本日も晴天なり。何やかんや、坊主がいなくなってから副団長殿も顔を出さなくなり店が暇になりつつある今日この頃。まぁ、結婚してるから仕方ないがちょっとだけ寂しい気持ちを持っていた。そんな所に驚くべき客が迷い込む。
「いらっしゃい!……はぁ…久しぶりだな、AI」
扉を開けて入ってきたのは虚ろな目をした幼い白のワンピースを着た少女だった。こんな子供のプレイヤーがたった一人で鍛冶屋に来るだろうか…いや、そんなことは無い。普通であれば始まりの街から出歩くことは無い。だが、自分はこの少女を知っている。
「?お前…まさか…!そうか…もう、何も無いんだな…」
初めてあったのではない。だが、様子がおかしかった。思えばこの子は自分を見ているようでその瞳に何も映してなどいなかった。そうこの子はもう…
「…来な娘、お前に俺の仕事ってやつを見してやるよ!」
首をかしげ顔をキョトンとさせる少女。その子の手を握り笑いかけ自分の工房へと足を運び、安全な場所へと座らせた。
「危ねーからそこで見てろよ!瞬き厳禁、刹那に終わる神業だぜ?」
鉄を打つ。響く音は空間を響かせる。熱を帯び赤く変形する刀身は打たれる度に輝き、魂が籠る。何度も何度も何度も、その光景に娘は目を輝かせているように見えた。
「よし、出来た…後は製作者をunknownにして…ほれ、護身用に持っときな!大丈夫!前みてーに妖刀にはなってねーって言っても覚えてるわけねーか…」
護身用にしては余りにももったいない正真正銘の業物だが、そんなものはもういい。今はこの子をある場所へと行かせることが重要なのだ。
「悪いな娘。俺にはお前を守ってやる権利はねぇ…でもな、お前が探してた奴らの所まで導いてやることはできる。」
そう言って、ある場所を記したメモと1つの転移結晶を娘に手渡す。それを見ても理解出来ていないように娘は首を傾げる。
「娘、この人達に出会え。俺なんかよりも喜びも、安らぎも知ってる。こんな世界でも希望をもってるいいプレイヤーだ。だがら、必ずお前が本来のお前として伝えるんだ。2人と過ごして感じたこと、わかったこと…なんでもいい…お前の本心を伝えてくれ。いいな?」
言葉はない。ただ、静かにコクリと頷く。その動作は本当に幼い少女そのものだった。
「よしっ!いい子だ。じゃーな…―――ユイ」
少女の名前を口にする。その瞬間何故だろうか、少女が笑ったのだ。そして、自分の事を覚えているはずのない少女は…
「っ!…んだよ…狸寝入りでも決めてたのか?
…名前覚えてんじゃねーか…」
自分の名前を口にし、虚ろな瞳にもう一度光を灯した。そうして、刀を抱えながら駆け出し店を去っていった。
「はぁ、そろそろかもな…」
理解し難い言葉をポツリとつぶやき、今日も今日とて鍛冶屋は正常運転。
余談ではあるが、この数日後、始まりの街の地下に隠された隠しダンジョン。そこに潜む90層クラスのボスをたった一人で討伐した元攻略組の噂。その真相は誰も知らない。
すいません┏○┓リアルが忙しく、投稿出来ませんでした。
あとほのぼののにシリアスになってしまいました┏○┓
誠に申し訳ございません┏○┓