本日も晴天なり。店を開けてから早数時間、今日はなんだかんだ素敵な出会いがあるような気がしてしょうがない。そんなウハウハな私だったが目の前には鬼の形相いや、悪魔?とりあえずかなり怖い顔をした人物がそびえ立っている。
「あ、あのぅ…閃光様?本日はどういったご要件でいらっしゃったのでしょうか…?」
あまりにも機嫌が悪いのか美しき白と赤を基調とした服装、血盟騎士団の証である一式が黒いオーラを纏っている。
「っ!…ごめんなさい!すいません!一旦呼吸をやめますから、そのゴミを見るような目だけはご勘弁をっ!!」
一瞬目が合っただけで身体中を寒気が襲いつい反射的に土下座をしてしまう。自称ではあるものの世界一頭が軽い人間の速度は計り知れない。すると、閃光様がようやくを口をお開きになられた。
「え?いやいや、私程度の人間が貴方様のお名前など口にするなどおこがましいの極みです……せめて、いや!副団長殿でお許しいただけないでしょうか?
それでですね…副団長殿?本日はどういったご要件で…?」
そうすると、副団長はため息を着きながら目の前のカウンターに1本の細剣を出現させる。製作者はリズベットと書かれており彼女の愛用している細剣だ。
「へ?打ち治してほしい?こいつは嬢ちゃんが打ったレイピアじゃないですかい?なんでうちなんかに?
ん?坊主と嬢ちゃんがあの一件以来、妙に親しくて行きづらい?」
先程の鬼のような形相が一変、急に椅子に座りこんだかと思うと、涙目になりながら俯き始めた。
「はぁ〜…まぁ、坊主は不器用ではありますが、人たらしの才能がありますからね〜。そんなやつに嬢ちゃんの店進めた副団長殿にも責任があるんじゃないですか?」
俯いたと思いきやそのまま伏せて両腕を枕にしてその腕に頭を乗せながら珍しくも弱々しい姿を見せる。
「まぁ、と言っても坊主が嬢ちゃんに心はひらかんでしょーよ…色々とありましたから……」
副団長殿は何のことかわからないっと言ったように頭の上に「?」を浮かべているが、ついつい零れてしまった小言だ。自分が話していいことでもない。
「いえ、独り言です忘れてください。それでレイピアの打ち治しですが、これはやっぱり嬢ちゃんの店でやって貰って下さい」
レイピアを鞘に収め、副団長殿の目の前に置き換えす。その瞬間にガバッと起き上がり胸ぐらを掴んでブンブンと頭を揺らす。
「ふ、副団長殿ぉぉっ!お、落ち着いて、頭がっ!もげるからぁ!
はぁ、はぁ…あのですね…ここでウジウジしてても変わらないですよ?坊主の隣に居たいのなら行動に移しなさいな。大丈夫、副団長殿ならできますよ。」
一旦落ち着かせると副団長殿はストンと椅子に座りこみ目を覚まさせるように、一度両頬をバチンと叩き再び立ち上がった。
「余計なお世話かも知れませんが、坊主は今家で寝てますぜ。ほいっと家までのルートです。ではご健闘を!」
そういって、副団長殿に向かって綺麗に敬礼すると副団長殿もまた笑いながら敬礼し勢いよく扉を開け駆け出していった。
「恋する乙女は強し、とは言うが…あんな坊主がべっぴんさん手玉に取れるなんて、はぁ…
―――レイシック受けよ」
嵐は去り、今日も今日とて鍛冶屋は正常運転。