雰囲気のある夜の街、そんな中で一際賑わって見える1つの酒場。そんな所に今日も1人のプレイヤーが足を運ぶ。
「いらっしゃい!ん?妹ちゃんじゃねーか!珍しいな、1人でくるなんざ。」
「主さん…」
「ん?どした?」
「この店で1番強いお酒を下さい…!」
「えぇ…?」
扉を開け、店に音を響かせた客は時々女子会と称して自分の店に多大なる被害を与えているメンバーの1人。それも、副団長殿に続いて…いや、ほぼ同レベルと言っても過言ではないほどの酒豪にして、絡み酒が悪目立ちする少女。坊主の妹にして、将来的には副団長殿の義妹になるお方。何やら今日は妙に虫の居所が悪そうである。カウンターに座るなりこの有様だ。
「と、とりあえずほい。いつものなんちゃってカシオレ…で、今日は何度そんな……」
「んっん…!ぷっは〜!」
「一気するなよ!?ヤバいって…意識飛ばしてログアウトはマジで洒落なんないから!」
「テキーラストレートで」
「せめて、ロックにしなさい!」
酒を出すやいなや瞬く間にカシオレを一気飲みし勢いよくテーブルにそれをたたきつける。それもいつもより回るのが早いのか続いて頼んだ注文がヤバすぎる。若いヤツらが飲み会の罰ゲームで飲み様な物を自ら好んで頼むなんざ今まで事例がない。
「いやいや!そうじゃなくて!どうしたんですかい?なんでまたそんなに荒れちゃってるの?!」
「……」
「はぁ…大方、また坊主の事か?」
「そうなんですよ!!!」
「へぼぉっ?!?!」
頭を少しだけ下げ顔を俯かせていたため、どーせまたあの坊主絡みの事だとばかり思っていたら予想的中。顔を起こした瞬間、頭が主の顎へとクリーンヒット!巨体を中に浮かせて脚が着くよりも先にその体が地面へとたおれふせた。
「聞いてくださいよ主さん!!!」
「う、うん。ちゃんと聞くから…はい、なんちゃってピーチフィズ…」
「んっん…!ぷっは〜!」
「だからぁー!ねぇ?!なんで一気するかな?!」
「実は…」
「すげーな…ツッコミスルーして回想入れんのね…」
事の発端は、つい先日の事。部活に行く前の朝、事件は起きた。兄である坊主が自分よりも早く家を出たのだ。それもいつも以上に決めった格好に、いつも以上に緊張した顔つきで出かけて行ったらしい。デートだろうと察したまでは良かった。だが、問題はここからだ。なんと、部活を終え家へ帰宅すると…そこには、恋人である何故か潤っている副団長殿とげっそりとして疲れ切っている坊主がいたらしい。
「ほうほう。まぁ〜…察するにエッチwasみたいな…」
「ぎゃぁぁっ!!!」
「ぶっ!はぁっ?!?!」
「みなまで言わないでください!」
「ぁ、ぁ………」
少女(??)の悲鳴とともに自分の体がくの字に曲がる。決してガリガリという訳でもない、なんなら強靭な体に含まれるはずのこの体がくの字に曲がったのだ。衝撃が強すぎて外に逃がすことも出来ず、腹を抑えたまま主はその場に倒れ伏せる。
「ま、まぁ…年頃の男女だしな…仕方ねーって言ったら仕方ねーんじゃねーか…??ほ、ほれ…焼酎、水割り…」
「んっん…!ぷっは〜!」
「だ、から…一気すんなよ…」
「私だって仕方ないって思ってますよ…でも……」
「まぁ…妹ちゃんも坊主に惚れてたしな〜?」
「何か、言いました?」
「……いえ、呼吸さえしてないです…」
身の毛もよだつ殺気とともに目で殺されかけた主。そう、目の前の少女は坊主…その少年に惚れていたのだ。確かに関係上兄ということにはなるがあくまで義理なので実際大丈夫なように見える。しかし、当事者的にはそれが大きな問題になってしまうらしい。そのため恋心を抑えているものの自分のすぐ近くで惚れた男がそんな事をしていたら妬むのも必然的だ。
「はぁ……妹ちゃん。思うところがあるのは仕方ねーよ…でも、お前さんだって坊主にとっちゃ、大切な妹なんだよ。大切にされてんだ。だから、ちゃんとその目で2人を見守って、祝福してやれ。ほれ、サービスだ。お望み通りテキーラストレート。グラス並々についでやったよ…」
「……んっん……主さん…」
「へっ!これは流石に一気出来ねーだろ…って…妹ちゃん?!ちょ、ちょっと待って?!」
「あ、主さん…ふ、袋…」
「この世界にんなもんねーよ!せめて、便所…いや、外に出…?!」
「ん゛っ?!」
「………あぁーあ……ヒロインのこんな絵面…見たくなかった……」
不満を暴露し、思いを確かめ。
夜の街は今日も賑わう
久しぶりです。アリシゼーション見ていますでしょうか?自分は基本溜めて見るためまだなのですが、小説版とは違うのかな〜とか色々おもってソワソワしています。
話は変わって、前までのシリアス主をお求めの方は申し訳ございません。当分はギャグが続きますのでご了承ください。
では!