『状況はあまり良くない。先行した織斑一夏を除く専用機持ちは篠ノ之箒以外は戦闘行動は不能、現在織斑一夏、篠ノ之箒両名が事態に当たっている』
現場への移動中、ISと同調しているルルーシュは制限を切ったハイパーセンサーで戦場の現状を把握する。
『どうやら福音は二次移行を行ったようだ。機動力も含め、すべての性能が向上している』
『あれが!? それじゃ、流石に厳しいよ』
『そのようだな。二次移行した白式とワンオフ・アビリティを発動した紅椿でも押されている』
『…強敵だね』
『間もなく着くぞ。打ち合わせ通りにな』
『『了解!』』
到着したカレンは戦闘中の二人に呼びかける。二人はかなり消耗しているみたいだ。
「一夏、箒、その場から離れて!」
「カレンか! どうしてだ!」
「良いから早く!」
カレンの言葉に渋々ながら従い少し離れる二人。
「簪!」
「ロックオン完了。全弾…発射!」
増加パッケージ分も合わさった80発のミサイルが発射される。福音は一瞬不意を突かれるもすぐさま銀の鐘での迎撃を行う。
「その弾幕は聞いてる。でも、山嵐からは逃れられない」
単純な数、銀の鐘と山嵐では弾数が倍ほど山嵐が多いのだ。
福音は回避しつつ、ミサイルを迎撃していく。しかし、流石に80発ものミサイルを迎撃しきるのは不可能で何発か食らう。
「やった…のか?」
「ああ、恐らくは」
離れた所で唖然としている二人。
「助かったよ、カレン、更識さん。正直、決め手に欠ける…」
「一夏、まだ倒したかどうか確認できてないよ。クラス対抗戦の時もそうだったでしょ」
「そうだったな」
集中し直す一夏。
『敵機情報を更新。迎撃を開始す…』
「やらせないよ!」
福音のマシンボイスが聞こえた瞬間に突撃をするカレン。一瞬遅れて、一夏と箒も続く。
「一夏、私や簪、箒が何とか隙を作るから何とか『零落白夜』を当てて」
「それしかないな。一夏、任せるぞ」
「…頑張って、織斑君」
「おう、任せろ!」
第二ラウンドが始まる。
四対一になっても戦況は硬直したままである。
エネルギーの消費が激しい白式だが、紅椿の絢爛舞踏によって戦線に留まれている。
紅蓮、打鉄弐式共に出来るだけエネルギー消費系の武器を使用せず、実弾系の武器を使用して戦闘している。
対する、福音は有り余るエネルギーで弾幕を張り続ける。近距離戦機体の多い状態ではあまり有効な手を打てない。
「…隙が生まれない」
「本当だな…」
「こっちは疲れているのに…」
初の試合ではない実戦で確実に疲労が溜まり、動きにどんどん精彩が無くなっていく三人。
「皆結構、無理してるね…こうなったら!」
三人と同じく疲労は溜まっているものの、それでも始まった当初と同じレベルの戦闘を続けるカレンが再び突撃を掛ける。
「いくら弾幕を張ったって!」
最低限の回避で肉薄していくカレン。
『カレン! 無茶をし過ぎだ!』
ルルーシュがそう言うが聞く耳を持たない。少々の被弾を気にせず距離を詰める。
紅蓮が右腕を構える。狙いは拡散の輻射波動砲。
「これでも、食らえ!」
発射して、光弾ごと銀の福音を飲み込む。
しかし、福音は次の瞬間、
『銀の鐘、攻撃パターン変更』
その言葉と共に、今まで弾幕を張っていた光弾が集束していく。二次移行した事で実体の翼からエネルギーの翼になった事で出来る様になったと思われる、集束砲撃。範囲優先の拡散輻射波動砲が破られる。そして、それを撃っていた紅蓮も砲撃に飲み込まれ、カレンは海に落ちていく。
「「「カレン!」」」
叫ぶ三人。
だが、福音の攻撃はこれで終わらない、追撃と、再び翼から光弾の雨が落ちていくカレンに降り注ぐ。
そして、紅蓮は煙に包まれた。
カレンサイド
「やばっ…」
私は福音の集束攻撃を見て、これは避けられないと感じ、そう呟いた。
ルルーシュが止めるのも聞こえていたけど、この場を早く収めようとして無茶した結果がこれだよ。案の定直撃を食らって、そのまま海へ落ちていく。
案外、こう言う時って冷静な物で落ちていきながら周りははっきりと見えた。
一夏と箒は悔しそう。無茶したのは私だから気にしなくても良いのに。
簪は今にも泣きだしそう。…ゴメンね簪。
謝らないといけないのは後二人。
止めたのに無視してこんな目に共に合う事になってしまったルルーシュと、助けると言っておきながら助けられなかったこの世界のシャーリー。
見ると福音は再び光弾の発射体制になっている。今の状況じゃ避けれない。最後まであがきたいけど、さっきのダメージで体もいう事を聞かない。
そして、私は光に包まれた。
ルルーシュサイド
「カレン!」
俺は俺らしくなくそう叫んでいた。
…今日のこの銀の福音暴走事件では俺は全くの無力だった。
調べても何も分からず、普段なら出来るはずのコアの直接干渉も失敗し、完全ではない機体で簪を出撃させ、すでに結構激しい戦闘を行った後のカレンを休む間もなく再び戦場に送り出す。挙句の果てにカレンが撃墜される。
もしも、俺が生きていたら、死んでてもこの世界だけでも肉体を持てていたなら、この結果は生まれなかったかもしれない。いや、絶対にこんな結末になどさせない。
なにより、カレンにここまで負担を掛けさせはしない。この世界のシャーリーも何とか出来たはずだ。
悔いばかりが頭に浮かぶ。
その時、俺は光に包まれた。
「カレン!」
爆発に包まれたカレンに向かって叫ぶ簪。
その爆風が晴れた時、三人は信じられない物を見る。
そこには二機のIS。
一機は真紅。三人が良く知る紅蓮。しかし、背部に有るエネルギーの翼が元々あった禍々しさをより増大させている。さらに右腕も一回り大きくなっている。
もう一機は漆黒。ところどころに使われた金色や肩にある水晶のようなものが、どこか高貴さもかもしだしているが、肩部や背部にある爪により禍々しさの方が勝っている。
『ルルーシュ!? どうしてここに?』
驚きの声を上げるカレン。
『さあ、よく分からん。だが、それは後だ。今はこの場を何とかするぞ』
そんな事を話していると、二人の方に福音が攻撃を仕掛ける。
「「カレン!」」
「ルルーシュ!」
「ふん、この蜃気楼を舐めてもらっては困るな」
紅蓮の前に出、エネルギーシールドを発生させる蜃気楼。
「あれは、更識さんの…」
「ううん、私の絶対守護領域はマルチロックオンシステムの副産物だから簡易版。あれが本物だよ」
一夏の疑問に答える簪。
その間に福音は翼を自分自身に巻き付ける。次の瞬間、翼が回転しながら全方位に光弾の嵐を降らす。それは動ける三人だけではなく、ダメージで動けない他の専用機持ちにも影響が出る可能性があるという事だ。
「ヤバい、皆を…」
「この戦域に居る全員に次ぐ。絶対にその場を動くなよ!」
ルルーシュは両手に巨大なライフルを二丁呼び出し、上空に構える。肩にあった水晶が発射され、それに向けて接続させた、二丁のライフルを発射させた。発射されたビームは先に発射された水晶によって乱反射され、拡散し、光弾を打ち消していく。しかも、味方には当てずにだ。
「まあ、こんなものだろう。カレン! 守りは任せろ」
「OK! 生まれ変わった紅蓮の力、見せてあげるよ!」
その言葉と共に一気に加速し飛び立つ。
福音が迎撃のための弾幕を張るが、
「今の紅蓮にそれは通用しないよ!」
紅蓮はエネルギー翼で自らを包み、そのまま弾幕を無視して超スピードで突っ込んでいく。
そして、ついに紅蓮はその右腕に福音を捉える。もちろん使うのは輻射波動だ。
輻射波動によってどんどんシールドを削っていく。しかし、福音もそれを黙って食らっている訳では無い。銀の鐘を起動させて光弾の雨を降らし、撃退しようとする。
「残念ながら、それも聞かないよ」
カレンは紅蓮の右腕を切り離し、回避する。しかし、切り離された右腕はいまだ輻射波動を発動させたままである。見ると、右腕と本体は有線で繋がっている。カレンはひたすら避け続ける。戦いは紅蓮と福音の我慢比べになっている。そしてそれは、やがて終わりを迎える。
アーマーを失い、スーツだけになった福音のパイロット、シャーリーを切り離していた右腕を元に戻して、抱えるカレン。
「良かった…」
「そうだな。…さて、帰るか。シャーリーとカレンを含め、全員の治療が必要だろう」
「そうだね」
そう答えるカレン。周りを見ると、いつの間にか日も暮れてきて、青かった海も茜色に染まっていた。
この後、全員で旅館に帰ってから、先生と簪以外の専用機持ちにルルーシュの事を問い詰められたが当の本人が持ち前の弁舌で見事に全員を丸め込んだので、結果的に何事も無かった。
ルルーシュは臨海学校の後、IS学園の編入が決まる事になった。
夕食では皆が今日の出来事について主に一番とっつきやすそうなシャルロットに聞いてきたが、彼女が上手くかわして、その話題は終わった。
夜、旅館の近くの岬に千冬は居た。
一緒に居るのは篠ノ之束。
「単刀直入に聞く。束、今回の暴走事件にお前が関わっているのか?」
「それにはノーと答えるよ、ちーちゃん。確かに私は世間からみて非常識だと自分で自覚してるけど、それでも、大事な自分の妹が危険な目に合いそうなことを自分の手で起こしたりしないよ。ちーちゃんも私がどれだけ箒ちゃんを大事にしているか知っているでしょ? 白騎士事件の時とは違う」
「そうだな…」
千冬がそう呟く。
「なるほど、白騎士事件はやはり自作自演だったか」
そこに一人話に入ってくる。黒髪にアメジストの色の瞳、整った容姿に細身の体。ある意味世界最高の頭脳を持つルルーシュ・ランペルージその人だった。
「ランペルージ、もう消灯時間だぞ」
「織斑教諭、俺はまだ学園の生徒ではないぞ」
「…そうだったな」
「…話を元に戻していいかな? ルル君は私の自作自演だって気付いていたの?」
そう聞く束。
「何となく、予想していただけだ。それに自作自演にしては規模が大きすぎるとは思うが」
「…そうなんだよ。本当は2341発もするつもりは無かった。予定では通常弾頭のを100発くらいにするつもりだった。しかも、一番セキュリティの低くて、日本の影響が無さそうな国のね。なんだかんだいって生まれた国には愛着があるから。でも、どこからかばれて…」
「その結果が白騎士事件と」
「最初は全部自分でやるつもりだったの。これでも、身体能力には自信がある方だし。でも、調べていく内に事態が大事になって、私一人じゃどうにもできなくなって、それで、ちーちゃんに白騎士のパイロットをまかせて…」
「…頼まれた私が束の代わりにミサイルを全部迎撃した。これが白騎士事件の真実だ」
「なぜ、そんな事を?」
「認めてもらいたかった! 今まで、世界に認められなかった私だったけど、私が作った物が認められればそれは私が認められたと同じだから!」
才能を持ち過ぎた故に、世間に、世界にはじかれたものの望み。他人から見ればそんな事かもしれない。しかし、本人には何事も代えがたい物だった。
「私はその悩みを知っていたから、親友として支えたいと思った。ただそれだけだ」
「結果として、ISは認められた。兵器としてだけどね。私が望んだ、宇宙進出のための研究はされてないけど。…信じて貰えないかもしれないけど、私は自分の知らない事がたくさんある宇宙に行きたくてISを作り始めたんだ。でも、私があずかり知らぬ所で兵器としてのISが広がっていって、それで怖くなって…467個目を作った時点で逃げた。何もかもから」
たとえ、世界から天才と言われようとも、常識が無いと言われようとも、精神はまだまだ子供だったのだ。いや、環境的に年齢よりも子供かもしれない。
「逃げたのは、もう一つ理由があってね。ISが理由で私の家族がいろんな人に狙われるようになったって事。私が近くにいれば箒ちゃんやおとーさん、おかーさんに迷惑が掛かる。だから失踪した。箒ちゃん達の警備は日本の裏の仕事をしている家に頼んでね」
「…ひょっとして『更識』か?」
「どうして、ルル君が知ってるの?」
「IS学園の生徒会長が今の『更識』の当主だからだ」
「なるほどねー。…私達がここまで話したんだし、ルル君がここに来た理由を話して貰っていいかな?」
「目的自体はさっきの織斑教諭と一緒だ。ついさっきまでの体だと、ISのコアにも直接干渉出来たのだが、福音にはそれも出来なかった。なら、開発者をまず疑うのが筋だろう?」
「それはそうだね。納得。さって、そろそろ束さんは帰りますか! 重い話で疲れたよー」
「最後に良いか? これは同じ弟妹を持つ人間として言いたい事なのだが」
ルルーシュの言葉に頷く二人。
「そこまで大事に思っているのなら、一度自分の思っている事を相手に話してみる方が絶対に良いぞ。くだらないすれ違いなど、それで消えるからな」
「…それはルル君の経験談?」
「…ああ、言えた義理ではないが、結局、俺がそれに気付いたのは俺が死ぬことを決めて、もう後戻りできない状態になってからだった。だからこそ、同じ事をしようとしているのを見ているだけというのは出来ん」
「…ありがと、ルル君。考えとく。でも、今日は止めとく。私の気持ちは固まらないし。何より箒ちゃんも疲れているだろうから」
そう言って立ち去る束。箒を思いやる心はまさに姉だった。
「…私もその内一夏と話をするか。感謝するルルーシュ」
「礼を言われるほどの事ではない。気にするな」
「さて、我々も旅館に戻るか。お前の部屋は余っていた一人部屋だったな」
「そのはずだが、カレン達が来ていた」
二人は話をしながら旅館へ戻っていく。
それを見ているのは三日月を満天に輝く星空だけだった。
超展開ですね。
紅蓮、二次移行&ルルーシュ実体化での本格参戦となりました。
二次移行で『紅蓮聖天八極式』になったんですけど、まあ、呼び方は『紅蓮』で。長いですから。
ルルーシュのIS『蜃気楼』はIS化により結構変化をしています。
大型ビームライフル『ハドロン』×2
ISに胸部砲は不格好だと思ったので手持ちの大型ライフルにしました。ウイングゼロガンダムを想像してもらえればいいかと。相転移砲の為のクリスタルが胸から肩に移動しています。
片方単発、集束砲、相転移砲など使い方はいろいろできる物となっています。
肩部などについている爪
スラッシュハーケンです。これはどちらかというと『ガウェイン』のイメージで付けました。なので10本有ります。
紅蓮の右腕ばりに自由に動かせる設定です。
ルルーシュなら10本上手く使ってくれると思います。
スラッシュハーケンの所でも書きましたが、この機体は『ガウェイン』『蜃気楼』両KMFの要素を持ち寄って考えた物になっています。
そんでもって兄&姉キャラたちのお話。
分けようか考えましたがぶっこみました。
次回は…未定です。