この話は基本ゆったりと更新していきたいと思います。
ではどうぞ
黒の剣士
本日も晴天なり。店を開けて早数時間、一向に客はやってこない。それもそのはず、この店は知るものこそ知る伝説の鍛冶屋!……ではなく
森の中に佇む小さな鍛冶屋なのだから。そんな所に今日初めての人物が扉を開ける。
「いらっしゃい!ってなんだ坊主かよ〜」
自己紹介はしてないが、まぁそれはそれでどうでもいいだろう。
そんなことより今日初めて訪れたのは全身を黒で統一したなんとも友達のいなさそうな1人の少年。
「で、今日は何のようだ?」
無愛想ではあるものの会話は進む。そう、彼は一応この店のお得意さまだ。と言ってもこの近くに1人で暮らすご近所さんなのだ。
「ん?っておいおい!こいつは、ついこないだ俺が打ち治したばっかのやつじゃねーか!
は?5連撃にも耐えられない?知るか!俺はあくまで刀鍛冶専門だ!たくよー…修復不可能じゃねーか〜!」
まぁ、ただのご近所さんという訳では無い。何せ目の前にいる少年は巷で有名なビーター、黒の剣士なのだから。そして自分はその剣士に剣を教えたものだ。
「はぁ…お前予算はどれくらいでここに来たんだ?
んー……ちと足りねーな…それに打ち治すだけならまだしも一から打つとなると難しいぞ?なんせ刀鍛冶だからな!」
先程から自分が主張するように刀鍛冶と言うが、それにはわけがある。もとより、剣と刀とでは全く違う。剣とは両刃があり、切るというより突く、潰すと言うのが正しい。それに比べ刀は片刃、反りがありこちらの方が切るという概念がピッタリだろう。そのため刀鍛冶に特化した自分にとって剣を生み出すというのは少々難しい。
「ってお客様ぁ、ちょっと待ってくださいよぉぉぉっ!別に出来ないことはないんですから、まぁ話だけでも聞いてって!そんなゴミを見るような目はやめて!
ゴッホン…まぁ、俺が打つとなると予算もやばいし期待も出来んが、いい店を紹介してやる。なぁに昔の馴染みだ、安心しろ。」
ドヤ顔している隙に少年が剣をしまい立ち去ろうとするので何とか足にしがみつき土下座をした所で向き直って貰えた訳だが、紹介する店というのは多分少年なら知っている所かもしれない。
「ほれ、俺の知る中じゃかなりの業物を打つぜ。《リズベット武具店》48層、リンダースにある鍛冶屋だ。
って、あ?閃光様にも勧められた?んだよ坊主〜、そんなことなら最初からそっちに行けばよくねーか?
ん?これだけが目的じゃない?」
やはり少年は知っていたようだ。それも閃光様からの勧めで、これは詳しいことを聞きたいが、それは夜の仕事である。少年は違う目的を果たすために今度はエリュシデータを出現させる。
「!何かと思えば…お前じゃ勝てないって〜悪いことは言わんから…500敗目を迎える前にやめとけ〜
あと、32戦ある?お前さんも細かいねーんじゃ…負けたら今晩、酒場に旦那とバンダナのあんちゃん達連れて顔出しに来いよ?」
口では拒否しながらも体が勝手に裏庭へと足を運ばせる。ようやく定位置につきデュエル開始まで60秒となった。
「さぁ、お前の《二刀流》がどれぐらいになったか見てやる。
―――来い、黒の剣士」
こうして、開始数秒で決着がつき黒の剣士が記念すべき469敗目を上げたのであった。