伝説を塗り替える英雄は唯一人(ボッチ)でいい。   作:烈火・抜刀

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お待たせいたしました!

描写重視の名のもとにチマチマ書いてて中々進みませんでしたが、遂に! ようやく!
八幡が本当の意味でクウガになります!

だから、見ててください!

彼の……変身!!


EPISODE:09 比企谷八幡は覚悟を決め、戦士クウガは“炎”を纏う。<2>

1月21日 サンマルコ教会内 04:54

 

昨夜逃亡した未確認生命体第3号、及び未だ消息を掴めない第1号の捜索は昼夜を問わず、県警の総力を結集して行われていた。

 

特に夜行性であると思われる第3号についてはこれ以上被害者を出さない為にも一刻も早い発見が求められた。

 

そんな警戒態勢の中、私は昨日、海老沢さんから聞いた『怪物に襲われたという酔っ払い』に話を聞く為市内の歓楽街を歩き回り、証言者の老人を発見した。

 

老人は今日もかなり呑んでおり、その顔は真っ赤でこそあったが足取りもろれつもしっかりしており、その証言にはある程度の信憑性があると私は感じた。

 

流石に八方を探し回ってる他の捜査メンバーを召集するには根拠が乏しい為、本部には定時連絡で伝え、第3号が逃げ込んだと言う教会にライフル銃を携えて侵入した。

 

時間はおよそ午前五時、この季節では1日の中で最も闇が深い夜明け前だ。

 

そんな時間帯にあって、無数の蝋燭の火で照らされた礼拝堂は、どこか不気味に感じた。

 

私はライフルを構えて周囲への警戒を最大にしながら、礼拝堂の中を慎重に見回した。

 

――――何かが居る。

 

それがどこから送られる物かは判然としなかったが何者かが存在する気配、その者がこちらに向ける視線だけは感じ取ることが出来た。

私は更に神経を研ぎ澄まして周囲を警戒しバサッ、と僅かな羽の音が聞こえた背後を振り返り、引き金を引いた!

 

「ギャ!」

「うっ……!」

 

放たれた弾丸は私の目前まで迫っていた第3号の胸部に命中。

 

しかし致命傷どころか多少の牽制にもならず、私は奴の体当たりを受けて数瞬宙を浮き、燭台に激突。運悪くそれは近くのカーテンを伝いあちこちに燃え移り、瞬く間に教会全体が炎に包まれてしまった。

 

「ラダガゲデ グセギギゾ。 グラゴグバ グジグジゾギダ リント ン ゴンバ(また会えて嬉しいぞ。美味そうな首筋をしたリントの女)」

 

どこか下卑た印象を感じる古代の言語を口にしながらゆっくりと歩み寄る3号。

激突した際にライフルを弾かれた私は懐から拳銃を抜き発砲するがまるで意に返さない。

 

ここまでだと言うの?

 

刑事としてせめて、教会の火事に気付いた応援が駆けつけるまで持ち堪えようと強く思う一方で、本能的に死への恐怖と諦観に駆られる自分を自覚する。

 

私の意思とは関係ない所で、脳裏にもう一度会いたいと願う人の姿が駆け抜ける。

 

――ごめんなさい由比ヶ浜さん。

――比企谷くん!

 

「伏せろ! 雪ノ下!!」

 

「っ!!」

 

そんな刹那、脳裏に浮かんだ彼の声が耳に響き、私は反射的にその指示に従い身を屈める。

 

すると第3号……とは全然離れた長椅子の1つに風穴が空いた。

 

その反対方向に目を向けるとそこには、私の落としたライフルを見様見真似で勝手に使い、腰を抜かした様な姿勢でいる比企谷くんがいた。

 

「っぶねええ! 漫画で見たことあるから大丈夫かと思ったけどマジで全然上手く撃てねえなこれ……」

 

「あ、貴方こんな所で何バカな事をやってるの!? 早く逃げなさい!!」

 

にわか知識で発砲した軽率を叱り、彼に非難を呼びかける。

だが彼はそんな私に対し『イヤだね……』いつもの捻くれた態度で返し、標的を変更した第3号と相対しながら私に向かって言葉を続けた。

 

「お前が俺に戦わないで欲しいって願った様に、俺もお前に死んで欲しくない。傷付いて欲しくないんだよ! だから引けるか……! 見たくねえんだよ!! これ以上、こんな奴らの為にこれ以上お前が傷付けられるのも、由比ヶ浜が怖がるのも! ――――誰かが理不尽に殺されて、その誰かの家族が泣く姿も……!! そんなものを見続ける位なら俺はっ! 俺は――――戦い続ける道を選んだ方がまだマシだ!!」

 

「っ! 比企谷くん……」

 

それは十年近い付き合いの中で初めて目にした彼の激情の発露だった。

 

普段はどこまでも理性的で、何事に対しても俯瞰した様に振る舞う彼の印象からは想像も出来ない。比企谷八幡という人間の剥き出しの心を目の当たりにした……。

 

「ギベッ!!(死ねっ!!)」

「ぐっ……!」

 

襲い掛かる第3号の攻撃を紙一重で躱しながら、彼は尻餅を衝いた私から引き離しながら腹部に手をかざす。

 

するとその腰には、中央に赤く輝く石が埋め込まれた銀色のベルトが出現した。

 

「お前らはきっと、こんな俺のやり方に納得できないかもしれない。けど、それでもっ、例えお前らに辛い思いをさせるとしても、俺はこの道を選ぶっ! だから……見ててくれ、俺の――――変身っ!!」

 

そう叫んで彼は左手で腰のベルトを撫でる様に脇を締め、左前方に伸ばした右手で空を切る、武術の構えめいた所作を行った後、第3号に拳や蹴りを叩き込む。

 

銃弾すら弾く強靱な肉体を持つ筈の未確認生命体が、明らかにダメージを受けたかの様に怯む。

 

そしてそんな(はげ)しい攻撃を放つ比企谷くんの身体は、黒い皮膚と金の装飾――そして真っ赤な装甲に身を包んだ戦士(クウガ)の姿に変貌したのだった。

 

 

――それは悠久の時を超えて今、伝説の戦士“クウガ”が完全に復活した瞬間だった……。

 

 




本作では八幡がバイクで長野に来なかったので「どうやって燃える教会に八幡を入れよう?」と地味に悩んだ結果、落ちてたゆきのんの銃を拾ってぶっ放すというダーティな登場のさせ方をしてしましました(笑)

無論超問題行為ですが超法規的行為ということでご容赦を!

……まあ、今後ペガサスフォームで借りまくること考えれば……ね?

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