ハートだよ!覚り三姉妹!   作:かくてる

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今回から頑張ってほのぼの回を作ります。


初めて。


幼少編だよ!覚り三姉妹!
恨むべき体重計、鬼畜と化したダイエット。


 シャアアアアア………と、シャワーの音が風呂場に響く。

 

 結局、お母さんは出血多量で死亡。こいしの方は健康な状態で生まれてくれた。なので、地霊殿にいるのは私とさとり、こいしの3人のみ。有り余るほどの広さがあり、逆に不便かもしれない。

 それから3年後、こいしも落ち着き、少しずつ喋れるようになった。私は7歳、さとりは5歳、こいしは3歳。みんな二つずつ歳が離れている。私の料理もまともになってきて、生活が安定してきた頃。私は風呂から出て、バスタオルを手に取る。少し冷えてきたので急いで体を拭いて、巻き付ける。

 

「そういや……最近体重測ってないや……」

 

 隣においてあった体重計に乗る。ゆっくり乗って、書いてある数字を見る。しかし、その数字は以前よりもおぞましい数字に変わっていた。その結果に私は絶望した。

 

「……え、ええええええ!?」

 

 私の驚きの声が風呂場で反響した。

 

 

 

 

 

「………で、どうしたのよ…姉さん…」

 

 私は泣きながらさとりに相談した。さとりは現在、地霊殿のお金の使い道を計算していた。私にはよく分からないけど。

 

「体重がぁぁ……………」

「とりあえず涙拭きなさいよ……」

「う、うん……」

 

 私はこいしを抱っこしながら、さとりに質問する。今日の出来事により、私は今まで自分がしてきたことに後悔する。妖怪だから太ることなんてありえないってずっと考えてたから、体重とか気にしないでバンバン食べてたから……この歳で体重に悩まされるとは……………妖怪だからでしょうけど。

 

「仕方ないわよ姉さん。ただでさえ地霊殿の資金もカツカツなんだから、節約も兼ねてダイエットしましょう」

「え、ええ………」

「こいしのミルク代もあるのよ。それに、姉さんいつも1人だけ食べる量が私の倍ほどあるもの。太ってもおかしくないわ」

「まぁ………仕方ないか……」

 

 私は諦めてダイエットすることを決意する。

 

「ね、さとり。私………太ったように見える?」

「いいえ、見た目は変わらないけど…………どれくらい増えたの?」

「…………聞きたい?」

「…ごめんなさい」

 

 実は、私の体重は約10キロほど増えた。1、2キロならまだ仕方ないと思うが、まさかの10キロ増量。よく食べる子は成長するね。やったね。

 

「ダイエットするって言っても、具体的に何するの?」

「そうねぇ………野菜を多く食べるとか、運動するとか………ほら私たち覚り妖怪は地底に来てから外にすら出ないじゃない。私も一緒に行くから運動しましょ?」

「う、うーん……」

「こいしも行くー!がんばって、しんりねぇ!」

 

 こいしの満面の笑み。その笑顔には何も悩みがないように見えた。その笑顔に少しだけ妬ましさを感じてしまったのは私が悪いのだろうか……………

 

「まぁ、こいしにまで言われたらやるしかないか………」

 

 私はようやく決意し、ダイエットすることになった。今夜の食事から私はダイエット食を考えた。肉は少なめにしてサラダ中心のご飯。しかし、さとりたちは美味しそうなステーキ。作る時にもヨダレが何度も垂れそうになり、ようやくステーキとの食欲勝負に勝利したのに、最後の最後まさかさとり達と同じ食卓で同時に食べることになるとは……

 

「…………だめよ姉さん。ダイエットするんでしょ?」

「しんりねぇダメー!また太るよー!」

「う…………分かってるよ!」

 

 私がステーキを美味しそうに見ていたのがさとりに心を読まれ、注意された。あぁ……………サラダおいしい…少量の涙を流しながら私はサラダをゆっくり食べる。そこからいつもより少なめの米を口に運ぶ。

 

「なんか心が痛むわ………」

 

 ションボリと食べる私を見て、さとりはすこしだけ複雑そうにこちらを見る。その顔が自分の心をさらに深くえぐる。しかし、そんな雑念を私は首を振って振り払う。

 

「ごちそうさま……………うぅ……」

「ね、姉さん……………太ってから涙もろくなった?」

「う、うるさい!てゆーか太ったって言わないで!」

「でも、太ったのはしんりねぇが悪いよね?」

「ぐっ……」

 

 いつから私の妹たちはこんなに手強くなったのだろうか……心を読めるさとり。そして最近になってこいしの能力が判明した。なんと、さとりと同じ能力を持って生まれてしまったようだ。この理由はお母さんの死因にも繋がってくるから話すのはまたの機会に………

 

「二人とも!ダイエット付き合って!」

「分かったわ。こいし、行くわよ」

「え、さとりねぇどこ行くの?」

「姉さんのダイエットよ。こいしも来なさい」

「行くー!」

 

 なんかピクニック気分………これはこいしのテンションの高さが尋常じゃないからだろう。そうして、私は少しだけ冷える夜の地底に出て、走る。いつもは飛んで移動する地底の商店街も歩いてみれば、いい雰囲気を醸し出している。こういうのも悪くない。

 

「あ、姉さん、そこだけ地面が割れてるから転ばないでね」

「へ?」

 

 私の右足が出っ張った地面に引っかかる。そして私の全身は絵に書いたような転び方で強打する。

 

「姉さん…………ドジなの?」

「言わないで!」

「あはははは!しんりねぇきれいに転んだ!」

「こいしも!」

 

 私は立ち上がり、もう一度走る。油断はしちゃダメだ。さっきみたいに転んで2人に笑われる。それだけは避けねば…………

 

「お、こんな時間に勇儀さんがお酒飲んでるわ」

「へぇ、こんな時間まで飲むなんてさすが鬼だね………」

「ゆうぎだー!」

「ん?おお、古明地三姉妹じゃねぇか?」

 

 右手を上にあげ、こちらに挨拶をした鬼の四天王。星熊勇儀。彼女は私たちが当てもなく家を探していた時、地霊殿まで案内してくれた恩人のひとりだ。

 

「こんばんは、勇儀さん」

「おー!古明地の次女!えーと……………」

「さとりです」

「そ〜かそ〜か、なぁさとり!一緒に飲まねぇか?」

「し、しかし………」

「なんだぁー?飲めねぇってのか?」

 

 完全に酔いが回っていた勇儀さんは断ろうとしたさとりにメンチを切っていた。それに対し、さとりは何歩も後ずさる。しかし、その怒りの矛先は私に向く。

 

「おおい!古明地姉!一体お前んとこの妹はどぉーなってんだぁ?!」

「え、そこで私に聞きますか……」

「まともな答えを10秒以内に答えなきゃ酒ぶん投げるぞ!」

「え?!………え、えーと……」

 

 ばっしゃぁぁん…………と、私の全身に勇儀さんが持っていた盃ごと私にかかる。

 

「ま、まだ10秒経っていないじゃないですか!」

「がっはっはっ!面白れぇな!古明地姉!」

「私何もしてないのに………とゆーか酒臭………」

「わ、しんりねぇ酒臭い!」

 

 こいしはわざとらしく鼻をつまんで、私から距離をとる普通に傷つくからやめてくれ………我が妹よ……今日は仕方がなかったので、私達はそのまま地霊殿に帰ることにした。そして地霊殿に帰り、私は洗面所に向かった。

 

「今日だけで体重が減ってるとは思わないけど………」

 

 そうして私は体重計に乗る。

 ………………

 

「まぁ、分かってるけどね……」

 

 そうだよね、今日1日で痩せたら誰でも可愛くなれるもんね…………私は泣きながら体重計を降りる。そこに風呂に入ろうとしたさとりが通りかかる。

 

「あ、姉さん古い方の体重計に乗っていたの?」

「え?」

「ほら、こっちに新しい体重計があるじゃない」

 

 さとりが指さした方向に、こっちよりも全然キレイなデザインの可愛い体重計があった。呆然とする私にさとりは苦笑いをする。

 

「だって…その体重計とっくに壊れてたし…………」

「…………」

 

 私は黙って新しい体重計に乗る。そして結果を見る。

 ………………………………

 今日の我慢は一体何だったのか……………

 

「元の体重と変わってないじゃないー!!」

「ね、姉さん……それは姉さんが悪いわよ……」

 

 頭を抱えて唸る私。さとりの後ろでこいしが腹を抱えて笑っていた。

 

「まぁ、姉さんもいい経験が出来たわね……」

「ダイエットの何がいい経験なのよ!」

「あはははは!」

 

 私が今日、勇儀さんにお酒をかけられたのは全くの無意味だったということ。

 

 私の悲痛な叫びと甲高い声で笑うこいしの声がいつまでも地霊殿の洗面所に響いていた。

 

 

 

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