雰囲気のある夜の街、そんな中で一際賑わって見える1つの酒場。そんな所に今日も1人のプレイヤーが足を運ぶ
「いらっしゃい!おっ、旦那じゃないですかい!」
入店してきたのは自分が旦那と慕う、ガタイのいい黒人。こんななりだが、商人として活動しており拠点となる50層のアルゲートは坊主の2つ目の避難場所だ。
「今日はどうしたんですかい?色々って…まぁ、とりあえずどうぞ。いつものウォッカとスライスしたサラミです。
それで、ホントにどうしたんすか?」
何やら普段より元気がない。客商売の時のあの覇気は何処にいってしまったのかと疑いたくなるほどに。しかし、考えてみれば原因など一つだった。
「…嫁さんのことやっぱり心配ですか?
そりゃー分かりますって。大方、この世界での本当の夫婦ってやつを見たんでしょう?」
的をに捉えた問いかけに旦那は驚き、こちらを向くがまたすぐに視線を落とし、落ち着いたように自分の言葉を肯定していく。
「旦那、俺達がこの世界に来てから早いもんでもう2年が経ちます。2年間大切な人をずっと思い続けて、それでも弱みも見せず多くのプレイヤーを支えてきたのはあんたですよ。今日くらいは溜まってるもん吐き出してもいいじゃないですかい?
幸いなことに男泣きには慣れてるんで!」
そう言うと、一瞬小馬鹿にするように鼻で笑った旦那は静かに泣いていた。
「まぁ、これも職業病ってやつですかね…ありがた迷惑なもんですよ。
旦那、嫁さんは今でもきっと旦那の帰りを待ってますよ。なんで?そりゃーそうでしょうよ。こんなにいい男が涙するくらいの女だ。それが旦那の事を忘れてどっかに男作るような人だとは思えないっすよ!」
自分の本心を伝えると旦那は涙を拭い、いつも以上に腹を抱えて笑っていた。
「世界一の嫁って…はぁ、俺もいつか言ってみたいっすよ。もう…涙は出ませんか?ん、ならいいっす。」
人笑いしたあとは、真剣な表情で惚気話をされ逆にこっちのメンタルが抉られそうになる。だが、旦那が元気になったのなら今はいいだろう。
「え?俺?残念なことに旦那と違って待っているのは厳しい現実だけですよ…それどころかそんな相手を作ってたら、いつの間にかぼっちライフがスタートしてました…もう、オフトゥンから出たくない…」
感動的な話が一転、急に自分の傷口に塩を塗る、何とも痛々しく見ていられない様な会話が始まる。それと同時に自分の足に力が入らなくなるのもわかった。
「いいもん!俺だっていずれはボンキュッボンの超綺麗なお姉さん見つけるし!そして、いつかこの店を…2人の愛の巣にしてみせる!
旦那…その無理だろみたいな顔やめてくれません?あと普通に引かないで?ボッチにやっちゃいけないことランキング56位と101位ですよ?え?1位は何?そりゃーあれですよ…ペア決めとかの……―――」
誰しもが強い訳では無い。でも、何かを背負っている人ほど強いのは確かだ。それを再確認し
夜の街は今日も賑わう。