一夏って『いちか』って打っても一発で変換出来ずイライラの募る今日この頃。
他の方はどう打っているのか、私、気になります!
「なんでシステムがエラーになるのよ…」
ピットでカレンがそう愚痴をこぼした。
学園別トーナメントの組み合わせは今まで専用のシステムを使って作っていたらしいのだが、今年の突然のタッグトーナメントへの仕様変更によってエラーが発生した。
なので、本来なら前日に発表される組み合わせが当日発表になり、組み合わせも人力で作る事になった。生徒会であるカレンはもちろんその仕事をしていた。
「という事は、カレンは組み合わせを知っているのか?」
近くにいた一夏がそう聞いてきた。
「いや、知らないよ。公平性を保つために一年生のは会長が作ったから」
同じ理由で二年生のは虚が三年生のをカレンと本音が作った。
ちなみに同じピットに居るので一夏・シャルルペアとカレン・簪ペアが一回戦で当たる事は無い。
「でも、自分がどこで出るのかは分かってるだろ?」
「もちろん。私達はAブロック一回戦第二組だよ」
カレンの言葉に表情を凍らせる一夏とシャルル。
「…一体どうしたの?」
簪がそう聞くと、
「僕達はAブロック一回戦第一組なんだよ…」
とシャルルが答えた。
つまり、一回戦をお互いが勝ち抜くと二回戦で戦う事になるのだ。
そして、今回のトーナメントに出場している一年生でこの四人を除くと専用機を持っているのはラウラ・ボーデヴィッヒしかいない。専用機持ち=強いとまでは言えないが、それでも圧倒的なアドバンテージを持っているには違いないので有利な事には違いない。
言ってしまえば二回戦にして事実上の決勝戦が行われる可能性有りという事だ。
「俺は自分のくじ運の無さに泣きたい…」
「僕もだよ…」
「なんていうか…どんまい?」
とある一人のとんでもない強さを知っている三人と、
「なんで、そこまで弱気なんだろ?」
自身の強さに気付いていない一人がいた。
「おっ、ようやく発表だぞ」
一夏の言葉に他の三人は反応してモニターの方に目を向けた。
「「「「えっ!?」」」」
そして発表されたものを見て、全員が驚きの声を上げた。
モニターには
織斑一夏・シャルル・デュノアペアVSラウラ・ボーデヴィッヒ・篠ノ之箒
と表示されていた。
織斑一夏・シャルル・デュノアペアVSラウラ・ボーデヴィッヒ・篠ノ之箒の試合をカレン達はカタパルトのすぐ横の部屋で見ていた。
「開幕から面白い試合になりそうだね」
「そうだね。それに勝ち抜いたら次の相手だからしっかり見ておかないと」
少し硬い表情で簪はそう言った。
「簪、緊張してる?」
「…うん、少し」
「緊張するな、っていうのは無理があるし、うーん…」
『緊張しすぎるのは良くないが、緊張しなさすぎるのも良くないと思うぞ。適度な緊張感を持つのが大切だ。もし、緊張で体が動かないのなら、今までやって来た事を思い出せ』
『やって来た事?』
『ああ。ISに乗る前の、ISに乗るようになってからの、この学校に来てからの、そしてカレンとペアを組んでからの努力をだ。色々やって来ただろう?』
『うん』
『それらは、全部自分の目標に進め為にやって来た事だろう?その事を覚えておけばきっと勝てるさ。まあ、こんな事は俺の杞憂だろうがな』
『ありがとう、ルルーシュ。頑張って杞憂にさせてみせるよ』
『そうか。期待している』
二人の会話が終わった所で一夏・シャルルペアVSラウラ・箒ペアの対戦が始まった。
『おー、一夏いきなり突っ込んだね。でも止められてる。あれがAIC?』
『多分そう。あれは、織斑君の白式とは相性が悪いと思う』
『白式に関しては最悪に近いだろうな。武装が剣しかないのだから。それに格闘機は軒並み相性悪いだろうな』
『とりあえず、ボーデヴィッヒさんと戦う場合は簪に任せるよ』
『そうだね。…ってあれ!』
『うわあ、箒をぶん投げたよ…』
『タッグマッチってなんなのだろうかな…。まあ、あの機体は完全に一対多の機体だからな』
『たしかにタッグマッチに合わないだろうけど…』
『それに、どうやらペアを組めず抽選に回ったのは全学年合わせてもあの二人だけらしいしな』
『どうしてそれを?』
『今朝、楯無と虚が教えてくれた』
『…でも、それじゃあ』
『当然、連携など皆無だろう。まあ、あのドイツ人がそんな事を考えるとも思えんがな』
『…ボーデヴィッヒさんもあの時の見ていたのにね』
カレンの言うあの時と言うのは以前あったセシリア・鈴のペアと山田先生の授業の事だ。
『ああ、あの時と今では全然状況が違う。本来あれをみて学ぶべきはいくら数が多くても性能が良くても、それが勝ちにつながるとは限らないという所だろう。それを勘違いして、一人でも強ければ勝てると思っているラウラ・ボーデヴィッヒと、自分の実力を把握し、しっかりとプランを立てタッグである事を最大限生かそうとしている織斑一夏とシャルル・デュノアではどちらが勝つかは明白だろう』
『敵を知り、己を知れば百戦危うからず。だね』
『その通りだ、簪』
『ならルルーシュならどうやってあの二人と戦う?』
簪がそう聞いた。
『そうだな…まず、シャルル・デュノアを狙う』
『どうして?白式の零落白夜の方が厄介そうだけど…』
『正直な所、織斑一夏と言う人間はとてもまっすぐな人間だ。良くも悪くもな。だからこそ…』
『攻撃も読みやすい?』
『ああ。だから防ぎやすいだろう。カレンでも簪でもどっちでもいいから最初にシャルル・デュノアを狙う。俺としてはカレンがデュノア、簪が織斑がベターだと思う』
『それは、どうして?』
『理由は二つ。まずは紅蓮の方が攻撃力がある事、もう一つは簪の方が器用で織斑の相手をしながら援護や牽制位できそうだからだ。打鉄弐式も紅蓮に比べると遠距離武器が多いしな。これは誰が相手でも当てはまるぞ。厄介な方をカレンが相手にして早い段階で二対一にに持ち込む。そうすれば練習してきたコンビネーションも十二分に役に立つだろうしな。もちろん、これが正解という訳ではない。織斑から狙うのもありだと思う。…さて、試合も終盤のようだな』
ルルーシュがそういうと二人が画面に注意を向ける。
既に箒は撃墜。一夏もぎりぎりの状況でシャルルがラウラに突撃を敢行した。
ラウラはAICでそれを止めようとするが、下から一夏が捨てられていたシャルルの武器を使い攻撃、そして、シャルルの、ラファールの最大威力の武装、『灰色の鱗殻』が一発、二発、三発とラウラに命中していく。
『決まったな』
『そうだね』
『うん。…って、ルルーシュ、カレンあれ!』
画面には変形、いや変質したラウラの姿があった。
『紅月、聞こえるか!』
管制室から、織斑先生の通信がプライベートチャンネルに入って来た。
『聞こえています。状況は?』
『非常事態だ。教師部隊も用意させるが、時間が掛かる。紅月、出れるか』
『了解。…でも、トーナメントどうなるんですか?』
『分からん。ただ、この事態が収拾してからだろう。…また仕事が増えるな』
『それは多分こっちもです…。とりあえず、出撃します』
そう言って、通信を終え、立ち上がるカレン。
「行ってくるよ、簪」
「…頑張って」
「もちろん!」
そう言い残してカレンは出撃した。
カレンが突入した時、一夏は怒りのまま突っ込もうとしていた所を箒に止められていた。
ラウラだった『モノ』は一夏や箒と距離があるものの危険な事には変わらない。
『とりあえずは、間に入らないとね』
『だな』
ブレードを呼び出し、黒い物体の攻撃を受け止める。
「はい、そこの二人、いやシャルル入れて三人か。状況説明」
カレンは攻撃を防ぎながら、オープンチャンネルでそう聞いた。
「カレン!?どうしてここに?」
「一夏もさっきの放送聞こえてたでしょ。教師部隊の編制に時間が手間取るし、現場の近くにいたから織斑先生に言われて来たの。私、生徒会だしね」
その言葉で三人は納得し、説明をし出した。
要約すると、あの黒い『モノ』は織斑先生の戦闘データを模したものらしい。
一夏はそれとそれに飲み込まれたラウラに切れている。
しかし、エネルギー切れでどうするかという所でシャルルのISからエネルギーを移す事にした。との事だ。
「うーん、まあ、良いんじゃない?もし、何か問題になったら私の指示にすればいいし。ま、多分ならないだろうけど。それより、そこまで大見得切るなら、勝ちなさいよ」
「そうだよ、約束して。絶対に負けないって」
「ああ、もちろんだ。ここまで啖呵切って飛び出すんだ。負けたら男じゃねえよ」
「じゃあ、負けたら明日から一夏は女子の制服で通ってね」
「それ面白いね。会長に制服の用意をしてもらうように言うよ。後は新聞部で撮影会かな」
「うっ…いいぜ、なにせ負けないからな」
少しは頭の冷えた一夏はそう答える。
「じゃあ、準備を始めてよ。それまでは私が時間を稼ぐからさ」
未だに攻撃を防ぎながらまともに食らっていないカレンがそう答えた。
そして、準備をすませた一夏が、
「カレン、こっちは準備万端だ」
と言った。
カレンは下がり、一夏と変質した『モノ』の剣が交差した。
数瞬の後、黒いISは真っ二つに割れ、気を失ったラウラが救出された。
タッグトーナメント編終了です。
次は二巻の後始末ですね。カレン・簪ペアのバトルも入れる予定です。
かなり長くなりそうなのでもしかしたら二つに分けるかもです。
今後の展開についてのアンケートがあるので、良かったら活動報告も見てください。