理由は後程。
「やっぱりハヅキ社製のがいいなぁ」
「え? そう? ハヅキのってデザインだけって感じしない?」
「そのデザインがいいの!」
「私は性能的に見てミューレイのがいいかなぁ。特にスムーズモデル」
「あー、あれねー。モノはいいけど、高いじゃん」
女の子は朝から騒がしい。
今朝の話題はISスーツについて。
ISは、使うだけなら別に普通の服でもできる。しかし、それだとISの性能を完全には使いこなす事は出来ない。
それを補うのがISスーツなのだ。
ちなみに、耐久性にも優れ、一般的な小口径拳銃の銃弾程度なら完全に受け止めることができる。これを聞いたルルーシュは「ならば、緊急時の防護服代わりになりそうだな」と言っていた。
「そういえば織斑君のISスーツってどこのやつなの? 見たことない型だけど」
「あー。俺のは特注品だって。男のスーツがないから、どっかのラボが作ったらしいよ。えーと、イングリッド社のストレートアームモデルだったかな。…というか、俺に聞くより、専用機持ちのセシリアとかカレンの方が参考になるんじゃないのか?」
「そうだね。という訳で姐さん!」
「「「「「お願いします!」」」」」
「だから、やめてって言ってるでしょ!それで、ISスーツの事だっけ。私のは紅蓮を開発した研究所の作ったものだよ。たしか完全オリジナルだから、参考にはならないだろうけどね」
ちなみに、カレンのISスーツはKMFのパイロットスーツを元にしている。
こっちの世界に来た時に一緒に来たもので、性能も超一級品である。
「へえー、じゃあ、オルコットさんは?」
「私のは、ブルー・ティアーズの開発チームのカスタム品ですわ。たしか元になったのはミューレイ社の物ですわ」
「代表候補生、特に専用機を持つような人はISスーツも特注品の物を使用している事が多いので参考にならないかもしれないですね。それでも、元となったもので参考にはできますけど…。紅月さんのようなラボ謹製の完全オリジナルものはかなり珍しいパターンでずね」
いつの間にか来ていたのは、1年1組の副担任、山田真耶先生だった。
そこから、山田先生はまるで、同級生と同じ感じで弄られた。
年上なのだが、見た目も纏う雰囲気も年上の感じがしないからか、よく、クラスの女子達にからかわれている。
それは、言い換えれば、「親しみやすい先生」なのだが…。
「いつも通り弄られてるね~、まやまや」
「そうだね。さっきは先生ぽかったんだけどね。いつもと同じ感じになったね」
「親しみやすいのは良い事だよ~、つっきー」
「そうだけど…ちょっと違う気がするよ…」
カレンが本音と話していると、彼女たちの担任、織斑先生が入ってきてホームルームが始まった。
「ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します! しかも二名です!」
「「「「「ええーっ!!!」」」」」
その言葉にその事を前日に聞いていたカレンと本音以外は驚いていた。しかし、二人を含む全員がさらに驚く事になる。
その転校生はカレンを含むこの学園の多くの生徒が来ている制服とは違う物を着ていた。
その制服を着ているのはこの学園でただ一人、『世界唯一の男性IS操縦者』である織斑一夏。
つまり…
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします。」
「お、男…?」
誰かが呟いた通り、その転校生は男性だったのだ。
『シャルルか…嫌な奴を思い出させる名前だな』
『まあ、そうだけどさ』
『分かっている。名前だけで人を判断するような人間ではないからな。…それより、恐らくだが、耳を塞いだ方が良いぞ』
ルルーシュがカレンにそう言った後、
「「「「「「キャーーーーーー!!!!!」」」」」」
黄色い声に教室が包まれた。興奮しながら口々に色々な事をいう、クラスメイト達。
それを、先生たちが収め、もう一人の自己紹介が始まる。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
名前を名乗っただけで終わる。次があるのかと、全員静かにしているが沈黙の時間が続く。
「あ、あの以上ですか?」
山田先生が聞くが、
「以上だ」
とそれで終わる。
そして、一夏の前に行き、ビンタを一発。静かだったのでよく音が響いた。
『いやー、ボーデヴィッヒさんだっけ。ナイスな一撃だったね』
『ほれぼれする一撃だったねー』
『クリティカルヒットだったな』
朝のホームルームも終わり実習の為に外に向かっている時、三人はそう言った。
ちなみに、ルルーシュとの秘密回線はルルーシュが設定した人物にしか聞こえないように出来ている。現在聞こえるのは織斑先生を除いた、カレンとルルーシュの秘密を知っている4人である。
『しかし、気になるな』
『ボーディヴィッヒさんの事?』
『そちらはどうでもいい。もう一人、シャルル・デュノアの方だ』
『まさか、名前の事で?』
『違う。その前に本音、一つ聞くが、代表候補生とは簡単になれる物なのか?』
『ううん、色々な試験もあるし、そんなに簡単になれるものじゃないよー』
これは、更識簪の専属の従者として彼女の頑張りを身近で見てきたから言える事だった。
『なおさらだな。何故シャルル・デュノアはフランスの代表候補生なのだ?』
『それはその試験を頑張ったからじゃ…』
『男なのにか?織斑一夏が乗れるのが発覚してまだ3か月も経っていないんだぞ。それだけの時間でなれる物ではないはずだ』
『でゅっちーの家はデュノア社でフランスのISの会社だから、おりむーが乗るより前に分かったとか?』
『それは、俺も考えたが、女ならともかく、つい最近まで動かせないとされていた男をいくら社長の息子といえ、ISの近くまでいかせるか?国家規模のプロジェクトだぞ。そんな事は絶対にありえない』
『…なら、ルルーシュはどう思うの?』
『そうだな、フランスの青田買いも考えたが、織斑一夏の処遇を巡る決定の遅さを考えると、それも無いだろう。ならば、シャルル・デュノアは男装をした女性だろう。だから、名前もシャルルも女性形であるシャルロットが正しいのではないかと思う。あくまで、推測だがな』
ルルーシュの推理に言葉を失う二人。
『で、でも学園に出す書類とかは?』
『そんなもの偽造すればいいだけだろう。フランスの大企業だぞ』
『ま、まさか~』
『中性的な容姿を見れば小柄な男性だが、身体的に見れば圧倒的に女性の要素が多い。制服と容姿、本人の言葉での先入観だな』
『…理由は?』
『理由?そんなもの、織斑一夏と白式のデータに決まっている。大方、同性の方が都合がいいとでも思ったのだろう』
『るーるーの言葉を聞いているとそう思えてきたよ~』
『…そうだね。これ以上は考えても仕方ない。会長に後は任せましょう』
『それでいいと思うぞ。証拠も何もない俺の推測だからな』
シャルルの話題はここで終わり、次の話題に。
『じゃあ、ボーデヴィッヒさんはどう思ったの?ルルーシュ』
『ラウラ・ボーデヴィッヒか…。そうだな、盲信者、ひょっとしたら狂信者、だな』
『なんだかえらく物騒な表現だね。それはまたどうして?』
『いきなり織斑一夏をはたいて、「私はお前をあの人の弟と認めない」だぞ。どう考えても織斑千冬の信奉者だろう。しかも、行動に移しているから、盲信的に、狂信的に信じているのだろう』
『…やっぱり、力かな?』
この世界で「織斑千冬」と言えば「ブリュンヒルデ」「世界最強」と確実に返ってくる。
『恐らくな』
『…力だけを求めたって待っているのは悲劇だけなのにね』
『そうだな』
カレンとルルーシュはそう呟いた。
この後の授業で、山田先生が代表候補生であるセシリアと鈴の二人相手に大立ち回りをした末に勝利し、先生の強さを見せつける結果になった。
見ていたルルーシュは「山田教諭の技量ありきだが、試合に入る前に挑発されすぎた挙句、まともに連携を取れていない。あれでは負けて当然。」と言い切った。
その後、専用機持ちの指導の下、1,2組の全員がISの訓練を行った。
ここで、カレンは指導することになったメンバーに姐さんと呼ばれ、いちいち否定していたので、授業後はとても疲労していた。
自分で書いていたのですが、ルルーシュさんすげえ…。
でも、ルルーシュなら本当に気付きそうなところが少し怖い。
よくよく考えると、シャルルってフランス語なんですよね。ブリタニアの源流ってイギリスなのに…。
一応、個人的には、シャルルの母親がフランス系ではないかと思います。
昔ながらの貴族社会なら、どこの出身よりもどのくらいの爵位かの方が重要そうなので。正室ではなく側室なら、あり得ない話ではないと思います。
V.V、シャルル兄弟が正室の子供とも書かれている訳ではないので。
母親の名前やV.Vの本名が分かればもうちょっと具体的な設定も出来ると思うのですが…。
さて、少し開いた言い訳なのですが…プロット(そんなレベルの物ではないですが)を考えていた時2巻の所ってかなり一夏メインで進んでいくんで、どうするか難しいんです。
一巻の所に比べるとあっという間におわりそうな感じです。
以上、言い訳でした。
次回は、生徒会のお話と、訓練のお話辺りになると思います。