波乱続きだった学年別トーナメントを終えて、IS学園は一部を除き落ち着いた日常に戻っていた。
しかし、その一部は朝から騒がしい。
「…また、やってるね」
「そうだね。まあ、生徒会に迷惑かけなければ好きにしてればいいよ。見てる分には楽しいしね」
「だよねー。おりむー争奪5WAYマッチは傍から見ていると面白いよね」
朝から騒がしい一部こと世界唯一の男性IS操縦者・織斑一夏とそれに恋する五人の女子達。それを横目にのんびり朝食を食べるいつもの三人。
「もし、生徒会の仕事が増えたら?」
「私と会長で全員をボッコボコにする」
「…気を付けよう」
「だいじょーぶ、会長はかんちゃんに優しいから」
「そうそう、それに、あのメンバーに実力行使をするのは、もうすでに何度か注意をしているからなんだよ。自由なのは良いんだけど、程度って物があるからそれを超えないようにさせないとね」
「その判断って誰がするの?」
「多分、会長と虚さんだと思う。もしかしたら私と本音も入るのかな?」
「どっちかというと、私とつっきーは報告の方がメインになりそうだけどね。それをおねーちゃんと会長が客観的に判断するんじゃないかな」
「なるほどね、二人とも同じクラスだしね。…ごちそうさまでした」
「案外、本音が一夏と同じクラスになったのって、問題があってもすぐに気付くようになのかもしれないね。…ごちそうさま」
「ひょっとしたら、そうかもねー。…ごちそーさまでしたー」
話ながらも食事を終え、教室に向かう。最近、三人は意識して早く動いている。カレンと本音は担任の織斑先生の厳しい罰から逃れるために、簪はそれに付き合ってである。
彼女たちの一日が始まる。
そこから数日経って休日の朝、カレンと簪は寮の入口にいた。理由は、前述の放課後にさかのぼる。
その日の放課後、カレン達三人は生徒会室に居た。生徒会室には生徒会のフルメンバーが居た。
「そういえば、もうすぐ一年生は臨海学校なんじゃない?」
楯無がそう言った。
「そうらしいですね。今日、山田先生が下見に行っているらしいですよ。朝、織斑先生が言っていました」
「しかし、困った事が出来た」
「困った事って何よ、ルルーシュ」
突然出てきたルルーシュに楯無はそう聞いた。
「臨海学校では専用機持ちは専用装備のテストをするんだろ? 紅蓮にそんなものあると思うか?」
「…ある訳無いわね。紅蓮の出自的に考えて」
紅蓮は武装が固定のもので完結してしまっている。それでもってその固定武装に拡張性がほとんど、いや全くと言っていいほどない。
これは乗り手であるカレンの技量である所も大きいので、運用で問題は無いのだが機体的には問題である。
ISの専用機はその大半が国家に属しているので、その国のIS技術の発展の為にISの新装備、新システムの稼働実験を行う。
今回の臨海学校ではそんな事をまとめて行おうという話である。
ちなみに、一般の生徒はIS学園のスポンサーの企業から送られてくるテスト装備を班に分かれて消化していく。
意外とここで企業からスカウトの話が来る場合があるらしい。
今回の紅蓮の問題はこのテストでやる事が何もないという事だ。
「まあ、考えが無いわけではないがな」
「突貫で装備でも作るの?」
「その通りだ。厳密に言うと装備ではなくシステムだがな」
「それでも、もう一週間も無いのよ」
「紅蓮の背部のミサイルポットにマルチロックオンを搭載してみるだけだ。打鉄弐式のをある程度流用して作るから3,4日あれば十分だ」
「…ねえ、お姉ちゃん」
今まで聞いていた簪が話に加わって来た。
「なに、簪ちゃん?」
「前から思ってはいたんだけど、カレンもそれなりにとんでもないけどルルーシュは桁外れにとんでもないよね…。普通、流用できるからって3,4日じゃ出来ないよね」
「そうね。というより、ルルーシュは数か月で世界を統一してしまっているって事を考えると歴史上でもトップクラスのとんでもなさよね。人外ね」
「おいおい、とんでもないとか、人外とか言うな。俺はまだ人間だぞ」
「C.Cに魔王って呼ばれてたじゃん」
「魔王…やって来た事を考えるとぴったりね」
「まあ、否定はしないが。ただ、一つ言っておくと俺が短期間で世界統一なんて事をやってのけれたのは、世界がかなり単純な対立構造だったからだ。世界最大のブリタニアと黒の騎士団を中心とした超合衆国。どちらかが倒れればなし崩しに世界はまとまる。そう言う状況だった。ここで、同じ事をやろうとしても難しいぞ」
「…それでも、難しいなのね」
「まあ、時間を掛けて準備して、時間を掛けて切り崩していけばできない事は無いと思う」
「…やっぱり、魔王」
簪の言葉で一旦話が切れる。
「そういえば、カレンちゃん。水着あるの?」
「いや、無いですけど」
「さっきのISの稼働試験の話は二日目で、初日は自由時間なの。海が近いから、皆水着を持っていくのよ。週末に買いに行くのはどうかしら」
「お嬢様、週末には本家で用があります」
「忘れてた…」
「じゃあ、私とかんちゃんとつっきーの三人で行ってくるよ」
という訳で、買い物に出掛ける為に寮の入口で待ち合わせしていたのだが、
「本音、遅いね…」
「あの子、昔から朝は強い方じゃなかったから」
「でも、平日は普通に起きてるじゃん」
「それは、多分同室の子が起こしてくれてるんだと思う」
「今日はその子も遅いのか…」
「その子は朝早くから起きて、休日だからゆっくりさせてあげようと起こしていないのかだね」
二人はそんな事を話していた。すると、
「かんちゃ~ん、つっき~、遅れてごめ~ん」
走って駆け寄ってくる本音。何か少し危なっかしい。
「まあ、まだ朝も早いし問題無いよ」
「それじゃあ、行こうか」
そして、三人は寮を出た。
目的地は駅前にある大型ショッピングモール『レゾナンス』。この辺の住民には『レゾナンスに無ければ、市内のどこにも無い』とまで言われる所だ。
駅前に向かって歩いていると、
「…何でセシリアと鈴とラウラがあんな事しているのかな?」
何かに隠れながら歩いている三人を見つけた。
「そうだね~、何かを尾行している感じだね~」
本音の言葉でこの三人の中で一番身長の高いカレンが謎の動きをしている三人の前を見て、
「あっ、一夏とシャルロットが居る」
と、さらに前の二人を見つけた。
「お~、ならせっしー達はおりむーとでゅっちーの尾行をしてるんだね」
「そうみたいだね。…にしても織斑一夏争奪戦はシャルロットリードかな?」
「でも、話に聞く織斑君は鈍感らしいからこれくらいのリードは有って無い様なもの」
「そうだね。…それより、私は尾行している三人が何か問題を起こさないか心配だよ」
「たしかにね~。でも、三人とも代表候補生だから、その辺の分別はつくと思うよ」
「できれば外だけでなく、学園内でも分別を付けて欲しいよ」
カレン達は尾行している三人の代表候補生たちをスルーして、レゾナンスに向かった。
「女尊男卑ってえげつないね…」
レゾナンスの水着売り場を見て、カレンはそう呟いた。
売り場面積は男女比1:5といった所だ。
「たしかに…。男性用水着はデザインの種類が女性より少ないとはいえ、これは露骨だね」
「ここまで多いと探すのも選ぶのも面倒だしね~」
水着売り場を歩き回る三人。すると、
「更識に布仏、それに紅月か。お前たちも水着を?」
織斑先生と山田先生と鉢合わせした。
「もって事は先生達もですか?」
「まあ、一応な」
「私達にも自由時間はあるんですよ」
「へー、そうなんですか」
「お前たちの時間を邪魔するのもあれだから、私達は私達で探そう。あまり、人様の迷惑になるような事はしないようにな」
「分かりました。…でも、それは一夏を含む私と簪以外の専用機持ちに言った方が良いと思いますよ」
「どういう事ですか?」
「いや、今日ここに来るときに見たんですよ。一夏とシャルロットは二人で居て、それを他の三人が尾行してたんですよ。歩いている方向は同じだったと思うので多分ここに居ると思いますよ」
「いつもなら篠ノ之さんもいそうですけど?」
「そういや、箒は見ませんでしたね。まあ、たまにはそう言う事もありますよ」
「しかし、どうして話しかけなかったのだ?」
「個人的にですけど、あんまり長々と買い物するのって好きじゃなくて。今日は水着含め臨海学校に必要な物を買いに来ただけですし、まだ準備を済ませていないので」
「てきぱき行動したいと」
「はい」
そんな会話をして三人は織斑先生と山田先生の二人と別れた。
その後、色々見て結局、カレンはオーソドックスな赤のビキニタイプを、簪は薄い水色のワンピースタイプのを、そして本音は…
「「それって、水着?」」
思わず、カレンと簪がそう言ってしまうのも無理もない誰がどう見てもキツネの着ぐるみにしか見えない物だった。
「…寝る時の服と変わらないよ、それ」
「えー、素材がちゃんと水着用のになってるよ」
「それ、暑くないの? 海だから日光の下でそれ着るの?」
「大丈夫だよー」
と、そんな事を話しながら三人は帰り道をのんびり歩いていった。
さて、更新が少し開きました。
現在この作品に関してはちょっとスランプ気味です。なので、次がどうなるかもまだ未定ですしいつ更新できるかも未定です。
なんていっていると2,3日後に更新なんてことになってるかもですが…。