IS~紅の戦乙女~   作:ピーナ

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ルルーシュの本気が垣間見れる回です。


第二十八話 「…苦労したんだね」

放課後、カレン、ルルーシュ、本音の三人は楯無に呼ばれていたので、簪と合流し生徒会室に向かう。その途中、

 

「しかし、今日の全校集会、盛大に発表したね~」

 

話題は今日の午後の一発目で楯無が発表した『各部対抗織斑一夏争奪戦』についてだ。

これは夏休み中に「織斑一夏を我が部に! という要望が多すぎて他の仕事に支障をきたすから、何とかしよう」と考えた結果だ。

 

「…その後、クラスでもその話題で盛り上がってた」

「一組はそこまでじゃなかったけどね」

「そうだったな。…お祭り好きな所はミレイを思い出す」

「ミレイさんほどじゃないけどね」

「「ミレイさん?」」

 

初めて聞く名前にはてなをうかべる二人。

 

「前、俺達が行っていた学校の生徒会長で俺にとっては古くからの知り合いだ」

「そうなんだ~」

「…お祭り好きって言ってたけど、どれくらいなの?」

「月一のペースでなんらかイベントを考えて、やってたな」

「その発案99%はミレイさんだけどね」

「どんなことをやってたの~」

「男女逆転祭り」

「世界一のピザを作る」

「猫祭り」

「キューピットの日」

「花火大会もやったな」

「学園全体だとこんなものだけど、生徒会だけならまだまだあるよ。お花見とか初詣とか」

 

思い出しながら遠い目になる二人。二人にとってイベントは無茶ぶりに答えるために働いている印象が強いようだ。最もルルーシュはイベント中も無茶ぶりされているが。

 

「…苦労したんだね」

「喉元過ぎればなんとやら、今では良い思い出だ」

「そうだね」

 

そんな話をしていると、四人は生徒会室に到着した。

すでに上級生組の楯無、虚は来ている。

 

「お待たせしました、会長」

「…今日は何を話し合うの? お姉ちゃん」

「織斑一夏君の事よ。そろそろ本格的にコーチするべきかなって思って、皆の意見を聞きたかったの」

「楯無、君が出張る必要など無いと俺は思うが?」

「まあ、専用機持ちのコーチも一杯いるしね」

「そう言う意味ではない。一夏は才能はあるかもしれんが、お前の貴重な時間を割いてまで面倒を見るような奴か? 俺にはそうは思えない」

「…どういう事?」

「とりあえず、これを見てくれ」

 

改修の意見を出した時の様なプレゼンスタイルになる。

 

「これは?」

「夏休み期間中のアリーナでの訓練手続の回数とその時間を表にしたものだ。先生に頼んで見せてもらい、俺がまとめた」

「こうやって見ると、進級すればするほど、訓練している時間が増えてるね」

「…特に三年が多い」

「IS学園の場合ですと、大体の部活が二年の秋頃から代替わりが始まって、三年になるとほとんど新入生の面倒を見ることになっていって、部活より訓練の時間が増えていきますから」

「それに、学年が進むと国や企業からオファーを貰う子が出てきて、自分もって思う子が増えるからね」

「一年生はそう言う意識がまだ低いんだね~」

 

各自が言葉にした通り、訓練をした回数も、アリーナを使用した時間も上級生の方が長い。

 

「流石に、ほぼ毎日訓練していた、カレンや簪には及ばないが上位陣は軒並み2年3年の代表候補生や企業代表の内定が出ている者ばかりだ。しかも、専用機を持っていない、な」

「ルルーシュの言いたい事が分かったわ。『意識の低い織斑一夏の訓練に貴重な時間を割くのはナンセンスだ』…どう?」

「その通りだ。代表候補生は国に戻る必要が有ったりして、この表の時間が正しいとは言わないが、一夏はこの表に出ているのが全てだ。それに、今日の模擬戦で思ったことがある」

「なに?」

「二次移行で荷電粒子砲が付いたのは良いが、それで終わっている。何故二月近くあって、それの運用法が行き当たりばったりなんだ? 燃費が悪いのなら改善しようとしない? 一夏よりISに詳しく、打開案を出せそうな人間はこの学園には多数いるはずだ」

「なるほどね…ルルーシュは一夏君を戦力としてカウントしていないのね?」

「俺は今の所、戦力は俺を含めここに居る専用機持ちしか考えていないが?」

 

ルルーシュの言葉に言葉を失う5人。ルルーシュは気にせず話を続ける。

 

「俺は能力を知らない人間を戦力として数える気は無い。緊急事態に展開の遅い教師部隊も同様だ。戦力を多く見積もる、楽観視する気は無い。慢心を生むからな。最低の状況から考るべきと俺は思っている」

 

ルルーシュの戦ってきた戦場は常に味方が圧倒的不利の状況だった。だからこそ、敵味方の正確な戦力分析、様々な情報の精査、ベストな戦略が必要だった。もう、彼の奥にしみこんでしまったものだ。

 

「最も少ない戦力計算で私達だけなのね。多い場合だと?」

「いや、多くて、この四人だけだ。最低は指示なしで動ける簪を除いた三人だけだ。緊急事態で連絡が取れなかった場合、個人で動かないといけない。生徒会はともかく、一般の生徒の専用機持ちは逐一許可が必要だからな。特にここが戦場になると『敵の捕縛』より『一般人の安全確保』が優先されるからこちらが不利だ」

「ルルーシュさんの言う通りですね。しかも文化祭の場合だと生徒以外の来校者もいますし、そちらの避難誘導に人数を割かれますし、混乱も予測されます」

「その辺何か考えはあるの?」

 

いつの間にか、文化祭の警備についてに話し合いが変わっている。

 

「1つは狙いである一夏を重点マークだな。狙いはアイツ自身とISだから、死にはしないだろう。アイツ自身ISもある。出来れば襲撃者の戦力が分かれば良いのだが、その辺は流石に無理だろうしな。俺でも構わないが、どちらを狙うかと言えばアイツだろう。他にも色々用意してあるが、その辺は形になるか分からん」

「ルルーシュは、どんな手で来ると思う?」

「文化祭なら人混みに紛れて一夏に近付き、誘拐、もしくは奇襲だな。今年に入っての事件が全て同じ相手なら、そろそろ焦って、組織から人員を動かして直接来るだろう」

「怖い読みねー。でも、ルルーシュの読みは予知位当たるから、可能性としてはありそう…というより、あると考えて動いた方が良さそうね。その辺は後々詰めていきましょ」

 

そうして、その日の生徒会室での会議は終わった。

魔王が様々な策略を仕掛ける文化祭まだもう少し…。




次回から文化祭編、ルルカレ共に本気を見せます。(多分)
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