伝説を塗り替える英雄は唯一人(ボッチ)でいい。   作:烈火・抜刀

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バトル回!

クウガは他の平成ライダーと比べ殆どギミックなどないので、本編の躍動感を如何に文章で表すか悩みましたがその分楽しく書けました。




EPISODE:10 比企谷八幡は覚悟を決め、戦士クウガは“炎”を纏う。<3>

 

――邪悪なるものあらば、希望の霊石を身に付け、《炎》の如く、邪悪を打ち倒す戦士あり――

                 

◇◇◇

 

「バザゴラゲ ゴラゲゴロビ クウガ!?(何故お前如きがクウガに!?)」

 

「ああ? だから何言ってるか分からねえって――――のっ!!」

 

燃えさかる炎の中、遂に脳裏に浮かんだ通りの本当の戦士の姿に変身出来た俺は、これまでさんざっぱら痛めつけてくれた蝙蝠野郎――第3号に返答代わりのパンチとキックを一撃ずつ見舞う。

 

「クギャ!?」

 

その破壊力たるや白い状態とは比べものにならず、先刻は10発以上殴りつけても平然としていた相手を、たった2撃の攻撃でダウンさせてみせた。

 

しかもそれだけじゃない。

 

前の2回はただ変身するだけで全身の体力が搾り取られる様に消耗していたのに対し、今は全身から力が溢れ、漲っている。

 

有り体に言って、負ける気がしねえ――!

……と、いけねえ。

 

「悪ぃ、ちょっと触る」

「えっ、ちょ……!」

 

戦闘の昂揚感に呑まれそうになる自分を抑制し、俺は雪ノ下を抱えて教会の外へと脱出。

 

「…………」

 

予期せぬ接触に頬を紅潮させぼうっとする彼女の顔を見ると、何だかこっちまで顔面が熱くなった。やめて! こっちはもう充分赤いんだから!!

 

「っ! ……ひ、比企谷くん貴方――」

 

「ん、まあお互い色々言いたいことも聞きたいこともあるだろうがそれは後にしてくれ。――少なくとも、もう、お前に何も言わず勝手な事はしないって約束するから。……何か言った上で勝手な事する可能性はあるけど」

 

程なく正気に戻り問い詰めようとする雪ノ下を制し、燃えさかる教会に向かい構えながら半ば強引に話を打ち切る。

 

「ギギィ!」

 

程なく、炎に包まれた礼拝堂から飛び出してきた第3号が襲い掛かってきた。

 

俺はその襲撃を会えて正面から受け、奴に抱きつく様に捕まり上空へ飛翔。

何とか俺を振り解き落下させようとするその横っ腹に拳を叩き込み、逆に奴を教会の近くにあった資材置き場に落下させてやった。……まあ、俺も一緒に落ちたんだけど。

 

「あぐぅうう……!」

「ッダアアアッ!!」

 

俺達はその後も素早く立ち上がり、再び激しい格闘戦を展開。

 

羽による浮力を利用してトリッキーな機動を見せる第3号に対し、俺は質実剛健。

白の時に比べ段違いに威力が向上したパンチとキックを叩き込み、着実にダメージを与えていく。特に回し蹴りの威力がヤバイ。大型車両だって一撃でスクラップにできそうだ。

 

――行けるぞ!

 

何発か攻撃を受ける内に徐々に動きが鈍くなってきている様子の第3号。

 

だがそこへ、天井に張り付けた糸にぶら下がり降りてくる蜘蛛人間――――俺との戦闘以来行方不明になっていた未確認生命体第1号が乱入してきただ!

 

「グムン! ギバザサバンザ!? ボボボボド! (グムン! 今更なんだ!? ノコノコと!)」

 

「ゾベ ゴオマ! クウガ パ ゴセ バ ボソグ! (どけゴウマ! クウガは俺が殺す!)」

 

1号と3号――俺を間に挟み2体の未確認が言葉を交わした後、同時に襲い掛かってくる。

 

例によって何言ってるか分かりません状態だが、その戦い方をみればおよその見当もつく。

 

恐らく両者には『共闘してクウガ()を仕留める』という意識はなく、かと言って互いに争ってる内に逃がすヘマもしたくない。

 

だから『早い者勝ち』という体で2体同時に襲い掛かってきた。

 

その行動に対し、俺は倉庫内を所狭しと動き回って連中を攪乱し、足並みが乱れたところで準じ攻撃という一撃離脱戦法で対抗する。

 

やはり第1号に対してもこの赤い身体が生み出すパワーは有効であり、単純な戦闘力なら完全にこちらが上回っている。

 

しかし、敵もこのままむざむざと追い込まれはしない。

奴らを逃げ回る俺を追いかけ回しながらも徐々に角へと追い込んでいき、組みついてくる。

 

「ムン!」

「ギィイ!」

 

「……チッ!」

 

強化された腕力を活かしきれない状況に追い込まれ思わず舌打ちが出る。

 

だがそんな俺の窮地を、聞き慣れ始めた銃声と、聞き慣れた彼女の声が救う。

 

「比企谷くん!!」

 

組み合う俺達の元に飛来した数発の弾丸は、しかし俺にだけ1発も当らる事無く1号と3号の頭部や背中にのみ命中する。

 

この混戦状態でこいつらだけに命中とか――ゆきのん命中精度高過ぎぃ!

 

やはりというべきか、銃撃そのものは奴らに対し有効ではない。

だが注意がそれた瞬間を利用して俺は奴らを振り解き、3号にパンチ、1号に回し蹴りを叩き込んで距離を取る。

 

仕切り直された戦況下、更に予想外の事態が起きる。

 

「ギソギ グジグジ ン ゴンバ!(白い首筋の女!)」

 

ライフルを構える雪ノ下の姿を捉えた3号が、俺の事など気にも留めず彼女の元へと飛翔。

ていうかオイお前! 雪ノ下のこと性的な目で見てねえか!?

 

「――――フ」

 

しかしそこはデキる女刑事・雪ノ下さん。

奴が自分に向けて凄まじい形相で迫る中でも余裕の笑みを零し身体を僅かにずらす。

 

そこには俺達が落下する際に開けた穴があり、雪ノ下が逸れた事でそこから丁度、朝日の光りが差し込み、奴は大嫌いな光りに向かって飛び込むという自殺行為を行った。

 

「ギィヤアアアアアア!!」

 

目を灼かれた第3号は悲鳴をあげながら空中で軌道を変えて逃走。

 

「貴方は先に第1号を!」

 

そう言って雪ノ下は奴を追いかけていった。

 

彼女の身の安全を考えれば俺もその追撃に向かうべきなのだろうがここで折角姿を現した1号を逃す手もない。

 

何より彼女は俺に『先に第1号を倒せ』と――俺の選択を受け容れた上で、俺を信じた指示を出してくれた。

 

ならば俺も彼女を信じ、確実に目の前のコイツを倒すべきだ。

 

1対1の状況、再び地力の有利を得た俺は第1号と肉弾戦を繰り広げながら朝日の差す屋上へと移動していた。

 

「っらああ!」

 

何度目になるかも分からないパンチを叩き込み、奴をダウンさせる。

やたらとタフではあるがダメージは着実に蓄積されている様だ。

 

しかしそれを確信した俺自身にもまた、油断が生じていたらしい。

 

「ブッ!」

「なっ!?」

 

追い打ちを掛けようとした所で俺は、奴の口から吐かれて糸に絡み取られてしまう。

 

クソ! 強くなった力でも引きちぎるのはキツいぞコレ……!

 

「ゴ~ゾ~レ~ザ~!(お~わ~り~だ~!)」

 

上半身が縛れ倒れた俺に今度は1号がマウントポジションを取って迫る。

奴は右腕から50cm程の鈎爪を出現させ、俺に突き刺そうとする。

 

「アアアアアアアッ!!」

「おおおおおおおおっ!!」

 

生と死の交差する瞬間、紙一重で糸を引きちぎった俺は奴の爪が胸に刺さるより早くその顔面にパンチを叩き込む。

 

「らああああああ!!!」

「ガッ……!?」

 

そして怯んだ奴に、ダメ押しとばかりに渾身の力を込めた蹴りを叩き込む!!

 

これまでの蹴りから更に一線を画す一撃、放った右足が……熱い!

 

「……グゥウウウ!! ダ、ダババ!?(……ぐぅううう!! バ、バカな!?)」

 

俺の渾身の一撃を受けた奴は数m吹き飛んだ後に立ち上がるが直後、苦しみ出す。

 

その胸には、まるで焼き印でも押されたように1つの古代文字が浮かび上がっていた。

 

「ボ、ボソグ……! ジャデデジャス……ボソグゥ!! (こ、殺す……! ()ってやる……殺すぅ!!)」

 

 

文字の浮かび上がった胸を押さえて苦しみながら、それでも尚、俺への殺意に前へ出ようとする第1号。しかし文字を伝わり身体に奔る亀裂が腹部のバックルに達した瞬間、奴は木っ端微塵に爆発した。

 

「ボソグ! クウガ!! ボソグゥウウウウウ!!(殺す! クウガ!! 殺すぅううううう!!)」

死の瞬間、クウガ()の名を叫びながら消える第1号。

相変わらず言葉は理解出来ないが、それが怨嗟の言葉である事だけは、感覚的に分かった。

 

 

 

 




さらばグムンさん!

次回はクウガ復活編のエピローグ的な話の予定です。

後、余談ですが本作のゴオマさんはグロンギらしく老若男女殺しますが、「噛みつくなら色白な若い女首筋」という美学を持つ首フェチの変態さんというオリジナル設定で、一目惚れしたゆきのん(の首筋)に対し今後執着をみせていく予定です。

極めて特殊且つ危険な変態に目を付けられましたが、負けるなゆきのん!(笑)

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