ハートだよ!覚り三姉妹!   作:かくてる

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古明地 しんりさん。
実は博麗の巫女より強いです。
この実力を知っている者は家族のみであまり戦いを好みません。

そして幼少編の博麗の巫女は霊夢の前の前になります。
先代巫女の先代巫女だね。


こいしが心を閉ざした日 その2

「さとり!!やめて!」

「うるさい!姉さんは黙ってて!」

 

 私の制止すらも切り捨て、さとりは涙を流しながら弾幕を放ち続ける。人里は阿鼻叫喚の地獄絵図のようだった、死者は出ないものの、その場で倒れる者、悲鳴を上げながら逃げ回る者、私は見ていられなかった。

 

「やめるんだ!覚り妖怪!!」

 

 人里警備隊の男が1人、下で叫んでいる。さとりはその言葉が癪に障ったのか、下を向いてこう叫ぶ。さとりの顔はクシャッと潰れ、涙をふんだんに流しながら口を大きく開ける。

 

「覚り妖怪覚り妖怪っていい加減にしてよ!私はただあなた達と仲良くしたいだけなのに!心が読めるだけでどうしてそんなに嫌うのよ!!私達が何をしたっていうのよ!」

「さとり!もういいよ!」

「さとりねぇ!やめて!」

 

 ピンク色のサードアイをギュッと握る。しかし、私とこいしの2人の必死の止めにさとりは我に返り、こちらを見る。その時の目はまるで死んだ者を見ているかのような光のない目。

 

「お前ら覚り妖怪は博麗の巫女に殺されればいい……!ただの邪魔者だ!」

「……」

 

 私のもう我慢の限界だった。もういっそ殺してしまおうかと思ったくらいだった。しかし、この時の博麗の巫女は妖怪にはよく差別をする巫女だった。大して強くないのに………

 私は戦いが嫌いだ。よっぽどの事がないと手は出さない主義なのだが……今回は怒りがかなりこみ上げてきた。

 いつの間にか、警備隊は100人をゆうに超えていた。どうしてハエのように集まってくるのだろうか……気味が悪い……

 

「さとり、下がってて」

「ね、姉さん……?」

「ちょっとお灸を据えるだけだよ」

 

 こいしの手を離し、私はさとりたちよりも少し前に出て、警備隊の前まで歩く、何故か私の足取りは軽く恐れもなかった。ただ怒りに身を任せていたからだろうか。

 

「なんだ?大人しくついてくるのか?」

「……………」

「まぁ、俺たち人間が覚り妖怪を生かすなんてこと、まずしないけどな。博麗の巫女が覚り妖怪は殺すべきだと判断している」

 

 男は刀を抜く。その刀身が日に照らされ、反射して私の目を細ませる。60センチ程の刀身を振り上げ、真っ先に私の脳天へと進む。

 

「とっとと死ねぇ!」

「………はっ」

 

 まったく、幻想郷の人間はどこまで穢れば気が済むのだろうか……妖怪退治を生業とし幻想郷のパワーバランスを保つ博麗の巫女さえが無力で無実の私たちを殺そうとしているのだ。つくづく呆れたよ、これだから地上は嫌なんだ。結局こいしにもこの有様を見せてしまったし、その上あのさとりがあそこまで心をえぐられるとは思わなかったよ。ほんと最悪。もう、どうなってもいいよね。こんな所。私たちに地上の味方はいないんだ。

 

「鬱陶しいよ。人間」

 

 私の手が警備隊の腹に添えられる。私は長い戦いが嫌いだ。手短に済ませて地霊殿に帰ろう。私の手からは細長い光線が放たれ、男の腹をきれいに貫く。少しだけ飛び散る鮮血が地面に散る。

 

「あが………」

「つまらない。鬱陶しい。うざい。もう三拍子揃っちゃってるじゃん」

「ひっ?!」

「罪のない私たちを殺そうとしたんだ。当然、返り討ちにあう覚悟もあるよね?人間」

 

 私の鋭い声に警備隊は少しずつ後ずさる。情けない………妖怪とはいえ、私はまだまだ子供(ガキ)だ。それなのに体格も私よりも遥かにガッシリしている男達が少女にビクビクしててよく人里からの信用を得たものだ。もういい、こうなったら自分が業を背負うしかない。

 

「私はそこまで騒ぎを起こしたくない。殺されたくなければとっとと去れ。そうすれば私達は何の危害も加えるつもりは無い」

「だ、黙れ!!覚り妖怪のくせに!」

 

 私はもう一度光線を放ち、次は警備隊の盾を貫通し、1人の男の足を捉えた。

 

「もう一度言う。ここから去れ」

 

 私もここまで強く、乱雑な言葉遣いをしたことが無かった。男のような口調なのに、声がまだ幼い私は少しだけ恥を覚えた。すると警備隊の長のような者が、私たちに刀を向け、こう叫んだ。

 

「と、突撃ー!」

「うおおおお!!」

「……はぁ…」

 

 人間というのは人の話もろくに聞けないのだろうか……話が通じていない。覚り妖怪だからなのだろうが、流石にけが人が2人出たらわかってくれると思ってたのにな……

 

「こいし、さとり。後ろに下がってて」

「し、しんりねぇ…………」

「姉さん…」

「この人数なら何とかなる。後ろに退避していなさい。さとり、何かあったらこいしを助けるんだよ?」

「分かってるわよ」

 

 さとりに優しい言葉で投げかけ、私はもう一度前を向く。そこにはもう男数十人が私に向かって雄叫びを上げながら突っ込んでくる。無策にも程があるだろう………恐れながらも無理をしてこちらに来ているものが数名。どうやらあの長に強制的に連れてこられたのだろう。人の気を見ればわかる。覚り妖怪を実は嫌っていない人が殆どだ……私は少し安堵した。

 

「………なら、狙いはあいつだけだね……」

 

 ついて男達が刀の射程圏内に入ってしまった。ブンブンと振り回される刀はどこかぎこちなさを感じた。まさかとは思うけど、刀初心者多いのかもしれないね。私はもっともっと長に呆れる。もう本当につまらない。終わらせちゃお。

 

「岩符「ブロック・レイン」」

 

 長の垂線上に茶色の魔法陣が展開され、その中からは岩石が雨のように降っていく。

 

「ひっ?!」

 

 長のそんな情けない声が聞こえる。私は頭に手を当てこう呟いた。腰を抜かし、涙と鼻水をダラダラだしながら怯え出す。

 

「あなただけが死ねばいい」

「や、やめてくれ!!」

「今更命乞い?見苦しいからやめてよね」

 

 そもそも覚り妖怪に恨みのない人間達を無理やり派遣させ、自分は後ろで高みの見物。一番気に食わないやり方でこいつは私たちに攻撃した。その時点で私の怒りは最高潮に達していたのだ。

 

「じゃあね。永遠に土で眠るがいい」

 

 ドガアァァン…………一気に岩石が落ちていき、私を切ろうとしていた警備隊は全員呆然と立ち尽くしていた。長の声は誰1人聞こえない。完全に押しつぶされたか。まぁ、このスペルカードは瀕死の状態までしか攻撃できないから確実に死んでることは有り得ないから大丈夫。私は空中から離れ、地面に足をついてさとりの方に向かう。

 

「ごめん、2人とも、時間がかかっちゃった」

「大丈夫よ姉さん」

「こいしは大丈夫?」

「…………」

 

 返答がない。

 

「こいし?」

「え?あ、うん。大丈夫………」

「…………」

 

 こいしの顔は本当に怯えているようでまるでトラウマを植え付けられた人のよう。何かにずっと怯えていた。これは私たちが人里に入った瞬間から変わっていない。出かける時と今のテンションの違いが著しく、どんどん下がっていくばかり。もう、今日はクーラーは買えないな………

 

「とりあえず、博麗の巫女が来る前に地底に戻ろう。そうしたら勇儀さんに相談しよ」

「そ、そうね………」

「わかった……」

 

 私以外の2人は心底震えながら私の手をそっと握りながらゆっくりと歩いていった。この時、こいしの手だけ特別に震えが大きかった。

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