このマジェスティックな狩人様に啓蒙を!   作:溶けない氷

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生命は血や熱で表されることが多い。
情熱、血潮、すべての生命は熱を発し血を持つ。
熱を発さぬ蒼ざめた血しか持たぬ上位者は生命を極め、故に進化せず滅びゆくのみ。
その存在を繋ぐために人を媒介として自らの赤子ならざる赤子を産み落とす。
つまりは寄生虫、つまりはただの害虫である。
無能で退屈な上位者どもよ、根こそぎ駆除してやる。
上位者殺し?そんな大層なものではない、ただの害虫駆除だよ。


オリジナルの異世界を作るのは難しい?
だったら現実の歴史の二次をすればいい

人は人として上位者をより効率的に狩らねばならぬ
故に人は鋼の巨人:Armored Coreを生み出した
戦争の為ではない、人が人として進化するための道具として
人ならざるものとの対話のために
瞳を得るための狩道具を戦争に用いるなど、ウィレーム先生の憂いはいかばかりか

Armored Coreの歴史
ACを製造する軍事企業は19世紀に大きく成長しました
ACの原型はナポレオンが構想した機械化された砲兵として18世紀終盤に始まりましたが技術が未熟だったため実現しませんでした。
最初のArmored Coreはガトリング砲とアームストロング砲を装備しアメリカ南北戦争
1863年のゲティスバーグの戦いに実験的に投入されました。
初期のACは性能も信頼性も低かったため戦局に寄与することはありませんでしたが
リンカーン大統領がその威容について書き記しています
『光り輝く鋼鉄の巨人、これが未来の戦争か』
日本の戊辰戦争においても輸入され、史上初のAC同士の戦闘が行われたのもこの戦争でした。
最終的に撃破されたものの土方歳三の武功丸の箱館の戦いでの活躍は特に有名なものです。
以降、ACの性能は急速に向上することになり1870年の普仏戦争にプロイセン軍が投入し
プロシア胸甲騎兵と共にフランス砲兵の襲撃に運用しています。
初期のACはアヒルのような鈍足だと役には立たないと思われていましたが、改良され新型は数年で騎兵並みの速度を手にしました。
1886年において英国軍はACにアークガンを搭載し、射程こそ短いものの従来の戦艦の主砲並の威力を実現しています。
誕生してからわずか30年足らずでACはナポレオン戦争以来の戦列歩兵と騎兵、砲兵の戦場の常識を一変させました。



第19話

「どうですか?カズマさん、この杖!

冒険者のカズマさんにならきっとぴったりですよ!

ほら…ちょっと持ってみてください、今ならお安くしときますよ」

 

カズマは”けものころし”を装備した!(250kg

グラグラグラ

お!重い!支えきれない!

「ぷっぷー!カズマぁ、あんた男のくせにまともに剣の一つも装備できないの?

そーら、つんつん」

アクアが試しにと剣を背負ったというかしがみついたカズマ少年を煽る。

「ば!馬鹿やめろ!マジで重いんだよ!」

アクアが剣を突っつくと横で脂汗を流しながら懸命に支えていたカズマ少年の腰に激痛が走った!魔女の一撃と呼ばれるそれに耐えられる人間はいない。

その拍子にカズマはバランスを崩し剣の下敷きになった!

下敷きになった拍子に頭を机の角にぶつけた!

グワァン!

鉄塊と自身の体重が合わさって非常に痛い!

カズマの目の前が真っ暗になり、気がつくとエリス様の前に座っていた

ざんねん!カズマのぼうけんはここでおわってしまった!

 

「ふざけんな!何だよ装備したら死ぬって!」

正確にいうと筋力のパラメーターが圧倒的に足りていないので装備すらできていない。

だが世の中にはあの程度の剣を片手で振り回す魔術師が跋扈する魔境があるらしい。

 

貴方がウィズにプレゼントした杖のせいでカズマ少年が死んでしまったとはまさかの貴方にも予想外だ。

やはり世の中は意外性に満ちている。

大方の場合、あなたは実に意外だがすんなりとサキュバスの店に入れた。

実に意外である、てっきり『言葉は無粋 押し通れ!』という展開になるものだと思っていた。

実際、ヤーナムにおいて通るとは屍山血河の押し通るとほぼ同義である。

もちろん、あなたは半端な存在では無い。

全身が憎悪と殺意と狂気で構成された誰よりも人間らしい人間である貴方はウィズとゆんゆんに手料理をご馳走しようと決意し秋刀魚を買った。

今日はスターゲイジーパイにしよう、そうしよう。

しかしなぜマーマイトがないのか、味噌なる大豆のマーマイトっぽいペーストはあるというのに謎である。

しゅわしゅわはあるのだからきっとマーマイトもあるはずだ、なければ作るまでだが。

あなたはアクセルの街のサキュバスのお店に入った。

ここならきっと新たな啓蒙が手に入るはずだ、ついでにマーマイトも。

特に理由はないがきっとそうだ。

『あら!いらっしゃいませぇ、ようやく来てくれたんですね』

扇情的な殆ど裸と変わらない格好のサキュバスが店に入った貴方に丁寧にお辞儀して迎える。

ようやく?

『ああ、だってほら狩人さんにはウィズさんがいるでしょ?

流石に未婚の彼女持ちに粉かけるのはねーってことで…

でもここに来たってことは最近ご無沙汰なんでしょ?

あっ?早くも倦怠期?わかりますよ、そういう方も結構多いんです』

冒険者パーティーで恋に落ち結婚する前までは相思相愛でイチャイチャしていても

いざ結婚してみると思うようには行かず、子供が生まれると冒険者という職業上

亭主元気で留守が良い状態になる者が極めて多いらしい。

一夫多妻となると子供の世話は夫婦でというわけにもいかず

夫は馬車馬のように働いて逆に疎遠になるケースがほとんどである。

ハーレムは理想でも現実は非情である。

貴方はサキュバスのサービスが必要とされる痛々しい現実を思い知った。

しかしここは名目上は喫茶店では無いだろうか?

貴方が質問すると本番は無しだという、本番とは何だろうか?

あくまでも客が望む夢を見させるというのが税金と風営法対策からのこの店の妥協点らしい。

よくわからない、啓蒙が低いようだ。

貴方は店の中ということで帽子とコートを外してラックにかけた。

周りから他のサキュバスのヒソヒソと声がする

『やだ、超イケメン!?』

『新人?誰々?』

『えっ嘘、あのマジキチ狩人?イケメンだったんだ…いつも血生臭いから』

『イケメン+高収入とか、ウィズさんやるなぁ…』

どうやら貴方はいわゆるモテ期に突入したらしい、しかしヤーナムではもっとモテていたので物足りない。

勿論、あそこで好きというのは殺したいほど好きとほぼ同義なのでよく殺された。

すごい時には30秒に一回は殺された、それくらい激しく情熱的だった。

英国にあるまじき情熱的な都市だ。

喫茶店ならあるかもしれない、というわけであなたはマーマイトを注文した

『えぇ…』

やはり無いらしい。

何ということだろう、

こんなことなら異世界転生の特典をマーマイト一生分にすべきだったと悔やんだが後の祭りである。

『マーマイト?はありませんけど、マーマイトの夢なら多分大丈夫ですよ!』

周りには機織の人やカズマ少年が真剣な真剣な真剣な表情でアンケートに何かを書き込んでいる。

貴方はマーマイトにフィッシュ&チップスに紅茶を注文した。

『えぇ…』

夢は貴方の独壇場だ、どれくらい独断かというと夢と現の境目をなくすことなど貴方にとっては紅茶を淹れるくらい容易い。

貴方はテキトーに手近な幼いサキュバスに注文した。

『はーい、ご指名ありがとうございまーす!

ご注文は…えぇ…』

なぜ皆そんな反応を返すのか、まるで理解できない。

『これってお食事ですよね…』

勿論、喫茶店なのだから食事とお茶を注文するのは当然だろう。

『いや、確かにそうですけど…何だろう、凄く違和感がある…どうしよう…』

幼い少女は困ってしまった。

仕方ないので夢を見させて欲しいと注文した。

『うぅ…わかりました!お客様の望みを叶えるのがプロというものですよね!』

紅茶はアールグレイで頼む、F&Cは揚げたてで熱々のを。

『えぇ…明らかに淫夢じゃありませんよね』

10分後…

貴方は夢魔のサービスを受けた、しかしやはりダメだった。

F&Cの食感もマーマイトのあの風味も全く再現できてはいない。

所詮夢は夢だと貴方は言い切った。

『うっ、すいません…』

だが周りの男性諸兄からはなぜか冷たい視線が刺さる。

『所詮…夢・・』

『わかってるんだ、そんなことはわかってるんだ…』

『普段から…ウィズさんとゆんゆんちゃんと猿みたいにやりまくってるあんたに何がわかるんだ!クソォ!』

猿みたいにではない、上位者だ。

なぜか周りの客が泣いたり笑ったり、怒り始める。

危険な兆候だ、ここにもゴースの影響が現れ始めたのだろうか?

するとこの店の先輩サキュバスが現れた

『申し訳ありません、あくまでも淫夢ならと限定しておきましたのに…

それと…やはりお客様は…』

なるほど、だが貴方には淫夢の必要性は無い。上位者の赤子は夢とうつつの間に現れるのだから。

そしてその先をいう必要性も…

夢を操るサキュバスとは気づいてみれば悪夢を支配する貴方の下位者に他ならない。

見てみれば、随分と目の保養のしがいのある後輩もいたものだ。

『っ!?し…失礼しました』

なぜかサキュバスは顔を赤くしている。

貴方が赤子の事を考えれば当然、彼女達に影響が出る…

わかりやすくいうと全員貴方の影響下で夢をみるとバッチリ妊娠する。

上位者の影響は特に夢に近い女性に強く働くのだ。

悪夢の世界ではオドンが孕ませ寄生上位者であったように、

貴方もその気になれば夢に近い彼女達全員を妊娠させることなど容易なこと。

だが、そんなやり方が人の世で許されるはずもない。

啓蒙があっても、愛情がなければそこに進化は生まれないのだ。

(すごい…この人の精気…こんな人の夢に応えただけで孕んじゃいそう…

やだ、子宮が疼いちゃう…)

そんな貴方の気持ちも知らずに先輩サキュバスは顔を赤くしていた。

仕方ないので貴方は結局、紅茶を注文し嗜んだ。

マーマイトもF&Cもないが、紅茶は美味であった。

貴方は暇があったらまたこの店に来ようと考えた…

一方、貴方が店を去るとサキュバス達は先輩サキュバスが貴方に惚れただの

ウィズさんの彼氏に粉かけただのワイワイと姦しかった。

「なになに?あのひと?うーん、確かにイケメンだけどねぇ、彼女持ちでしょ?」

「いくら夢魔だからって人の物に手をつけるのはねぇ?」

「ばっかねぇ、そこが悪魔の腕の見せ所でしょ?一層の事ウィズさんと3Pとかどうよ?」

「先輩、あの人に惚れたって?うん、確かに精気は凄かったよね。

キスどころか夢に見るだけで孕まされちゃいそう」

「あんたねぇ…夢だけで孕まされるってどんだけウブな発想してりゃそうなるのよ」

そして夢で孕むというのはヤーナムではごくありふれた現象でもある。

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