雰囲気のある夜の街、そんな中で一際賑わって見える1つの酒場。そんな所に今日も1人のプレイヤーが足を運ぶ。
「いらっしゃい!ってまた来たんですかい嬢ちゃん…」
そこにはちょっとだけ落ち込んでいるように見えるピンク頭の1人のお嬢さんがいた。まぁ、一応同業者ではあり面識もあるが、そちらの方には滅多に顔を出さないのに酒場の方にはここ数日ずっと来ている。
「はぁ…坊主と副団長殿が籍入れてから毎日来てねーか?そんなに辛いか?ん?ってブフォォッ?!」
原因はある2人の結婚だ。まぁ、俺は血痕を残しているがそんな寒いギャグは放っておいて、無慈悲にもエールを飲み干した樽ジョッキが頭へと降り注がれた。
「いや、ごめんなさい…調子乗ってました…
まぁ、一旦落ち着いて…ほい、ジントニ。え?気分じゃない?はぁ?!ウォッカロック?!やめとけやめとけ…旦那でもクラクラするんだぞ?」
涙目の少女に胸ぐらを掴まれ揺さぶられるという何とも間抜けな光景だがもうみんな見飽きたことだろう。とりあえず酒を渡し落ち着かせるが、どうも今日は酔いたいらしい
「うるさいって…可愛くねーな。だから副団長殿に坊主取られんだよ!っは!?嬢ちゃぁぁぁん!?泣かないで?!俺が悪かった!今日のお代はオマケするから!はい!ウォッカロック!イッキしたのぉっ?!」
自分の爆弾発言により急に泣き出す嬢ちゃん。こんな光景誰が見ても勘違いするだろう。宥めるためにとりあえず酒を渡すがそれを一瞬で飲み干した。
「ちょっと待って…マジで落ち着いて。やけ酒なんてホントに良くないですから…それに、坊主のことは本当に仕方ないんですよ…」
坊主のことに関しては前から口うるさく詮索しないよう言い聞かせていた。坊主の口から聞かせてもらえないようでは隣にはいられないと知っているからだ。
「嬢ちゃんは確かに魅力的ですよ。何を隠そう、このイケメンが断言してやる。え?そんなのどこにいる?いやいや、ご冗談を目の前にいますよ?
っ!?す、すいません…本当に1回口縫い止めます。」
冗談半分のつもりだったのだが、目の前の酔っ払いには通じず、一瞬にしてツマミをさばくナイフを眼前へと突きつけられた。
「ですが嬢ちゃん。坊主の事は仕方ないんですよ…もしも、坊主に出会うのがもっと早ければ隣に入れたかも知れませんがね…ま、嬢ちゃんはこれから坊主よりもいい物件探せばいいだろ?へ?そんなものあるはずがない?またまた目の前にいるじゃないですか…っ?!本当にごめんなさい」
嬢ちゃんの気は晴れない。また、軽い口を開くと先程よりも確実に早い速度で首元にナイフを突きつけられた。
「はぁ…どうぞカンパリ・ビアです。まぁ失恋の時に飲むカクテルだな…うちでは扱ってねーけど特別に。嬢ちゃん、坊主には背負ってるものがいくつもある。それを一緒に背負い共に生きていけるのが副団長殿だった…」
1つの酒を提供する。なんでも失恋時にこれを飲む若者が多いらしい。自分にはよく分からないが多分何かにひたれるのだろう。そして、何かに浸りたいのが嬢ちゃんなのだろう。
「嬢ちゃんは本当に魅力的だよ。ただ、出会った時期が悪かった…そんだけ。だから、気にしなくていいと思うぞ?そんなことより、もっと前みて新しい出会い探さねーといつまでも独り身だぞ?…俺みたいに……」
ボソッと呟いたつもりだったのだが聞こえていたらしく、嬢ちゃんは今日初めて腹を抱えて笑った。
「そんだけ笑えれば充分だろ。それに坊主の性格じゃまだまだつけ入る隙はあるぜ?見落とすなよ?頑張れ、恋する乙女!
けっ!柄にもねー話するもんじゃねーな…お代はいい。面白い話が出来たら教えてくれ…じゃーな。」
やけ酒なんてストレスを抱えた社会人がしそうなことをうら若き嬢ちゃんがしながらも悩みを何とか解消し、店を去っていった。
夜の街は今日も賑わう