伝説を塗り替える英雄は唯一人(ボッチ)でいい。   作:烈火・抜刀

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クウガ原作4話のラスト、そして第1章『戦士クウガ復活編』のラストです。

八幡とゆきのん達の長い長い戦いにまずはひと区切り、です。


EPISODE:23 追跡の果て、新たな戦士の伝説は始まりの終わりを迎える。

 

「チッ! ギヅボギゾ クウガ!!(しつこいぞクウガ!!)」

 

都内を横切る形で逃走する第5号と俺の追跡劇は続いた。

舗装された道路上の単純なスピード勝負で分が悪いと分だ奴は階段などや砂利道、果ては林の中など悪路を選択し、俺をまこうとする。

 

まあ、車やバイクの特性を把握して走行に不向きな場所へ逃げ込む選択は賢いと思うが、無駄な抵抗だ。

 

スピードのみ追求したロードレースバイクを凌ぐ最高速度と、トライアルバイク並の走破性を持つTRCS2020(コイツ)なら、通れねえ道なんかねえんだよ!

 

段差も悪路ものともせず、時には目の前の障害をジャンプで乗り越え奴の背中に食らいつく。

 

どうだオラ女豹!

これが貴重な大学2年の夏を台無しにされた代償に得た本郷のおっさん直伝のライディングテクニックだ!!

 

…………いやホント、人生何が役に立つか分からんな~マジで。

 

◇◇◇

 

『警視庁より全車へ連絡。未確認生命体第5号は驚異的な速度で現在、武蔵村山市内を青梅方面に向かっています!』

 

八幡()を警視庁から送り届けた後、私は現在、都内を時速200km超というデタラメな速度で駆け抜ける彼らの後を無線連絡と|TRCS2020(彼のマシン)に搭載されたGPSを頼りに追跡していた。

 

彼の意思を汲んだことも、警察官としてのリスクを背負うことになってもあのマシンを託したことにも、今は微塵の後悔も迷いもない。

 

しかしそれでもやはり、一個人としてその身を案じる思いはあった。

一刻も早く彼の元に駆けつけたい。

例えこの手に持った拳銃が奴らに対し無力だとしても、出来ることはしたい。

何も出来なかったとして、同じ場所で同じだけのリスクを背負いたかった……。

 

数十分に及ぶ追跡戦の末、武蔵野市の外れにある廃ビルで動かなくなったTRCSの位置情報を頼りに私は車を停めた。

 

現場には既に複数のパトカーが停車しており、建物内への続々と警察官が突入していたので、私もそれに続いた。

 

何らかの工場跡地と推察されるビルディングの最上階。

剥き出しのコンクリートの上に廃材と埃の積もった資材置き場と思しき部屋で、第4号()第5号()は肉弾戦を繰り広げていた。

 

パァアアアン、と鳴り響く一発銃声、その直後に燃え上がる炎。

 

そんな中、一人の若い男の刑事が放った銃弾が八幡達の間を抜け、遺棄された燃料を引火させる。

 

「待って、撃たないでください!」

「何だ君は!? 離せ!」

 

警察官としての彼の行動の正当性は理解しつつ、私は慌てて彼の腕を抑え制止させようとする。

当然私の事など知らない彼からすれば『何だこの女は!?』と反発を強め、容易に引き下がらない。

 

「止めろ桜井! 撃たなくていい」

 

だがそんな私の窮状に思いがけない助っ人が現れてくれた。

 

戦闘でボロボロになったグレーのスーツに身を包んだ中年の刑事が若い刑事の名を呼び、私と同様に発砲の中止を訴えてくれたのだ。

 

「杉田さん……」

 

先程まで血気にはやっていた彼=桜井刑事も旧知の間柄らしい杉田という中年刑事に諫められた事で銃を下ろしてくれた。

 

「ふっ! ぐっ、……オラアア!」

「ハッ、ムン……ゥウウエエエエイ!」

 

一方、炎に包まれたフロアの中心で私達のいざこざなど意に介さず、クウガ()と第5号は激しい肉弾戦を繰り広げていた。

 

力に勝るクウガが一撃の威力にものを言わせたパンチやキック、肘打ちなどを叩き込んでダメージを与えていくのに対し、敏捷性に秀でた第5号それらの攻撃を可能な限り躱しながら手数にものを言わせた打撃で少しずつ彼の体力を削ごうとしている。

 

殺意と拳がぶつかり合い、常軌を逸した力が生み出す生々しい打撃の衝撃音が響く。

 

それはまさしく人の域を超えた者同士の殺し合い。

 

人間を遥かに超える力で振るわれるどこか粘り気のある拳の音が生々しく、そしてそれを演じる片方が八幡であるという事実を思うと、やはり胸が苦しい。

 

あの赤く燃える瞳が印象的な仮面の様な顔の下、彼は一体どんな表情をしているのか……。

 

しかしそんな地獄の様な戦場で尚、彼は決して逃げず、倒すべき敵に向かって進み続けた。

 

「おおおおりゃああ!」

 

拮抗していた形成に変化が生じた。

 

第5号がその自慢の脚力を利用して放った連続キックを彼は力任せに止めて懐に潜り込み、痛烈な肘打ちを喰らわせた。

 

攻勢から一転して受けたダメージに膝を衝き苦しむ第5号。

 

そこへ更に、クウガは地面を転がる様に体を回転させ、その反動と腕の力を駆使し突きつけた右足を第5号の胸に叩き込む。

 

「ぅおおおおおおおおおおおおっ!!」

「アアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

決定打となる一撃を受けた第5号は胸に光る古代文字と思しき紋様を浮かばせながらビルの壁を突き破り、空中で爆散。

 

その壮絶な戦いを目の当たりにして言葉を失う捜査員達が見守る中、クウガ()は静かにこちらを向いて――私にだけ分かる様に――小さく頷く。

 

私もまた、小さく頷いてそれに応えるのを確認すると、彼は端に止めていたトライチェイサーに跨がり、走り去っていった。

 

戦う彼の姿はどこまでも痛々しく、最後には結局見ていることしか出来ない。

自分の無力が、歯痒かった……。

 

しかし一方で戦いを制し、頷いてくれた瞬間、私の中には一種の誇らしさの様な感情も確かに存在していた。

 

彼の、比企谷八幡の戦友であるという誇りが。

 

私と彼の長い長い戦いの始まりは、こうして終わるのだった。

 

 




物語はまだまだ始まったばかりですが、ひとまずここまで読んでくれてありがとうございました!

詳細は活動報告に書きましたが、諸事情により2週間ちょっと投稿を控えさせてもらいます。

次の投稿は4月15日(日)の午前8時になります。

そして次回よりクウガの真骨頂たるフォームチェンジが登場する『第2章 超変身発動編』がスタートします!!

第1章ではゆきのん一強状態ですが、次回以降はガハマさんやいろはすなどのヒロインにスポットのあたったエピソードを予定しております。

お楽しみに!!

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