッタセイシントチカラ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウフフ、アハハハハハッ!!」

 

 私は奇跡的に生きていたらしいが、生きていたのは、「私」では無かった。今まで見たこともない、「裏の私」。

 

「ワタシハ、零羽トセリカナチャン……ヲ殺ス」

 

 ポニーテールは解け、目は真っ赤、サードアイは暴走したかのように雷電を纏っていた。

 

「サトリ、フランチャン、ミズノ、コイシ、ミンナ………助ケル……」

 

 私の意識は内側に閉じ込められたまま、狂ったような顔をした私はゆっくりと焼け野原を歩いていた。

 

 古明地しんりは生死をさまよった後、狂気に染め上げられた。

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