たった数機で主に殿を務める部隊”敗北戦線”の短編小説です。



1 / 1
ARMORED CORE Defeat Front

「ふっ、ふざけるなぁぁぁぁッ!!」

 

ブリーフィングルームで各オペレーターに本日の仕事を割り振られる。

我々は少数精鋭。一機のACを貸し出したり、そのまま単騎で作戦に参加させたりがザラだ。

だが、ある程度「許容の範囲」の内容で•••••だが、今回は違った。

 

「こんな無茶苦茶な内容、誰が取ってきたんですかッ!!」

 

噛み付くように先輩オペレーターのフィーアに詰め寄る。

苦笑いを浮かべてなだめながら「リーダーのいつものだよ」と答えた。

 

 

 

 

今日こそは文句を言わなければ気がすまなかった。

これで何個目の理不尽な単機ミッションだろうか……

 

 

廊下を早足で歩くと若手の二人がしゃべっていた。

なぜかゴーグルを頭に掛けているのが烈火、その隣の落ち着いた雰囲気を出しているのがフォレスト

 

「あれハルカさんじゃないですか。 どうしたんですか?なんかイライラしてますけど」

 

「うるさい……馬鹿がうつる」

 

「うわぁ……荒れてるなぁ。 あまり無茶したらだめですよ?」

 

「もう十分ッ!!無理してんのよ!!」

 

「ゴフッ!!」

 

振り返りながら全力のボディブロウをかました。

声を掛けたフォレストに……ではなく、隣で相槌を打っていた烈火に

 

「なんで……オレが殴られたわけ?!」

 

「さぁ、なんか虫の居所が悪かったのと立ち位置が悪かったんじゃない? まぁ、そんな日もあるさ」

 

 

部屋のドアをノックもせず、開口一番に

 

「なんですか?このデタラメなミッションはッ!! 死にに行けと言うのですか? リーダーッ!!」

 

そこには、煎餅を頬張りながら何かを読む女性がゆっくりと目線を上げる。

 

 

「んあ?」

 

間抜けな声を上げ、ゆっくり体を向ける。

 

 

「何か用? 扉を蹴るなんて……らしくないわね。 何か問題が?」

 

「大アリですッ!! なんですか?このミッションはッ!! こんなミッション、成功するとでも? 絶対に無理ですッ!!」

 

バンッ!!

 

と思い切りミッション内容を記した端末を叩きつける。

しかし、横目で一通り話を聞いた後、大きくため息を吐いた。

 

「それは……誰が判断したことなの?」

 

静かに一言だけ返ってくる。

 

「えっ••••••いえ、私の判断です」

 

その一言を聞くと、リーダーは私の顔を観て一言

 

「そう、なら私ではなく彼に聞きなさい。 私の判断することでも、あなたが判断することでもないわ。」

 

 

私は、それ以上何も言えなかった。

 

 

ガレージに向かうとサイドバイサイドローターのヘリにはしっかりとACが固定されていた。

 

彼は出る気なのだろうか。まだ作戦も知らないのに? バカな••••••

 

ヘリに乗り、ACに今回のミッションの概要を転送する。

 

転送完了した直後直ぐにブザーが二回鳴った。

要するに「了解」の意味だ。

 

本当に読んだのだろうか?

 

 

ーーー

ーー

 

 

 

 

「作戦の説明を開始します。極東地区での抗争を鎮圧。敵、大型兵器2機と無人兵器が約30機ほどです。まぁ、楽勝でしょう」

 

極東、作戦地域周辺でかんたんなブリーフィングを済ませる。

相方(バディ)は一切喋らず、計器を確認しているようだった。

 

「作戦範囲をマーキングしました。あらかたの位置は補足できていますが、伏兵の可能性があります。注意を怠らず、作戦を遂行してください」

 

機体の出撃準備が完了したこと伝えるサインが点灯する。

相変わらず無言の相方。

 

「了承ということでよろしいですね。それでは投下します」

 

C63 OWLETからACが投下される。

ACのロックが外れるとゆっくりと降下を開始する。

 

姿勢制御のバーニアが忙しく動き、機体は無事、着地する。

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

 

 

 

極東のレジスタンスの抵抗も虚しく、ものの30分で壊滅状態

大型兵器2機も各個撃破し、残った無人機も蹂躙された。

 

オカシイ・・・・・・大した抵抗も見せず、数で押すだけ?

確かに、削っていくことはできるが・・・・・・これでは無駄に戦力を削っただけだ。

 

他に何かあるのか?

考えても仕方ない。さっさと報告しなければ。

 

「作戦完了。帰投準備を――接近する反応を感知・・・・・・これは――」

 

攻撃用サイドバイサイドローターのヘリとACの反応が3機

 

なるほど・・・・・・そういうことか。

 

「なるほど、疲弊したところを狙うとは・・・・・・さすがWILDCATです」

 

到着まで時間はある。

 

ここは撤退すべきだ。

 

そう判断した私は・・・・・・

 

「ポイントをマークしました。急ぎ撤退します」

 

一番近い空地を指定、ヘリを向かわせる。

 

が――

 

 

相方は動かなかった。

 

敵機を向いたまま微動だにせず待っていた。

この男は馬鹿なのか?

敵機の数は伝えていない。

だが・・・・・・

 

”数機で行うミッションを単騎で行った”のだ。

この状態でAC単騎という状態でも危険な状態だ。

 

武装の弾数。機体の状態。

どう見てもこのままでは無駄死だ。

 

「何をしているんですか?撤退命令を出しています。急ぎポイントへ向かってください」

 

しかし、相方は一切反応しない。

 

彼は戦うつもりだろうか?

 

 

 

「・・・・・・わかりました。残りの時間で補給と修理を行います。ポイントに向かってください」

 

その言葉を聞き、ACの起動を確認した。

 

「全く・・・・・・この人は――」

 

どうしようもない人だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだった? 」

 

温かいコーヒーを入れる彼女は笑いながら聞いてきた。

 

私は真っ青な顔をしてうなだれるのが精一杯だった。

 

それもそうだ。

 

 

3機のACと戦い。何事もなかったように帰ってきた彼からは人間らしさを感じなかった。

 

「もしかして、こうなる事を想定していたんですか? リーダーは」

 

「どうかな~」

 

悪戯な笑みを浮かべながらカップを差し出す。

そのコーヒーを飲むと……とても甘かった。

 

「疲労には甘いものが一番って言うし? どうかな」

 

「流石にこれは……」

 

甘すぎだ。

 

 




メンバーの一人から書いてほしいと言われて書いた作品の短編版です。

長編作品として設定を組んでいますが、とりあえず短編を書いてみました。

オペレーターは基本オリジナルのキャラクターで、ACは会話できる方は本人の意志で決めたものです。
今回の主人公のAC乗りは55番のメンバーさんがベースです。
気がつけばチーム内に在籍し、ランクをひたすら上げてくれた方です。

無口な主人公こそACの主人公だと思うんですよね。

もともとの文章から色々変更しているので、誤字や修正ミスがあったらごめんなさい。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。