IS~紅の戦乙女~   作:ピーナ

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ルルーシュ初登校回です。


第二十四話 「主の為に学ぶのが使用人の嗜みですから」

臨海学校から学園に戻ってきてすぐ、カレン、簪、本音は生徒会室に来ていた。

三人が部屋に入ると、そこには楯無、虚、そして楯無の手配した車で先に学園に戻って来ていたルルーシュがいた。

 

「さて、集まってもらったのは察しの通りルルーシュの事なんだけど…本当にどうしましょ?」

「俺に拒否権は無いだろうな。専用機持ちに見られたのだから」

「なのよね…織斑先生も編入自体は確定事項だって言っていたし。織斑君とまとめて保護をするって意味でクラスも決まってる。身の周りの設定なんかは全部ルルーシュが何とかするでしょ」

「おい」

「で、ここからはお願いなんだけど、ルルーシュ、生徒会に入らない?」

「別に構わんが」

 

楯無の要請に二つ返事で返すルルーシュ。

 

「…なんか意外ね。ルルーシュなら、何か条件を付けてくるかと思ったわ」

「…お前は俺をなんだと思っているんだ」

「だってねえ?」

 

そう周りに聞く楯無。そして、頷く全員。

 

「…そうか、俺はそう思われていたのか。まあ、ここに居る人間は全員が俺がどういう人間か知っているから、肩肘張らずに入れるだろう? 俺でもそう言う場は欲しいからな。生徒会はその場を提供する。俺は生徒会の仕事をする。ギブ&テイクだ」

「と、カッコ付けてますけど、ルルーシュは乗り気ですよ」

「カレン!」

 

ルルーシュのツッコミの後に生徒会室は笑いに包まれた。ルルーシュ自身も苦笑いではあるものの、笑顔ではある。

 

 

 

その翌日の朝のSHR。

 

「えー、こんな時期ですか、転校生を紹介します!」

「ルルーシュ・ランペルージです。先日ひょんなことで、ISを動かしたのでここに編入する事になりました。元はこのクラスの紅月カレンがテストパイロットを務めていたISの研究員をしていたので、多少はISについて分かりますが、共に勉強をする身です。よろしくお願いします」

 

ルルーシュの自己紹介が終わったクラスはシーンと静寂に包まれる。同じ男性である一夏は茫然としている。

 

「お、男…?」

 

クラスの誰かがそう呟く。

 

「ええ、まあ」

 

ルルーシュがそう答える。

 

「き…」

 

そのためが入った瞬間、ルルーシュとカレン、本音は耳を塞ぐ。一夏はまだ、びっくりしている。次の瞬間クラスが

 

「「「「「きゃあぁぁぁ!!!」」」」」

 

と大半の女子の歓声に包まれた。

 

「男子! 二人目の男子!」

「しかも、超美形! 王子様よ!」

「背高い! 手足長い! モデルみたい!」

「このクラスで良かった! いや、地球に生まれて良かった!」

 

口々に喋るクラスの女子達。この状況で副担任は慌てるかもしれないが、担任は違う。何と言っても世界最強の教師なのだから。

 

「静かにしろ! 話が進まん! ランペルージの席は紅月の隣だ。昔からの知り合いなら気も楽だろう」

「ありがとうございます。織斑先生」

 

指示された席にルルーシュが座ると共に授業は始まる。

 

 

 

一時間目が終わり、カレンはルルーシュに話しかけた。

 

「ルルーシュ、居心地はどう?」

「授業中は気にならないが、今は最悪だな。視線が刺さるとは上手く言ったものだ」

 

入学式当初の一夏、再びといった感じで、遠目からルルーシュを観察するクラスメイト。そして、廊下には他のクラスや上級生の姿が。

 

「るーるーは皇子様だからねー」

「色的には黒だけどね」

 

いつの間にか本音も混ざって、三人で話していると、

 

「えーっと、良いかなランペルージさん?」

 

一夏が話しかけてきた。

 

「ルルーシュで構わない」

「そっか。俺も一夏で構わないぜ、ルルーシュ。たった二人しかいない男子なんだから、仲良くしようぜ」

「そうだな。俺も知り合いは居るが、やはり同性の話相手が居ると居ないのとは違うからな」

「分かってくれるか! この三か月の苦悩を!」

「なんとなくはな。俺もたまにカレンから話を聞いていたし。これから、よろしく頼む、一夏」

「おう、少しだけ先輩だが頼ってくれ! …ISの事以外で。っていうか、むしろ俺に教えてくれ!」

 

懇願する一夏。もし、これが狙いだったらとんだ策士である。当然違うが。

 

「別に良いが、俺の知識はかなり偏っているぞ。それよりも、普通に同級生聞くのはどうだ?」

「その方が良いんだろうけど、友達の代表候補生たちは俺に教えるのそっちのけで言い争い始めるんだよ。なぜか」

「…苦労してるんだな。っと、チャイムが鳴ったぞ。席に戻ったらどうだ?」

「そうだな。千冬姉の出席簿は食らいたくないからな」

 

そう言って、一夏は自分の席に戻っていく。

 

「どうだった一夏は?」

「普通に好感のもてる奴だと思うぞ」

「当たり障りのない答えだね、るーるー」

「まあ、少ししか話していないからな」

 

そこで、織斑先生が教室に入って来たので話はそこで終わる。

 

 

「お腹空いたーご飯行こうよつっきー」

「そうだねー」

「二人とも、会長に呼ばれていたのを忘れたのか?」

「「そうだったっけ?」」

 

どうやら素で忘れていた二人。

 

「……会長は食堂で待っているはずだ。行くぞ」

 

そう言って歩き出すルルーシュ。

 

「ルルーシュ、食堂の場所知ってるの?」

「一度地図を見れば覚えれる」

「るーるーは凄いねー」

「いや、ルルーシュの場合、能力が全部頭脳労働系に割り振られているだけだよ」

 

能力のバランスを図形で示すのなら、ルルーシュのは確実に歪である。頭脳系のは上限越えで、肉体系のは初期値みたいな感じである。

 

「それは否定したいが出来ないな。俺に肉体労働は無茶ぶりだ。体力も筋力も無さすぎる」

「それ自分で言っちゃうんだ」

「ここでは無理に意地を張る必要も無いだろう。自分の欠点を知る事は大切な事だと思うぞ」

「じゃあ、るーるーは自分の欠点をどうするの?」

「…何度か過去に何とかしようとしたが、俺のは体質らしい。何ともならん」

「なら、今なら何とかなるかもね」

 

一度死んでるしとは言わない。誰かに聞かれるのは不味いから。

 

「…その発想は無かったな」

「放課後試してみようよー」

 

話していると食堂に着いた。

食堂にはすでに楯無、簪、虚がいた。

 

「かいちょー、遅れましたー」

「そこまで待ってないわよ、本音ちゃん。それより食べましょ? ルルーシュの歓迎の意味を込めて私と虚ちゃんで料理を用意したから」

「では、ありがたくいただこう」

 

皆で料理を食べ始める。

食べながら、楯無が話し始める。

 

「今日、ここに呼んだのは歓迎の意味もあるけど、それより皆でやって欲しい事があるんだ」

「やって欲しい事、ですか?」

「まずは、二次移行した紅蓮のデータ採取、それと、蜃気楼の運用データもね。アリーナは押さえてあるわ。で、ここからはルルーシュにお願いなんだけど…」

「歯切れ悪いですね会長」

「流石にちょっと、言い辛い事だからね。…私と簪ちゃんを強くしてください!」

「…は?」

 

言葉の意味が分からないルルーシュ。それもそのはず、強くするならカレンに頼むのが筋だろう。

 

「お嬢様、大事な所が抜けています」

「私とした事が慌てたわ。ルルーシュにお願いしたいのは私達の機体の強化よ」

「ああ、なるほど。…しかし、良いのか? 専用機と言ったら国家プロジェクトだろう?」

「大丈夫よ。私の方は、私が率先して作ってるから、あんまり強く言えないのよ」

「…私のは、こっちでマルチロックオンを完成させた時点で、ある程度自由にして良いように言われている」

 

二人とも、実績を残したので、このような真似が出来る。

 

「…分かった。国家機密に当たる部分以外のデータを後で見せてくれ」

「頼むわね。…って言った傍からなんだけど、体大丈夫なの?」

「学生と騎士団の仕事を纏めてやっていた頃に比べれば楽なもんだ」

 

ルルーシュの言葉に全員が納得する。

目の前の男子は学生とテロリストという二つの草鞋を隠しながらこなしていたのだ。同じ学園生活内だから、まだ楽なのだろう。

 

「私も微力ながらお手伝いします」

「微力って…虚ちゃんは整備課三年の首席なんだからここで、トップの技術者じゃない」

「それでも、まだまだですよ。それに…」

「それに?」

「それに、主の為にあらゆる事を学ぶのが使用人としての嗜みですから。今回の件で私もルルーシュさんから学ばせて頂きます」

「…だって、本音」

「それがお姉ちゃんと会長の関係だよー。私とかんちゃんは、私達の関係を作れば良いのだー」

 

使用人とは主に仕え、支える者。楯無を能力的に支える虚の様な方法もあれば、簪を精神的に支える本音の様なやり方もあるのだ。

 

「そうだね。それに、本音はいろんな所でサポートしてくれるから、いつも感謝してる」

「えへへ~、そう言われると照れるよ~かんちゃん」

 

二組の姉妹の主従がそれぞれの仲を確認しあった昼食を終え、全員が午後からの授業に向かった。

 




書いていたら案外長くなりました。
次回はこの続きからになります。
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