初めての方は初めまして!久しぶりの方はごめんなさい!
主の復活です。
初等錬士
本日も晴天なり!
店を開けて早数時間、一向に客はやってこない。それもそのはず、この店は知るものこそ知る伝説の超スーパーウルトラデラックス鍛冶屋!
などではなく裏路地に佇む小さな鍛冶屋なのだから。そんな所に今日初めての人物が扉を開ける。
「いっらっしゃい!ってなんだよ、初等錬士殿はよっぽど暇らしいな?―――坊主?」
「…世界を変えても、変わることの無い店だな〜…閑古鳥…泣きわめいてるじゃないか」
「わめいてはねーよ!!久しぶりに打ち直しの依頼が入ったわ!」
「俺とユージオ…リーナ先輩…それ以外でか?」
「………ソ、ソルティリーナ上級修剣士…様のです……」
「…はぁ…相変わらず、酒場は儲かってて良かったな?」
「俺だってやり直せると思ったんだよ!こんなことになるなんて思わなかったんだよ〜!いじめんじゃねーよぉ…!!!」
「成人越えた大人のマジ泣きなんて…見苦しいにも程があるぞ」
「かはっ…?!?!」
本日2人目のお客様はなんとなんと、いつのなったら切れるのか?いや、切れることの無い腐れ縁をぶら下げた黒の剣士。いや、キリト初等錬士様であった。その毒舌っぷりも然ることながら、こちらのメンタルを削るに削る。正直、私こと主のメンタルは…ほぼ0です。
「んな事より!お前さん…まぁたか?」
「あぁ、また、だな…」
「…その剣なぁ…研ぐには割に合わねーんだよ…!!!」
「知ってる」
「何をどーしたら、それ程のもんをそんなにできんだよ!」
「あんたとやり合ってるからに決まってるだろ!」
「……俺のせいか…」
「当たり前だ!使い手である今の俺の技量が未熟なのもある…でも、明らかにあんたとのデュエルでの欠損が酷い…」
そう、坊主の使う『夜空の剣』これは俺がこの世界で初めて成功した名剣だ。その辺の鈍なんかじゃ間違いなく傷一つつけることの出来ないほどの業物。なのだが、生憎と俺の打ち出す刀はどれもこれもが素材に恵まれなかった『呪刀』威力の代わりに耐久が絶望的な欠陥品ばかり。
それでもデュエルの度に打ち合えば嫌でも欠損する
「はぁ……仕方ねーな…ほれ、打ち直してる間はそいつ使え…」
「……脆いな…」
「言うな。俺の手持ちの素材で打てる1級品だぞ?」
「1級品、ね…これを一振で全損させるあんたは何もんだよ…」
「しがない寂れた鍛冶屋だ………」
「そんな奴に負けたとなれば…リーナ先輩が何を言うか…」
「お前さん…まさかとは思うがまだ俺が『アインクラッド流』の始まり…とかいうの撤回してねーのか…?」
「………」
「坊主ぅ…〜!!!」
「仕方ないだろ!あんたほどの剣技を見れば撤回できるわけだろ!」
そう、この鍛冶屋にて俺はある剣士達と刃を交えたことがあった。もちろん、坊主や美少年は当たり前のように俺と剣を交えている。その中に、1つこの世界において生まれた頃から剣に関わり、俺の剣を知らぬものと刃を交えてしまった。
それが事の原因である。数多くある流派、そのどこにも属さず、歴史を読み返したとて存在しない流派。それが、『アインクラッド流』らしい。そして、俺はその原点となっているようだ。
「……なにが…『アインクラッド流』だよ…お前さんはとっくに、俺とは違う剣(二剣流)を見出したろうが…」
「あの世界では、な…」
「……英雄様も現状じゃ見習い剣士か…」
「そういうこと…で、見習い剣士に剣を教えるのが…『アインクラッド流』の元となったあんたの仕事だと思うんだけど?」
「…はぁ…懲りないねぇ〜お前さんも」
「はっ、まだ―――500敗してないんでな!」
「あと32戦しかねーだろ…」
裏庭へと出る。そこにはかつての二剣流ではなく、堅実な構えに基礎を重んじる剣士の構え。
対するは懐から刀を抜くことなく、その柄に手をあてがうだけの刀士
「瞬き厳禁」
「刹那に終わる神業…か?」
「…負けたら…美少年とゴルゴロッサのガキ…2人まとめて連れこい!!!」
「あんたが負けたら、つけといた分…全部チャラにしろ!!!」
記念すべき469敗目をした坊主が地面に転がっている。その光景こそが俺たちのいつも通り…そう、
今日も今日とて鍛冶屋は正常運転。