IS~紅の戦乙女~   作:ピーナ

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ついにばらす時がやってきます。

…正直な所、それなりに普通の人生の僕にとってここが一番難しかったです。


第九話 「私は私の見てきた物を信じます」

アリーナでの謎のISとの戦闘が終わり、カレンは一人ピットに居た。いや、正確には一人にしてもらったが正しい。

理由は簪達との話をルルーシュとまとめるためである。

 

「でも、どこから話せばいいのかな?」

『そうだな、最低、俺たちが平行世界から来た事と、お前の事を話せばいいだろう。ただ、俺の事を話す場合、かなり長くなるだろうがな。まあ、いざとなったら俺に任せろ』

「ううん、今回は自分で言う。自分で言いたいんだ。私が決めた事だから」

『そうか。…最後に聞くが、本当に良いんだな』

「うん、覚悟はできてる」

『即答か。どうやら、愚問だったようだな。する事のない間に俺たちの戦いを映像データに纏めておいた。それも使え』

「…どうやって作ったの?」

『何故か一緒に入っていた。大方、神とやらが用意しておいたのだろう。ありがたく使わせてもらった』

「まあ、いっか」

 

 

話す内容を決めたカレン達はあらかじめ指定されていた場所に向かう。そこはカレン達がこの世界に来て一番最初に通された部屋だった。

そのドアを開けると、

 

「楯無さんに虚さん。どうしてここに?」

「私達も気になったから。…っていうのもあるけど、同じ生徒会のメンバーだし、何より簪ちゃんの、私の妹のルームメイトが普通の高校生じゃあり得ないほど、非常事態に冷静な対応をとったんだから姉として心配なだけよ」

「虚さんもですか?」

「はい」

 

カレンは少し考えて、

 

「分かりました。お話します。織斑先生」

「大丈夫だ」

「そうですか。では…まず、私はこの世界の人間ではありません。まあ、これはもう織斑先生には言った事なんですけど」

 

まず、この発言に元々知っていた織斑先生以外は驚いた。それもそうだろう、突然目の前の人間がそんなこと言い出したら誰でもこんな反応するだろう。

 

「異世界人って事?」

 

いち早く立て直した楯無さんがそう聞いてきた。

 

「はい。まあ、正確に言うと、並行世界の方が正しいですかね。あっちにも日本はありますし。実は私ハーフなんですよ。少し違うけどこの世界で言うと日本人とイギリス系アメリカ人の」

「少し違うというのは?」

 

今度は虚さんが聞いてきた。

 

「私の世界にアメリカという国は存在しません。私の世界のアメリカ大陸は神聖ブリタニア帝国という、イギリス王室の流れを持っている国なんですよ。詳しく調べたわけではないので、分からないですけど他の国の成り立ちも違うんじゃないかな」

 

実はルルーシュは基本的に暇なので調べてあるが、ここで言うと話の腰を折る事になるので言い出さない。

カレンの話は続く。

 

「そして、私の世界の日本は私がここに来る8年前に一度滅びました。ブリタニア帝国との戦争に負けて。それから属領『エリア11』と呼ばれ、日本人という名を失い、『イレブン』と呼ばれるようになりました。でも、そこで戦争が終わった訳じゃないんです」

「つっきー、どういう事?」

 

そう、この世界の日本に、日本人にとって戦争はかなり縁遠いものだ。学校で歴史を学んでも実体験はしていないので分からないのだ。

 

「ブリタニアに対する抵抗運動、いわゆる、レジスタンスって奴だよ。私もそれに参加していたんだ」

「ということは…」

「うん、たくさんの人間を殺してきたよ。私と紅蓮で」

 

そう言ってカレンは自分の右腕についているブレスレット、待機状態の紅蓮に触れた。心なしかその手は震えている。

 

『カレン、俺が後は話そうか?』

『大丈夫、大丈夫だから』

 

自分に言い聞かせるようにそう言うカレン。

 

『大丈夫じゃないだろう!そんな状態で。馬鹿な事を言うな!嫌われ役は俺に押し付けておけばいい!慣れているからな』

 

かなり、厳しい口調でルルーシュはそう言った。

 

『ありがとう、ルルーシュ。…でもさ、全部をアンタに押し付けないよ。今回は私も背負う』

『…重荷なぞ、俺に丸投げしてしまえば良い物を』

『そんな事したら、前と同じになっちゃうでしょ』

『…好きにしろ』

 

ルルーシュは姿が見えないし、カレンも表情を出さないようにしているが、もし姿が見えたなら、そっぽを向くルルーシュとそれを見て楽しそうにしているカレンが見えただろう。

 

「…ここからは私の協力者、でいいのかな?にも参加してもらいます。ルルーシュ」

 

待機状態の紅蓮である、ブレスレットをはずし、テーブルに置いた。そして、ブレスレットの水晶体から、ルルーシュは姿を見せた。

織斑先生以外はまた驚きの声を上げる。

 

「先ほど、そこにいる紅月カレンから紹介された、ルルーシュだ。まあ、俺の事はどうでもいい。俺達の世界の事を説明するための映像を作ってあるから、まず、それを見てくれ。後で質問を聞く。それの方が効率も良いだろう。カレン、水晶体を壁の方に向けてくれ。後、織斑教諭。電気を消してほしい」

 

ルルーシュが二人に指示を出し、映像は始まる。

いうなれば、水晶体はプロジェクター、壁がスクリーンの役割をしている。(都合よく、この部屋の壁の色は白かった)

 

そこに映し出されたのは、戦争の映像。

学校の授業だったり、TVの番組で放送されている様な、戦いの映像。

平和な日本で生まれた彼女達には関係の無い世界。

しかしその映像には、目の前にいる赤い髪の少女と先ほど現れた黒髪の少年がいる。

それを見て彼女たちは二人が自分たちと違う世界からやって来た人間だと、実感した。

そして、映像は終わる。

仮面の騎士が最悪の皇帝を多くの民衆の前で殺した所で。

 

「………」

 

映像が終わり、部屋は沈黙に包まれた。誰も言葉を発さない。「ブリュンヒルデ」と呼ばれ大概の事に表情を変えない織斑先生でさえだ。

 

「さて、これで映像は終わりだが、何か質問はあるか?」

 

表情一つ変えず言うルルーシュ。

 

「ルルーシュ。以前言っていた、組織と言うのは…」

「見ての通り、黒の騎士団であり、神聖ブリタニア帝国だ」

「あのロボットは?」

「あれはKMF、ナイトメアフレーム。ブリタニアが日本侵攻の際、使用した機動兵器だ。歴史から行けばIS以下だな」

「あの後、どうなったんですか?」

「その辺はどうなんだ?カレン」

「そうだね…一年くらいしか経ってないけど、今は何処も戦争してないよ。多分、そんな事する余力がある国なんてないんじゃないかな」

 

余談だが、現在、第99代唯一皇帝だったルルーシュによって、超合衆国として世界統一された世界は緩やかに解体されている。

超合衆国は無くなったが、発展解消の形で国際評議会という、世界にある国家が参加する、国家同士の問題を仲裁、解決する機関が誕生した。

ちなみに、国際評議会最初の議題は「日本の復興と日本人の名誉回復、支援」だった。

 

「他には…なさそうだな。さて、織斑教諭。あなたはこれを見て俺達をどうする?」

「どういう事だ?」

「そのままの意味だ。カレンも俺も戦争とはいえ人殺しだ。しかも俺は歴史上に残るであろう大量殺人だ。そんな人間をここに置いておけるか?戦争も知らないのに、戦略的に重要な位置にいる子供達が大量にいるこのIS学園に。あの映像を見た後で」

 

ルルーシュのそのセリフで室内の空気が凍った。そして、誰も言葉を出さない。

その言葉を発した少年は言葉を操り、時の流れに乗り、いくつかの敗北とそれ以上の勝利の末に誰も成し遂げなかった世界統一をわずか数か月で成し遂げた存在だ。

そう、この時点でこの部屋は完全にルルーシュのペースに飲み込まれている。

 

(さて、この後どうなるかな…)

 

部屋を沈黙が支配する。

その沈黙を破ったのは意外な人物だった。

 

「…信じます。私はカレンを。それとカレンが信じているルルーシュさんを」

「更識簪か。何故だ」

「私を『更識簪』として見てくれる友達だからです」

「あの映像を見てもか」

「はい。私は私自身で見てきた『紅月カレン』を信じます」

 

その目には強い意思が感じてとれた。

 

「私も…私も、つっきーを信じる」

「簪ちゃんがそこまで言うなら、私も信じるわ」

「もちろん私もです」

「…生徒たちが言うんだ。教師が信じないわけにはいかんだろう」

「ふむ、全員それでいいのか?」

「かまわない」

 

簪の返事で場はまた静かになった。それを破ったのは

 

「すまなかったな」

 

ルルーシュの謝罪だった。

カレン以外はあっけにとられる。

 

「…どうして謝るの?」

「試すような真似をしたんだ。普通謝るだろう」

「…どうしてあんな真似を?」

「まあ、カレンの為だな。嫌われ役は俺一人で十分だ」

「…最悪の事態を考えなかったの?」

「最悪の事態?それはカレンの立場が君たちの中だけで悪くなるだけの事だろう。もしくは監視が付くかだ。退学にしろ何にしろ突然生徒が一人、しかも専用機持ちがいなくなったら、学園内でうわさになる。そして箝口令を敷いても情報は洩れる可能性のあるものだ。そして、その場合IS学園は説明を、もしかするともっと面倒な事になるだろう。それはあまりにも非効率的だ」

 

ルルーシュは言い切る。

 

「凄い度胸というか。読む力が凄いのか…。ご教授願いたいくらいね…」

 

学園最強の名を欲しいままにする、生徒会長、楯無がそう呟いた。

 

「カレンが生徒会に居る事だし、このまま普通に生活するのだから、暇があれば俺は別に構わないが」

「本当に!」

「ああ」

 

楯無とルルーシュが盛り上がっている横でカレンは簪と向き合っていた。

 

「簪、ありがとう」

「私は何もしてないよ」

「ううん。私を信じてくれた。あの話と映像を見た後でも」

「…正直、最初は驚いた。でも、怖くは無かった。それに」

「それに?」

「カレンはカレン、私の友達だから」

「…ありがとう」

「それより…、ルルーシュさんとはどういう関係?」

「あー、それ私も気になるー。つっきー、教えてー」

「後学のために私も教えてもらおうかしら」

「お嬢様カレンさんが困っています。…といつもなら言いますが。私も気になります」

「ほう、面白そうだな。私も聞こう」

 

完全に話が重い方から、女性の好む話にシフトした。

 

「ルルーシュ、助けてー」

「…後は任せた、カレン」

 

そう言って姿を消したルルーシュ。

後に残されたカレンはルルーシュとの関係を根掘り葉掘り聞かれた。

 

「ルルーシュ。後で覚えてろよ…」




なんかグダグダになった気がします。
こんなんで良かったのでしょうか?
途中から完全にルルーシュペースでしたし。


次回は、恐らく二巻の内容に入ると思います。

余談

ギアスの主な国の成り立ち(現実との違い)

ブリタニア

本文中にもあるように、ブリタニアはイギリス王室の流れをくむ国です。
ギアスの世界では、アメリカ独立戦争は失敗に終わっています。

EU

現実世界のEUもしくは前身のECは第二次世界大戦後に設立されます。
ギアス世界のEUはフランス革命後すぐに出来た計算になっています。(西暦=皇歴とした場合)
ギアスの世界ではフランス革命によってヨーロッパ中の貴族が倒された事になっています。
現実世界では皇帝を名乗ったナポレオンも処刑されているらしいです。つまり、200年以上民主主義政治をしている事になります。長く続きすぎたせいか、シャルルから「権利を平等にした為に人気取りの衆愚政治に堕している」と批判されていますけど。
ちなみに、亡国のアキトに出てくる「ユーロブリタニア」はEU建国時負けた貴族の子孫の総称となっています。

中華連邦

ギアス世界の中国の大きな特徴は王朝、つまりは皇帝が残っている事でしょう。それ以外は伝え聞いてくる中国まんまって感じです。
後は、少し1900年代初頭の軍閥政治っぽい要素もありそうです。(つまり、一枚岩ではない)

日本

それほど大きな違いは無さそうですが。違いは国軍があるところでしょう。
小説版に太平洋戦争があった事を匂わす文章が有った気がするんですが、その場合、現実の日本ほどひどい終わり方をしていないって事になると思います。
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