打鉄弐式が完成した日から少し経ったある日の放課後、カレンと本音はISの訓練をするために第三アリーナに向かっていた。
本当は簪と三人で行くつもりだったのだが、急に生徒会の用事が入ったので簪だけ先に行ってもらったのだった。
「思ったより時間掛かったね。簪怒ってるかな?」
「理由も言ってあるんだし、大丈夫だと思うよ~」
そんな事を話しながらいつもより少し早いペースで歩く二人。
『カレン!』
突然簪からプライベートチャンネルが来た。しかもかなり慌てている。
『どうしたの?』
『オルコットさんと鈴がボーデヴィッヒさんと戦っているんだけど、鈴達がピンチなんだよ!』
『模擬戦なんじゃないの?』
『そんなレベルじゃない!』
『分かったすぐ行く』
プライベートチャンネルを切ってカレンは走り出した。
「どしたの、つっきー?」
「何か、アリーナで模擬戦以上の戦いが行われてるんだって。とりあえず止めに行くから、本音は織斑先生呼んできて」
「りょ~かい」
そう言って本音は元来た道を戻っていく。
『会長』
『どうしたの、カレンちゃん?』
『ボーデヴィッヒさんが暴走中らしいです。指示を』
『…状況を見てからね。判断はカレンちゃんに任せるわ』
『了解。…仕事増えそうですね…』
『そうね…』
しみじみ呟いて(プライベートチャンネル内だが)カレンはアリーナのピットを目指す。
「うわ、なんてカオス…」
ピット内からみたアリーナはボロボロになったセシリアと鈴、それをかばう一夏とシャルルが居た。
『えーっと、簪、何でこんな事になってんの?』
『あの後、織斑君がアリーナのバリアを壊して突入したの』
『バリア壊すって…また、面倒が増えた…』
『なんていうか、その…どんまい』
簪の励ましの言葉もこれからの仕事の事を考えると、悲しいだけだった。
「紅月、状況は」
アリーナに出る準備をしていると、織斑先生がやって来た。
「セシリアと鈴は結構まずい状態みたいです。一夏とシャルルが間に入っていますけど、一夏の方が二人をかばっていますから実質シャルルとボーデヴィッヒさんの一騎打ちですね。腕は互角かややボーデヴィッヒさんの方が上でしょう。機体的にもボーデヴィッヒさん有利ですね」
「ふむ、それで紅月、お前はどうするんだ?こういう場合生徒会の役員、特に専用機持ちは介入しても問題は起こらないぞ」
「それは、入った日に会長から聞きました。でも、ボーデヴィッヒさんを止めれる自信が無いんですよね。力ずくなら簡単ですけど」
「なるほど、たしかにお前なら簡単だな」
「だから、私が動きを止めて織斑先生に注意をしてもらおうと」
「分かった」
そう言って織斑先生はピットを後にした。恐らく管制室に向かったのだろう。
『ルルーシュ、どうすれば良いと思う?』
『俺が考えるのは戦略であって戦い方なんかはお前の方が得意だろうに』
『だよね、聞いてみただけだよ。まあ、最短距離を最高速で駆け抜けるだけかな』
それだけ言って紅蓮を纏ったカレンはアリーナに飛び出した。
丁度ラウラがシャルルに瞬時加速で突っ込もうとしたタイミングで近接ブレードを呼びだしたカレンが間に割って入る。
「はい、そこまで」
「貴様も邪魔するか!」
「邪魔する気は無かったんだけど、こっちにも事情があるんだよね」
「貴様の事情など知った事か!」
「やっぱ、こうなるよね…」
カレンがそう呟いたタイミングで
『お前ら、模擬戦をやるのは構わんがアリーナのバリアまで壊されたら黙っている訳にもいかん。この戦いの決着は学年別トーナメントで付けろ』
織斑先生の放送がアリーナに響いた。
「…教官がそう仰るなら」
ISを解除してラウラは立ち去った。
『他の専用機持ちも構わんな』
織斑先生はそう聞いたが誰も答えない。
『沈黙は肯定と受け取るぞ。では、学年別トーナメントまで一切の私闘を禁じる。解散!』
場所は変わり、保健室。
あの騒動から一時間ほど経っている。保健室には一夏、カレン、セシリア、鈴、簪、シャルルが居る。
一通り事情を聞き終わり、普通に話していた時、たくさんの生徒が雪崩れ込んできた。
「織斑君!」
「デュノア君!」
そのたくさんの生徒に囲まれる、男子二人。
「な、何だ一体」
「皆ちょ、ちょっと落ち着いて」
混乱する男子二人。
「あー…そういう事ね」
「何か知ってるのか、カレン」
事情を察したカレンに一夏が聞く。
「学年別トーナメントの仕様が変更になってタッグマッチになったんだよね」
「そう!だから、織斑君!」
「デュノア君!」
「「「「「「「私と組んで出場して!」」」」」」」
雪崩れ込んできた生徒たちがそう言った。
『というより、どこから、ここに居るという情報が漏れたんだ?』
ルルーシュは変な所に疑問を持った。
『まあ、あの状況なら分かるでしょう』
『たしかにな』
関係の無い所で話していると、
「悪い、俺シャルルと組むからさ」
一夏かそう言ったので、津波が引くように雪崩れ込んできた生徒たちは帰っていった。
しかし、一難去っても、
「一夏!」
「一夏さん!」
「「私と組みましょう!」」
また一難。今度はセシリアと鈴がそう言ってきた。
さっきの様に簡単に引き下がる事もないだろう。
『さて、織斑一夏を誰が落とすか、にも新しい展開かな?』
『カレン…本当にミレイと変わらなくなったな』
『でも、見てるのは結構楽しいよ?』
『それは、分かる』
『簪まで!?…これが男性と女性の違いなのか…』
カレン達がそんなやり取りをしている間に山田先生が保健室に来ていた。
「二人の専用機の状態をさっき確認しましたけど、ダメージレベルがCを超えています。当分は修復に専念しないと、後々重大な欠陥を生じさせますよ。ISを休めさせる意味でも今回の学年別トーナメントの参加は許可できません」
山田先生は普段と違い、厳しめの口調で言った。
そして、二人は渋々ながら引き下がった。
『専用機の欠陥なんかもしかしたらそのツケを自分の身で支払う事になるかもだから、無理しなくて正解だね』
『そうだな。無茶して、捕虜になった事のある人間の言葉には説得力がある』
『ぐっ…言い返せない』
「そういや、カレンは誰と組むんだ?」
突然、一夏がそう聞いてきた。
「どうしたの、突然?」
「いや、専用機持ちでセシリアと鈴は出ないだろ?で、あの転校生は誰かと組むって事もなさそうだし、シャルルは俺と組む。とりあえず、対策の立てれそうな所は立てておこうかなと思って」
「なるほどね。組む相手は決まってるよ。簪、よろしく」
「私から頼もうと思っていたけど…、よろしくねカレン」
ここで、カレン&簪のペアが完成した。
「…二人とも専用機持ち、か。一夏、ボーデヴィッヒさんよりも強敵だよ」
「ああ、今日から特訓だ!」
かなり熱血している、一夏&シャルルペアと、
「さて、私達はどうしようか?」
「練習も大事。でも、タッグ戦の練習なんて考えたこともないし…」
「じゃあ、頼りになる先輩に聞きに行こうか」
もてる物すべてを使って勝ちに行こうとするカレン&簪ペアであった。
それから、二人は楯無&虚の二人によるISのコンビネーションの基本から、ルルーシュの考えた機体特性にあったコンビネーションの構築をしていった。
ちなみに、この一件で生徒会の仕事は結構な量増えたとか。しかし、大半を虚が引き受けた。彼女曰く、「私は整備科ですので、トーナメントの参加は形だけです。しかし会長やカレンさん、簪さんはそうではありませんので、ここは私にお任せください」だそうだ。
そして、各自が各自なりの準備を整え学年別トーナメントの火蓋が切って落とされる。
カレン&簪ペア…やり過ぎましたかね。
しかも、楯無、虚、ルルーシュの協力付。鬼に金棒、織斑千冬に暮桜状態です。
まあでも、学年別トーナメントはすぐ終わっちゃうんですけどね。
というわけで、次回は学年別トーナメントです。
活動報告の所で新作案みたいな物を上げています。良かったら見てやってください。