初等錬士 after
雰囲気のある夜の街、そんな中で一際賑わって見える1つの酒場。そんな所に今日も1人の剣士が足を運ぶ。
「いらっしゃい!お、来たな〜坊主〜」
「…給料日に目をつけて呼び出したのはあんただろ…」
「おうよ、しっかりと貸切にしてやったぜ」
「!バカ!そんな事したら俺の懐はどうなる?!?」
「はっ!冗談だ、常連連中も今しがた帰ったんだよ。それ、さみーから扉閉めてカウンター座れ。」
本日のお客様はなんと、つい先日あのウォロ・リーバンテインと引き分けた今をときめくスーパー剣士であった。まぁ、あの世界の坊主を知る自分からすればようやく感を取り戻したといったところだろう。
だが、功績に変わりはない。祝ってやるべく呼び出したのだ。
「あの金髪坊主に勝ったんだろ?お祝いしてやる」
「……明日は槍が降るのか?」
「さぁてと、初っ端からウォッカストレートで良かったか?」
「勘弁して下さい…」
「おい!俺の十八番をとるな!!」
座るなり親父臭くタオルで顔を吹き、ひと息着いたのも束の間一瞬でカウンターに頭をぶつけ深々と頭を下げる坊主。その光景についつい情けないツッコミを入れたが気にするな。
「たく、ほれエールだ」
「サンキュ、んじゃ」
「「カンパーイ!!」」
「!上手い!樽変えたのか?」
「お?分かるか?坊主?実はな最近良い取引先が見つかってよ〜ほい、お通し」
「ん、こっちにもこんな上手いエールがあるとは…最近はワインばっかりで正直飽きてたからな」
「確かにな〜この世界の主流がワインのせいか…エールはほとんど出回ってなかったしな…てかよ〜」
「ん?なんだよ…?」
エールを飲みつつ、お通しの小アジのなんちゃって南蛮漬けを続いている坊主が頭に?を浮かべながらこちらを覗く。
この少年との付き合いはそれなりに長い。そのせいか、成長している姿がひしひしと伝わり、感動を通り越して呆れている。
「初めて酒飲んだときゃ…1杯でベロンベロン…挙句の果てにゲロまみれ…」
「んぐっ?!」
「今となったら…酒の味まで分かる程に…悪い方に成長してんな〜!」
「だ、れ、の…せいだぁ!」
「いや、お前さんだろ」
そんなこんな、ふざけたやりとりをしながら夜が更けていく。2人の酒も中々に回ってくる時間帯へと突入した。
「あぁ?美少年に飲ませるなぁ?なんでだよ?」
「ユージオの…あいつの酒癖はやばいんだよ…」
「やばい?どーせ、ゲロ吐いたり、笑い出したりとかだろ?」
「!……ア…」
「?…ア?」
「…アスナを…酔った時のアスナを……思い出した……」
「………そ、そっか〜………」
「「……」」
美少年…あのルックスにしてあの性格。非の打ち所のないような少年が…あの酔剣使いを彷彿とさせる?坊主の表情に嘘はない。なぜなら怯え方が全く一緒だったから。
「なぁ…坊主?」
「…なんだ?」
「あのよ…あの〜…来週…美少年が予約入れてんだけど?」
「……」
「それも…貸切で」
「今日が飲み納めだな。」
「てめぇ!助けるという選択肢はねぇのか!?!?」
「酔った時のあいつは…―――俺より強い」
「え?本当に酔剣使いなの?」
あの頃を思い出し、青ざめ、笑いあった。
夜の街は、今日も賑わう