IS~紅の戦乙女~   作:ピーナ

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ルルーシュ大活躍回、になると良いなあ…


第十七話 「えげつないわね…」

シュヴァルツェアレーゲンの暴走やらその余波での一年生の学年別トーナメントの中止やらがあった日の深夜、誰もかもが寝静まった頃、学園内の一室では煌々と明かりがついていた。

その部屋にいるのは、生徒会長・更識楯無、同会計・布仏虚、そしてルルーシュ・ランペルージの三人だけだった。

これは、生徒会としての仕事でもあるが、『更識』の本業である、裏の仕事でもある。なので必要最低限の人間しかいない。

事情は数日前にさかのぼる。

 

 

その日、生徒会室には楯無しかいなかった。

楯無の待機状態のISからルルーシュの姿は見えていたのだが。

実はルルーシュはIS同士のコア・ネットワークを使ってあっちこっちに行く事ができる。ただ、出来るだけで、使う必要は今まで特に無かったのだが。

 

「で、俺だけを呼び出してどうしたんだ、楯無」

「うーん、何時聞いてもルルーシュって日本語上手いわよね」

「まあ、人生の半分は日本で暮らしていたからな。上手くないとやっていけない」

 

そもそも黒の騎士団のメンバーですら、ゼロがブリタニア人である事をキョウトの桐原泰三に言われるまで気付かなかったのだ。ネイティブスピーカーとほとんど変わらない。

 

「それは、関係ないだろう」

「そうだね。…話っていうのは、デュノア君の事。端的に言えばデュノア君は女よ。そして、それを指示したのはデュノア社社長夫人、ヴィクトリア・デュノア」

「社長じゃないのか?」

「社長のミシェル・デュノアはこの件には関わっていないらしいわ。ただ、シロかと言われれば絶対にないわ。クロに限りなく近い灰色よ」

「しかし、何故こんな事になったのだ」

「シャルロットちゃんはデュノアの愛人の子なのよ。実のお母さんは二年前に他界。体裁を取り繕うために社長は引き取ったみたいよ。ただ、家庭での扱いは最悪。よくグレずにまっすぐ育ったものだわ」

「ふむ、大方シャルロット・デュノアはここに逃げてきたのだろう。…それで生徒を守るべき生徒会長として、ロシアの国家代表として、日本の暗部『更識』の家の者として、君はどう判断する?」

「…生徒会長だけど流石に人様の家の事情に突っ込むのは仕事の外、国家代表だけど私は外様だからそこまで大きな権限を持っていない。あまり好かれてないし。『更識』としては介入は無理ね。腐ってもデュノアはフランス政府お抱えの企業よ。下手したら国際問題に発展するわ。でも…」

「でも、何だ?」

「でも、たとえ正しい判断じゃないとしても、私、更識楯無本人の気持ちは何とかしてあげたいと思うわ」

「甘いな」

「ええ、私も自分でそう思うわ」

「だが、俺もそう変わらない。後は俺に任せろ」

 

 

「で、こんな時間にどうするの?」

「まあ、見ていろ。ショーの開幕だ」

 

そして、始まる。魔王によるこの世界で初めてのショーが。観客はたったの二人だが。

 

 

所かわって、フランスはデュノア社の一室。そこには一組の男女が共に少し遅い昼食をしていた。

IS学園のある日本はもう夜だが、フランスではまだ昼である。

 

「にしても、あの子役立たずね。連絡まったくないじゃない」

「まったくだ。高い金出して育ててやったんだ、せめて私達の役に立ってほしい物だ」

 

話しているのはデュノア社社長と社長夫人である、デュノア夫妻である。

話題はもちろん、スパイとして送った娘について。

更識の調べでは不明だったが、実は二人共が真っ黒だった。

 

「ん、何だこんな時に無粋な奴だな」

 

その時突然、通信が入った。この部屋は完全プライベートで、会社でも一部の人間しか知らず、通信も秘匿にされている。

二人はどうせ、知り合いだろうと思って、普通に出る。

これが、魔王のショーの幕開けの合図と知らず…。

 

 

「お初にお目に掛かります、デュノア社社長ミシェル・デュノアさん。おや、夫人のヴィクトリア・デュノアさんもいらっしゃるようで」

「何者だ、貴様!ボイスチェンジャーなど使いおって」

「何者だ、ですか…そうですね、私はオレンジとでも名乗っておきましょうか」

「オレンジとか、どう考えても偽名でしょう!無礼な」

「コードネームみたいなものですよ。…さて、本題に入りましょうかね。実は私の友人がIS学園に居るのですが、そこに二人目の男性操縦者がやって来たらしいんですよ。しかもフランスの大企業デュノア社の御曹司。しかし、一人目が見つかった時みたいに全世界で大々的に報道されない。すると、面白い事が分かったんですよ」

「馬鹿な!あれの情報は消したはず!」

「やはりですね」

「貴様、はめたな!」

「いえいえ、確証の無かった事を確かめただけです。しかし、調べている過程で面白い事が分かりましたよ。フランス政府との癒着。国内の敵対企業の妨害、脅迫による研究者、技術者の引き抜き、調べれば調べるほど埃がでますね」

「…何が望みだ」

「いいえ、何も。…貴様らと私達の組織は相容れない。する事なぞとうの昔に決まっている」

「しかし、どこに漏らす?国か?IS委員会か?どちらも一個人と企業なら企業の方を信じるぞ」

「はあ…。これだから、お高く留まった悪党は嫌いだ」

「何!?」

「実際、地位の高い人間ほど自分より下に見た物を見向きしない傾向にある。国に情報をリークする必要なんてない。IS委員会はその内リークするがな」

「どういう事だ!」

「怒鳴らず、少しは自分の頭で考えたらどうだ?まあ、残された時間は少ないが」

 

それだけ言い残して通信が切れた。次の瞬間、再び通信が。

 

「今度は誰だ」

「しゃ、社長。マスコミが…。それに、筆頭株主である、ド・ゴール氏も面会のアポイントメントを求めています。どちらも、癒着とか、脅迫とか言っていますが…」

 

受付のその言葉を聞き、デュノア夫妻は茫然となり、悟った。自分たちはもう終わったのだと。

 

 

 

「まあ、こんなものだろう」

 

所戻り、IS学園。顔色一つ変えずに仕事を終えたルルーシュはそう言った。

 

「えげつないわね…」

「ええ、全くです」

 

一部始終を見ていた楯無と虚がそう呟く。

 

「カレンの武器が機動兵器の操縦技術なら、俺の武器は言葉だな。それを最大限に生かすためには情報は最も重要な存在だ。世界を敵に回した事を思えばこれくらいは簡単な事だ。相手がこっちの思惑通りに動いてくれたしな」

「でも、どうしてマスコミとデュノア社の筆頭株主に情報を流したの?別にフランス政府でも良かったと思うけど」

「たしかにそうだが、政府だともみ消されると思ってな。先にマスコミに流しておけばすでに大きくなった火だ。政府も身内切りで済ませるだろう。株主の方は、絶対に自分の利益になる方に動くから、あの夫妻を社長の椅子から降ろすだろうしな。まあ、俺から言わせれば今回のデュノアの計画は穴だらけだがな」

「どういう事?」

「まず、スパイに何も教育していない人間を選ぶのが間違っている。そんなの裏切られる可能性大だ」

「でも、シャルロットちゃんは一応娘でしょう?」

「恐怖で縛った関係など親子ではない。それに、人は恐怖だけでは縛られない。いつかは前に進んでいくものだ。俺たちが動かなくてもいずれはあの夫妻は破滅していたさ」

「…ルルーシュは人間を信じているのね」

「そうでも無いといくら自分の贖罪とはいえ、死を選ばない。俺は人間の明日へと歩いていける強さを可能性を信じた。それだけだ。もう夜も遅いし、明日も学校だろう?二人も休んだらどうだ」

「ええ、そうさせてもらうわ」

 

そして、その部屋の明かりは落とされた。

 

 

その翌日、全世界的にデュノア社のスキャンダルが発覚、トップニュースとして流れた。

IS学園でも話題に上がったが、それよりも大きな事件が。それは、

 

「皆さんシャルロット・デュノアです。改めてよろしくお願いします」

 

シャルロット・デュノアの再転校であった。

 

『朝のデュノア社の事は絶対ルルーシュが何かしたでしょ』

『ああ、俺が楯無に協力してもらってな』

『まあ、それはもう過ぎた事だし良いけどさ、シャルロットの事は?』

『いや、そこは完全にノータッチだ。彼女自身の意思だろう』

 

学生はISに関連する企業のスキャンダルよりも自分たちの身近な事件の方が重要だったらしい。

しかし、前日に男子の大浴場解禁の事を誰かが口にすると、途端に教室が修羅場に突入。しかし、そこにラウラ登場。一夏を守り、キス。そして、

 

「お、お前は私の嫁にする!決定事項だ!異論は認めん!」

 

と大声で宣言。修羅場はさらにカオスに。

 

『いやー、追いかけているのは箒、セシリア、鈴にシャルロット、それに嫁宣言をしたラウラと。これは面白くなってきたね』

『楽しそうだな、カレン』

『うん。人の色恋を見てんのって結構楽しいよ』

『そうか…俺には分からん。だが、お前の仕事は増えそうだな』

『言わないで。気付かないふりしてるんだから』

『現実を見ろ』

 

現実逃避しているカレンにルルーシュは事実を突きつけた。

 

「少し良いか?」

 

いつの間にか目の前にはラウラが来ていた。

 

「良いよ。何?」

「この前の事を謝りたくてな。済まなかった」

「別に気にしなくても良いよ」

「そうか、ありがとう。で、私はあなたの強さに惚れた!こんな気持ちは教官以来だ。皆と同じ様に姐さんと呼びたい」

「その呼び方はやめてって。…普通にカレンで良いよ」

「そうか。なら私もラウラで構わない」

「改めて、これからよろしくねラウラ」

「こちらこそよろしくたのむ、カレン」

 

修羅場そっちのけであいさつをする二人。

朝のHRはこんな感じで過ぎていくのだった。




本編に関係ない、ルルーシュ暗躍回をお届けしました。

カレンの出番が少なすぎでしたかね。

これで原作二巻の内容は終わりです。次は三巻、臨海学校編です。


アンケート参加ありがとうございました。
皆さんの意見を見て、シャーリーを出そうと思います。ただし、IS世界のシャーリーなので、ギアス世界のシャーリーとは別人になりますけど。
所謂、並行世界の同一人物って事で。
どういう形になるかはお楽しみに。

ISのオリ主物も始めました。よかったら見ていってください。
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