ある日、奇怪な夢を見てしまった俺。筆者の脳内で巻き起こった奇妙な夢物語。ノンフィクションです。

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閲覧ありがとうございます。初投稿なので至らない点も御座いますが、ご了承ください。


奇怪な悪夢

これは、俺が中学生の時に見たある夢である。これと言って怖さや不気味さは無かったが、感覚が妙にリアルで、強く印象に残っていたので、ここに記させてもらう事にする。怖かったりはしないが、気味が悪い物が苦手な方は見ない事をオススメする。では、ご覧頂こう。

 

────

 

ある日の朝方の事であった。もちろん、夢の中での朝である。俺はどうやら風呂場にいるらしい。キシキシと気味の悪い音を立てる身体。何かと思って自身の腕を見るが、これと言って身体に異常は無い。ただ、白く華奢な腕は、明らかに俺の物では無かった。風呂場にある鏡を見ると、黒く長い清楚な髪に、凛とした黒の瞳を持つ、少女の様な姿の自分がそこにあった。

 

「(...まぁ、これが俺なんだろう。いや、女だから私か?)」

 

夢というのは不思議なもので、何が起きても全く違和感を感じない。女になっていたら普通驚いて飛び跳ねるだろうが、夢の中の私はまるで反応が無い。

 

特にする事も無く、風呂場でぼーっとしていた。風呂に水は溜まっておらず、私の体にはしっかり服が着せられていた。家族が俺に何も反応を示さない辺り、私は風呂場の玩具の様な扱いを受けているのだろう。

 

「よーし出掛けるか!...も忘れるなよ?」

 

よく聞きなれた声。私の親だろう。何かと思って風呂場から顔を出すと、家族は皆出掛ける様子だった。私は家で留守番か。と思っていたが、家族の一人、息子だろうか。それに連れられ、我が家の車に乗せられた。連れられる最中も私は一言も発しなかったが、特に気にしていない様子だった。どうやら、本当に私は玩具らしい。

 

私達を乗せた車は、何処か遠い山奥まで進んで行った。山の中に一際目立つ大きなコンビニエンスストアがあり、隣には大きな建物が立っている。なんの建物かは分からなかったが、明らかにコンビニより高く、大きくそびえ立っていた。車をコンビニの駐車場に止め、私達の家族はそれぞれ買い物に出掛けた。私はよく分からないまま車から降りて、皆の帰りを待つ事にした。

 

「ねぇ。...は行かなくていいの?」

 

家族内の息子に話しかけられる。行かなくていいの?とはなんの事か分からなかったが、身体は勝手にコンビニの隣の建物に動く。俺の弟もそれを見て安心したのか、家族と一緒にコンビニの方へ向かって行った。

 

 

 

 

よく分からんまま建物内に侵入した。建物内の人々は私に気を止める様子は無かった。時おり私の顔を見て首を傾げるが、すぐに何かに気付いた様子で、何も言わずに通してくれた。私はなんとなく先へ進んで行く。建物はタワーの様に高く、登ってくれと言わんばかりに階段がある。私はとりあえずそこを進んだ。

 

2〜3階に着いた時であっただろうか。入り口から部屋の中を覗くと、何処ぞの映画よろしく、部屋の中の玩具が彼方此方走り回っていた。あまりにも滑稽な光景に思わず笑いそうになったが、玩具達は至って真面目に生活している様だった。私はこれと言って用も無いので、邪魔にならない様にそ〜っとその部屋を通り抜けようとしたその時だった。

 

「まずい!人間が来るぞ!」

 

ドタバタと騒ぎ始める玩具達。何事かと思って玩具の方を見た。玩具達は大急ぎで自分達の置いてあった場所であろう箱に戻り、ピタリと動かなくなった。玩具の一人が私の元に駆け寄って来たので、それを隠す様に自身の服の中に包み込んだ。

 

それと同時に部屋のドアを開けたのは、体格のがっしりした、大きな男。手元の玩具を隠すのに必死になっていたので、あまり顔の特徴は覚えていない。

 

「...」

 

「...なんだ。アンドロイドか。すまなかったな。」

 

私はなんの事かさっぱり分からなかったが、男はそれだけ言うと、ドアを閉じて下の階に戻って行った。自身の腹に隠した玩具を元の場所に戻すと、先の部屋に進む為に階段を登って行った。玩具達に礼を言われたのを、今でも鮮明に覚えている。それにしても、玩具が動いている所を、人間に見られると何かまずいのだろうか。

 

それから、3〜4階に登った時であろう。何分狭い部屋に、幼児が複数、玩具で遊んだり、昼寝をしたりしていた。この時、本能的になんとなく分かった。ここは保育園なのだろう。だから、先程の部屋にも大量の玩具があったのだ。と、自分の中で結論づけた。この部屋にこれと言って仕掛けは無かったが、寝ている幼児の大半が奇形であり、その幼児の人数に対して明らかに部屋が狭い。部屋には窓も付いておらず、薄気味悪いものを感じた。あらゆる事に鈍感な夢の中の自分ですら、恐怖を感じる様になってきた。

 

更に先へ進む。大きな建物とは言っても、せいぜい5〜6階建て。階段を登りきると、最上階らしき所に辿り着いた。何のために登って来たのか分からないが、折角来たので、ここも見ていく事にした。最上階は廊下と一つの部屋しか無く、見る所はこの部屋しか無いだろう。

 

左右に開くタイプのドアを開けて、中に入る。中は病室の様になっていて、白く塗られた部屋に、一つのベビーベッドが置いてあった。何かと思って近寄ってみると、中には一人の幼児がいた。小さく光る瞳は真っ直ぐにこちらを見つめ、じーっと私の顔を見つめてくる。何か用かな?なんて親心を巡らしていると、幼児はハッキリとこう言った。

 

「とってー」

 

愛くるしい、可愛らしい声だった。何を取るのだろうか。私は幼児を見回してみると、足元の靴下が脱げかかった状態で、足にくっついていた。確かにこれでは少し嫌だろう。私は靴下を脱がすと、丁寧に幼児の横に置いた。

 

それから少しして、一人の女性が部屋に入って来た。女性は今の私より少し歳上で、優しそうな雰囲気に包まれていた。その人は幼児に近付くと、明るげな雰囲気で幼児に接していた。

 

「アナタが...」

 

何を言っているのだろうか。何故か、彼女の声は私の耳には届かない。先程の幼児の声は、アレほどハッキリ聞こえたのに。仕方ないので聞こえているフリをしていると、後ろから何か声が聞こえてきた。

 

「...様。お花を...」

 

あ、ようやく言葉が聞こえてきた。どうやら、一瞬耳鳴りが起こっていた様だ。後ろの声の主を確認すると、人型のロボットが、幼児に向けて、布で作った向日葵の花束を差し渡していた。もちろん、幼児の手には大きすぎるので、ベッドの隣の机に置いたのだが。蛇足だが、向日葵の花言葉は「アナタだけを見つめている」だ。つまり、この幼児がどれ程この者達に愛されているのか、皆さんはもうお気づきだろう。夢の中での私は、そんな事に気付く余裕も無かったのだが。

 

「...それじゃ、私はそろそろ帰ります。」

 

なんとなくそう言った。特にここに用も無いので。何のために登ってきたのか結局分からなかったが、夢の中の私はここにいるだけの価値を見い出せ無かった様だ。

 

「あら。降りれないわよ。アナタはずっと。ここでずっと。この子の世話をするのよ。」

 

...何言ってるんだこの女。女性はフッと笑って、窓のカーテンを閉める。そして何かの箱を取り出すと、それを私に見せてきた。女性は何も言わなかったが、私はそれを見るなり、ガタガタと震えだした。

 

注射器だ。それも、何本も。私は分かった。あの幼児は下にいたどの子よりも危ない奴だと。確証は無いが、これからこの薬によって、どんどん狂って行くのだと。そして何より、自分もあの幼児と同じ人間だと思い込んでいたものだから、自身もあの女に薬付けにされ、身も心もズタズタにされて殺されるだろうと思った。それを思うと、やはり恐怖でしか無くて、身体は一層激しく震えた。

 

「っ!...」

 

弾き出された様に、私は部屋を飛び出した。幸いドアは閉まっていなかったので、すぐに逃げ出す事ができた。ロボットの男が俺を捕まえようと手を伸ばしたが、女性がそれを制止した。

 

「...代わりは幾らでもいるから。」

 

俺はもう無我夢中だった。捕まりたくない。死にたくない。怖い。夢の中だと言うのに、恐怖に体が支配されていた。必死に階段を駆け下り、後少しで出口という所で、俺はすっ転んでしまった。上を見ると、そこに立っていたのは先程の注射女。俺は、私は、恐怖のあまり、思わず大声で叫んだ。

 

「うわああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 

────と、ここで目が覚めた。あまりにも寝覚めが悪いので、ついつい二度寝してしまった。あまり怖い夢では無かったが、感覚がリアルすぎて、今でも内容を鮮明に覚えてしまっている。こんな夢を見るぐらいなら夢なんか見なければいいのに、と、つくづく思う俺であった。




閲覧ありがとうございます。奇怪な夢をお楽しみ頂けましたでしょうか。

夢の中の「私」の正体はおそらく、「世話型アンドロイド」だったのでしょう。いわゆる機械娘…そしてあの幼児の世話をしていたのもまた、機械でした。何かの暗示なのでしょうかね?

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