「ふーん、お前、今サーヴァントじゃねぇのか」
……遠坂凛を家に招き入れてのお茶会でランサーはポツリと感想を漏らした。
「えっと、じゃあ元はアーチャーは、サーヴァント、なの?」
「……ああ。この聖杯戦争をどうにか戦い抜いたこともある、はずだ」
その言葉に彼女は首を傾げる。
「でもそうならどうして貴方は衛宮くんのお兄さんとして生活しているのかしら」
そこなんだよな……。
そこ。そこなんだ。オレが今回の聖杯戦争で突っ掛かっているのは。
オレはサーヴァントでは無かったのか。
サーヴァントで無いとしたら、この体は、この記憶は何なのか。いつからここにいるのか。
何故、ここにいるのか________。
「……で、ランサーは私のコトを覚えているのか」
「朧気ながらな。テメェとは腐れ縁みてぇのがあったからな。そう言う意味では、確かにこの聖杯戦争は普通のモンとはちげぇな」
ランサーの言葉に唸る。
「……聖杯、戦争……」
衛宮 士郎は分かってないのか、首を斜めに傾げたのだった。いや、分かっていないだろうな。何も教えてないからな。
「まあアーチャーが分かってるならいいか。うん」
こいつなぁ……。
「まあ、でも衛宮くん達がマスターならいっか」
「・・・ところで、彼が君のサーヴァントなのかね?」
凛の後ろに立つ人物……見るからに薄幸の青年はこちらを見ると何故か微笑んできた。
「カルデア以来だな」
……。
白髪に薄幸の青年の笑みに思考を巡らせる。
「君、カル……か」
「ああ、そういう君はアーチャー……オレと同じクラスか。よろしくな」
何とか思い出せたことに安堵の息を漏らした。
「…………おお、お前か!カル」
ランサーの頭をひっぱたいて打ち緒とした。黙れ、と言う意味を込めて。いやむしろ黙ってくれ。黙ってほしい。
「なら二人は聖杯戦争の監督役に」
「あ、いや、その必要はねぇよ、遠坂の嬢ちゃん。始めまして。オレはエドワルド。此度の聖杯戦争の監督役なんだ、よろしくな……例え過去の監督役がいようと、今回はオレだから。よろしく」
その言葉に凛は顔を歪めた。当たり前だ。彼女からしてみれば監督役とは言峰なのだから。
「……わかったわ、よろしく」
「___________例えこの聖杯戦争が幾ら歪んでいようと、オレは公平にして公正な判決を下すことを心掛けてる。その辺には理解がほしいな」
こうして一夜目がようやく過ぎたのだった。
***
「……マスター。体の具合は大丈夫でしょうか」
月光そのものを束ねたような金髪が揺れる。彼女は闇の中の痩せ細った人物に言葉をかけた。
「うん、大丈夫だよ、マスター。言峰神父も……アイツも、俺に期待してくれてるんだ。俺が、頑張らなくちゃ、だよな」
その問いに彼女は答えない。心を殺すまでだ。例え如何なる結末を招こうと、彼を守るだけ。