雰囲気のある夜の街、そんな中で一際賑わって見える1つの酒場。そんな所に今日も1人のプレイヤーが足を運ぶ。
「まっずい…!」
「エールもダメか…」
今日のお客人は、なんとなんと!巷で有名な絶剣の少女。ALO最強とも呼び声の高い御方がこんなみすぼらしい薄汚れた酒場へと足を運んだ。しかし、その実…少女は本当に少女である。エールの味は愚か酒の素晴らしささえ知らない純粋無垢な少女だった。
「酎ハイになんちゃって果実酒…数種のカクテルにエール…全部ダメとは…ボクっ娘〜お前さん酒向いてねーんじゃねーか??」
「むっ、失敬な!ボクは立派なレディだよ!ワインをお願い!」
「……はぁー…赤と白どっちがいい…?」
「??何か違いがあるの??」
「だはっ〜!…あのなー……はぁ…違いは色々あるが…白ワインの方が初心者向けだ…」
「じゃあ赤で!」
「話聞いてたのか?!まともにアルコール飲めねーなら白にしろ!ちょっとした魔法かけてやるから…」
「ん〜…仕方ない!マスターに免じて白にしてあげる!」
「どの立場なんだよ…ほれ」
どの酒を飲んでも決まって一言目に不味いと口にする少女。まぁ、無理もない。見た目からして…いや、年齢からして酒の味が分かるような歳ではない。そんな少女のために主はある秘策を思いつく。副団長殿さえこの秘策の前に倒れ。結局ワイン好きのただの呑んべぇになったのだから。主は少女の前に炭酸含むジュースのように甘いワインを出す。
「?ワインってこんなにシュワシュワしてたっけ??」
「あー、気にせず飲め。」
「…美味しい!」
「たりめーだ…うちで1番いい白ワインをシャンパンにしてやったんだからな…」
「あ!飲んだことある〜姉ちゃんの誕生日で!」
「そいつはジュースだ!ただの白ぶどうのジュースに炭酸入れてるだけじゃねーか!」
頭にはてなマークを浮かべながらも少女はそれをアルコールだと知った上でワイングラスを片手に持ち、一気に口の中へと流し込んだ。数秒待ったあとに出てきた感想は、まさかの誕生日パーティーなどで用意されるジャパンジュースの感想。予想通りではあるが、中々に残念な気持ちになる…酒の味について討論できるのは旦那ぐらいしかいない…そんなことを考えていると自分の酔いを吹き飛ばすような爆弾発言が聞こえた。
「えー!味は一緒だよ〜ちょっとふわふわしてるけど〜」
「ボクっ娘…お前さん、あんちゃんと同じくらい馬鹿舌だぜ…ん?ふわふわしてる??」
「あははははっ!!マスターが二人いる!!!」
「ボクっ娘ぉぉぉっ?!それ以上飲むな!!!」
「えーー??」
「ラッパするなぁ?!そういう酒じゃねーからぁ!!!」
今までの蓄積があったにしろ無かったにしろ、幼気な少女はなんとも似合う絵面でスパークリングワイン(シャンパン)の瓶を片手にそれをラッパ飲みしていた。すぐさま止にかかるが時既に遅し…酒瓶は空。少女は完全に決まっていた。
「……やっべ〜……!」
「あ゛っははは〜!!!マスターの間抜けな顔が…1、2、3…」
「ボクっ娘…2階貸してやるから寝ろ……」
「えー!まだ飲みたい!テキーラとかウォッカとか!!」
「女のゲロ程タチ悪いもんはねーぞ……」
完全に決まり始めた少女。まぁ、無理もない。量は少ないにしろ、今日初めてアルコールを飲む少女が混ぜに、混ぜ合わせてちゃんぽんしまくったのだ。そしてトドメのシャンパン。普通ならテーブルに伏せて寝てしまってもおかしくない。それなのに意気揚々にあんちゃんのような注文をしてきたため主は顔面蒼白だ。
「変な感じ〜」
「あ?」
「アルコールの味なんて分かるはず無かったのに…今は何となく、美味しさも…その怖さも理解しちゃった〜」
「いいこった…やらかす前に分かるなら今後心配いらねーな」
「うん。でも、1回くらい何かやらかしちゃった…って言うのを記憶にしたかったかな〜……」
ラッパした影響なのか元々、少しだけ弱気になっていたせいなのか少女は酔っているのか、酔っていないのか分からないテンションでテーブルに伏せながら不満を零した。普段なら有り得もしない光景なのだが、今日だけは許してやろう。彼女に残された時間は…もう……
「はぁ〜……何が飲みてーんだ?」
「え?」
「やらかしてみてーんだろ?とことん、つきあってやらぁ…」
「!…じゃあ〜テキーラ!あと、塩かレモン!」
「りょーかい。」
「……ありがとう…マスター…」
「…ちっ…つけにしといてやるよ…ちゃんと払いに来やがれ…」
互いに結末を知り、それでもなお先を見据える。
夜の街は、今日も賑わう