このマジェスティックな狩人様に啓蒙を!   作:溶けない氷

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狩人様
幼年期の上位者にして狩人
既にアクア様やエリス様よりも遥かに上位の存在
要するにベルセルクのゴッドハンド・フェムトと同じ
当然のことながらカズマ達ごときで相手になる存在ではない



第6話

「おらぁ!」

「ぐベェ!」

勢いよく女神アクアの後ろから全力でタックルをかますカズマ少年。

勢いで二人とも地面に押し付けられる。

アクアは顔から地面に倒れ込み体中が泥まみれになる。

「本気でアホかテメェは!手のこんだ自殺に俺たち全員を巻き込むんじゃねぇ!すみません!すみません!ウチのバカがどうしようもないバカで本当にすみません!何もしなくてお金くれるって言ってるんだぞ!この駄女神!」

蒼ざめた顔の少年が膝と頭を地面につけて平伏する。

東方に伝わる最大限の謝罪の姿勢、それはドゥゲェザァーと呼ばれる姿勢であった。

貴方は啓蒙低き血に興味はない、殺人のゴタゴタでこの街での活動に支障が出る場合も考えれば彼らを殺すメリットは薄い。

「わ、私からも本気でマジで真剣にお願いします。

お金もらえるなら私は見なかったことにしますんで」

幼女はずっと後ろの木陰から半身だけを晒している。

 

 

「アクア…確かにアクア教徒としてアンデッドがアクシスの街にいたというのにショックを受けるのもわかる。

だがエリス教徒の私としても思うところはあるが、ここはやはり他人にかける迷惑だとか命だとかそういう事を考えてほしい…」

貴方としてもアクセルの街を壊滅させるのは貴方の本意ではない。

 

「そうだ!ダクネス!いつもは変態だがたまにはいい事言うじゃないか!ウィズ様も人には迷惑かけないから、見逃してあげてって思ってらっしゃるんだから!うん、そうだ!なかった事にしよう!そうしよう!」

 

「くふぅ!こんな時まで私をそのように見るとは、なんて卑しい男と組んでいるんだ私は!」

 

「わ、私としてはいくら何でもやりすぎだと思いますよ…

ね、ジェヴォーダンさん。皆さんもこう仰られてるしまずは武器をしまってください」

ウィズは相手の命乞いを始めると貴方も本人がこう言っている以上はどうしようもない。

あとは残り1名の頭のおかしい啓蒙低い自称女神の問題だ。

 

5人の視線がじーっとアクアに注がれる。

「な…何よー!なんで私が悪いーみたいな空気になってんですかー!

アンデッド死すべし、慈悲はないのが常識でしょー!」

 

別に悪くはない、だが良いからといって死なない理由はない。

善悪と生死は全く関係ないと貴方は言った。

 

「改めて問うが貴女にアクセルの街で悪事を行おうと言う意思はないのだな?」

それは自分が保証すると貴方はウィズの悪意の無さをダクネスの問いかけに対して保証した。

貴方の前の街での常識に従えば貴方は常識的で良識のある一般市民だしウィズは聖女である、前の街(ヤーナム)の常識と今の世界は少々違うがほぼ問題は無い…気がする。

 

「貴方の常識というのが少々不安なのだが…まぁアクア、一応アクセルの街のエースもこう言っているしこれで不安も解消されたろう!

それより本題の墓地の浄化をどうするか考えねば!」

ダクネスは依頼にかこつけてごまかした。

やはりこのパーティーで最も啓蒙が高いのはダクネスかもしれない。

貴方はアークプリーストのアクアが”真面目”に墓地を浄化するのならば金を払うと言った。

やはり世の中の問題は金で解決するのが一番だ、と貴方の高い啓蒙は答えを導き出した。

もちろんこれには口止め料も含んでいる、と貴方は警告した。

「ゔ…わかったわよ。その代わり、色つけてよね!

この女神アクア様直々の浄化なんだから!」

もうアンデッド絶浄精神はどこかに行ったらしい。

貴方はこの啓蒙低き女神を哀れんだ。

貴方の保証、そして他の仲間3人の説得により和解?した。

いまだにアクアはウィズを睨みつけているが貴方が釘を刺したので大丈夫だろう。

 

貴方は4人組に墓地の浄化を頼むとお茶を楽しむために家に戻った。

「す、すみません。私のためにアクアさん達の仲間とも仲違いしてしまって…」

別に気にすることはない、結局殺し合うことはなかったし

貴方はもっと親しくなった者達ともしょっちゅう殺し合いに発展することは良くあった。

多くの狩人が血に酔って結局貴方に狩られた事を思えばウィズの存在は貴重である。

だが詳しく話す気はない貴方は気にする必要はない、ウィズは必要だからだと言っておいた。

「ひ…必要…そんな…ふふふ…そっかぁ、私必要とされてるんだぁ…」

 

一方墓地でアンデッド浄化に精を出す4人組は

「っったく!何なのよあのマジキチ狩人はぁ!

よりによってアンデッドを庇っちゃうわけ!何で私が怒られなきゃいけないのぉ!」

 

「そりゃお前が恋人を殺そうとするからだろ、普通あの人に喧嘩売ろうとするか?殺されないだけありがたいと思え、金まで貰ったし」

「リッチー相手に戦うだけで無理ゲーなのに、あの狩人まで敵に回そうとか…アクア、そういう強敵を求める展開は紅魔族の妄想の中だけで十分ですから…っていうかあの人は本当に恋人なんでしょうか?

リッチーの恋人なんてさすがはアクセルの街のキチガイエース。

あ、今のはなんか紅魔族的に感じるものがあります」

「私にはわかる!種族の差を超えた愛というやつだ!

ふふふ、愛のために苦難に立ち向かう!私もそういう状況に…くふぅ!」

 

啓蒙低い会話を4人組が浄化の間続けていたが、貴方は気にせずにお茶を楽しんだ。

狩人は酒に酔わないが、茶を嗜むことはできる。

特にそれが親しい人との間ならなおさらだ。

「すみません、私持ち合わせがなくってお礼のしようが…

あ!もうこんな時間…そうだ!お夕飯作ってあげますね!」

金がないので体で払うとばかりにウィズは家事の世話をしてくれていた。

貴方は気にすることはないと思ったが、

ウィズは勝手に台所に立つと料理まで始めてしまった。

本人がやりたいのならば無理に留める必要もあるまい。

こればかりは貴方も人形も食事に縁遠い種族ゆえに敵わない部門だ。

その晩、貴方は久しぶりに人間のような食事をした。

 


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