IS~紅の戦乙女~   作:ピーナ

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ルルーシュ編入初日、後編です。


第二十五話 「「どうしてこうなった…」」

「「どうしてこうなった…」」

 

ISを纏った、カレンとルルーシュがそう呟いた。

相対して同じくISを纏った、一夏、箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、簪がいる。そして、簪以外の目には若干の怒りが見える。事情は数分ほど前に戻る。

 

ルルーシュの編入一日目の午後の授業は一年全クラス纏めてのIS実習だった。そこで織斑先生は

 

「まずはチームを組んで模擬戦をしてもらう。チームは紅月とランペルージ対それ以外の専用機持ちだ」

 

と指示した。その言葉で全員が驚く。

 

「いや、それは無茶ですよ!」

「そうか? 紅月の腕なら国家代表レベル、いや、ヴァルキリーも十分狙えるくらいだ。私に機体が有ったらぜひ手合せしたいものだ」

「評価していただけるのは嬉しいですけど…」

「なるほど、さしずめ俺はハンデだな」

「いきなり模擬戦をさせるのはどうかと思うが、これも経験だと思え」

「了解です。行くぞカレン」

 

そう言って、準備を始めるために移動するルルーシュ。慌てて後ろを付いて行くカレン。

 

「「「「「「織斑先生! あの条件は本気ですか!」」」」」」」

 

そう詰め寄るのは簪を除いた専用機持ち。簪は一人準備をしている。この学園で一番カレンと模擬戦をしていた彼女はカレンの強さをよく知っていて、自分との実力の差もよく理解している。

 

「本気だ。機体の性能を抜きにしても紅月の技量に太刀打ちが出来るのは生徒会長と私くらいの物だろう。ランペルージというハンデが無いと恐らく10分持たないぞ。それより、さっさとしろ。私の言葉を撤回したかったら、死に物狂いでアイツらを倒せ」

 

織斑先生の言葉に引き下がり各々準備を始める。

そして、時間は冒頭に戻る。

 

 

『なんか、簪以外怒ってるよね』

『大方、詰め寄った時織斑教諭に何か言われたんだろう。まあ、冷静さの欠いた人間は相手にし易いから好都合だ。開幕は作戦通りに。後は必要に応じで指示を出す。それ以外は好きに動け』

『了解! …なんだか、懐かしいね』

『何がだ?』

『ルルーシュと肩を並べて戦いの場に立つのは』

『そうだな。トウキョウ決戦以来か。カレン、お前の腕、信頼しているぞ』

『任せてよ。私もルルーシュの指揮を信頼しているしね』

「準備は出来たか? では、始め!」

 

織斑先生の合図で模擬戦は始まる。

 

開始してすぐ、先手を取ったのはカレン&ルルーシュペアだった。開幕、肩部のクリスタルを発射して、相転移砲をいきなり放つ。

不意を突かれてバラバラに回避する一夏達。

そして、相転移砲に気を取られている内に、カレンは一気に一夏に距離を詰める。右腕で掴み、輻射波動を発動。そしてそのまま右腕を伸ばして叩きつけて一気に戦闘不能まで持っていく。

 

「「「「「「なっ!?」」」」」」

 

いきなりの出来事で、動揺を隠せない専用機持ち達。

 

『ルルーシュ、次は予定通り箒を狙う!』

『了解だ』

 

実は、この相転移砲、ランダムに撃っているように見えて、ルルーシュがコントロールして拡散している。ターゲット(この場合は一夏と箒)とカレンのあいだにはビームの雨が降っていない。

これで、ターゲットの回避行動を制限し、輻射波動で最初の内に有る程度倒す。これがルルーシュの立てた開幕の作戦である。

一夏と同じ手段で箒を撃墜するカレン。

それ以外の機体も相転移砲で少なからずダメージを受けている。

しかし、彼女達も専用機持ち。体勢を立て直し、動き出す。カレンにはセシリアとラウラ、ルルーシュには簪、鈴、シャルロットが付く。

 

 

カレンVSセシリア&ラウラ

 

「今度は、こちらの番ですわよ!」

 

ブルーティアーズを展開し、攻撃をするセシリア。

 

「私達はそう簡単にはやられてやらんぞ!」

 

ワイヤーブレードで攻撃をするラウラ。形として前衛ラウラ、後衛セシリアとなっている。

 

「まずは…」

 

カレンは二次移行で向上した機動力を活かし、ブルーティアーズを破壊していく。

 

「次は!」

 

カレンはジグザクに動きながらラウラに接近していく。そして、右腕を発射する。

 

「それは読めているぞ!」

 

ラウラはAICで右腕の動きを止める。

 

「読んでいるのはこっちもだよ!」

 

カレンはその隙を突いて一気に近寄り、ラウラをセシリアの方に蹴り飛ばす。

ぶつかり、体勢を崩した二人に向けて、

 

「これで、終わり!」

 

輻射波動砲を叩き込む。体勢を崩していた二人はなすすべなく飲み込まれ、戦闘不能になる。

 

 

ルルーシュVS簪&鈴&シャルロット

 

 

その一方でルルーシュの方は状況が硬直していた。

 

「打ち破れないわね…」

「あれが突破できないね…」

「…絶対守護の名は伊達じゃないって事だね」

 

蜃気楼の絶対守護領域の前に攻撃がほとんど通らず、ルルーシュが防御に専念しているので、事態が動かないのだ。

絶対守護領域は現在従来のキーボードとイメージインターフェイスの併用でより強固で効率的な運用が可能になっている。

 

「近接戦闘しようとしても、あの自由に操作できる爪みたいなのが鬱陶しいし!」

「あれ、多分紅蓮のスラッシュハーケンと同じだけど、全然使い方が違うね」

「…感心している場合じゃないよ。何とかしないと」

 

彼女達の立てていた作戦はできるだけ早く先にルルーシュを落とし、一対複数でカレンに当たる事だった。

なので、ルルーシュの方に人数を割いたのだが、想像以上に蜃気楼の防御が硬いのだ。

 

「…実際どうする? 三方向からの攻撃も完全に防がれちゃったわよ?」

「あれにはびっくりしたね。一応ISのハイパーセンサーで全方向が見分けられるのは分かるんだけど、全方向の攻撃に対応できるのは別問題だよね」

「…方向がダメなら、数で勝負」

「数…。それしかないわね」

「そうだね。…という訳で鈴、これ」

 

シャルロットは武器を呼び出し、手渡す。

 

「銃は得意じゃないけど、やるしかないか。行くわよ!」

「「うん!」」

「…作戦会議は終わったか?」

「待っていてくれて、ありがとう。でも、どうして攻撃しなかったの?」

「俺はカレンじゃないからな。一対多なぞ出来ん。攻撃して隙を突かれて撃墜なんかなったら目も当てられん。俺が出来るのはカレンを信て、ここを凌ぐだけだ」

「なるほど。…でも、思い通りにはさせない。鈴、シャルロット行くよ」

「「うん!」」

 

鈴は衝撃砲とシャルロットから借りた銃を、シャルロットは手持ちの武器の中で一番連射の効くものを、簪は『万雷』の武器でもあった『雷華』と『春雷』で攻撃を開始する。

しかし、それでも蜃気楼の絶対守護領域を破れない。

 

「とっておきは最後に残しておくものだよね、ルルーシュ!」

 

破れないと判断した簪はすかさず、『山嵐』を全弾発射する。『山嵐』は『轟雷』の仕様のままなので総計80発のミサイルがルルーシュを襲う。

しかし、そこでルルーシュはにやりとする。

 

「そうだな、簪。とっておきは最後まで残しておくものだ。そして、それは俺にもある」

 

ルルーシュのキーボードを打つ指の動きがさらに加速する。

そして、山嵐のミサイルはすべてあらぬ方向に向かって飛ぶ。

 

「…! ジャミング!」

「正解だ。そして、ただのジャミングでは無い。ミサイルは既に俺の管理下だ。さあ、これに耐えきれるかな?」

 

そして、三人にミサイルが襲い掛かる。

 

 

「「「「「「「負けた…」」」」」」」

 

へこんでいる負けたチーム全員。

今は授業を終えた放課後。その状態で実習を行ったので何度も織斑先生の出席簿の餌食となった。

放課後に今回の模擬戦について特別講習が開かれる事になり、広い大会議室に集まっていた。集まったのはこのメンバーだけでなく、全学年自由参加と言われて噂を聞きつけ、結局学園の大半が参加している。

まず映像を見て再びへこんでいるのが現在の状況なのだ。

 

「でも、どうしてこんな事になったんだろ?」

「それは、織斑先生に聞いてくれ」

「…しかし、二人でよく7機も専用機を落としたわね」

 

傍に来た楯無がそう言う。

 

「そうですね、このような事は見た事も聞いた事もありません」

「なら、その辺が関係しているのかもな」

「さて、今回の模擬戦は我々からしても色々驚きの出来事が起こったので、こうやって特別講習という形を取ったのだが、一つ一つに解説を入れてもらう。ランペルージ、紅月」

 

前に呼ばれる二人。

 

「まず、開始直後の行動についてにだが、なぜ一番最初に織斑を狙った?」

 

ルルーシュが話し始める。

 

「すべての映像を見た後なら分かりますけど、俺の機体は絶対守護領域の防御ありきの機体ですし、俺自身が近接戦がからきしです。なので、俺にとって白式が、というより零落白夜が天敵だったから一番最初に狙いました。ただでさえ数的には不利ですし、一撃必殺は脅威ですからね」

「なるほどな。それで、その後は篠ノ之を狙ったようだが」

「その辺はカレンにお願いします」

「と言っているが、紅月」

「えーっとですね、私の感覚ですけど、一対多をする時に私の場合接近戦をしなきゃいけなくて、その時にまとめて、格闘戦されると結構辛いんですよね。格闘と射撃に分かれている方がまだ、何とかなるんですよ。で、今回のメンバーで格闘戦に優れているのって一夏を除くと人物的にも機体的にも箒だけだったんで、次に箒を狙おうと思ったんです」

「さらに言うなら、俺の機体は遠距離戦には滅法強いからな。近接戦メインの機体が早く落ちてくれればそれだけでとても楽だ」

「ふむ。では次の状況だ。その後二手に分かれた訳だが、その時に何か言ったか?」

「「いや、何も」」

 

と、ここでハモる二人。

 

「では打ち合わせは無かったと」

「はい。ルルーシュの最初の作戦だと、最初の一連の攻撃で一夏を落とし、箒に大ダメージ→二手に分かれるだろうから、出来るだけ私が早く倒し、ルルーシュはその間耐えるでしたから」

「この展開は予想通りだったという訳だな」

「カレンが篠ノ之さんを落としていたので、予想以上でしたけど。それにこれを補足すると、恐らく相手は初心者の俺を甘く見ていたと思います。なので、二手に分かれた時、俺側に人数を割いてくると踏んだんです」

「というと?」

「カレンの腕を踏まえると、そう簡単には落とせず、下手したら大きな被害を受けます。誰かが俺を足止めし、その間に倒すというのは難しいでしょう。それこそ、織斑先生や楯無会長レベルでないと。それなら、初心者の俺を早く落とてからカレンに当たるだろうと、そしてそれをするために俺の方に人数を割いてくるだろうと予想しました。なら、俺は機体の性能をフルに活かして守りきり、カレンと合流してから反撃という手段を選んだんです」

 

ルルーシュの言葉に会場は言葉を失う。それもそうだろう。ルルーシュは開始前から展開を読みきり、数的不利をひっくり返したのだから。

 

「今日、ここにお前達を集めたのは、こういう競技での戦い方はISを動かすだけではないという事を知ってもらうためだ。己の力量、相手の力量、機体の特徴を把握しそれに有った戦術を用意する。これも一つの道だ。分かったな!」

 

織斑先生の声に反応し、生徒たちは

 

「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」

 

と大きな返事を返した。

 

「なるほどね、織斑先生はカレンちゃんとルルーシュを教材として、考える事の重要性を教えたかったのね」

「そうかもな」

「時にルルーシュさんはこれをするために何か訓練でも?」

「いや、特にやったわけではないが…。強いて言うなら趣味がチェスだからそこが影響しているかもな。日本に来てからは将棋もしたが」

「へえー、どれほどの腕前なの?」

「将棋は教えてもらっただけでそこまで強くないがチェスには自信がある。不良貴族やその代打ち共を賭けチェスで倒して金を稼いで二人の生計を立てようと思える位にはな」

「…ゴメン、全然分かんない」

「私も分かりませんが、そういう賭けなら、腕利きが揃っていると思うので相当な腕だとは思いますよ」

「後、ふざけて10面打ちもしたな。案外何とかなった」

 

あっさりそう言うルルーシュに言葉の出ない楯無と虚。

 

「あ、そういや楯無さん。私とルルーシュの放課後の奴今から行きます?」

「そうだったわね。…でも、あの模擬戦のデータが有るから問題無いわよ。足りなかったらその時にまた言うわ。今日はお仕事もないし、ゆっくりしてね」

「分かった」

「はい」

 

こうして、ルルーシュの編入初日は終わった。




今、凄く眠い…。
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