雰囲気のある夜の街、そんな中で一際賑わって見える1つの酒場。そんな所に今日も1人のプレイヤーが足を運ぶ。
「いらっしゃ…!………せ、閃光様?」
今日も今日とて人は決して多くなかった。だが、どのプレイヤーも楽しく、和気あいあいと酒を酌み交わし気分よく帰っていった。そんな中で本日最後のお客様はすでに出来上がっていた。
「あ、あのう…閃光様?本日はなんでまたそんなにキまっちゃってるんでしょうか?
へ?いえいえいえ!別に文句なんかありませんよ?!ただ…ねぇ、いつものお姿からは想像も出来ないほど荒れているので…」
閃光様は今日攻略会議に出席し一週間後にダンジョンに潜ることになっていた。そのはずなのだが、自分の知る中でここまで泥酔しているのは初めてのことだ。
「え?羽休めも必要?ははは…そうですけどね!でも羽休めるどころか今のにも飛び出してFly away!しそうなんですけど…
っ!?も、申し訳ありません!クソつまらんことを口走ってしまいました!って…あれ?笑ってる??」
普段であれば自分のつまらない発言など一蹴りにされるか目で威圧されるかのどちらかなのだが、酔っ払ってるせいで気分がいいのだろう。普段からは想像も出来ない程に腹を抱えて笑っている。
「は、ははは…んっん゛!それでですね…閃光様?一週間後にダンジョン攻略ですよね?なんでまた今羽休めなんですかっぃぃぃぃぃっ?!?!」
1度咳払いをし、元の議題に戻る。羽休めとは1つのことをやり遂げた後にするものだ。今行うのは時期がおかしい。その理由について聞こうとすると、いつも恒例の胸ぐらブンブンが始まった。
「せ、閃光様ぁぁ?!落ち着いてぇぇ?!愚痴ならちゃんと聞きますから!?せめて座ってから仰ってください!
はぁ、はぁ…そ、それで攻略会議の時また何かあったんですかい?」
少しだけ頭がフラフラするが、本人が落ち着いたから良しとしよう。いや、落ち着いたと言うには未だに態度の方は酒飲みのおっさんみたいになっている。エール片手に机に突っ伏すなど普段の嶺麗しい閃光様はどこに行ってしまわれたのだろうか
「へ?坊主とまた口論?御二方、こないだの圏内PKの事件で距離縮めたんじゃないんですかい?え?縮まったようで変わってない?いやいや、フレンド登録出来て少しだけ喜んでたじゃないですかっぁぁぁぁっ?!」
なんと、原因は黒の剣士の坊主だった。2人は先月起こった圏内PK事件を解決させた功労者だ。その時に普段は分かり合えない2人もかなり良い方向に進んでいたと旦那が言っていた。しかし、本当はそうでも無いらしい。自分の余計な一言によりなんとエールが入っていたカラの樽で横一線に綺麗に殴り飛ばされた。
「い、痛すぎる…はぁ、そんなに落ち込むならムキにならずにその場で坊主の意見も聞き入れてみるべきではないですか?それに、多分坊主も同じこと思ってますよ…へ?根拠ですかい?そりゃーご近所さんの特権ってやつですよ」
気分は晴れていないらしく沈んだままの閃光様を見かねて、ある助言をする。真偽に関しては言えないが、実際に鍛冶屋の方に来て坊主自身も少しだけ気にしていたのだ。それを聞いて少しだけ元気が出たようだ。
「閃光様、実は明日坊主とデュエルの約束があるんですよ。変わりに受けてもらえません?ん?何でって…剣士っての言葉より剣で語った方がいいでしょう?
ほら!そうと決まれば、本日はこの辺にしといて下さい。お代は結構です。その代わり、明日必ず鍛冶屋まで来て下さいよ?では、お気をつけて!」
明日のデュエルは閃光様と坊主が行うことになり、自分はそれの傍観者だ。だが、2人の先を考えるなら必要だろう。
「さてと、片付け………何で…よりによって…この酒が全部こぼれてんだ…」
先程の閃光様の攻撃で吹っ飛んだ際、この店1番の酒が全部無くなっていた。膝をつきそのまま店主は朝を迎え、虚ろな目で2人のデュエルを眺めた。
結果?結果は想像に任せるよ
夜の街は今日も賑わう
時系列はバラバラなので気にしないで下さい。