雰囲気のある夜の街、そんな中で一際賑わって見える1つの酒場。そんな所に今日も1人のプレイヤーが足を運ぶ
「ん?すまねーな客人、もう閉店…ありゃりゃー珍しい。久しぶりですね、団長殿。」
「うん。久しぶり、だね」
夜も更けて街の光が失われつつある深夜、ひと仕事終え片付けも終わらせ閉店の準備をしている時、客人はそこにいた。
「エールで?」
「いや、酒は必要ない。それより今は2人だけだ、崩したまえ」
「んじゃ、お言葉に甘えるよ。んで、アッキーは何飲むの?」
「…崩しすぎではないか…それと酒はいらないと言っただろう。」
崩せと言われたから崩したもののアッキーは苦笑いしながらもこちらにボケにツッコんでくれる。
「またまたぁ〜出せば飲むじゃねーか!ほれ、駆けつけ一杯。」
「別に飲み会に遅れたわけでもあるまい。それに駆けつけ一杯とは駆けつけ三杯の誤記だ。」
「硬いこと言うなって、とりあえずお疲れさん。」
「はぁ…そうだな。」
未だにツッコミのキレは落ちていない。互いにエールを片手に乾杯し、一気に飲み干す。
「ふぅ〜!…偵察部隊、帰還してないらしいな…」
「あぁ、予想はしていたがね。尊い犠牲だ」
「ふ、さすがは生みの親割り切ってるね〜」
「君の方こそ知っていてその口ぶり。嫌味として捉えるよ。」
この会話傍から見れば検討もつかないだろう。まぁ、1人の坊主を除いてだが。今はどうでもいい、何故2人がこんな会話をしているかと言えば時期わかるだろう。
「そりゃどうも…アッキー、お前さんあのデュエルの時やったな?」
「…はぁ、お見通しか…彼の勢いに気圧されてしまってね。あれは私にとっても失策だったよ…」
自分の言葉を否定する訳でもなくすぐに肯定し、後悔するアッキー。無理もない、あの速さは異常だ。第三者には気づかれないだろうが、当事者である坊主は何らかの違和感を覚えたであろう。
「その通りだ。俺の感が言ってる、お前は近いうちにあの二人に殺される。」
「あの二人?勇者は1人のはずだが?」
「ばぁーか、これだから頭カチンコチンのやつは困るんだよ…勇者様にはお姫様が付き物だろ」
「!そうか…君がそう言うのであれば、そうなのだろうな」
そう、これはもう間違いないだろう。本当であればもっと先のところで待つはずの結末だったが、遅かれ早かれバレていた。その相手が坊主ならばアッキーは満足だろう。
「…アッキー…俺なら、」
「この世界に来て、随分と経った。様々なものを見てきた。人の営みも、その生死も…
―――…だが、まだ足りないんだ…まだ見届けていたいものが多くある。私はまだ、死ねない。」
「!そっか…よっしゃぁ!んじゃ75層攻略に向けていっちょ作るか!」
その時のアッキーの顔は何かを決意するような顔だった。その表情を見た時、自分は突き動かされるようにある品を作り上げる。
「お待ちどお!」
「!ふっ…驚いたよ。どうやって作ったか参考までに…」
「いいから食え!んでアッキーの口から直接感想聞かせろ!」
「ふむ…」
器に手を添え麺を啜り、レンゲでスープを飲む。
「うん。これは、正真正銘《ラーメン》だ」
何となく笑ったように見えた。気のせいかもしれないがな。
「アッキーまたな」
「…あぁ」
そう言って食事を終えたあと団長殿は店を後にしていった。その背中を見届けるとともに自分の仕事は終わった。
「本日をもって、酒場閉店!!!」
夜の街はこれからも賑わう。
これにてSAO編における酒場は閉店でございます。
次回からALOでの開店になりますのでしばしお待ちください。
では、またのご来店を