第二次Zにしておけばよかった…。
訓練アリーナの小競り合いがあった日から数日後、その日は何だか朝から皆騒がしかった。
「盛り上がってるけど今日何かあったっけ?」
「行事は学年別トーナメントまで無いはず…」
「だよね。じゃあ、なんでこんなに慌ただしいんだろ?また転校生?でも会長にそんな話も聞いてないし…」
生徒の間に流れる噂に疎い、というよりあまり興味の無いカレンと簪は頭にハテナマークを浮かべる。
そんな二人の為に説明をする本音。
「ありゃ?二人とも知らないの?なんでも、学年別トーナメントの優勝者がおりむーと付き合えるんだって」
「なんでそういう事になってんの?」
「詳しくは知らないけど、何日か前に誰かがおりむーに「私が優勝したら付き合ってもらう!」みたいな事を言ったのが原因らしいよ」
「それがどこをどうしたら、ああいう事になるのよ…」
『恐らくだが、その話を織斑一夏が了承したのだろう。で、それを聞いた誰かが、優勝すれば私とも付き合ってくれると勘違いをしたんだろう』
『『『なるほどー』』』
ルルーシュの説明に納得の三人。
「でも、誰が織斑君に言ったんだろう…?」
ふと、そう言った簪。
「多分、箒、セシリア、鈴の三人の内の誰かだと思う」
「だね~、クラスで見た感じその三人以外はまだ、様子見って感じだったし」
「でも、言い方的に箒っぽいけどね」
「確かにしののんぽいね~」
クラスでの観察の結果、そう判断するカレンと本音。
その話をしている内に、気付いたら一組の教室の前まで来ていたのだった。
教室の配置は寮に近い方から一組、二組…となっているので、いつもここで分かれる。
「それじゃあ、またお昼に…」
「うん、簪も頑張って」
「かんちゃん、じゃ~ね~」
そう言って、三人は分かれた。
その日の放課後、カレン達は訓練アリーナに居た。
居るメンバーはカレン、簪、楯無、本音、虚の五人。そう、打鉄弐式開発会議のメンバーだった。
といっても、実際にアリーナに居るのは簪だけで他の四人は管制室にいた。
「じゃあ、『山嵐』を含めた打鉄弐式の試験運用を始めるわよ。簪ちゃん、準備はいい?」
『いつでもいいよ。お姉ちゃん』
「ここからの管制はルルーシュに任せます」
『了解。始めるぞ簪。まずはターゲットを8個ずつ、8回出現させる。それを、すべてに一発ずつ当てる』
『了解』
『イメージが出来ないうちは、しっかりターゲットを見ろ。それでロックオンされる』
ルルーシュのアドバイスが終わった後、アリーナにはターゲットが出現する。
「しっかり、ターゲットを見るイメージで…」
簪がそう呟きながら、ターゲットをロックし、ミサイルを発射する。
最初はゆっくりながら確実に、少しずつ早く。
『第一段階完了。使用弾数64発、命中64発。完璧だな。次の段階いくぞ』
『うん』
『次はターゲットを16個出現させる。ただし、それは赤と白の半分ずつに分かれている。簪は赤だけを攻撃しろ。これも八回続ける』
『了解』
二色のターゲットがアリーナに出現する。
「ねえ、これは何の意味があるの?」
試験を見ながら、楯無が聞いた。
「ん?他の奴も聞きたいか?」
ルルーシュの質問に全員が首を縦に振った。
「マルチロックオンといっても、ただ、複数の相手に撃つのは芸が無いだろう?一対一や一対多はそれでいいが、複数対複数の時だと逆に『山嵐』は邪魔になる可能性がある。なら、自分で狙いたいターゲットだけにロックオンして撃てる方が便利だろう?…とまあ、運用法の事は置いておいて、これはマルチロックオンの精度を上げるための訓練の一つだな」
ルルーシュが答え終わった所で第二段階は終わった。
『ふむ、命中は64個中60個か初めてでは上々なのではないか?』
『そうかもしれないけど、もっと精度とスピードを上げれると思う。ただ、ターゲットを狙うよりこっちの方が練習になるから、訓練の一つとして使わせてもらう』
『構わない。俺もそのつもりでやらせたのだから。では第三段階行くぞ。次はターゲットを64個出現させる。全弾発射で全部落とせ』
『了解』
簪の言葉と共に64個のターゲットが出現する。
しかし、数秒後簪はすべてのターゲットにロックオンを終え、すべてのミサイルを発射した。
アリーナが、爆炎と爆音で包まれる。
あまりの光景に言葉の出ないルルーシュ以外の4人。
その状態も気にせずルルーシュはどんどん進めていく。
『ターゲットの全滅を確認。簪。『山嵐』の状態は?』
『特に不具合は無いよ』
『よし、これで『山嵐』の試験を終了する。簪、戻って来い』
『ううん、アレの試験もやる』
『アレか?構わんが、疲れてないか?』
『大丈夫。アレも使いこなせるようになりたいし』
『了解だ。準備をするから少し待ってくれ』
『分かった』
簪とルルーシュの話が終わったタイミングで全員がようやく戻ってきた。
「何あれ!」
「?何を言っているカレン。あれは『山嵐』だろう?」
「そうじゃなくて、あの威力!」
「楯無まで何を言っているんだ。ミサイルを64発同時に撃ったんだぞ。威力がすさまじいのは当たり前だろう?」
「でも、想像以上っていうか…」
「驚きました…」
「ビックリだよ~」
それぞれ口々に感想を言う。
「まあ、全弾発射なんか使う機会はほとんどないだろうがな」
「なら、何でしたのよ!」
「これは試験運用だぞ。なら、全弾発射は絶対にしておかないといけない行程なんだよ」
「それは、そうね」
「全員納得したな」
ルルーシュの問いかけに全員が頷いた。
『簪、準備は出来た、試験を再開するぞ』
『うん、分かった』
『内容は簡単だ。ターゲットの攻撃を攻撃無しで10分間凌ぎ切れ。それだけだ』
『了解』
『では、始めるぞ』
ルルーシュの言葉と共に30機近くのターゲットが出現した。
「ちょっと、待ってルルーシュ。あれじゃ、簪ちゃんが落ちちゃうよ!」
「そうだよ、ルルーシュ。あれを10分は無理だよ!」
「まあ、黙ってみておけ」
ルルーシュの言葉に渋々従うカレンと楯無。
簪は避けているものの、徐々に追い詰められていく。
そして、ついに当たりそうになった瞬間、
「「「「えっ」」」」
見ていた四人が驚きの声を上げた。
簪に当たりそうだった攻撃は、突現現れた、エネルギーフィールドで防がれたのだった。
その後も回避しつつ、当たりそうな攻撃はエネルギーフィールドで防ぎ、気が付けばノルマの10分が経っていたのだった。
無論、その間、4人はぽかんとしていた。
そんな、4人を無視してルルーシュと簪は話し始める。
『運用試験終了だ。お疲れ様、簪』
『うん。今日のやつ、映像で確認したいから、そっちに行っていい?』
『ああ、構わない』
『じゃあ、着替えてシャワー浴びてから行くよ』
簪が着替えなどを終えて管制室に行くと、いきなり四人に囲まれて、
「「「「簪(ちゃーん)(さん)(かんちゃーん)、くわしく話を聞かせてもらおうかしら」」」」
と言われたのだった。
「えーっと、少し前にね、ルルーシュに『ドルイドシステムを使うんだから、絶対守護領域も使えない?』って聞いたら、使えるって答えが返ってきたから、搭載してみた」
「俺の使っていたオリジナルの絶対守護領域よりは簡単な物だがな。イメージインターフェイスに対応させたから、かなり使いやすいだろう。今日の運用のデータだ」
「これ、凄いエネルギー効率良いわね。エネルギーシールドの事を考えると破格よ」
「ISの特徴である自己進化を生かせばもう少し抑えられると思うぞ。今はとりあえず俺の使っていた時のデータを移植して最適な形を作っているが、ISがそれを学び実際に使用すればもっと使いやすい物になるだろう」
「うん。使っていくよ。ありがとう、ルルーシュ」
「よし、これで簪ちゃんの専用IS打鉄弐式の完成よ!お祝いしましょ!今日は私の奢りよ!」
そう言って全員が食堂に行った。
食堂で食事をしていると、箒とセシリアが両腕に抱き着いている一夏がやって来た。
それをみて食堂にいた生徒は少し騒がしくなったが、カレン達はいつもの事と流した。
打鉄弐式が若干強化されました。なんとなくしたかったんです。
さて、前書きでACERをしていると書きましたが、なぜか最も使用していたのが、紅蓮でも、ランスロットでもなくアーバレストでした。
フルメタとISのクロスでも書こうかな…。
ルルーシュのマルチロックオンの時の説明はマクロスシリーズをイメージしています。
マルチロックオンといえば僕はガンダムSEEDよりマクロス、フリーダムよりバルキリーになります。
次回はセシリア&鈴VSラウラ辺りになるかな。その次が学年別トーナメントになります。