「ただいま~」
揚げ物をしていると帰ってきた声がした。
「大丈夫だったか、アーチャー」
「……たわけ。買い物はオレもした」
その言葉に士郎は苦笑いを浮かべたのだった。天婦羅を揚げてめんつゆを
「おせわになりまぁす」
「・・・」
ナンカイタ。
「……エミヤシロウ。ソイツらは何者だ」
「……おおよそ事情は理解した。初めまして、衛宮 アーチャーだ。君たちは離れを使うと良い」
天婦羅を出してため息をつく。頭が痛い話ではある。
「んー、兄ちゃん料理うまいのな」
「勝手に食べるな!!」
白髪の神父、エドワルドは天婦羅を頬張りながら豪快に笑った。この人本当に神父なのか?
「いやー、実のところ冬木の神父が死んでこっちに回されたときは己の不運を嘆いたものだが案外悪くもないものだな」
「死んだ……?」
「おう。冬木を担当していた神父が死んで俺はこっちに回されたの。で、そんときにシスター二人とこの馬鹿をつれてきたんだよ。よろしく」
言峰が死んだ、のか。
次の日もほとんど今日と似かよっていた。違ったのは一つ。オレは熱を出して学校を休んだ。久しぶりの熱に慣れず動きにくい。英霊になってからはこんな風に熱が出ることも無かった。いや、無いに決まっている。
だるいし、心細い。
……いや、心細いなどと。
眠れば夢を見る。赤く燃え盛る冬木の事を思い出す。そらから溢れる黒い聖杯の泥が体を焼く。あれは……。
ガシャンッッ
物音で目を覚ました。体はすっかり軽くなっている。喚んでいる。英霊としての私が呼ばれている。
「……英霊として、その呼び声に答えよう」
令呪の細い糸を辿り、私は
「・・・蔵」
「アーチャー……!?」
私は即座に魔力を回す。呪文を叫んで、やってきた蒼い全身タイツに短刀を刺した。
「ルール・ブレイカー!!」
魔力を根刮ぎ持っていかれた感覚にぐったりとする。
「ッ……てめぇ何した」
「貴様の令呪を、解除した」
その言葉に彼は目を見開く。これでバックアップが無くなれば弱体化した私とて
「テメェ、アーチャーか」
その言葉にぴたりとオレの動きが止まる。こう言うときに言うのは、ええと、ああ。
「気がつくのが遅いわ、たわけ」
オレの苦情にランサーが平謝りをしたのを聞き届けて体を起こそうとしたが、持っていかれた魔力が大きすぎたらしい。上手く起き上がれずに倒れこんだ。
「……取り合えずあの嬢ちゃんが追ってきてるしオレが処分してくるわ」
「それなら誰かと契約を……」
じとっとランサーがオレと士郎を見比べる。何だ、何かあったのか……??
「坊主にはアーチャーの令呪がある。んで、アーチャーがフリー……ならオレはアーチャーと契約するか」
・・・。
むぅ、それが矢張りどう考えても最適解になるな。私と士郎が契約を切っても私は現界できるのだがそれだと私の魔力が持たない。嫌ではあるが衛宮 士郎とパスを結ばれている今はどうやら投影ランクも一旦戻る様だし。
「……ではそうするか」
「心底嫌そうに言うんじゃねぇ。オレだって坊主とか嬢ちゃんの方が断然良いわ」
「はっ、外れ籤ザマァ」
「……お前な」
おっと、口が悪くなってしまったぞ。